アートディレクターの年収は?仕事内容や収入アップの方法も解説

最終更新日:2024年8月9日

アートディレクターとは、Webコンテンツや印刷媒体を含む広告・宣伝などにおいて、グラフィックデザインや映像・環境・空間デザインをまとめる職業です。端的にいうと各デザイナーへ指示を出し、プロジェクトの進捗管理をする監督的な立場ですが、アートディレクターを目指すために気になるのが年収です。今回はアートディレクターが気になる人に向けて、年収事情と仕事内容、キャリアパスを解説します。

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この記事のまとめ

  • レバテックキャリアの求人によるとアートディレクターの年収は約717万円であり、デザイナーの平均年収と比較して高めの傾向にある
  • アートディレクターはデザインスキルを前提として、マネジメント力やマーケティングスキル、分析力など高いビジネススキルが求められる
  • アートディレクターの年収を上げるには「上位職への転職」「専門職への転職」「フリーランス転向」などが挙げられる

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アートディレクターの年収を調べる前に知っておくべきこと

アートディレクターとは、広告や宣伝、Webサイトなどのビジュアル制作全体を監督する職業です。デザイナーのリーダーであり、デザインの目的や指標、進捗管理などを担当します。
アートディレクターの年収を紹介する前に、仕事内容やデザイナーとの責任区分の違いを明確にしておきましょう。

アートディレクターとは

アートディレクターとは、ポスターや広告、Webサイトなどのビジュアル制作の総合演出を手がける職業です。アートディレクターが参画するプロジェクトはコンテンツによってさまざまですが、複数のクリエイターが集まって進めます。
たとえばWebサイト制作では、UI/UXデザイナーがコンセプトやプロトタイプなど骨格を設計し、実装デザインをWebデザイナーが行います。印刷媒体での展開をする場合はグラフィックデザイナーが制作に関わり、テキストを組み込む場合はDTPデザイナーも参画することがあります。
これらのビジュアル制作すべてを管理・指揮するのがアートディレクターです。通常のディレクターとは異なり、アートディレクターはビジュアル・デザインに特化した存在といえます。

アートディレクターの仕事内容

アートディレクターの仕事は、大まかに分けると以下3つです。

  • ・クライアントへのヒアリング

    ・制作企画、デザインの方向性を決定する

    ・ディレクションを行いプロジェクトの品質管理をする

このうちプロジェクト進行中のディレクションに時間がかかるため、デザイン制作に直接携わることは少ないです。ただし品質管理を行う以上、デザインの基礎力や専用ツールへの理解が求められます。

関連記事:アートディレクターになるには?仕事内容や必要な資格について解説

アートディレクターとデザイナーの違い

アートディレクターとデザイナーの違いは「指揮をとる人と実務を行う人」です。アートディレクターは総合演出を行い、クライアントとデザイナーの橋渡しをします。デザイナーはデザイン設計という実働面を担うため、クライアントとのやり取りを行わないこともあるでしょう。
アートディレクターは社内外とのやり取りが頻繁にあるために、デザイン知識の理解だけでなくコミュニケーション能力や交渉力、提案力といったビジネススキルも必要です。

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アートディレクターの平均年収

レバテックキャリアの求人によると、アートディレクターの平均年収は約717万円です。アートディレクターの行うディレクションはプロジェクトの品質を大きく左右する責任のある業務であるため、クリエイティブ制作を行うデザイナーやプログラマーよりも高めの傾向にあります。
求人では最大年収が1,000万円を超えるものもあり、職場や経験、求められるスキルの専門性によって年収は変わります。
年収アップのためには、より好待遇な企業への転職やアートディレクターの上位職種であるプロデューサー職へのキャリアアップなどが有効だと考えられるでしょう。

アートディレクターの求人・転職情報>

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アートディレクターの求人例

【想定年収】
500~800万円
【仕事内容】
・ゲーム制作のグラフィック部門責任者
・コンセプトアート、ビジュアルコンセプト、メインビジュアルなどアート制作
・チームメンバーのマネジメント
【求められるスキル・経験】
・スマートフォンゲーム開発のデザイン面ディレクション経験
・オリジナルタイトルへの制作意欲がある人

