- 未経験からUXデザイナーへの転職は可能?
- UXデザイナーとは
- UXデザイナーの仕事内容
- UXデザイナーに求められるスキル・知識
- UXデザイナーの需要と将来性
- UXデザインの学習方法
- UXデザイナーの平均年収
- UXデザイナーに関するよくある質問
- まとめ
未経験からUXデザイナーへの転職は可能?
実務経験のない人がUXデザイナーになるのは難しいです。UXデザイナーの求人には新卒採用もありますが、専門学校を修了した程度のスキルと知識を保有していることが前提です。
まったくのUXデザイン未経験者の場合は、特定の業種を経験しているかどうかによるところが大きいでしょう。まずはUXデザイナーとはどのような職業なのか、UXの概念や現在のUXデザインに求められるものを知っておかなければなりません。その上で、今のキャリアを活かせる転職方法が選べると、未経験からでもUXデザイナーへの転身が可能です。
たとえば、Web業界での勤務経験やプロジェクトマネージャーとしての職務経験などがあると、未経験からでも目指しやすいです。
UXデザイナーとは
UXデザイナーとは、デザイン業の一種です。UXデザイナーを知るためには「UXとは何か」を把握しておく必要があるため、今注目の「UI/UX」の概念を押さえておきましょう。
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・UI…ユーザーインターフェースの略称、ユーザーとサービスを結ぶ接点でありユーザーに見える範囲のこと
・UX…ユーザーエクスペリエンスの略称、ユーザーがサービスを通じて得る体験や感情のこと
UXデザイナーは、UXをクライアントの要望にあわせてデザイン設計するポジションを指します。ユーザーがサービスを利用し体験することを顧客体験といいますが、これを最適化するデザイナーがUXデザイナーです。
UI/UXは、多数のプロダクトであふれる今、類似商品や他サービスとの優位性を高めるためにも注目される要素です。特にUXはプロダクトに付加できる個性の一つであり、今のユーザーニーズである「サービスを通じて特別なことやすばらしい体験がしたい」という声に答えられる手段となっています。
UXデザイナーが行なう業務では必ず「UI」を通ります。UIがなければ顧客とサービスが結びつかず、顧客体験も得られないからです。このためしばしばUXデザイナーではなく「UI/UXデザイナー」のように並列して呼称されたり、UIデザイナーとUXデザイナーの業務を兼任したりします。
関連記事:Webデザイナーとは?仕事内容や他職種との違い、未経験からの目指し方も紹介
UXデザイナーの仕事内容
UXデザイナーはデザイン制作以外にもプロダクトの序盤から大きく関わります。商品の戦略やユーザーニーズの分析などから始まる仕事内容は他デザイナーとは異なる点であるため、UXデザイナーを理解するためにも押さえておきましょう。特に、UIデザイナーとUXデザイナーで迷っている方は業務内容を確認しておくべきといえます。
戦略・要件の設定
UXデザイナーが設計する顧客体験を優れたものにするには、まずユーザー理解から始めます。具体的に「誰のために・どのような目的で・どんな商品、サービスをつくるか」を理由とあわせて明確化し、デザインに関する設計に盛り込みます。
この業務ではデザインスキルではなく、市場理解やニーズ調査、分析力が問われるでしょう。コンサルティング能力やマーケティング能力も必要となるため、プロダクトに対してより十分な知識が求められます。
デザインに関する設計
設定した要件戦略をもとに、サービスや体験の流れを設計します。Webサイトであれば構造や視線導線を考慮し、情報設計を組み立てます。情報設計とは、情報をどのような方法・順序で提供するべきかを調整する工程です。WebサイトであればSEOの知識も必要となるため、デザイン知識以上のスキルも求められます。
デザインの作成
デザイン設計で大まかな設計図を作成したら、デザインの作成そのものに移ります。ここで制作されるのがユーザーの目に触れる表層部分であるUIです。
