Pythonとは?
Pythonはプログラミング言語の1つであり、Webアプリ開発や機械学習、データ分析など幅広いプロジェクトで使われています。これからPythonを習得しようと考えるエンジニアやエンジニア志望者は多いでしょう。
Pythonは、シンプルでコードの可読性を重視して作られていることが特徴の一つです。また、開発において基本となる機能のみを提供しています。基本機能以外の専門的機能はライブラリとして提供されており、必要な場合のみインストールして活用することが可能です。
スクリプト言語であり、動作の確認を行いながら開発のできるメリットもあります。インターネット上で入手できる情報も多く、学習のためのコンテンツも充実しているため、学習しやすい言語といえます。
Pythonの歴史
Pythonは1991年にオランダ人のグイド・ヴァンロッサム氏によって開発されました。そして1994年にPython 1.0がリリースされています。2000年にPython 2.0がリリースされ、特に科学技術の分野で使用されることが増えていきました。現在主流のPython3シリーズが公開されたのは2008年です。
Pythonは登場から常に人気だったわけではなく、注目が集まり出したのは近年です。プログラミング言語の人気ランキングを掲載するTIOBE indexを参照すると、2018年ごろまでは言語全体の内、4番目、5番目の人気を行き来しています。その後、人気が右肩上がりとなり、2024年9月時点では1位の人気言語となっています。
Pythonの特徴
Pythonはエンジニアや企業に多く支持され、人気が高まったプログラミング言語です。その人気の理由となるPythonの特徴を紹介します。
プログラミング言語は数が多いです。言語の特徴を知ってから学習しないと、途中で挫折する恐れがあるでしょう。Pythonの特徴が自身の目的と合致しているか確認してから学習するかどうかご検討ください。
文法がシンプルで初心者でも学習しやすい
Pythonは文法が平易で理解しやすく、初心者の学習にも適した言語といえます。
ポインタなどの難しい概念はなく、コンピュータの内部的動作を理解していなくても記述することが可能です。提供されているのは最低限の機能だけなので、覚えることも多くはありません。それでいて、ライブラリを使えば幅広い機能が使える、という点が大きな魅力です。
関連記事:Pythonは難しい?習得のコツやWebエンジニアへの転職法
ライブラリ・フレームワークが豊富
Pythonには機械学習やデータ分析で使えるライブラリが充実しています。ライブラリを使えば複雑な数値計算が素早く行え、グラフの作成もスムーズです。
また、Webアプリケーション開発に向けたフレームワークが多いことも注目される理由の1つです。基本機能がシンプルな分、ライブラリ・フレームワークが豊富で、初心者にも扱いやすく開発がしやすい言語といえるでしょう。
AIやデータ解析などのトレンド分野で広く使われている
Pythonは人工知能やデータ分析、Webアプリ開発など注目度の高い分野で多く使われています。これらの分野はさらに市場規模が広がっていき、エンジニアの需要も高まるでしょう。特に人工知能分野はPython以外に主流で使われている言語がR言語くらいしかなく、R言語の認知度はPythonほど高くないため、今後もPythonの一強状態が続くと予想されます。
ソースコードの可読性が高い
Pythonはソースの可読性が高く、Webアプリの改良などを素早く行うことに適しています。記述ルールが厳しいため、個人による違いが小さく、誰が書いてもほぼ同じコードになりやすいことも強みといえます。
たとえば、インデントを規定通りに揃えないとPythonではエラーが表示されます。また、オブジェクト指向で書くことも可能なためソースの簡略化を実現でき、再利用性が高いです。そのほか、三項演算子を使ってif文を1行で書けることや、リスト内包表記を使ってfor文を1行で書ける点も、可読性向上に貢献しています。
開発環境の構築が容易
Pythonを公式サイトからダウンロードしたら、後はインストーラーの指示に従えばインストールが完了します。また、ライブラリ群のインストールも、パッケージ管理などを提供するオープンソースディストリビューションであるAnacondaを使えば一括で行うことが可能です。開発環境の構築が容易なのは、参入ハードルを低くするうえで重要なポイントといえます。
無料で使用できる
