Reactとは?
まず、Reactがフレームワークではなくライブラリに該当する理由や、Reactの需要について解説します。
Reactの概要
ReactとはJavaScriptのライブラリです。JavaScriptはフロントエンド開発で主に使われているプログラミング言語で、Webサイトにアニメーションやスライドショーなどをつける目的で使われています。ブラウザにはJavaScriptの実行環境が組み込まれているため、開発環境を構築しなくても動かせます。
Reactは、主にボタンや入力フォームなど、UIコンポーネントの作成に活用されています。たとえば、ユーザーが使いやすいようにボタンの配置を変更することなどが可能です。UI制作の効率を高められるため、Reactは多くの企業で導入されています。Facebookをはじめとする世界的に有名なサービスでも使われています。
関連記事:Reactでできることは?特徴・メリット・活用事例などを解説
ライブラリとは?
ライブラリはプログラムの部品のことで、複数のクラスによって構成されています。汎用的な機能が多く含まれており、ライブラリの活用により開発効率を高めることが可能です。また、ライブラリには言語の開発企業が提供する公式ライブラリと、有志が開発した非公式ライブラリの2種類があります。非公式ライブラリは、提供サイトからインストールして使用できます。
ライブラリとフレームワークの違い
フレームワークは日本語で「骨組み」や「枠組み」を意味します。IT業界では、一般的にサービスの土台として使われるソフトウェアを指します。ライブラリもフレームワークも、汎用的な機能をまとめて再利用できるようにしたものです。ただし、ライブラリは「単一の機能を提供するプログラムの部品」であるのに対し、フレームワークは「複数の機能を提供するプログラムの土台」を指します。Reactは、あくまでUI制作に限定した機能を提供するため、ライブラリに分類されます。一方で、AngularJSやVue.jsはフレームワークです。とはいえ、明確な定義はなく、Reactもフレームワークの1つとして捉えられるケースも多くあります。
Reactの需要は非常に高い
JavaScriptには優秀なライブラリが複数ありますが、なかでもReactは特に高い人気を誇ります。JavaScriptの利用動向調査「The State of JS 2022」によると、世界各国のJavaScriptユーザー39,471人中、27,289人がReactを使っており、全ライブラリ・フレームワーク中で1位となっています。さらに、満足度も82.95%と、他のライブラリ・フレームワークに比べて高い評価を得ており、Reactの需要の高さが伺えます。(※)
※参考:The State of JS 2022: ライブラリ
Reactの3つの特徴
続いて、Reactの基本となる3つの特徴について解説します。
宣言的なView
Reactは「宣言的」にコードを記述できます。宣言的とは「〇〇の結果が欲しい」など、行いたい処理を直接書くことです。宣言的にコードを書くと、可読性が向上するといわれています。宣言的とは逆の書き方が「手続き的」です。手続き的とは「(〇〇の結果が欲しいから)〇〇してから〇〇して……」のように、処理内容を順番に書くことを指します。宣言的なプログラミングのほうが、ソースコードが短くなる上に、その部分で何をしているのかをすぐに理解できるメリットがあります。
コンポーネントベース
Reactは「コンポーネントベース」で書ける点も特徴です。コンポーネントベースとは、各機能を1つの部品として構築し、それらを組み合わせていく手法です。たとえば、Reactで会員登録画面を構築する場合、入力フォームや登録ボタンなどの各UIパーツを1つの部品として開発できます。コンポーネントベースでプログラムを構築することで、機能の変更や追加がしやすくなるでしょう。登録ボタンのデザインを変更したい場合も、該当する部品を変更するのみで済みます。また、各部品は相互に影響を与えない決まりがあり、登録ボタンを変更しても他のUIパーツの動作が変わりません。テストの工数も減らすことが可能です。
一度学習すれば、どこでも使える
Reactは応用性が高く、一度学習すれば、どこでも使えます。ReactによるWebアプリ開発によって得た知識は、同じくReactによるスマホアプリやVR開発などで活かせます。Reactを習得することで、さまざまな開発分野に参入しやすくなるでしょう。
Reactでできること
Reactは幅広いWebアプリ開発に活用できるライブラリですが、特に高い効果を発揮する開発分野を3つ紹介します。
大規模なWebアプリ開発
Reactは、Facebookのような大規模なWebアプリ開発に向いています。大規模なWebアプリは機能が豊富で、ソースコードの量が多くなりますが、宣言的に書けるReactであればコード量を減らすことが可能です。また、コンポーネントベースで構築できるため、1つの機能を修正しても他の機能に影響が出ず、大規模なWebアプリでも管理しやすくなります。
SPAアプリ開発
Reactは、SPAアプリの開発にも適しています。SPAアプリとは、単一のWebページで構成されたWebアプリです。SPAアプリは画面遷移がない分、ユーザーの離脱率を下げられるメリットがあります。しかしその一方で、1つのページに多くの機能を詰め込むうえに、ユーザーの動作に従って表示内容を何度も変更しなくてはいけないため、ページが重くなるおそれがあります。Reactはレンダリング(ブラウザがWebサーバから情報を取得する処理)が高速なため、極力ページを軽くすることが可能です。毎回1からレンダリングを行うのではなく、必要な箇所のみに絞って行う方法を取っています。
スマホアプリ開発