【想定年収】
600~1,000万円
【仕事内容】
・自社サービスのコミュニケーションデザイン全般のディレクション
・既存事業のブランディング施策
・新規サービスの立ち上げ、企画など
【求められるスキル・経験】
・ブランドやサービスのクリエイティブディレクション経験
・BIの策定からVIまでの落とし込みを一貫して行った経験

【想定年収】
400~600万円
【仕事内容】
・映像ディレクション
・クリエイティブ部門のマネジメント
・デザインスタッフへの作成指示、全体の品質管理
【求められるスキル・経験】
・映像演出経験
・映像制作経験
・安定的なコミュニケーションがとれる人

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アートディレクターに必要なスキル

コンテンツのデザイン全体を見通す仕事であるアートディレクターは、異業種からの転職だとしても「デザインスキル・基礎知識」は求められます。またクライアントやユーザーの声も必要となるディレクションでは、徹底したヒアリングを行える「コミュニケーションスキル」も大切です。
ディレクションの要となる「マネジメントスキル」も求められるため、これらの必要スキルを以下で解説します。

デザインに関するスキル

アートディレクターがデザイン制作に関わる機会は少ないものの、デザイナーに指示を出す以上はデザインスキル・知識を持っておく必要があります。
ビジュアル制作ではAdobe社の専用ツールなどを扱うことが多く、出力形式や仕組みなどを理解しないとディレクションはできません。
デザイン業務の実務経験があれば有効ですが、他業種でのディレクションしか経験がない場合は、資格取得や独学などである程度の知識・スキルを身につけておく必要があるでしょう。

コミュニケーションスキル

ディレクションとはチームメンバー一人ひとりとやり取りし、クライアントの目的にあわせてプロジェクトが進行しているかを監督する仕事です。クライアント側と制作側の橋渡し役にもなるため、コミュニケーションスキルは必須ともいえます。
また、業務中には思わぬトラブルが起こることも多々あります。その際に臨機黄変に対応できる交渉力や提案力があると、自分の強みにできるでしょう。

マネジメントスキル

どの部門がどの程度進んでいて、進捗率はどのくらいなのか。こうしたプロジェクトの進行具合を管理するのが、アートディレクターの業務のメインです。全体を監督するには、高いマネジメントスキルが求められます。
メンバーをまとめる立場として、リーダーシップを発揮しうまく運営を行うためにはメンバーへの理解や効果的なコミュニケーション方法を知っておくと良いでしょう。日頃から意識しておきたいスキルです。

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アートディレクターになる方法

アートディレクターになるには、「異業種からの転職」「デザイナーなどからのキャリアアップ」の2パターンが考えられます。
未経験での転職は不可能ではありませんが、求人例にもあるようにデザインに関する知見や経験が求められる以上いきなり採用されるのは難しいといえそうです。

アートディレクターになるには、基本的にデザイナーなどのクリエイティブ制作を行うポジションから始めます。経験にあわせて業務範囲を広げ、スキルを習得しながらステップアップしていく方法が一般的です。
また、ディレクションの実務経験がありグラフィック制作に興味がある人は、異業種からの転職も可能性として考えられます。企業の求めるデザイン分野の幅広い知識が必要になりますが、ディレクターの経験を活かして転職するのも一つの手段です。

異業種からの転職は資格取得も検討しよう

デザイン業界の経験がない場合、専門的な知識を身につけておく必要があります。経験者の場合ポートフォリオなどで制作物を提示できますが、実務経験がないとどの程度学んでいるのか数値化できず、アピールするのが難しいです。
このとき活用できるのが資格です。資格は専門的な知識を持っている分かりやすい指標になるため、不安な場合は受験の検討をすると良いでしょう。
履歴書にも記載できるデザイン制作に関連した資格を紹介します。

