【CTOの職務経歴書】エンジニアが納得できる評価制度を作り、主体的に動く人が集まる組織を作りたい。|株式会社マーケティングアプリケーションズ 大山陽耕氏【後編】

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前回に引き続き、「CTOの職務経歴書」には、マーケティングアプリケーションズのCTO・大山陽耕氏が登場。新卒入社したライブドア社で充実した職務経験を得た大山氏。後編では、その後の転身、現職でCTOとして遂行したいこと、自身が考えるCTO・エンジニアのあり方などについて、話を聞いた。

株式会社マーケティングアプリケーションズとは?
「生活者と企業をテクノロジーでつなぐ」ことをミッションにデータに基づくマーケティングを実現するためのデータソリューション、アプリケーションを提供する企業。
業界で高いシェアを誇るオンラインサーベイツール「MApps forSurvey」や、クラウド型のデータ集計・分析ツール「MApps forAnalysis」、国内およびアジアの大規模な市場調査専用コンシューマーパネルなどを提供している。
https://mkt-apps.com/

1. 外注よりも主体的に関わるメンバーでチームを作る発想に

――なぜライブドア社の次の舞台として、リサーチパネルエイジア社を選ばれたのでしょうか?

大山氏:実は当時、転職したいという明確な意思を持っていたわけではありませんでした。ライブドア社で無我夢中に仕事に取り組み技術的に色々できるようになってきたところでふと、「この先、自分はどういうことをやっていったらいいんだろうか」と考えるようになりました。そんななか、自分の原点でもある英語力が仕事で必須の環境に行くのもいいのではないか、と思うようになりました。

その頃に登録していたエージェントから紹介されたのが、VOYAGE GROUPの子会社リサーチパネルエイジアでした。海外に向けた新しい会員サイトのサービスを立ち上げるため、英語力があるエンジニアを求めているということだったので、応募したところ入社が決まりました。

VOYAGE GROUPでは、日本国内で消費者向けのポイントサイトを運営し、そのポイントサイトの会員を市場調査会社にアンケートモニターとして提供することが、主要な収益源となっていました。

そこで、リサーチパネルエイジアを子会社として立ち上げ、日本だけでなく中国や韓国に同じようなサイトを作り、市場調査会社に海外のアンケートモニターを提供する事業を開始しました。創業当初は事業が小さく、海外拠点もなかったのですが、創業から5年間で海外に6拠点ができ、人も増えました。今では、英語が社内の公用語となっています。

入社当初は、業界のことがわからず、どのようにビジネスが動いているのかを、周囲に聞いてみたり、いろいろと考えたりしながら、仕組みを作っていましたね。

リサーチパネルエイジア社時代について語る大山氏の写真

リサーチパネルエイジア社への入社当初は、例えば集まった会員がどういうことを求めるのか、調査を受注したらお客さまが何を言うか、などわからずに手探りで事業に取り組んだ

――リサーチパネルエイジアで働かれて、ライブドア時代と最も違ったことは何でしょうか。

大山氏: ビジネスがBtoCからBtoBになったことも大きいですが、リサーチパネルエイジアで働くまでは、事業に主体的に関わるという意味をわかったつもりで、わかっていなかったと気付きました。自分の職種に関することだけでなく、会社のもっと先の展開について意見を言ったり、考えを及ばせたりするようになったところが、大きく変わったところです。

2. エンジニアを定性的に評価することで、前向きに動く人が集まる組織を作る

――現在はマーケティングアプリケーションズ社のCTOに就任されています。前職からどのような経緯で現職に就かれたのでしょうか?

大山氏:リサーチパネルエイジアに在籍していた時も、プロダクト統合やグローバル化推進で、マーケティングアプリケーションズに関わる業務を担当していました。その後、リサーチパネルエイジアが、株式交換を経てVOYAGE GROUPの子会社からマーケティングアプリケーションズと統合したのを機に、移籍しました。

――現在のお仕事内容についてお教え下さい。

大山氏:市場調査向けのクラウドサービス「MApps for Survey」に関連する開発・運営などを手がけているほか、プロダクト・事業についてエンジニアに主体的に動いてもらえるように、組織をよりよく変えていくことに着手しています。そのために評価制度の改革を行っています。

エンジニアの成果は、定量的には測りにくいものです。ですから、エンジニアが主体的に事業やサービスに関わった結果、事業が加速したり、作業が発展的に行われるようになったかなどについて、より定性的に評価し、評価される制度を整えていきたいですね。そうしたエンジニアとって納得感の高い制度にするべく、運用や制度作りに手を入れていきたいと考えています。

――エンジニアは、会社の評価制度に不満を持つことが多いのでしょうか?

