PHPとは?
PHPはプログラミング言語の一種で、特にWeb開発では人気のある言語です。実際にPHPの募集は多く、スキル習得することで多くの案件に参画できます。学習のコストパフォーマンスが高い言語ともいえるでしょう。ではPHPは言語としてどのような特徴があるのか、解説していきます。
PHPの概要・特徴
現在はWeb人気の時代で、Webサービス・アプリケーションの開発案件が豊富です。PHPを用いた開発案件も多く、その人気が伺えます。まずはそんなPHPの概要や特性を把握しましょう。人気の言語だから学習するというだけでなく、開発対象などをはあくしたうえで自分に合うかどうかを判断する必要があります。
Web開発に特化したプログラミング言語である
PHPはWeb開発に特化したプログラミング言語です。そのほかの開発で使えないというわけではありませんが、フレームワークやライブラリはWebに特化したものが多く、コードの仕様もWebのみを意識したものが多い傾向があります。結果的に、PHP案件のほとんどはWeb案件です。
またPHPが使用されるのはWebの中でもサーバーサイドです。フロントエンドの処理の実装も可能ですが、JavaScriptで作られる場合が多く、PHPではサーバー側の処理からフロントエンドのJavaScriptに処理を受け渡すところまでを実装することが多いです。
動的型付け言語である
PHPは動的型付け言語に分類されます。動的型付けでは、プログラムを書く際には型付けを行わず、プログラム実行時に型が決まります。処理速度が遅いという欠点はありますが、コーディングの自由度が高いです。
動的型付け言語の反対は静的型付け言語です。静的型付け言語では、プログラムを書く際に型を指定します。型の整合性が取れることと、実行速度が速くなることがメリットです。
PHPでできること
PHPは掲示板、問い合わせフォーム、ショッピングカートなどWebアプリケーションで使用される多くの機能の実装ができます。特徴で説明した動的型付け言語とも関係していますが、臨機応変にHTMLファイルを読み込みユーザーに合わせた表示ができるので、結果的に動的なWebページの生成を得意とします。
ちなみに、WordPressもPHPを用いた代表的なアプリケーションです。WordPress本体だけでなく、テーマやプラグインもPHPで作成されているものが多いです。言い換えれば、PHPでカスタマイズできるということです。
関連記事:PHPでできること一覧!転職で必要なスキルや学習方法も解説
データベースとの連携
PHPはデータベースとの連携もしやすいようコードが用意されています。ほかの言語でも当然データベースとの連携は可能ですが、PHPはWebに特化した言語で、またWebシステムにデータベースは欠かせません。そのためデータベース処理のためのライブラリなどが豊富に用意されているということです。もちろんSQLの埋め込みもやりやすい仕様になっています。
動的コンテンツの生成
動的コンテンツとは、ユーザーの検索に合わせて別のコンテンツを表示することです。ページの表面はHTMLで作られていて、表示するページとHTMLはセットになっています。静的コンテンツの場合はあらかじめ作成されたHTMLを表示するだけなのでページは単一ですが、動的コンテンツの場合はHTMLを書き替えられます。厳密にはユーザーが入力するまでHTMLファイルは完成していません。PHPでは、ユーザーの入力に合わせてHTMLファイルを作成して表示できます。
ファイルやフォームの操作と処理
PHPにはファイルやフォーム操作と処理の機能がもともと備わっています。そのため、自分でゼロから実装しなくても、機能を呼び出すだけで基本的な操作、処理が可能です。関数だけで実装できます。より複雑な処理であってもライブラリを使えば多くの場合自分で実装する必要はありません。
これらの処理を自分で実装せずに済むと、工数削減になることはもちろん、予期せぬバグが発生するリスクも軽減できます。データがなかった場合はFalseを返すなどエラーハンドリングもあらかじめ実装されているので、その点でも安心でしょう。
CMSのカスタマイズ
前項でも少し触れましたが、PHPはCMSのカスタマイズに向いています。PHPがWebアプリケーションに特化しているという理由もありますが、CMS自体がPHPで作られているからです。WordPressはCMSの中でもっともシェア率が高いです。
W3Techsによると、2024年時点で、世界のCMSシェアの62.8%がWordPressです。Webサイト全体で見ても、43.2%がWordPressになります。