Pythonの実行環境はオープンソースで開発されているものが多く、誰でも無料で利用することができます。企業や組織は開発言語としてPythonを選択することでコスト削減が可能です。また、参入にも障壁がなく、取り組み易いメリットがあります。
Pythonでできること
Pythonで開発できるアプリケーションの種類について解説します。
PythonといえばAI開発やデータサイエンスのイメージが強いかもしれませんが、言語仕様としては幅広い開発に対応しています。また単に対応しているだけでなく、実際のプロジェクトでも幅広い開発事例が存在しています。
以下では、どのような分野で使われているのか、具体例を紹介します。
Webサービス・Webアプリ開発
PythonはWebアプリの開発で広く使われています。PythonにはDjangoやFlaskなど豊富なフレームワークがあり、フレームワークの機能を活用すれば効率的なWebアプリ開発が可能です。
DjangoはWebアプリ開発に必要な機能を一通り揃えたフルスタックフレームワークであり、Flaskは最小限の機能のみをまとめたコンパクトなフレームワークです。Webアプリ開発ではユーザーの要望を元に、機能改善を素早く行う必要があるため、優秀なフレームワークが多く、かつソースの可読性も高いPythonは多くの企業で使われています。
AI開発
Pythonは機械学習やディープラーニングといった人工知能(AI)分野で特に高い支持を集めています。人工知能開発は注目度が高く、活用の進む分野であり、案件数も増えています。
Pythonが人工知能分野で使われる理由は、Scikit-learn、SciPyなどの機械学習ライブラリが充実していることにあります。また、科学技術計算の基礎パッケージNumPyもこの分野でよく利用されます。
ライブラリを使うことで、本来複雑なアルゴリズムを考えて実装しなくてはいけない部分も、初心者でも比較的簡単に実現することが可能です。
Webスクレイピング
PythonはWebスクレイピングでも多く使われています。Webスクレイピングとは、Webサイトから情報を抽出して利用しやすくまとめる技術です。Pythonが使われる理由は学習コストが低いことに加え、スクレイピングに使うライブラリも豊富に揃っているためです。
たとえば、Beautiful Soupライブラリを使えばHTMLから容易に必要なデータのみを取り出すことができます。OpenPyXLライブラリを使えば取得したデータをExcelにまとめることが可能です。
データ分析
データ分析とは大量のデータを抽出して分類し、有意義な情報を導き出すことです。データ分析をメインに行う仕事・技術者をデータサイエンティストと呼びます。近年「ビッグデータ」と呼ばれる不規則かつ膨大なデータを扱うことが不可欠となっており、データ分析も人工知能同様に今後大きな成長が見込まれる分野です。
たとえばSNSの書き込みや音声データから商品の口コミを抽出し、商品改善に役立たせることが可能です。機械学習ライブラリはデータ解析にも応用できるため、データ分析でもPythonは広く使われています。
ゲーム開発
Pythonはゲーム開発にも使われることがあります。
PythonにはPygameというゲーム開発用ライブラリがあるほか、2D開発に特化したCocos2d、3Dゲーム開発のためのPanda3Dなどのライブラリがあります。ゲーム開発では処理速度が求められるため、インタプリタ型言語であるPythonは向いてないと思われがちです。しかしPythonのライブラリはC言語など速度に優れた言語で作られているため、ライブラリを利用するなら処理速度は問題になりません。
ブロックチェーン開発
Pythonはブロックチェーン開発でも活用されています。ブロックチェーンは分散型の台帳技術であり、改ざんが困難で信頼性の高いデータの管理や取引ができる仕組みです。仮想通貨の基盤技術として、ビットコインなどでも使用されています。
Pythonを使ったブロックチェーン開発では、高い可読性と豊富なライブラリといった特長を活かし、ブロックチェーンを簡単に実装することができます。
事務作業の自動化
Pythonは事務作業の自動化にも用いられることがあります。ほかのプログラミング言語でも同じようなことは可能ですが、PythonにはExcelファイルの操作やWebブラウザ操作のためのライブラリがあるので、利便性が高いです。またPythonは処理速度はあまり早くありませんが、事務作業は処理がそこまで重くない場合が多いのでPythonの欠点が気にならないでしょう。
Pythonが苦手なこと
