ビッグデータとは?基本知識や活用例を分かりやすく解説

最終更新日:2024年6月25日

ビッグデータという名称を耳にしたことはあっても、しビッグデータが具体的に何を指すのか、どのように活用されているのか、活用することでどのようなメリットを得られるのかなどについては知られていない部分もあるはずです。

今後ビッグデータは企業にとってより重要性を増していくと考えられるので、ビッグデータについて複数の観点から把握しておくのがおすすめです。

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この記事のまとめ

  • ビッグデータとは巨大なデータ群のこと
  • Volume(量)、Variety(多様性)、Velocity(速度)を高レベルで備えているデータ
  • 分類としては、構造化データ、半構造化データ、非構造化データの3分類が一般的
  • 活用の流れは企業やプロジェクトによって異なるが、収集、加工整理、可視化、分析といったイメージ
  • 意思決定の迅速化、リアルタイム可視化、需要予測といったメリットを得られる

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ビッグデータとは

ビッグデータは名前の通り巨大なデータ群のことです。人間ではビッグデータをすべて見ること自体が困難で、当然全体の把握もできません。より詳細には、ビッグデータはVolume(量)、Variety(多様性)、Velocity(速度あるいは頻度)の「3つのV」を高レベルで備えているデータとされています。ただしこれは一般的によく言われているもので、明確な定義が存在するわけではありません。

扱うデータの分類

ビッグデータは扱うデータによって分類できます。分類の仕方は複数あってこれについても明確な定義はないのですが、ここでは代表的な分類方法を紹介します。構造化データ、半構造化データ、非構造化データの3種類に分類する方法です。

構造化データ

構造化データとは、行と列で構成される2次元の表形式データのことです。現状構造化されていなくても、構造化されたデータに変換可能なら構造化データに分類されます。たとえば、ExcelのデータやCSVデータは構造化データに該当します。

半構造化データ

半構造化データは、規則的に区切られているものの、そのまま構造化されたデータに変換することはできないデータです。たとえばXMLやJSONが半構造化データに該当します。XMLはマークアップ言語、JSONはデータ記述形式ですが、要するにカンマなどで区切られたデータの羅列は半構造化データと考えるとわかりやすいでしょう。

非構造化データ

非構造化データは表形式になっておらず、なおかつ規則的に区切られてもおらず、これらに変換することもできないデータです。規則的に並んでいないデータは非構造化データに該当するので、世の中のほとんどのデータは非構造化データと言えるでしょう。具体的には、音声、画像、動画、テキストなどが非構造化データに該当します。非構造化データをいかに扱うかがビックデータ技術の注目ポイントでもあります。

ビッグデータが注目される理由

現状ビッグデータが注目されていて、多くの企業がビッグデータの活用に取り組んでいることは周知の事実でしょう。今後はビッグデータをいかに活用するかによって、企業活動の成否に直結するとも言われています。では、なぜここまでビッグデータは注目されているのでしょうか。

蓄積データ量の増大

ビッグデータが注目されるようになった大きな理由として、蓄積データ量が増大したことが挙げられます。人々の行動がオンラインに移行したことによって、オンライン上に膨大なデータが蓄積されるようになりました。

活用しなければただの不要なデータですが、ビッグデータとして活用する企業が現れ、結果的にビッグデータの活用が進んだということです。

技術の進化

オンライン上に大量のデータが蓄積されるようになったことにくわえ、そのデータを処理する技術も進化しました。進化した技術というのは、コンピューターのデータ処理能力と、ビッグデータ解析の技術、アルゴリズム、プログラムのことです。

特にビッグデータはAIとの親和性が高く、AIによってビッグデータが解析されるケースが多いです。AIによる処理は複数挙げられますが、たとえば現在のAIは非構造化データを活用することが可能です。要するにハードウェアもソフトウェアも進化した結果、ビッグデータを扱えるようになりました。

ビッグデータと合わせて耳にするIT用語との関係性

ビッグデータの技術は単体で使用されているわけではなく、IoTやAI技術に紐づいています。ビッグデータ自体はただの大規模なデータ群なので、このデータ群を分析する技術や、分析結果を活かす技術が必要だからです。そこで、ビッグデータと特に関係性が高く、ビッグデータと合わせてよく耳にするIT用語について解説します。

ビッグデータとIoTの関係性

IoTはあらゆるモノをネットワークに接続する仕組みです。モノをネットワークに接続することでユーザーにとっての利便性が高まると同時に、サービス提供者はユーザーのデータを収集できるようになります。つまりビッグデータを収集できるということです。そのため、IoTとビッグデータはセットになっていて、データをいかに解析し、解析結果をいかに役立てるかによってIoTで提供しているサービスの品質につながってきます。