このような圧倒的なシェア率を誇るWordPressはPHPで作成されています。そしてこのWordPressのカスタマイズはPHPと相性が良いので、これだけでも一定の仕事になるでしょう。実際PHPでWordPressのカスタマイズを行う案件募集は頻繁に見かけます。
PHPとほかのプログラミング言語との違い
PHPのようにWebのサーバーサイド(サーバー側)で主に使用されるプログラミング言語は複数あり、それぞれの言語に仕様の違いがあります。しかしその前段階として、HTMLやJavaScritpなどフロントエンド(パソコンやスマホなどの端末で表示する側)で使用される言語との違いを把握しておく必要があるでしょう。まずはPHPとHTML、JavaScriptの違いを解説します。
PHPとHTMLの違い
PHPとHTMLの違いは、PHPがプログラミング言語であり、HTMLがマークアップ言語であることです。PHPは、Webページの動的な生成や処理を行うために使用されます。一方、HTMLは、Webページの構造や表示方法を定義するために使用されます。
HTMLはWEBページの骨組みを作成するためのものです。WEBページ作成には欠かせないものですが、HTMLだけでは非常にシンプルな見た目になってしまいます。また、静的なページしか作成できません。なお、静的なページとは、常に同じ内容が表示されるページのことを指します。SNSなど、表示するたびに内容が異なるページを動的なページと呼びます。
PHPとJavaScriptの違い
JavaScriptとPHPは、いずれも動的なページを作成するための言語です。とはいえ、その使い道は大きく異なります。
PHPとJavaScriptの大きな違いは、PHPがサーバーサイドのスクリプト言語であり、JavaScriptがクライアントサイドのスクリプト言語であることです。PHPは、Webサーバー上で実行され、Webページの生成やデータベースの操作などを行います。JavaScriptは、Webブラウザで実行され、Webページの動的な機能やインタラクティブな要素を追加するために使用される言語です。
また、PHPは主にバックエンドの処理に特化しており、データベースの操作やファイルの読み書きなどを行えます。一方、JavaScriptは主にフロントエンドの処理に特化しており、Webページの表示や操作に関する機能を提供します。
PHPの記述ルール
PHPの記述ルールをいくつか紹介します。プログラミング学習は暗記するよりも理解して慣れていくことが重要なので、以下で紹介する内容を覚える必要はありません。PHPがどのようなものか把握するための参考としてください。紹介する内容は基本的なものなので、実際にPHPを学習して書いていれば無意識に覚えるでしょう。
「.php」の拡張子をつける
PHPでも他のプログラミング言語同様、ファイル作成時には拡張子でPHPのファイルであることを指定します。具体的には、「.php」の拡張子です。「.php」の拡張子を付けておくことで、サーバーがPHPファイルと認識し、処理するようになっています。またHTMLファイルの中にPHPを記述することも可能です。この場合、ファイルの拡張子はHTMLの「.html」もしくは「.htm」になります。
コードを書く場所
PHPのコードを書く場所は、最初と終わりの宣言文の間です。具体的には、以下のようになります。
<?php
//ここにPHPのコードを記述します。
?>
前後の宣言文は、PHPだけでなくほかの言語でも一般的に存在します。コンピューターが処理する際に、どこからどこまでがPHPのコードなのかを把握するために必要なものです。
また「//」は後述するコメントを入れるための記述です。
セミコロン(;)を1つのコードの最後につける
PHPは1つの命令の後ろにセミコロン(;)を付けるルールになっています。これは文章の「。」と同じようなものです。PHPだけでなく、命令終わりにセミコロンを採用しているプログラミング言語は多いです。
コメントの記述方法
まずプログラミングにおけるコメントとは、処理としては実行されないメモ書きのことです。コードを書いた本人や、別の人が分かりやすいように記述しています。コメントの方法は以下の3種類です。
-
・行頭に「//」と書く
・行頭に「#」と書く
・複数行でコメントしたい場合は「/* コメント */」で囲む
上記いずれかの方法で記述した箇所は、コンピューターは飛ばして実行します。コメントの概念はPHPだけでなくプログラミングにおいて一般的なものです。また言語学習の際にはコメントを書きながら実装した方が理解しやすいので、積極的に活用しましょう。
PHPの基本となる文法
次にPHPの基本文法を紹介します。これらの基本文法はプログラミング言語ごとに書き方が少し違いますが、概ね同じです。考え方自体は同じなので、PHPで身に付けておけば他の言語にも応用が利きます。
