PHPフレームワーク選定のポイントも併せて解説PHPフレームワークとは?主要なフレームワークの紹介や学習方法、転職のポイントも解説

最終更新日:2023年3月10日

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PHPには様々なフレームワークが存在し、アプリケーション開発に活用されています。この記事では、フレームワークを利用するメリットやデメリット、主要なPHPフレームワーク、学習方法、PHPエンジニアへの転職のポイントについてまとめました。PHPのフレームワークをこれから学習しようと考えている未経験者や、すでにPHPでの業務経験がありスキルアップを目指しているITエンジニアの方は、ぜひ参考にしてください。

フレームワークとは

まずは、PHPとフレームワークの概要について解説します。

PHPとは

PHPは、主にWebアプリやECサイト、Webページの作成に用いられるプログラミング言語です。文法がシンプルであるため、プログラミング初心者でも内容を理解しやすいという特徴があります。詳細については、下記を参照ください。

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フレームワークの概要

プログラミングにおけるフレームワークは、枠組み、骨組み、構造などを指す一般的なフレームワークと区別し、ソフトウェアフレームワークと呼ばれることもあります。ソフトウェアフレームワークは、アプリケーションやシステム開発を行う際に必要となる頻出機能を、あらかじめ用意した枠組みです。機能単体を利用する場合にはライブラリ、アプリケーション開発に必要な機能の集合体(枠組み)を利用する場合にはフレームワークを使います。

PHPフレームワークの変遷

PHPの最初のフレームワークは、2006年3月にリリースされたZend Frameworkです。PHPにフレームワークができた理由として、Ruby on RailsやSpring Frameworkなど他言語のフレームワークが2005年頃に広まりはじめたことが挙げられます。Zend Framework以降、様々なPHPフレームワークが作成されています。

フレームワークを利用するメリット・デメリット

続いて、フレームワークを利用するメリットとデメリットについて解説します。

メリット

フレームワークを利用する主なメリットは以下の3つです。

開発効率が向上しやすい

フレームワークは、開発に必要な頻出機能を取り揃えているため、基本的な機能群の新規開発が不要です。また、フレームワークの部分はバグを作り込んでしまうリスクがなく、テスト工数も減らせます。フレームワークをうまく利用することで、開発効率が上がります。

保守・運用しやすい

フレームワークが定めたコード規約や設計思想に則って開発できるため、保守・運用しやすい状態を保てるメリットがあります。

安全性を担保できる

利用実績のあるフレームワークは、バグ検出やセキュリティ上の懸念事項が洗い出されやすいです。そのため、セキュリティ観点での考慮をゼロから始める必要がありません。

デメリット

一方で、フレームワークの利用には以下のようなデメリットもあります。

既存システムに適用する場合にコストがかかる

稼働中のシステムにフレームワークを利用する場合、既存のソースコードのリプレイスを行うためのコストがかかります。これは、新規開発の場合には発生しません。たとえば、社内で稼働中の複数システムを、社内全体で同じフレームワークに統一しようとするケースなどが想定されます。

エンジニアの学習コストがかかる

開発にフレームワークを利用する場合、開発に携わるエンジニアの人数分フレームワークの学習コストがかかります。

詳細を理解せずに利用できてしまう

フレームワークには、必要となる機能を自動生成する仕組みがあります。この仕組みを用いて必要な機能群を揃えれば、フレームワークの詳細を理解していなくてもアプリケーションを稼働させることが可能です。しかし、知識がないまま利用していると、保守・運用フェーズでバグや問題が発生した際、原因究明に時間がかかるというリスクや、拡張機能開発を進める段階で、学習コストが発生するということも考えられます。

カスタマイズ性が低い

システム独自の機能を拡張しようとする際には注意しなければなりません。共通化されたコード規約や設計方針に例外が発生し、フレームワークのメリットを活かしにくくなるためです。

主要なPHPフレームワーク

次に、PHPの主要なフレームワークを紹介します。

Laravel

Laravelは、2011年にリリースされたフレームワークで、2022年現在では最も代表的なPHPフレームワークと言えます。Laravelの主な特徴は以下のとおりです。

●特徴

  • ・大規模開発向け(スケーリングに強い)

    ・拡張性が高い(Laravel Sailの活用)

    ・日本語ドキュメントが豊富で学習しやすい

 