UIデザイナーとUXデザイナーがそれぞれ設定されているプロジェクトの場合、デザイン作成は別の担当者がつくこともあります。Webサイトであれば、Webサイトデザインに特化したWebデザイナーが受け持つでしょう。
ただし、そのデザイン設計はUXデザイナーに一任されています。UIのもたらす効果も知っておく必要があるため、UXデザイナーはUIデザインも担当できる人がほとんどです。
ユーザビリティの確認・テスト実施
プロダクトのデザイン実装を済ませたら、プロトタイプと呼ばれる完成間近の状態を作ります。すぐに公開するのではなく、ABテストなどでユーザビリティの確認を行います。
ユーザビリティとは「ユーザーにとっての使いやすさ」を意味し、ユーザビリティテストは実際にユーザーに使用してもらい、使用感や改善点を洗い出す作業です。改善点がいくつか出てくるため、最終公開までに修正を繰り返し、適切なUXになるよう調整します。
ユーザーの行動分析
プロダクトの最終チェックが終わると公開に進みます。デザイナーの多くは制作物を納品するとそこでプロジェクトを完了しますが、UXデザイナーの場合公開後のアフターフォローにも携わることがあります。
公開後のアクセス数やインプレッションをチェックし、データ分析を行いユーザーの動向を確認するのも業務範囲です。Webサイトやアプリなどのサービスは常にアップデートを行うため、UXデザイナーはその都度フォローをし続ける必要があります。
UXデザイナーに求められるスキル・知識
UXデザイナーに求められるスキルとは、「ユーザーの視点に立つ意識」「デザインスキル」「マーケティングやコミュニケーション能力などのビジネススキル」「ツールへの理解」などがあげられます。
デザイナー業の中でも業務範囲が広い特徴を持つため、今一度UXデザイナーに必要な要素を整理しておきましょう。
関連記事:Webデザイナーに必要なスキル・スキルマップとは
顧客の視点で考えるスキル
UXデザインに限らずUIデザインでも、ユーザーファーストの考えが大切です。長く制作側に携わっていると、デザイン設計の中に顧客の視点が失われがちといわれます。
デザイナーにとって自分のアイデアやこだわりを持つことも大切ですが、顧客満足度を高めるためのUXに関わるUXデザイナーは、特に顧客の視点を重視しておきましょう。ユーザーが使いやすいと思うサービスは何か、ユーザーはどのような状況で利用するのかなど、顧客への理解が求められます。
デザインに関する知識・スキル
UIデザイナーがいる場合やデザイン業務は別部門が担当するプロジェクトも存在しますが、UX設計に携わる以上はデザインの知識は欠かせません。UXデザイナーは他デザイナーに要件を提示する立場でもあるため、デザイン構造や各デザイン要素がもたらす効果などを熟知しておきましょう。
また、デザイン力に自信がなくても、知識があればメンバー間のコミュニケーションがうまくいきます。デザイン知識とスキルは独学でも習得できるため、必ず身につけておきたいポイントです。
マーケティングの知識・スキル
マーケティングとは顧客ニーズを探るための市場調査、分析のことを指します。プロモーション方法やブランディングも含まれるため、この分野の知識とスキルは多岐にわたる点に注意が必要です。マーケティングの知識・スキルは自ら調べることで習得できる部分もあります。WebサービスではSEOの知識も求められるため、基本的なマーケティングの手法や関連知識は押さえておきましょう。
コミュニケーションスキル
UXデザイナーは他メンバーとのやり取りやクライアントとの打ち合わせ、ユーザー調査などで社内外の人とコミュニケーションをとる仕事です。デザイナーの中でも特に周囲とのやり取りが発生する場面が多く、コミュニケーションスキルは必須といえるでしょう。
コミュニケーションというと社交性をイメージしますが、多くの人と親しくなる必要はありません。自分の意見を周りに正しく発信し、周りの人の声を聞き入れられるビジネススキルこそが求められます。
各種ツールに関する知識
UIデザインではPhotoshop®やIllustrator®などのデザインツールを、ユーザー分析ではGoogleアナリティクスなどの分析ツールを扱います。UXデザイナーであればすべての機能を使いこなすまでのレベルは求められないものの、知識として扱い方に慣れておくことが推奨されるでしょう。