変数
変数とは、文字列や数字を入れておく箱です。厳密にはメモリ領域を確保しておいて、そこにデータを格納するということです。PHPでは変数を宣言する際に、「$hensuu」のように「$」を付けるルールになっています。変数の名前自体はどのようなものでも問題なく、付けた名前を指定して後から処理を加えられます。たとえば、変数の値でフラグ判定する、中身を書き替える、といったことです。
演算子
演算子とは、四則計算、比較、論理(not,ando,or)などに使う記号のことです。たとえば「$hensuu = 1 + 1;」と記述すると、hensuuという名前の変数の中に2が入ります。演算子の使い方は、ほかの言語でも基本的に同じです。
if文・while文
if文とは、指定した条件に合致するかどうかを判定するコードです。条件に合致した場合と合致しなかった場合の処理をそれぞれ用意するのが一般的です。while文は、指定した条件に合致する間処理を繰り返し、条件に合致しなくなると処理を抜けるというコードです。
どちらもPHPというよりはプログラミングにおける基本の考え方で、使用頻度の高いコードです。
【if文の型】
if (条件式) {
} else {
}
【while文の型】
初期値;
while(条件式){
処理;
増減式;
}
if文は条件に合致しなかった場合をelseと表現します。日本語に訳すとそれ以外なのでそのままの意味です。while文は最初に初期値を設定し、初期値に処理を加えていくのが一般的です。初期値に処理を加え、一定の変化をしたらwhile文を抜けるという仕組みです。初期値や変化がないと、いわゆる無限ループという状態になってしまいます。
関数
関数とは、あらかじめ処理が実装された機能のようなものです。Excelなどでも関数が用意されていますが、その関数と同じです。プログラムのコードの中で、Excelのように関数を指定できます。関数を使用すれば、自分でゼロから処理を実装せずに済むのでコードの簡略化やバグの防止につながります。またあらかじめ自分で関数を作り、呼び出して使いまわすことも可能です。
たとえば、「$hensuu = floor(3.14);」と記述すると、hensuuの中身は「3」になります。floorは小数点以下を切り捨てる関数だからです。
関連記事:PHPの環境構築とは?Windows/Macの環境構築手順を徹底解説
PHPを学習するメリット・デメリット
PHPを学習するメリットとデメリットを挙げます。PHPは人気のある言語でWeb開発で幅広く使用されていますが、万能というわけではありません。万能なプログラミング言語は存在しないでしょう。そのため、メリットとデメリットを把握し、自分が優先的に学習すべきかどうか判断してください。
PHPを学習するメリット
PHPは他のプログラミング言語と比較して明確なメリットが複数あります。また、ここで挙げるのはフロントエンドやWeb開発以外で主に使用されるプログラミング言語ではなく、同じWebのサーバーサイドのプログラミング言語との比較を前提としたメリットです。
無料で使え、環境構築も比較的容易
PHPはオープンソースプログラミング言語なので無料で使えます。さらに、公式マニュアルも無料で閲覧可能です。本格的に学習する場合は書籍や動画コンテンツなどは必要になるかもしれませんが、コストを抑えて数千円程度で実務レベルのスキルを身につけることも十分可能でしょう。
また環境構築も比較的容易で、極端に言えばメモ帳にPHPのコードを書いて実行することも可能です。本格的にプログラミングする場合はPHPに合わせて環境構築した方が良いですが、それでも難しい点はほとんどないでしょう。
文法がシンプルで初心者でも覚えやすい
PHPは文法が非常にシンプルです。そのため、直感的にプログラミングができます。また、覚えることも少ないため、初心者でも比較的簡単に短時間で習得できるといわれています。
なお、プログラミングは1つの言語を習得すれば、次の言語は比較的容易に習得できるようになるものです。PHPはプログラミング入門の言語としてもおすすめです。
情報が簡単に手に入る
初心者がプログラミング言語を習得しようと思うと、多かれ少なかれ壁にぶつかるものです。そんなとき、すぐに解決策が見つかることもPHPのメリットです。PHPは歴史が深く、多くのユーザーがいるため、インターネット上には情報があふれています。
「プログラミングを習得したいけれど、スクールに通うのは時間的にも金銭的にも負担になる」といった方にとって、PHPはおすすめのプログラミング言語といえます。独学でPHPを学んだという人も少なくありません。
フレームワーク・ライブラリが豊富