Laravelが代表的なフレームワークである理由は、大規模開発に強いためです。Laravel自体にRedisのような分散型キャッシュシステムのサポートがあるほか、Laravel VaporというLaravel向けのオートスケールなサーバーレス開発プラットフォームを利用できます。Laravel Vaporは、AWS Lamda上でLaravelを動作させられる有料ツールであり、各種AWSサービスとの連携もサポートされています。

Laravel Sailは、Dockerの開発環境を操作するコマンドラインインタフェースです。Dockerの利用経験がなくても、PHP、MySQL、Redisを使用したLaravelアプリケーションを構築しやすいメリットがあります。また、利用サービスを柔軟に指定できることも特徴です。データベースサービス、キャッシュシステム、検索エンジン、オブジェクトストレージ、Webアプリケーションテストフレームワーク、Eメールテストツールなどを必要に応じて利用できます。このように、Laravelを用いれば、柔軟なアプリケーション開発を実現できます。

CakePHP

CakePHPは、2005年にリリースされたフレームワークで、Ruby on Railsの概念を踏襲しています。CakePHPの特徴は以下のとおりです。

●特徴

  • ・Ruby on Railsの概念を踏襲した大規模開発向けフレームワーク

    ・bakeコマンドを用いた開発効率の向上

    ・日本語ドキュメントが豊富


CakePHPのbakeコマンドは、Webアプリケーションの雛形を自動生成するコマンドです。自動生成された雛形は、CRUD機能を持ちます。bakeコマンドを活用することで、開発効率を向上できます。また、PHPフレームワークのなかでも多く利用されているため、日本語ドキュメントが豊富で学習しやすいフレームワークです。

FuelPHP

FuelPHPは、2010年にリリースされた、高速かつ軽量で自由度の高いフレームワークです。FuelPHPには以下のような特徴があります。

●特徴

  • ・軽量で高速

    ・小規模開発向け

    ・柔軟な設定により自由度が高い


FuelPHPは、MVCモデルのフレームワークです。他のフレームワークと比べて規約が少ないため、柔軟で自由度の高いコーディングを行えます。比較的軽量でシンプルなアプリケーション作成に向いています。

Symfony

Symfonyは、2005年にリリースされたPHP5用のフレームワークで、大規模開発に適しています。

●特徴

  • ・バンドルの活用によりコードを再利用しやすい

    ・大規模開発向け

    ・堅牢で開発しやすい


Symfonyは、MVCモデルを採用したフレームワークです。再利用可能なモジュールであるバンドルを活用することで、複数のアプリケーション開発で効率化を図れます。また、テストツールが揃っており、フレームワークの規約を優先する設計により、複数人が開発を行う場合でもコード規約に則った開発を進めやすいです。

Zend Framework(Laminas)

Zend Frameworkは、2006年にリリースされたPHP5用のフレームワークです。2022年現在、サポートは終了しており、後継のLaminasに置き換わっています。Laminasの特徴は以下のとおりです。

●特徴

  • ・豊富なパッケージを持つ(MVC、Component、Mezzio、API Tools)

    ・他フレームワークと比べて利用が少ない


Laminasは、豊富なパッケージを持っています。Zend Frameworkの後継であるLaminas MVC、アプリケーション開発に必要なライブラリ群であるLaminas Component、API作成ツールであるLaminas API Tools、そしてPHP標準勧告準拠のフレームワークLaminas Mezzioです。これらのパッケージは、API開発にも活用できます。しかし、ZendFrameworkはPHP5用に作成されたフレームワークであり、2022年現在では、他PHPフレームワークと比べると利用数は多くありません。そのため、日本語ドキュメントが少なく、学習しにくいデメリットがあります。

PHPフレームワーク選定のポイント

数あるPHPフレームワークのなかから、どれを選ぶべきなのでしょうか。ここではフレームワークを選定する際のポイントを解説します。

システムの要件にどれだけ合うか

PHPフレームワークは、それぞれ特徴が異なります。PHPフレームワークを採用するパターンとして、新規のシステム開発と、既存システムのリプレイスが考えられますが、PHPフレームワークの特徴がシステムの要件にどれだけ合うかが選定のポイントです。技術トレンドや学習コストとの兼ね合いはあるものの、システムの要件に適していることは、一番優先度が高いと言えるでしょう。

技術トレンドとマッチするか

PHPフレームワークには、歴史が長くPHPのバージョン毎に適した構成になっているものや、定期的にアップデートが繰り返されているものがあります。フレームワーク採用予定システムのPHPのバージョンとの相性を考慮したり、必要に応じて技術トレンドを考慮したりすることも、選定の際に重要なポイントです。