なぜなら、各種ツールの知識があればコミュニケーションが円滑にできるからです。コミュニケーションスキルに通じるものがあるため、UXデザイナーが使用するツールを洗い出し、実際に触れてみることをおすすめします。
行動心理学に関する知識
UXとはユーザーの得る体験を指しますが、このUXを想定し思い通りに設計するには人間行動心理を考える必要があります。必ずしもUXデザイナーに求められるスキルではありませんが、行動心理学の知識があれば自分の強みになる可能性が高いです。
優れたマーケターは、行動心理学に精通しているといいます。行動心理は文献も多く発表されているため、余裕があれば身につけたい要素です。
UXデザイナーの需要と将来性
UXデザイナーが注目される今、気になるのが業界的な需要と将来性です。ほかのIT関連業務とともに、デザイン業も全般的にAI技術の進化によって「なくなる」とも不安視されています。UXデザイナーも例外ではなく、将来性がないのではないかと心配する声があがっています。ここでは、実際のUXデザイナーの各業界の需要と、将来性についてまとめました。
UXデザイナーの将来性
UI/UXの概念は今現在重要性が再認識され、プロダクトの構成要素として定番化されつつあります。そのため、UXデザインは通常業務の中に組み込まれる可能性もあると考えられています。さらにUXデザイナーに限らず、デザイナーはAI技術に代替されるという声も少なくありません。
これらは実情としてUXデザイナーの仕事内容に影響しますが、この風潮が今すぐにUXデザイナーがなくなる原因にはならないといえるでしょう。デザイン業務の一部が自動化されても、UXはユーザーの体験を人が考え設計する必要があるからです。
プロダクトの数だけ異なるUXが必要になるため、UXデザインをAIで生成したり自動で制作したりするのは不可能といえます。そのため、UXデザイナーの将来性は高いと考えられるでしょう。
Web業界での需要
UXデザイナーは比較的新しい職業であり、求人数はほかのIT系職業と比べると少ない傾向にあります。求人のほとんどがWebサイトやアプリなどのWeb関連職種であり、Web業界では需要のあるポジションです。
そのため、UXデザイナーを目指す場合、Web業界での転職が現実的といえます。Webに関連するUIやUXの知識を身につけておくと、市場価値を高められるでしょう。
各種メーカーでの需要
Web業界の需要がほとんどであるUXデザイナーですが、電機メーカーなどでもUI/UXデザイナーの求人が見つかります。決して多い数ではありませんが、UI/UXの認知度が高まるにつれ需要も多くなると予想できるでしょう。
各種メーカーの求人の背景には、DXへの取り組みが考えられます。DX推進や新サービスを構築する際にUXデザイナーを募集することがあるため、市場理解が需要に応えるポイントになるでしょう。
UXデザインの学習方法
UXの意味を理解しても、デザインに組み込むのは難しいです。UXデザインを勉強する際には自分で構築することが有効な手段ですが、まず学ぶ方法とUXデザインの作り方をチェックしておきましょう。焦らず、一つひとつのステップをクリアしていくことがUXデザインを習得する近道です。
UXデザインの学習方法を紹介します。
基礎を身につける
まずはUX並びにUIデザインの基礎を知っておきましょう。UI/UXデザインは感覚的なものではなく、構造や要素、効果などが論理的にまとめられているものです。またUIに特化したデザインソフトもあるため、使い方を勉強するのもUI/UXデザインの基礎力向上につながります。
基礎を学ぶだけなら独学でも可能です。YouTubeなどの動画コンテンツやWeb上で公開されている講座を利用すると、自分のペースで基礎を学ぶことができます。GoogleのUX認定講座は無料で受講できるため、一度触れておくことをおすすめします。
実際にUXデザインを作る
UXデザイナーとして転職する場合、企業にスキルを証明するためのポートフォリオを提出します。ポートフォリオでは自己制作物を紹介できるため、UXデザインの実例がなければ実際に制作してみましょう。知識を学ぶことも大切ですが、デザインに触れることでも実践的なスキルが身につきます。