PHPはフレームワーク・ライブラリが豊富です。フレームワークはプログラミングを行う際の機能の土台のようなもので、ライブラリはひとまとめになった機能のことです。PHPは特にWebに特化したフレームワークとライブラリが多く、開発対象に合わせて選択できます。具体的には、以下のようなものが挙げられます。
【フレームワーク】
-
・Laravel
・CakePHP
【ライブラリ】
-
・PHPMailer
・Sentinel
上で挙げたもの以外にもいろいろあります。たとえばRubyなどはRuby on Railsのシェア率が高く、RubyのフレームワークといえばRuby on Railsという状況です。選択肢が少ないことはどのプロジェクトでも通用するスキルを身に付けやすく学習のコストパフォーマンスが良いですが、PHPのように選択肢が豊富なことも利便性にはつながります。
関連記事:PHPフレームワークとは?主要なフレームワークや学習方法も解説
コンパイルが不要でスピーディーに作業を進められる
PHPはスクリプト言語なのでコンパイルが不要です。テキストベースで記述したプログラムをそのまま実行できるということです。厳密に言えば事前に変換せずに実行時に機械語に翻訳しています。コンパイルとは、人間が書いたプログラムをコンピューターが実行できる形式に変換する作業を指します。スクリプト言語に対して、コンパイラ言語は事前にコンパイルを行います。
さまざまなOS・Webサーバーで実行可能
PHPは特定のOS、Webサーバーに依存しません。概ね同じコードでどのOS、Webサーバーにも対応できます。これは開発の利便性が高いというメリットにつながりますが、同時にコードの連携や互換性という観点でもメリットになります。この点も多くのプロジェクトでPHPが選ばれている理由の1つでしょう。
エンジニアの需要が高く転職に有利
PHPはエンジニアの需要が高く、転職に有利になる可能性があります。プログラミングと一口にいっても、人気が高い言語もあれば、需要が少ない言語もあります。プログラミング技術を身につけて、転職を検討されているのであれば、人気の高い言語を習得するのがおすすめです。
PHPを学習するデメリット
このように、PHPは学習するメリットの多いプログラミング言語ですが、デメリットも存在しています。デメリットについてもしっかりと把握して、自分に向いているプログラミング言語かどうかを見極めてください。
WEB系以外では基本的に使われない
PHPはWEBサービスの開発には幅広く利用できますが、それ以外で使われることは基本的にありません。スマホアプリなど他にもさまざまな開発に挑戦したい人には物足りなく感じてしまうかもしれません。
これから新しいプログラミング言語に挑戦するのであれば、「プログラミングを覚えて何をしたいのか」を明確にすることが大切です。また転職の際には、自分が興味のある分野でPHPが使われているのかをチェックしておきましょう。PHPが使われる業界については次章で詳しく解説していきます。
自由度が高い故に記述がばらつきやすい
PHPは自由度が高く、比較的簡単に習得できるといわれています。しかし一方で、その自由度の高さがデメリットとなることもあります。
PHPでは同じ処理であってもさまざまな記述方法が可能です。それゆえに、妙に読みづらいプログラムになってしまうこともあります。それはバグの原因になったり、保守作業を困難にしたりするものです。
そのため、多くの開発現場ではプログラミングのルールを明確にしています。ルールは開発現場ごとに異なるため、プロジェクト参加当初は戸惑ってしまうこともあるでしょう。これは自由度の高いPHPならではのデメリットといえます。
セキュリティにやや不安がある
PHPはセキュリティにやや不安がある言語とされています。その理由は、自由度の高さとも関係しています。自由度が高いためルーズな記述でもシステムとして成立し、結果的にセキュリティ上の穴が生まれるためです。
逆にいえば言語仕様上システムが成立するかどうかではなく、セキュリティ上の観点でコードをチェックすれば問題を防げるということです。
実行速度が遅い
PHPは事前にコンパイルを行わずに、処理実行時にプログラムを1行ずつコンピュータが処理できる形式に変換して実行します。そのためコードを実行した際にコンピュータがやらなければならないことが多く、実行速度が遅くなります。
PHPのフレームワーク
PHPにはいろいろなフレームワークがあります。実際の開発現場で使用されているフレームワークもそれぞれなので、事前に求人を確認しておいた方が良いでしょう。その現場で使用しているフレームワークに慣れておいた方が重宝されるということです。ではどのようなフレームワークがあるのか、主要なものを紹介します。