Pythonは汎用性が高い言語ですが、適していない用途も存在します。本項では、Pythonでは向いていないことについて解説します。
Pythonを学習するか検討する際には、向いていないことも把握しておく必要があります。「やりたい内容があるのに、Pythonでは実現できなかった」と学習したあとに気づくと、理想を実現するのに遠回りしてしまいます。
高速処理
Pythonは高速処理には向いていません。その理由の1つは、Pythonが動的型付け言語だからです。動的型付け言語は、実行時に変数の型を解釈するため、静的型付け言語と比較して処理が遅い傾向にあります。また、PythonはGIL(Global Interpreter Lock)という仕組みを持っており、同時に1つのスレッドしか処理を実行できないため、並行に処理を行って高速化することに向いていません。
ほかにもインタプリタ型の言語のため、プログラム実行時に機械語への翻訳を行うことから処理速度はコンパイル言語よりも遅くなります。
フロントエンド開発
PythonはWebアプリ開発におけるサーバ側の処理を行う上では役立ちますが、ブラウザ側で使われることはほとんどありません。
ブラウザ側では主にJavaScript、TypeScriptが使われています。ブラウザにはJavaScriptのエンジンしか組み込まれていないため、Pythonはブラウザ上では動作しないのです。なお、TypeScriptはJavaScriptと互換性があるためブラウザ上でも動作します。
スマホアプリ開発
スマホアプリ開発でもPythonはあまり使われません。iOS用にはSwift、Android用はJavaやKotlinといった言語が中心です。
KivyやFletなどのフレームワークを使えばPythonでもクロスプラットフォーム向けのアプリ開発は可能です。しかし、FlutterとDartの組み合わせやC#と.NET MAUIの組み合わせなど、KivyやFlet以上に向いている技術があるため、現場で採用される事例は少ないでしょう。
デスクトップアプリ開発
Pythonはデスクトップアプリ開発でもあまり多くは使われていません。Tkinterライブラリなどを使えばPythonでも可能ですが、デスクトップアプリ開発ではC#、Javaなどが主流です。
Webデザイン
WebデザインにPythonを使用することはほとんどないでしょう。Web開発でPythonを使用する場合も、フロントエンドではなくバックエンドの処理の実装に使うからです。フロントエンドのWebデザインは、HTML、CSS、JavaScriptなどを使用するのが一般的です。
Pythonの活用事例
汎用性の高い言語のため、さまざまな形でPythonで作成したアプリケーションが利用されています。
本項では、Pythonの具体的な活用事例について解説します。PythonはAI開発で頻繁に使用されていますが、以下では身近でイメージしやすいWebサービスでの事例を紹介します。Webシステムの中でもデータ分析などで使用される場合が多いです。
Amazon
Amazonは、通販サイトのシステム構築などにPythonを使用しています。Pythonの主な使用箇所は、顧客の購買履歴や検索履歴などを分析し、個々の顧客に対して最適な商品を推薦するリコメンドのシステムなどです。収集したデータを解析するデータサイエンスの処理を用いて顧客のニーズを分析し、購買意欲を高める役割をPythonが果たしています。
Instagramは、基本的にPythonとWebフレームワークDjangoで構築されAmazonのクラウド上で稼働しています。Pythonの主な活用場所は、Instagramで扱う大量のデータ処理や画像の自動認識のためのアルゴリズムの開発などです。たとえば、ユーザーが投稿した画像を分析して自動的に関連するハッシュタグを付ける機能や、画像や写真を加工するフィルター機能はPythonで書かれたアルゴリズムを使用しています。
Dropbox
Dropboxは、Pythonを活用したクラウドストレージサービスです。Dropbox社の提供するすべてのプログラムはPythonで構築することで、自動化や効率化に繋がっています。ファイルの同期、バックアップ、共有機能など、さまざまな機能を実装しているのがPythonです。また、ユーザーがファイルをダウンロードする際に速度を向上させるためにも、Pythonで最適化しています。