大山氏:多いと思います。機能やサービスを正しく動かすためにエンジニアが考えたことや努力したことなど、運用する過程を会社側が重視していない場合には、評価されにくい傾向にあります。せっかくの苦労が報われない評価制度は、エンジニアにとってモチベーションが下がるきっかけになります。

もしこの先、半年以上なくならないことがわかっているような事業であっても、評価に合わせてプロジェクトを1ヶ月や3ヶ月などと短い期間で区切って定量的に評価しようとするのには、リスクを伴います。評価されるエンジニア側は、中長期的な視点を持ちにくくなってしまいますし、それによってサービス自体がうまく回らなくなる可能性があるからです。

定性的な要素でエンジニアが評価されることで、サービスに対してより正しい成果を出していけるようになるし、エンジニアに納得感が出ると考えています。正しい成果物にたどり着くまでに、どのように取り組んだかを評価されることが、エンジニアにとって腑に落ちるものとなるのです。そのために、しっかりと評価をしなくてはならないと思います。

――転職したいエンジニアは各社の評価制度をよく見た方がいいですよね。

大山氏:そうですね。その会社がエンジニアに何を期待していて、アウトプットをどう評価してエンジニアに伝えているのか、コーポレイトサイトをよく見て面接時に質問するといいですね。

エンジニアが働きやすい環境づくりに取り組んでいることを話している大山氏の写真

アウトプットをあえて定性的に評価することで、エンジニアが働きやすい環境の整備に取り組んでいる

――開発体制についてもお聞かせ下さい。

大山氏:現在はまだ、僕らのようにVOYAGE GROUPから入ってきたチームや事業ごとに作られたチーム、創立当初からあったチームなど、さまざまなチームが混在している状態です。

そのため、これから開発体制を整えていく必要があります。今後はいくつも小さめのチームを作って、より発展的に色んな人たちが関わりながらプロダクトを作っていく環境を、整備していきたいと考えています。

――御社のエンジニアに求められている役割とは、何だとお考えでしょうか?

大山氏:エンジニアの役割は、ベースにプログラミングなどのタスクがあり、さらに事業やサービスの発展と将来について考えることです。さまざまな課題に取り組み、主体的に解決するチームを作れるエンジニアが求められています。

また、機能の問題点を見つけるのも、エンジニアがやるべきことです。エンジニアだからこそわかることを、エンジニアではない人にわかりやすく伝えて、それをより良い順番で解決することも、エンジニアが果たすべき役目です。

――若いエンジニアの方が、御社で働くことを選ぶメリットは何でしょうか?

大山氏:弊社で働く魅力は、「何か社長が決めたことが落ちてきて、それを効率的に実行することが求められる環境」ということはなくて、「チャンスを自分で作って、それを自分で活かすことができる環境」だと思います。

3. より専門的な知識を持ち、事業に近いところで関わるエンジニアが求められる

――大山さんはどのようなエンジニアと一緒に働いていきたいと思われますか?

大山氏:当然のことですが、言われたからやるというようなエンジニアは嫌ですね。技術が好きだからエンジニアになる人が多いかと思うのですが、すべての判断軸が技術というのも残念なエンジニアかなと。持っている技術や知識を、事業・プロダクト・サービスの発展に投入できる、そういうエンジニアと一緒に働きたいですね。

今後の組織づくりについて楽しそうに語る大山氏の写真

エンジニア同士が連携しながら、質の高い開発体制を作れる組織にしていきたいと語る

――現在も実際に手を動かしてコードを書かれることはありますか?

大山氏:1日の1/2から1/3は書いています。コードを書く人が足りていないという事情もあるのですが、その目線を失って、若い人が提案することを理解できなくなる、受け入れられなくなると非常に困るので。手を動かす、プログラム上の課題をどう解決するかを考えるということは、引き続きやっていきます。

――CTOとしてエンジニアとして、普段からどのようなインプットをされていますか?

大山氏:特定の何かというものではなく、技術的な情報を拾って実際に使って試してみたり、導入してみたり、若い人がやっているのを見て「これいいね!」と受け入れたりしています。

――どういうところから情報を得ているのでしょうか?

大山氏:オープンソースのコミュニティや、ツイッターですね。

――ツイッターなのですね! エンジニア仲間のツイートを見たりとか?

大山氏:そうですね。この人が考えていることを知りたいという人をフォローしています。また、勉強会やコミュニティに参加して、知り合った人たちをフォローしたり、その人の本を買ったりもします。

――今後エンジニアという職業はどのように変化を遂げていくとお考えですか?

大山氏:「事業のことはわからないけど、コードは書けます」というエンジニアは、不要になっていくはずです。これからは、エンジニアの持つ技術力がますます会社の成長を左右するようになっていきます。短いサイクルで開発が進んでいくなかで、より専門的な知識でより事業に近いところで関われる人が、これからのエンジニアとして求められると思います。

――CTOとして、エンジニアとして、ご自身は今後どのように進化を遂げていきたいとお考えですか?

大山氏:事業と一緒に自分も成長して、事業を支えられるアウトプットもしっかり出していきたいですね。前向きに動く人が集まる組織を作ることが、この思いを叶える近道だと信じています。

レバテック営業担当、大林の写真

レバテック営業担当「大林春菜」から一言!

エンジニアとしての技術を極めるだけでなく
事業の拡大に活かすメンバー育成に熱い思いを感じました!

大山さんはこれまでの人生で、フットワークの軽さからチャンスをしっかり掴んでいると感じました。CTOとして、エンジニアメンバーが働きやすい環境を作ろうと自ら評価制度改正に携わられているところが素晴らしいです。エンジニアとして技術だけを極めるのではなく、それがどう事業拡大に活かせるのかまで考えられるメンバーを育成していきたいという姿勢が、とても印象的でした。

前編を読むスキーを諦めアメリカ留学へ。プログラミングにハマり、卒業後大手IT企業エンジニアに|(株)マーケティングアプリケーションズ大山陽耕氏【前編】

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