関連記事:アートディレクターになるには?仕事内容や必要な資格について解説

Illustrator®️クリエイター能力認定試験

Illustrator®クリエイター能力認定試験は、AdobeのIllustrator®を取り扱うスキル・知識を認定します。
Illustrator®はロゴ制作やテキスト、タイポグラフィー制作で使うことが多く、多くのデザイン現場で扱われるツールです。
試験では操作スキルと実際のクライアントから出される課題に対しての問題解決力などが問われ、検定試験を通して実践的な能力を身につけられます。

Photoshop®️クリエイター能力認定試験

Photoshop®クリエイター能力認定試験は、AdobeのPhotoshop®の実践的なスキル・知識を認定する資格です。
Photoshop®は画像編集・加工を得意とするツールであり、Illustrator®とセットで習得することが多いでしょう。Photoshop®への理解があるという提示のために、受験を検討することをおすすめします。

アドビ認定エキスパート

アドビ認定プロフェッショナルとは、Adobe製品の利用スキルを証明する資格です。Adobeが公認する国際認定資格であり、先ほどの「Illustrator®」「Photoshop®」が含まれる「Adobe Creative Cloud」を活用するスキルが認定されます。
デザイナーも受験することの多い資格であるため、Illustrator®とPhotoshop®の複合的なスキルの提示として活用できます。

DTPエキスパート認証試験

DTPエキスパート認証試験とは、印刷物の目的と役割を理解し、最適な環境で制作する人材を育成するための資格です。主にグラフィックデザインを取り扱う場合、有効な資格といえます。
試験では「DTP」「色」「印刷技術」「情報システム」「コミュニケーションと印刷ビジネス」の5カテゴリから出題され、印刷媒体におけるデザイン全般、マーケットの理解などビジネス全般の基礎知識が身につきます。

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アートディレクターの将来性

アートディレクターが活動する宣伝・広告の業界は、成長の一途をたどっているとされています。特にインターネット広告市場の成長はめざましく、CCI/電通/電通デジタル/セプテーニの共同調査によると2023年のインターネット広告媒体費は過去最大を記録し、2024年も増加傾向と予測しています。
広告媒体によって市場規模の差はありますが、拡大傾向にある業界においてアートディレクターの仕事は安定しており、将来性は高いといえるでしょう。
長く仕事を続けるには、日々変化の大きい消費者ニーズをいち早く掴み、柔軟に対応できるアートディレクターになることが大切です。

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アートディレクターが年収を上げる方法

アートディレクターはプロジェクトの上流工程を担当する仕事であり、キャリアパスも多い職業です。また、ディレクションなどチームメンバーを管理する職種は、専門性を高めたり独立したりすることで年収アップが狙えるでしょう。
以下では、アートディレクターが年収を上げる方法として「上位職種への転職」「専門分野に特化した職業への転向」「フリーランスとして独立する」の3つを解説します。

上位職へ転職する

アートディレクターの上位職とは、「クリエイティブディレクター」や「アートプロデューサー」です。この二つの職業は、アートディレクターとは監修する対象の広さや責任区分に違いがあります。
ディレクターとして経験を積むと、この上位職への転職も視野に入れることができます。二つの職業について、詳しくチェックしていきましょう。

クリエイティブディレクター

クリエイティブディレクターとは、広告戦略からプロジェクト進行まで全体的な監修を行うポジションです。アートディレクターはクリエイティブディレクターが決定したグラフィック部門を主に担当するのに対し、クリエイティブディレクターはより広範囲の監修を担当する役割といえます。
クリエイティブディレクターは常にクライアントの課題を解決する視点を持ち、よりマーケティングスキルが求められるでしょう。広告制作において重要な役割であり、アートディレクターの経験が生かせる職業です。

アートプロデューサー

アートディレクターを総括するのが、アートプロデューサーです。ディレクターは現場の総監督を行うポジションですが、プロデューサーになると事業そのものを総合的に監督します。
全体の責任を担うアートプロデューサーは、ビジュアル制作のスキルや知見はもちろん、デザイン設計によって計画できる人員やコンセプト設計など、経営者の視点も求められます。上流工程のみを担当するために、リーダーシップや戦略立案はアートディレクターよりも高く求められるでしょう。