GoogleではPythonをログ解析、機械学習プロジェクトなどに使用しています。Googleでは初期の頃からデータ解析に力を入れており、機械学習プロジェクトの発足もAIが普及するよりも以前から取り組んでいました。そのため、Pythonも早い段階から使用されていたということです。
Spotify
Spotifyではデータ解析や機械学習にPythonを活用しています。これにより、ユーザーに最適な音楽を提供する仕組みです。またバックエンドでもPythonを使用しているので、幅広くPythonを使用しているということです。
Pythonの市場価値と将来性
Pythonはプログラミング言語としての人気が高く、需要のある言語です。また、言語への需要の存在からPythonを扱うエンジニアにも需要があります。データサイエンスやAI開発、Webなどの分野においては特に言語・エンジニアともに需要が高いといえるでしょう。こうした分野への転職を目指す方向けにPythonエンジニアの市場価値について解説します。
Pythonは言語ランキング1位
Pythonは近年、高い人気を誇る言語です。「TIOBE Index」という、プログラミング言語がどれだけ話題になっているかをランキング化した統計があります。これまではCやJavaが1位、2位を獲得していましたが、Pythonは2018年頃を境に徐々に人気を高め、2021年10月に初めて人気1位になりました。その後も人気を維持し、2024年9月時点でもPythonが1位となっています。このデータはPythonの注目度が非常に高いことを示すものです。
Pythonの求人数は高止まり
Pythonエンジニアは求人数も多い状況が続いています。
レバテックキャリアにて公開中の求人・転職情報のうち、プログラミング言語「Python」の条件に該当するものは2024年9月18日時点で5,852件でした。言語別で比較した場合には、Java、JavaScriptに次ぐ3位の求人数です。
Pythonの求人・転職情報>
また、レバテックの発表した【2024年更新】プログラミング言語別求人案件数ランキングのフリーランス案件数ランキングでは、Pythonは言語別で3位の順位となり、フリーランス向けにも求人が多数あることが分かります。
Pythonエンジニアの市場価値は高まりつつあるため、どのようなエンジニアもPythonスキルを習得しておくことは大きな武器になるといえます。
関連記事:Pythonエンジニアへの転職方法を解説!求人数や年収も紹介
高い将来性
PythonはAIやデータサイエンス領域に強く、これらの分野が今後も成長が見込まれていることから、高い将来性を持つプログラミング言語といえます。これらの分野でPyhtonが多く利用されている主な理由はライブラリが充実していることです。ライブラリの充実が開発者を集め、新たなライブラリが生まれるというサイクルがあることも言語の将来性を高める要因となっています。
総務省の令和5年度版情報通信白書における「市場概況」AIの動向では、2022年の日本国内のAI市場は約3,883億で、2027年には約1兆1,034億まで拡大すると予測されています。また、世界のAI市場に目を向ければ、2022年には前年比78.4%増の約96億ドル(18兆7,148億円)が見込まれ、その後も加速的に成長し、2030年には1,847億ドルの市場になると予測されています。Pythonの高い将来性を裏付けるデータの1つといえるでしょう。
関連記事:
Pythonエンジニアの年収が高い理由は?需要と将来性も解説
Pythonの将来性は?メリットやJava・Rubyとの比較も解説
Pythonエンジニアの年収事情
Pythonについての求人・転職情報からは、需要に加えてPythonエンジニアの収入も想定することが可能です。レバテックキャリアに2024年09月17日時点で掲載されている言語「Python」の求人・転職情報から30件を抽出し、年収の最大値と最小値の中間の平均を算出しました。これによると、Pythonエンジニアの平均年収は約834万円です。
特にデータサイエンスおよびAIに関わる求人・転職情報では、最大年収が1,000万円を超えるケースも多く、高い年収が望める職種といえます。
Pythonの求人・転職情報>
Pythonの学習方法
Pythonは書籍やインターネット上の情報が充実しており、初心者でも習得しやすいプログラミング言語です。とはいえ、学習ステップを理解していなければ、効率的に習得していくことはできません。どのような手順で学べば良いか知っていれば、遠回りせずスキルを身につけていけるでしょう。
本項では、Pythonエンジニアを目指すための効率的な学習方法について解説します。