ビッグデータとAIの関係性

すでに少し触れましたが、AIはビッグデータの分析、活用に使用されることが多いです。逆に人間が手動でビッグデータを分析することは不可能で、またAIではないあらかじめプログラミングされた通りにしか分析しないシステムでも十分に活用できない場合が多いでしょう。結果的に、AIのように自動的に分析手法自体がアップデートされていくシステムがビッグデータ分析に使われています。

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ビッグデータを活用するには

ビッグデータを活用するには、複数の段階を踏む必要があります。ざっくり流れをまとめると、データを収集し、分析しやすいように加工・整理・可視化を行い、実際に分析するという流れです。分析結果の活用についてはAIなどが自動で提案することも多いですが、人間がビジネス視点も踏まえて総合的な判断を行うことも多いでしょう。そのため、ここではビッグデータの収集から分析までの流れをまとめます。

収集する

まずはビッグデータを収集する段階です。データの収集自体はツールで自動的に行いますが、そもそもどのようなデータを収集するのかの選定が必要です。データの選定をツールで完全自動化することは不可能なので、人間があらかじめ選定しておくことになります。

加工・整理

データを収集したら、対象データを加工・整理します。この作業はデータクレンジングと呼ばれることが多いです。データクレンジングでは一定の基準でデータを整えるのですが、基準は後から人間が確認する際や、分析の際に扱いやすいことが重要です。

可視化する

データの可視化とは、人間がデータを見て認識しやすくすることです。単に収集されたデータだと当然人間が確認することは困難で、また加工・整理されていてもデータの羅列では人間が確認できません。そこで重要なのが可視化です。

可視化はツールで自動的に実行されることが多く、たとえばデータのグラフ化、表集計などによって一目でわかりやすくします。

分析する

ビッグデータの分析手法は複数あります。具体的には、クロス集計、回帰分析、アソシエーション分析、決定木分析、クラスター分析などが挙げられます。これらは特殊な技術というわけではなく、ビッグデータに限らずデータ分析の一般的な手法です。調べれば詳しい情報が出てくるので、興味のある方は調べてみてください。

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ビッグデータの活用例とメリット

ビッグデータの活用例とメリットを紹介します。他の企業はビッグデータをどのように活用しているのか、活用することでどのようなメリットが得られるのか、これらを把握しておくことでビッグデータをより有効活用できるようになるでしょう。ビッグデータはただ収集して分析すれば良いというものではなく、目的を明確化し、目的に合う方向で進める必要があります。

ビジネスにおける意思決定の迅速化

ビジネスにおける意思決定の迅速化のためにビッグデータを活用している企業は多いでしょう。ビッグデータを活用することで意思決定に明確な根拠ができます。その結果、意思決定が迅速になるということです。

また個人の主観で判断していると人によって判断にバラつきが出て、いわゆる属人性にもつながってしまいます。誰でも迅速かつ適切な判断をするために、ビッグデータの活用は有効な手段です。

状況をリアルタイムで可視化する

ビッグデータによって、状況をリアルタイムで可視化している企業も多いでしょう。たとえば製造業では工場でビッグデータをリアルタイムで分析、可視化することで機械の故障の事前予測や不良品の検出を実現しています。

また近い将来自動運転が実用化されていくと言われていますが、自動運転にもビッグデータは欠かせません。カメラやセンサーから収集した大量のデータを瞬時に分析し、リアルタイムで運転を制御する必要があるからです。

またスポーツ産業でも瞬時にデータを収集、分析することによってプレイのレベルを高めたり、観客が楽しめたりといったことがあります。

需要予測が可能になる

ビッグデータの収集、分析によって、ユーザーごとの細かい需要予測が可能になります。需要予測ができれば、ユーザーが求める商品、サービスを提示し、ユーザー満足度の向上や売上アップにつなげることができるでしょう。また受発注を最適化し、無駄な在庫の削減などにも貢献します。需要予測はどの業界においても利便性が高く、実用化が進んでいます。

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ビッグデータを扱う際の注意点

ビッグデータを扱う際には注意点もあります。注意点はデメリットとも言い換えられるでしょう。ビッグデータを活用することでたとえば企業の業績が大幅にアップする可能性がありますが、逆にコストや労力ばかりがかかって成果につながらない場合もあるでしょう。ビッグデータを有効活用するためには注意点も把握しておく必要があります。

高度なスキルをもつ人材が不足

ビッグデータは急速に発展した技術です。またビッグデータを活用するためには、AI技術が必要になることも多いです。仮にビッグデータ解析のためのツールを使用しても、自社に最適な形にするためにはプログラミングスキルなどが必要になることも多いでしょう。

さらにビッグデータ解析から得られた結果をビジネスに反映させるためには、ビジネスに関する知識や洞察力も必要になります。このようにビッグデータは急速に普及したにも関わらず扱うのに高いスキルが求められるので、スキルを持つ人材が不足しています。

運用・保守の負荷が高い

ビッグデータは大量のデータなので、そのデータを保存するために大きなストレージが必要になります。またデータを保存するだけでなくデータを処理する必要もあるので、運用・保守の負荷が高くなります。自社サーバーだけで対応するのは難しく、外部のクラウドサービスを利用するケースが多いでしょう。