企業やチーム全体での学習コスト

フレームワークを採用する場合、使い方を覚える必要があり学習コストがかかります。採用する範囲やチームの規模感によって学習コストは変化するため、利用開始までにどれくらいの期間がかかるかを考慮すべきでしょう。

PHPフレームワークの学習方法

学習対象のフレームワーク選定のポイントと、複数の学習方法を未経験者・経験者の両方を対象として紹介します。

学習対象のフレームワークを選定する

最初に、どのフレームワークを学習するのかを決定する必要があります。ここでは選定する際のポイントを3つ挙げます。

最新トレンドから選ぶ

PHPフレームワークは、日々新機能がアップデートされています。より新しい機能を持つPHPフレームワークを選ぶことで、最新トレンドを理解しながら学習を進められます。技術要素のトレンドを押さえることと、各種フレームワークのアップデート状況の把握が必要となるため、経験者向けの選定方法です。

学習コストや難易度から選ぶ

未経験は、学習コストや難易度を基準にするのがおすすめです。シンプルかつ軽量なフレームワークであれば仕組みを理解しやすいでしょう。最初に学習したフレームワークを足掛かりにして、より複雑なフレームワークの学習にも挑戦してみてください。

転職したい業界から選ぶ

転職したい業界がある場合は、その業界の企業で多く採用されているフレームワークを学習することで、転職活動に役立ちます。なぜその業界で採用されやすいのか、どの機能が活用されているのかなど、フレームワークの背景まで理解を深めておくとよいでしょう。

関連書籍を活用する

ここからは、具体的な学習方法について紹介していきます。まずは、オーソドックスな方法である、関連書籍の活用です。PHPフレームワークの関連書籍は多数出版されており、出版数や出版年などからフレームワーク自体の流行り廃りを予測することもできます。

Laravelの関連書籍


「PHPフレームワーク Laravel実践開発」はより実践的な内容となっているため、Laravelについての理解を深めてから読むのがおすすめです。入門用としては、他の3冊のなかから、自分のレベルに合った書籍を選ぶとよいでしょう。

CakePHPの関連書籍


「CakePHPで学ぶ継続的インテグレーション」は、CakePHPを用いて継続的インテグレーションを学ぶという経験者向けの内容となっています。入門用としては他の2冊から選んでください。

Symfonyの関連書籍


これら2冊は、対象となるSymfonyのバージョンが異なります。基本的には新しいバージョンの入門書をおすすめしますが、バージョンによらず、フレームワークの仕組みを理解することが目的であれば、どちらを選んでもよいでしょう。

各種コミュニティの勉強会やカンファレンスに参加する


勉強会やカンファレンスへの参加は、フレームワークの活用事例を知るよい機会です。発表内容は公開されていることが多いため、過去に開催されたカンファレンスのなかから、気になるトピックをチェックしてもよいでしょう。

求人内容から見るPHPフレームワーク

レバテックキャリアの求人検索では、条件を指定できます。PHPフレームワークを条件に指定した場合の求人数は以下のとおりです(※2022年12月現在)。


Laravelの求人数が、他と比較して非常に多いことがわかります。ただし、「必須経験」として特定のPHPフレームワークを用いた開発経験が記載されているケースは少なく、PHPの開発経験となっていることがほとんどです。

また、年収のレンジは400万円から800万円と広く、携わる業務領域や求められる技術要素によって変わってきます。例えば、AWSやMicrosoft Azureなどのクラウドの知識、複数のPHPフレームワークの知識が求められる場合では、年収が高めに設定される傾向があります。

PHPエンジニアへの転職のポイント

PHPフレームワークという観点から、PHPエンジニアへ転職する際のポイントを解説します。

求められるスキルや経験の考慮

実際の求人では、必要な経験やスキルとして具体的なフレームワーク名が指定されているケースは少ないです。PHPを用いた開発経験があれば、フレームワークに関わらずアピールできるでしょう。また、PHPでの開発経験がなくても、業務に活かせる経験やスキルを整理しておくことが大切です。例えば、オブジェクト指向のプログラミング言語の経験や、似ている分野でのシステム開発経験などが挙げられます。

異なるフレームワークを用いた開発経験をアピールする

これまでにPHP以外でフレームワークを用いた開発経験がある場合は、積極的にアピールしましょう。異なるフレームワークであっても開発経験があれば、今後の開発イメージが湧きやすいメリットがあります。志望先の企業で採用しているフレームワークを用いた経験がなくても、開発経験やスキルを整理しておくことが大切です。

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