Laravel
Laravelは2011年に誕生したPHPフレームワークで、最近ではPHPエンジニアの中で急速に人気が高まっています。GitHubでは、PHPフレームワークの中でも最高評価を獲得しており、「美しいコードを愛する」という理念を掲げていることが評価されています。Laravelは、初心者でも美しいコードを書くことができるため、手軽に開発を始められます。
また、Laravelは日本語のドキュメントが充実しており、多くのサポーターによって開発されたライブラリが利用可能です。たとえば、YouTubeとの連携が可能なライブラリや、簡単に管理者ページを作成できるライブラリなどがあります。Laravelは、わかりやすさや使いやすさが特長であり、多くの開発者にとって魅力的なフレームワークとなっています。
CakePHP
CakePHPは、2005年にオープンソースで開発が始まったPHPフレームワークで、PHPでの開発を簡単に行えるフレームワークを目指しています。CakePHPは、Ruby on Railsの影響を強く受けており、Webアプリケーションを迅速に開発できます。
CakePHPの特徴は、MVCアーキテクチャを採用していることや、bakeコマンドを用いたプログラム自動生成機能があること、そして日本語に翻訳された優れたドキュメントが豊富にあることなどが挙げられます。
また、現在でもフリーランス求人や案件数が最も多く、PHPエンジニアの間でも人気の高いフレームワークです。
Symfony
Symfonyは、PHP5用のMITライセンスに基づくオープンソースのフレームワークで、2005年に初めてリリースされました。Symfonyには、機能テストやデバッグのためのツール類が標準装備されているため、開発者にとって非常に便利です。また、毎年2回リリースアップされ、サポートについても明確なルールを持っているため、安定性が高く、保守性が重視されています。
Symfonyは、CakePHPと同様にRuby on Railsの影響を受けており、保守性と安定性を重視した構造になっています。しかし、2023年現在、LaravelやCakePHPと比較すると、Symfonyを利用する開発エンジニアの数は少ないです。
CodeIgniter
CodeIgniterは、2006年に初めてリリースされたオープンソースのPHPフレームワークです。CodeIgniterの最大の特徴は、制約が緩く自由度が高いことです。これは、開発者がより柔軟にコーディング規約を適用できることを意味しています。MVCモデルを採用しており、簡単で軽量なWebアプリケーション開発に適しています。CodeIgniterは、LaravelやSymfonyなどのより人気のあるフレームワークに比べると、開発エンジニアの数は少ないですが、軽量で簡単な構文を持つことから、小規模なWeb開発に適しているとされています。
Laminas
LaminasはZendFrameworkの後継のフレームワークです。ZendFrameworkは拡張性の高さが魅力で、コードも管理しやすいという特徴のあるフレームワークでした。これらの特徴から、ZendFrameworkはMicrosoftやIBMやGoogleと技術パートナーになった実績があります。
しかしZendFrameworkは2019年にサポートが終了したので、これから使用するならサポートが継続している後継のLaminasがおすすめです。Laminasは基本的にはZendFrameworkと同じ仕様になっていますが、一部機能が追加されています。
PHPで開発されたサービス
PHPを使って開発されたサービスの具体例についてご紹介していきます。自分の作りたいサービスやアプリケーションがあれば、それに近い機能を持つサービスが採用しているフレームワークなどを参考にすると良いでしょう。
ワードプレス
上でも触れた通りWordPressは、PHPを使って開発されたコンテンツマネジメントシステム(CMS)で、Webサイトやブログの運営に広く利用されています。WordPressを利用することで、プログラミング言語の知識がなくても簡単にWebサイトやブログを作成できます。
CAMPFIRE
CAMPFIREは、クラウドファンディングサービスを提供するWebサイトで、PHPを使って開発されました。CAMPFIREは、日本最大級のクラウドファンディングサイトで、さまざまなプロジェクトを探したり、支援したりできます。WebコンテンツはPHPで作成されており、検索機能を備えています。現在は、一部がRuby on Railsに切り替わっています。
ココナラ