学習の目的を定める
学習をはじめるにあたって、最初にPythonで何の開発を行うことを目標にするのか明確にしましょう。
PythonはWebアプリ開発、機械学習などさまざまな分野に活用できますが、それぞれ覚えるべき知識は異なるため、ゴールを先に決めることが大切です。たとえばAI開発やデータ解析の場合、Pythonの知識だけでなく線形代数などの数学の知識も必要になります。
オンライン学習サイトでPythonの文法を学ぶ
Pythonでの開発目的が定まったら、Pythonの文法を学びましょう。Progateやドットインストールなど、オンラインで受講できる学習サイトには基礎力を培えるような講座や問題が多く掲載されているため、習熟度を確かめることが可能です。
書籍で知識を深める
書籍を利用した学習では、学習サイトでは網羅しきれない詳細な知識を得ることが可能です。一冊を通してテーマに沿った内容を体系的に学ぶこともできます。書籍に掲載されているサンプルコードを書き写して、自分の開発環境で動かしてみるのも効果的な学習方法です。
入門者向け
『よくわかるPython入門』(富士通ラーニングメディア、富士通ラーニングメディア)
富士通ラーニングメディアが提供している、「Python入門」という研修コースをベースにした書籍です。実習を多く取り入れた作りになっており、基本的な構文やプログラムの実践例を手を動かして作成し、実行結果を確認しながら学べます。
『スッキリわかるPython入門 第2版 (スッキリわかる入門シリーズ)』(インプレス、国本 大悟、須藤 秋良)
Pythonの基礎を丁寧に解説しながら、楽しいストーリーと練習問題で学べます。また、プログラミングのコツやエラーの対策なども紹介されており、スムーズに学習を進めることが可能です。
プログラミング経験者向け
『シリコンバレー一流プログラマーが教える Pythonプロフェッショナル大全』(KADOKAWA、酒井 潤)
シリコンバレーのトップIT企業で活躍する著者による、Pythonの世界標準スキルを学べる書籍です。基礎から応用、そして一流のコードスタイルまで学べます。海外でも通用するプログラミング技術を身につけられ、エンジニアでの成功戦略や独学のコツも紹介されています。
データ分析を行いたい人向け
『Python 実践データ分析 100本ノック 第2版』(秀和システム、下山 輝昌、松田 雄馬、三木 孝行)
データ分析の現場でよく遭遇する「汚いデータ」に対処する方法を解説した入門書です。データ前処理から機械学習、最適化問題まで、100本ノック形式で実践的なスキルを身につけられます。ビジネス現場で即戦力となる応用力を身につけたい方におすすめです。
Pythonでスクレイピングを行ってみる
Pythonの文法知識が身についたら、簡単なツールの作成に挑戦してみます。たとえば、天気予報のサイトから自分が住んでいる都道府県の天気情報だけを抽出しExcelにまとめる、という課題を試してみましょう。スクレイピングツールの作成は3日程度で行えるうえに、ライブラリの知識などが身につくため、初心者には最適といえます。
PythonでWebアプリを作ってみる
慣れてきたら、掲示板や外部のAPIを利用したシステムなど、簡単なWebアプリを1人で作ることをおすすめします。1ヶ月以内など期間を区切って完成を目指しましょう。
Webアプリを作ることで、ログイン・会員登録の仕組みなどを勉強することが可能です。Webアプリを作成すれば、成果物やポートフォリオとして転職時に企業に提示できるメリットもあります。
Pythonライブラリ・フレームワークを学ぶ
Webアプリなどを作成する際には、転職したい分野に合わせてPythonライブラリ・フレームワークの勉強を行いましょう。
Webアプリ開発に携わりたいなら、Djangoを優先的に学ぶことをおすすめします。DjangoはWeb開発に必要な機能が一通り揃っており、実務でも多く使われている代表的なフレームワークだからです。
また、AI開発・データ解析に携わりたいなら、Scikit-learn・SciPy・NumPyなどのライブラリを習得する必要があります。
Python関連の資格取得を目指す
Pythonを扱うエンジニアの求人では、必須の応募条件に資格が含まれることはほぼありません。しかし、関連資格を取得することで、Pythonの実務経験がなくてもPythonのスキルを証明でき、転職において有利になります。また、資格取得のための学習をとおして、知識の定着を図れることも資格取得のメリットといえるでしょう。