セキュリティ対策が必須

ビッグデータの中には個人情報も含まれています。そのため、個人情報保護のためのセキュリティ対策が必須です。コンピューターのセキュリティ対策だけでなく、カメラやセンサーなどのIoT機器のセキュリティ対策も必要になります。また国をまたいでデータを収集するような場合は他国の法律も影響してくる可能性があるので、後々問題にならないように事前に法的観点からもリサーチが必要でしょう。

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ビッグデータに関連する職種

ビッグデータに関連する職種は複数あり、それぞれビッグデータへの携わり方が異なります。ビッグデータの分析に比重を置いている職種もあれば、ビッグデータをいかにビジネスに役立てるかという点に比重を置いている職種もあります。またビッグデータを分析するツールの開発などを行う職種もあります。それぞれ違いがありますが、共通点も複数あり、スキル的にも重複する点は複数あるでしょう。

データアナリスト

データアナリストはビッグデータを分析し、その結果をもとにビジネス改善のための提案を行う職種です。データアナリストには大きく分けてコンサル型とエンジニア型の2種類があり、それぞれ比重を置いている業務が異なります。

コンサル型はビジネス改善に重きを置いていて、データ分析にも力を入れつつ最終的にどのような提案を行うのかというコンサル業務をもっとも重要視しています。一方で、エンジニア型はデータ分析や、データ分析のためのプログラミングなどに比重を置いています。

エンジニア型の業務内容は後述するデータサイエンティストの業務内容と重複する部分が多いです。

関連記事:【2024年最新】データアナリストとは?仕事内容や必要スキル・資格などを紹介

データサイエンティスト

データサイエンティストはビッグデータの分析や分析結果からのビジネス提案などを行う職種です。データアナリストと比べると、ビジネス提案よりもデータ分析に比重を置いているという違いがあります。

しかしデータアナリストのエンジニア型はデータサイエンティストと類似していて、実際明確に区分することはできないでしょう。定義上の違いはありますが、最終的には職種名というよりは在籍する企業やプロジェクトごとに役割や業務内容が異なります。

関連記事:
データサイエンティストとは?仕事内容や必要なスキル、学習法を紹介
データアナリストとデータサイエンティストの違いは?

機械学習エンジニア

機械学習エンジニアはビッグデータ、ディープラーニングなどの技術で機械学習システムを開発するエンジニアです。もしくは、ビッグデータ解析のためのシステムや、その他AI関連ツールの開発などを行う場合もあります。

関連記事:機械学習エンジニアとは?仕事内容や必要なスキル、将来性などを解説

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ビッグデータに関するよくある質問

ビッグデータに関するよくある質問と回答を紹介します。ビッグデータには明確な定義はないため、なんとなくイメージはついているものの具体的にどのようなものなのか、企業がどのように活用しているのかはよくわからないといった声は多いでしょう。ビッグデータについて知るには、活用事例やメリットを知ることが重要です。

Q1. ビッグデータとはどのようなデータがありますか?

ビッグデータには構造化データ、半構造化データ、非構造化データがあります。構造化データは表形式で保存されているデータや表形式に変換できるデータです。半構造化データはカンマ区切りなどで羅列されているデータです。非構造化データは文章や画像のように特定の規則性がないデータです。

Q2. ビッグデータを活用するにはどうすれば良いですか?

ビッグデータを活用するには、ビッグデータの収集から分析までのステップを経る必要があります。具体的には、収集、加工・整理、可視化、分析という流れです。一連の作業はツールなどで自動化されている場合が多いですが、収集対象となるデータの選定や、データ分析後ビジネス改善に役立てるなどの作業は主に人間が行う必要があります。

Q3. ビッグデータのメリットは何ですか?

ビッグデータを活用することで、複数のメリットを得られます。具体的には、「ビジネスにおける意思決定の迅速化」「状況をリアルタイムで可視化する」「需要予測が可能になる」といったメリットが挙げられるでしょう。

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まとめ

ビッグデータは注目されている技術で、今後より活用が進んでいくでしょう。多くの企業がビッグデータを活用するということは、ビッグデータをいかに活用するかによって企業間で格差が開いていく可能性が高いということです。

ビッグデータ活用のステップは企業やプロジェクトによって異なりますが。大枠の流れは類似しているはずです。具体的には、収集、加工・整理、可視化、分析という流れを経るのが一般的でしょう。ビッグデータに携わる職種は複数あり、代表的なものとしてはデータアナリスト、データサイエンティスト、機械学習エンジニアなどが挙げられます。

ビッグデータは有効活用することで利便性が高い技術ですが、そのスキルを有する人材が不足していることや、運用やセキュリティ面での課題が残ります。今後はビッグデータ活用のデメリットも解消され、より使いやすくなっていくことが期待されています。

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