「ココナラ」とは、PHPを使って開発された、スキルを活かして仕事を探せるクラウドソーシングサイトです。日本最大級のクラウドソーシングサイトで、プログラミングやWebデザイン、営業代行など様々なジャンルの案件が掲載されています。
CakePHPというPHPのフレームワークが使われており、検索機能や動的なWebページの表示が可能で、優れたデザイン性を持つWebサイトとなっています。
一休.com
「一休.com」は、PHPを使って開発された旅行予約サイトです。1000万人以上のユーザー数を誇り、1200カ所以上のホテルや旅館を取り扱っています。
一休.comでは、PHPを使った高度な検索機能が実装されており、ユーザーが希望する条件に沿って、予約可能な旅館やプランを簡単に検索が可能です。ユーザーが使いやすく、高速かつ正確な検索結果を提供するWebサイトとなっています。
Retty
「Retty」は、飲食店の口コミ情報を基に、ユーザーが行きたいお店を検索することができるWebサイトで、PHPを使って開発されています。Rettyでは、ユーザーが投稿した口コミの情報を元に、料理や店内の雰囲気、価格帯などの検索項目での絞り込み検索が可能です。
検索結果は、Google Mapsを利用して地図上に表示され、直感的な操作でお店の場所や周辺の情報を確認できます。また、ユーザーが選んだお店の予約もRetty上で可能であり、シームレスな予約体験を提供しています。
PHPが使われる分野・業界
PHPがよく使われる分野・業界を紹介していきます。下記の分野や業界への転職に興味があるのであれば、PHPはおすすめのプログラミング言語です。PHPはWeb開発での使用が中心ですが、一部Web以外のシステム開発に用いられる場合があります。
ECサイト構築
ECサイトの構築で多く用いられます。最近では、各種メーカーや小売店でもECサイトを持っていることが多く、ECサイトを構築・管理できるエンジニアは需要があります。
なお、PHPでECサイトを構築する場合、ECサイト構築に特化したフレームワークを使うのが効率的です。フレームワークとは、会員登録など、必要な機能を簡単に使えるセットのようなものです。ECサイト構築に興味がある方は、LaravelやStripeといったフレームワークについてもチェックしてみてください。
WEBアプリ開発
ネットワーク経由で各種サービスを提供するWEBアプリの開発でもPHPは利用されます。世界的に有名なWEBアプリも多数あり、皆さんが何気なく使っているサービスのなかにもPHPで作られているものは多いでしょう。
WEBアプリの開発現場ではPHPに加え、RubyやPythonといった言語もよく利用されます。WEB系企業への転職を目指す場合、それらの言語についても学んでおくと、エンジニアとしての価値が高まり有利です。
社内システム構築
WEBサービスの構築がメインと思われがちなPHPですが、社内システム開発に用いられることもあります。
例えば「WEBブラウザ経由による会議室予約システム」などはPHPでの開発が便利です。PHPならではの「比較的簡単に開発ができる」「DBとの連携が容易」というメリットが、シンプルなシステム構築に適しているからです。
また、ブラウザ経由のシステムはユーザーにとって使いやすいメリットもあり、社内SEなどでもPHPエンジニアの需要は高いといえます。
HPの構築
企業のWEBサイトから個人のブログまで、多くのWEBサイト構築で用いられているWordPressでもPHPが利用されています。WordPressは、世界のWEBサイトで4割以上のシェアを誇る人気のCMSです。
なお、HP構築の道に進みたい場合、HTML・JavaScript・CSSに関する知識も身につけておくと役立ちます。
PHPの将来性
PHPはさまざまな用途に使われている言語です。そのため、今後も安定的に仕事が発生し、エンジニアの需要も続くと考えられます。転職活動のために何かプログラミング言語を習得したい方にとっては、おすすめの言語といえます。
ただし、すべてのプログラミング言語に言えることですが、プログラム言語には流行り廃りがあるものです。ですから、PHPが使えればエンジニアとして一生安泰とは言い切れません。
将来性を考えるのであれば、PHPと相性の良いDBであるMySQLやPostgreSQLなど、関連する知識も身につけましょう。なお、DBはITに関連するすべての企業で必要といっても過言ではないため、習得しておくと転職がより有利になるはずです。
なお、前半でもご紹介した通り、1つの言語を覚えると、プログラミングはもちろん、IT全般に関する知識が深まるものです。次のプログラミング言語を覚えるのも容易になるため、まずは文法がシンプルで比較的覚えやすいPHPにチャレンジするのはおすすめです。