関連記事:Pythonエンジニアに役立つ資格一覧!勉強法やメリットも解説
Python 3 エンジニア認定基礎試験
Python 3 エンジニア認定基礎試験は、Pythonの基礎的なスキルを認定する試験です。一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が主催しており、Pythonの基本的な文法を中心に出題されます。
初めてPythonに触れる方でも基本的な文法から学ぶことができるため、初心者に最適な試験といえます。試験を受けることで、Pythonの基礎スキルを身につけ、エンジニアとしてのスキルアップにつなげることができます。
Python 3 エンジニア認定実践試験
Python 3 エンジニア認定実践試験は、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会の主催する資格の一つです。Python 3 エンジニア認定基礎試験の上位の試験に位置付けられます。
試験では、Pythonを実践的に使っていく上で重要な仕様やライブラリの使い方が問われます。基礎の次のステップに進みたい方におすすめです。
Python 3 エンジニア認定データ分析試験
Python 3 エンジニア認定データ分析試験は、機械学習に不可欠な数学の基礎やライブラリの分析に関する知識を問う試験です。Python 3 エンジニア認定基礎試験と同様、一般社団法人Pythonエンジニア育成推進協会が主催しており、Pythonを活用してAIの機械学習システムを構築する際の応用力が問われます。
Pythonを日常的に扱っている方であれば、この試験に十分合格できるでしょう。
スクールや講座の利用
独学での習得で躓いた場合や短期に集中して学習したい場合には、プログラミングスクールなどの利用も有効な学習方法です。
スクールでの学習には、蓄積されたノウハウから作られた効率的な学習のためのカリキュラムや教材、問題が発生した場合に質問して解決を図れる講師やメンターなどの存在、学習の仲間がいることによるモチベーション維持などのメリットがあります。
一方で、コストがかかるため、コストをかけても学習したい場合におすすめの方法となります。
Pythonの代表的な基本文法
Pythonについて詳細を把握できたものの、「実際に学習するかまだ迷う」という人もいるでしょう。基本文法の一例を見れば、どうするか決断しやすくなるはずです。
ここでは、Pythonの代表的な基本文法を紹介します。ほかのプログラミング言語と基本概念は同じですが、Pythonは全体的に記述がシンプルです。
変数
変数は、データを格納するためにメモリを確保するものです。Pythonだけでなくほかのプログラミング言語でも同じですが、変数にデータを代入する記述は以下のようになります。
number = 4
numberという変数名は任意でつけたものです。ここに4という適当な値を格納しました。このサンプルでは、変数の型は指定しておらず、変数には数値、文字列、その他のオブジェクトなどが代入できます。Pythonでは、値を代入すると変数が定義されます。
データ型
データ型とは、データの種類のことです。Pythonのデータ型は以下のようになっています。
-
・int(整数型)
・float(浮動小数点型)
・str(文字列型)
・bool(ブール型)
・list(リスト型)
・tuple(タプル型)
・dict(辞書型)
これらの多くはPython以外のプログラミング言語でも馴染みのある型です。しかし、タプル型と辞書型が用いられることは少ないです。タプル型はリスト型と似ていますが、要素を追加、削除、変更できない定数という特徴があります。
辞書型はキーと値をペアで格納するデータ型です。同じようなデータ型の使い方はほかのプログラミング言語にもありますが、Pythonでは辞書型と呼びます。
制御構文
制御構文はプログラミングにおいてロジックを作るための基本なので、押さえておく必要があります。代表的な制御構文は以下です。
-
・if文(条件分岐/条件に応じた特定処理の実施)
・for文(繰り返し/一定の回数や範囲内での繰り返し処理の実施)
・while文(繰り返し/条件が満たされている間の繰り返し処理の実施)
ほかのプログラミング言語でも一般的に使用する制御構文です。for文とwhile文はどちらも繰り返しの制御構文ですが、繰り返し処理の内容によって使い分けるのが一般的です。繰り返し処理の自動化はプログラミングの大きな目的なので、繰り返し処理の制御構文は複数用意されています。