専門分野に特化する

アートディレクターのポジションを活かしながら年収を上げることもできます。求人を見ても最低年収と最高年収に差がありますが、これは求められる知識の専門性の高さによって年収が上がると予想できるでしょう。
そのため、より好待遇な企業に転職する、専門性の高いディレクター職を狙うのも一つの手段です。
アート面での経験を活かす他のディレクター職には「ブランディングディレクター」が挙げられます。ブランディングディレクターの特徴を押さえておきましょう。

ブランディングディレクター

ブランディングディレクターは、ブランドの価値を高めるブランディング戦略を立案し、その実行においてチームを監督する役割を担います。
対象とするのは企業ブランドだけでなく、商品やゲーム、サービスなどのブランドも含まれます。
さまざまなプロダクトが多数登場する現在の市場では、類似プロダクトとの差別化にブランディングが活用されます。企業が注目する職種だからこそ需要が高く、専門性は高い職業ですが狙う価値があるといえるでしょう。

フリーランスになる

フリーランスとは企業に所属せず、個人でクライアントと契約し報酬を得る働き方を指します。
企業に所属する場合は安定的に仕事が請けられる一方で、プロジェクトの掛け持ちや決められた以上の仕事量を引き受けることができません。年収にも上限が設けられていますが、フリーランスは複数案件の掛け持ちもでき、個人の裁量で仕事ができます。
フリーランスの中には年収1,000万円を超えるアートディレクターもいるため、会社員よりも年収が上がる可能性もあるでしょう。ただし自分で契約先を見つけてこないと仕事がなく、通常業務以外の営業や経理も自分で行うことから、安定した働き方ではない点に注意が必要です。

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アートディレクターに関連するよくある質問

アートディレクターが気になる人の中には「具体的な仕事内容が知りたい」という声も聞かれます。また、責任の大きいポジションであるため「向いている人は?」「経験年数は?」なども気になるポイントです。
以下では、アートディレクターに関連するよくある質問に回答します。

Q1. アートディレクターとは何ですか?

アートディレクターとは、主に広告・宣伝などのプロジェクトにおいて、ビジュアル制作やアート制作全体を監督する仕事です。デザイナーなどのクリエイティブ制作を総合指揮する立場であり、アート面の専門スキルや知識が求められます。

Q2. アートディレクターに向いている人は?

アートディレクターは直接デザインに携わることは少なく、立場的にクライアントとのやり取りからメンバー一人ひとりの管理まで、社内外との交流が必須となる職業です。
そのため、「アート(ビジュアル制作やデザインなど)の知識や知見が豊富な人」「広い視野を持って全体を見通せる人」「自分の意見を正しく発信するだけでなく、問題点や懸念点を洗い出せるコミュニケーション能力に長けた人」が向いているといえます。

Q3. アートディレクターは何年目からなれる?

アートディレクターになるための経験年数は一概にはいえませんが、およそ7~10年といわれています。
デザイナーからキャリアステップする場合は、まずデザイナーのリーダーである「チーフデザイナー」を経てディレクター職を目指すのが一般的です。
アートディレクターは案件そのものの運営にも関わるため、デザインスキル以上に戦略立案や市場攻略などの経営的目線・マーケティング知識も必要になります。アートディレクターを目指すなら、まずは案件を多数こなして経験を積むことが大切です。

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まとめ

アートディレクターはプロジェクト内のビジュアル制作をまとめる、監督の立場です。ビジュアル面が重要視される広告・宣伝媒体では欠かせない存在であり、プロジェクトの品質も大きく左右するポジションといえます。
そのため年収はデザイナーよりも高めの傾向にあり、デザインスキル以外にも高いビジネススキルや知識が求められます。今の仕事よりも年収を上げたい人やより広範囲を受け持つ仕事を目指したい人は、本記事を参考にアートディレクターの道を選んでみてください。

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この記事の監修

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