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PHPおすすめの学習方法
PHPの学習方法は基本的にほかのプログラミング言語と同じです。実際に手を動かして書いてみることが最重要で、インプットとしては書籍での独学やプログラミングスクールの利用といった方法があります。具体的にどういうステップで学習を進めるかは、その人の経験や勉強の得手不得手などによって変わってくるでしょう。
まずはPHPを使ってみる
まずはPHPを使ってみましょう。PHPはシンプルな言語のため、プログラミング経験があれば、ある程度理解できるはずです。書籍でも学習可能ですが、ネット上にも情報があふれています。ある程度さわってみると、「PHPで何をしたいか」という目標が具体的になり、より学習の意欲が高まるでしょう。
学習サイトを活用する
プログラミングの学習サイトは充実していて、中でもPHPは概ねどの学習サイトでも扱っているでしょう。PHPは人気があり、またWeb開発で主に使用されるプログラミング言語なので学習サイトとの相性も良いです。上で解説した通り環境構築もハードルが低い言語なので、学習サイトを利用して実際に手を動かすまでの労力も少なく済みます。
スクールの利用もおすすめ
短期間で体系的にPHPを学びたい場合にはプログラミングスクールの利用もおすすめです。スクールでは、PHP初心者がつまずきやすいポイントなども、プロの講師にしっかりとフォローしてもらえます。独学に比べて金銭的負担は大きいですが、逆にそれが学習のモチベーションにつながり、挫折しにくくなるはずです。
カリキュラムに沿って学習することで短期間でスキルが身につくため、すぐに転職活動をはじめたい方にも適しています。
スクール選びで迷った場合、PHP技術者認定機構の認定スクールがおすすめです。PHP技術者認定機構はPHP技術者の育成や技術向上を目的とした団体で、認定されたスクールは一定の要件を満たしているということだからです。
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PHPに関するよくある質問
PHPに関するよくある質問と回答を紹介します。PHPは利便性が高く人気のあるプログラミング言語ですが、ほかの言語同様に万能ではありません。そのためまずはPHPについて知り、自分が優先的に習得すべきかどうかを判断する必要があるでしょう。
Q1.HTMLとPHPの違いは何ですか?
HTMLはWebページの表面を直感的に記述する言語で、マークアップ言語と呼ばれます。データを処理する機能はなく、実際に出力されたページとHTMLの関係性がわかりやすいという特徴があります。一方で、PHPはサーバーサイドの処理を行うプログラミング言語です。PHPは裏側のデータに処理を加えたり、HTMLを記述して表示する処理などが可能です。
Q2.PHPはどんな時に使うのですか?
PHPはWebの動的コンテンツを作る時に使われることが多いです。動的コンテンツは、アクセスする時間、ユーザーなどによってコンテンツを変化させることです。PHPはユーザーからの入力を受けてHTMLを生成できるので、このような動的コンテンツの作成が可能になります。またPHPのファイルを作成せずに、HTMLの中にPHPを埋め込むことも可能です。ただし可読性や保守性が落ちるので、HTMLとはファイルを分けるのが基本です。
Q3.PHPでは何ができるのですか?
PHPでは、以下のようなシステム開発ができます。
-
・Webサイト・ECサイト
・CMS
・広告配信システム
・SNSサービス
・上記システムに取り付ける機能
Web上で動くサービスに幅広く対応できるのがPHPの特徴です。
まとめ
PHPはWeb開発では欠かせないプログラミング言語です。利便性、汎用性の高さや言語仕様の分かりやすさなどから初めてのプログラミング言語として選ばれる場合も多いです。もしくは、フロントエンドの言語の後に最初のサーバーサイド言語としてPHPを選択するケースは多いでしょう。
データベースとの連携にも優れているのでデータベーススキルを身に付けやすく、その点もPHPのメリットです。欠点としては言語仕様上セキュリティに穴のあるようなコードでもシステムとして成立するので、セキュリティ担保は自身で行う必要があります。
セキュリティの重要性は年々増しているので、そもそも言語仕様に頼らず自身で管理することは重要です。別の言語でも言語仕様に任せるだけだと結局セキュリティ事故にはつながります。PHPのスキルを身に付けつつ、データベースやセキュリティについても学んでいくのがおすすめです。
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