Reactから派生したReact Nativeでは、スマホアプリ開発が可能です。React同様にアプリのUI制作に適しています。スマホアプリ開発は、AndroidではJavaやKotlin、iPhoneではSwiftが多く使われますが、Reactは両方のOSに対応できるメリットがあるため、多くの企業で活用されています。
Reactのメリット
ここでは、Reactを学習するメリットや、開発で導入するメリットについて解説します。
求人数が豊富
Reactは求人数が豊富なため、習得すれば転職の幅が大きく広がります。2023年4月現在、レバテックキャリアのReactの求人数は2,115件(※)です。Reactを習得するには、今が良いタイミングといえるでしょう。
初心者でも習得が比較的容易
Reactは宣言的かつコンポーネントベースで書けるため、初心者でも比較的習得しやすいと言われています。また、最近では知名度が向上したことで、日本語の学習サイトや参考書が増え、より勉強しやすくなりました。
開発や改修の効率を高めることができる
Reactを使えば、ソースコードの量を減らせるほか、可読性も向上するため、開発効率を高められます。また、コンポーネントベースで構築できるため、テストや運用・保守の工数も減らすことが可能です。Webアプリは、ユーザーのクレームや要望に応じて何度も改修を行わなければいけません。そのため、できるだけ改修しやすい言語・ライブラリを選択することが重要です。
ユーザーの利便性向上に繋がる
Reactを導入することは、ユーザーの利便性向上にも繋がります。Reactには、ページの一部のみを効率よく更新できる機能が備わっており、ページが重くなりにくいメリットがあります。ユーザーの離脱を防ぐためにも、動作の軽いWebアプリを構築することは重要です。
※参考:Reactの求人/転職/採用情報 | ITエンジニア求人ならレバテックキャリア
Reactを使う際の注意点
Reactはメリットが多く、幅広い開発分野で使われているライブラリです。しかし、Reactを習得する前に知っておくべき注意点もいくつかあります。
開発環境構築に時間がかかる
Reactは、開発環境の構築に若干時間がかかります。Reactを導入するためには、事前にNode.jsをインストールする必要があります。また、webpackやBabelといったツールの理解も不可欠です。create-react-appを使えば、開発環境構築の難易度は下がりますが、社内で環境を統一しなければいけない場合もあるため、慎重な判断が必要です。
React向きではない開発もある
Reactは多様な機能をそろえたライブラリですが、万能とは言えず、Reactが不向きな開発もあります。たとえば、ReactはメモリにDOM構造を記憶させておくため、メモリを多く消費してしまう点がデメリットです。ページ更新が少ないWebページの場合は、Reactのデメリットが目立ってしまうおそれがあるでしょう。また、Reactは宣言的に書けることが特徴ですが、アプリの種類によってはむしろコード量が増える場合もあります。そのため、Reactに慣れてきたら他のライブラリも徐々に勉強し、状況に応じてライブラリを使い分けることが理想です。
Reactを使うフロントエンドエンジニアに転職するには?
Reactは、主にフロントエンド開発で活用されています。フロントエンドエンジニアに転職するために必要なスキルや、転職のポイントについて解説します。
HTML・CSSの基礎を習得する
まずは、HTML・CSSの使い方を勉強する必要があります。JavaScriptはHTMLを操作する言語のため、HTML・CSSの知識がないと使いこなすことは困難です。とはいえ、HTML・CSSはプログラミングよりもシンプルで、エンジニア経験者であれば習得にそれほど時間はかかりません。学習サイトをうまく活用すると、スピーディに習得できるでしょう。
JavaScriptの基礎知識を習得する
HTML・CSSの基礎が身についたら、JavaScriptの基礎知識を習得します。JavaScriptを勉強するだけであれば、開発環境の構築は不要です。HTML・CSS同様に、学習サイトなどで習得できます。JavaScriptの基礎文法をはじめ、メソッドの使い方、DOM操作の方法、Ajaxでの非同期通信などを学ぶことで、JavaScriptによるフロントエンド開発が可能となります。
Reactを習得する
次に、Reactの使い方を勉強します。Reactは、日本語化された公式チュートリアルが用意されているほか、ドットインストールなど一部の学習サイトにも教材があります。ReactでのUI制作の基礎を学び、余裕があればSPAアプリの作り方なども勉強すると良いでしょう。
自己鍛錬の成果物を用意する
JavaScriptおよびReactの基礎スキルを習得したら、簡単な制作物を作成してみましょう。自己鍛錬の成果物を面接の際に提出することで、学習意欲や基礎スキルをアピールできます。他言語の経験がない場合は、ToDoリストやタイマー、メモアプリなど、JavaScriptだけで完結するシンプルなツールの制作がおすすめです。PHPやPythonの経験がある方は、それらも活かしたアプリの制作に挑戦してみてください。
エージェントを活用してフロントエンドエンジニアを目指す
自己鍛錬の成果物を用意したら、フロントエンドエンジニアへの転職活動を始めます。ただし、フロントエンドエンジニアの仕事でも、Reactを使用するとは限りません。Reactの知識を活かせる転職先を効率良く探すためには、エージェントの活用がおすすめです。レバテックキャリアでは、自身の経験・スキルや希望年収などに合った求人をご紹介します。
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