Pythonを扱う職種
Pythonではさまざまな種類のアプリケーション開発が可能です。本項では、Pythonエンジニアを開発対象別に職種を分けて紹介します。
Pythonを学習した後、どのような職種について活躍していきたいのかイメージするためにも、職種と業務内容について理解しておきましょう。また、就職後に「その職種が合わなかった」という場合にも、別の選択肢があると覚えておくと安心です。
関連記事:Pythonエンジニアの仕事内容!必要なスキル・学習方法も解説
Webエンジニア
Webエンジニアは、Webアプリケーションの開発に携わるエンジニア職種です。
Pythonは優れたWebフレームワークを持ち、SNSやWebサービスのサーバーサイド開発で利用されています。あらたなWebサービスなどのプロダクトの開発や、ユーザーに利便性を提供するべく継続的な機能追加、アプリケーションの改善を、Webエンジニアが担います。
AI(機械学習)エンジニア
AIエンジニアは、名前の通りAIや機械学習を用いたアプリケーション開発を行うエンジニア職種です。Pythonはこれらの分野でも優れたライブラリを持つため活用されています。
AIエンジニアはより詳細に分割すると下記の業務があり、担当する範囲は現場によって変わってきます。
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・AIが課題を解決するアルゴリズムの開発
・AIのアルゴリズムを組み込んだアプリケーションの開発
・AIに学習をさせるためのデータ収集や加工
データサイエンティスト
データサイエンティストは、データの解析により企業や組織の課題を解決する提案を行う職種です。Pythonはデータサイエンス分野でも第一の選択候補になるプログラミング言語のため、データサイエンティストにとって重要なスキルにあたります。
データサイエンスでは、データの収集・加工と可視化、データ解析結果を用いたビジネスに活かす提案、仮説に基づいた検証などを行うため、Pythonに加えて統計的な知識などが必要となります。
Pythonに関するよくある質問
Pythonに興味をもった方は、Pythonでできることやメリット・デメリットを知りたい場合が多いでしょう。Pythonについての概要を知り、学習のモチベーション維持に役立ててください。
以下では、Pythonに関するよくある質問と回答をまとめています。Pythonエンジニアを目指す参考としてください。
Q1. Pythonでは何ができますか?
Pythonでは、Webアプリケーション(サーバーサイド)やデータサイエンス、AIなどの分野での開発が可能です。反面、Webアプリケーションのクライアントサイドやスマホアプリ、デスクトップアプリ、高速な処理が求められるアプリには適していません。
Q2. Pythonのメリットは何ですか?
シンプルで覚えやすい文法、オブジェクト指向の採用、Webフレームワークの充実、データサイエンスやAI分野で使えるライブラリの充実などがPythonを利用する大きなメリットです。また、技術者が多く、比較的開発に関する情報などを集めやすい点もメリットといえます。
Q3. Pythonのデメリットは何ですか?
Pythonは動的型付けを採用しており、なおかつスクリプト言語のため実行速度が早くないというデメリットを持っています。その分、使用するライブラリをC言語やC++などの高速な言語で実現することでバランスを取っています。また、UIやフロントエンドの開発には適しません。
まとめ
Pythonは汎用的なスクリプト型のプログラミング言語です。Webアプリの開発などに利用されています。また、データサイエンスやAIの分野でも活用が盛んで、今後将来性の高い分野で重要視されている言語といえます。今後習得を検討している場合には、Pythonでなにを作りたいかを意識して学習すると良いでしょう。
2024年9月時点でも、Pythonを扱うエンジニアには多くの求人があり、将来的にも成長が見込まれる分野で利用されているため、Pyhonは言語としても将来性が高いと期待されています。
Pythonがこれらの分野で活躍できている理由には、フレームワークやライブラリの充実が大きな役割を果たしています。Pyhonエンジニアを目指す場合には、合わせてフレームワークやライブラリの活用方法についても学んでおきましょう。
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