UXデザインを作るには、UXデザインの仕事内容にそって仮想の事例を作るのがおすすめです。たとえば既存の製品に新機能をつけたり、生活の中で思いついたアプリのUI/UX事例を制作したりしても構いません。Webに関連した制作物がほとんどになるため、オンラインポートフォリオサイトに投稿すると簡単にまとめられます。
Webサイトを作る
Web業界での需要が高いUXデザイナーになるには、Webサイト制作は取り組みやすく得るものも多い学習方法です。未経験の場合は架空のWebサイトを作成するよりも、学習工程の中で制作したUI/UXデザインをまとめるPRサイトにすると良いでしょう。
このとき、大切なのは「優れた美しいデザインのWebサイト」ではなく閲覧する採用担当者が「見やすく分かりやすいWebサイト」です。どんな制作物でも必ずユーザー視点に立ち、客観的な評価を反映させることを意識しましょう。
関連記事:Webデザイナーの勉強方法は?必要な時間数や独学の方法
UXデザイナーの平均年収
レバテックキャリアの求人から算出すると、UXデザイナーの年収平均は約600万円です。年収幅は400万円~1,200万円と幅が大きく、個人の裁量や経験の有無で左右されると考えられます。UXデザインはフリーランスでも請け負える仕事です。フリーランサーの場合にも平均年収は約600~700万円と企業に所属するデザイナーと変わりありませんが、個人の采配で働ける環境であるため実際に得る報酬は高めだと予想できます。
令和4年度の民間給与実態統計調査では給与所得者の全国平均年収は約460万のため、平均的な年収よりも高い傾向にあります。
UXデザイナーの求人・転職情報>
UXデザイナーに関するよくある質問
UXデザイナーについて、適性や求められるスキル、将来性についての疑問が多く聞かれます。本記事でも解説したUXデザイナーの要素をポイントにまとめて振り返ってみましょう。
Q1. UXデザイナーに向いている人はどんな人ですか?
UXデザイナーはデザイン業務だけを行うわけではありません。そのため、以下の特徴がある人はUXデザイナー向きといえます。
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・ユーザー視点に立つ意識が強い
・物事の因果関係を分析できるロジカルシンキングができる
・デザインやものづくりが好きな
Q2. UXデザイナーになるためには何が必要ですか?
UXデザイナーになるためには、以下の要素が必要です。
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・デザインの原則や基本の知識とスキル
・各種ツールの知識と基本的な使用スキル
・マーケティングなど市場理解に関する知識とスキル
ィングなど市場理解に関する知識とスキル
未経験から目指せるものの困難です。ある程度の実務経験とマネジメント職の経験などがあれば、即戦力として転向しやすいです。
Q3. UXデザイナーの将来性は高いですか?
UXデザイナーは以下の要素から不安視され将来性がないと思われがちです。
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・UXデザイナーの仕事は一般化し通常業務に組み込まれ、ポジションがなくなる
・AI技術やノーコードツールなどの普及によりデザイン業務そのものがなくなる
しかしUXの仕事は自動化できない仕事の一つで、将来性は高いといえるでしょう。
まとめ
注目されているUXデザイナーは、年収相場も高くデザイナー業の中では上流工程に携わるポジションです。そのため「未経験から転職したい」という声もよく聞かれますが、実際には求められるスキルや知識は多く、十分なUI/UXの理解と業界経験が必要なことが分かります。
とはいえ、将来性もあるプロダクト開発における中心的な存在です。UXデザイナーが気になる人は、この記事を参考にUI/UXに関連する仕事に触れてみてはいかがでしょうか。
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