Rubyでできることは?サービス事例や将来性などを徹底解説

最終更新日:2024年11月11日

Rubyは、Webサービスやサイト制作によく使われるプログラミング言語です。通販サイトやメディアサイトの利用が広まるなか、Rubyに興味を持ち、転職を考えているエンジニアもいるのではないでしょうか。
当記事では、これからRubyの習得を目指しているエンジニア向けに、Rubyの特徴やできること、活用事例、Rubyエンジニアに必要とされるスキル、習得するメリットや将来性、学習方法などについて解説します。

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この記事のまとめ

  • Rubyとはオブジェクト指向のスクリプト言語であり、プログラム実行をする際にコンパイルが不要という特徴を持つ
  • 主にRubyはゲーム開発やAPI開発、ポータルサイトなどで活用されており、主な導入事例に動画サイトのhuluやSNSの「X」が挙げられる
  • Rubyはできることが多岐にわたり扱いやすい言語のため、求人数も多く学習するためのコンテンツも充実している

Rubyとは

Rubyは、オブジェクト指向のスクリプト言語です。プログラムを実行する際、随時コンピューターに処理をさせていくことができます。コンパイルが不要な分、開発時や修正の確認をする際に手間がかかりません。

Rubyの特徴

ここではRubyの特徴を解説します。

日本で開発された言語

欧米生まれのプログラミング言語が多いなか、Rubyは日本人のソフトウェア技術者であるまつもとゆきひろ氏が開発した言語です。日本生まれであるため、日本語の解説サイトや参考書が多く、情報が集めやすいメリットがあります。

高い拡張性

Rubyには豊富なライブラリがあるため、さまざまなライブラリを使い分けることで、多種多様な機能を実装できます。また、Rubyは既存のクラスにメソッドを追加したり変更したりすることができ、拡張性の高さが魅力です。

文法がシンプル

Rubyは文法がシンプルで、より少ない文字数でプログラムの記述が可能です。効率的に開発を進められるほか、初心者でも身につけやすい言語といえます。
たとえば、Hello World!の書き方の違いをみてみましょう。JavaやPHPと比べて、Rubyは記述が非常にシンプルなことが分かります。

Java:

public class Hoge {
public static void main (String [] args) {
System.out.println ("Hello world!");
}
}


PHP:

echo "Hello World!";
?〉


Ruby:

puts "Hello World!"

Ruby on Railsとの違い

Ruby on Railsとは、Rubyの代表的なアプリケーションフレームワークです。プログラミング言語のことではありません。Rubyを使ってWebアプリケーションなどを効率良く開発するためのさまざまな機能がまとめられています。Rubyのメリットを最大限活かしながらスピーディーに開発できるように設計されており、高い需要があります。

Rubyでできること

Rubyでできること

Rubyでできることは多岐にわたりますが、以下に代表的な用途を紹介します。

関連記事:Ruby on Railsとは?求人数と年収についても解説

Webアプリケーション開発

Rubyが最も利用されているのがWebアプリケーション開発です。Rubyは、多くのWebアプリケーションで必要となるログイン・検索機能の実装を得意としており、容易にプログラミングができます。PHPもWebアプリケーションの開発に向いていますが、Rubyは効率性や処理スピードがより優れているといわれています。

SNS

RubyはSNSの開発も得意としています。ユーザー情報の登録やログイン情報の管理、SNSに投稿する機能も効率的に実装可能です。現在は別の言語に移行していますが、当初はTwitterもRubyを使って開発されていました。

ブログ

ブログの作成もRubyの得意分野です。アプリケーションフレームワークのRuby on Railsを利用すれば、テキストエディター機能を容易に実装でき、ブログを効率的に開発できます。また、さまざまなライブラリを使って各種機能を追加できるため、Rubyを使うと自由度の高いブログに仕上がるでしょう。

ショッピングサイト

ショッピングサイトにはログイン・検索に加えて、商品の管理や登録をする機能も必要です。これらも、RubyとRuby on Railsの持つライブラリを利用すれば、効率的に実装できます。

スマホアプリ

スマホアプリの開発は、iOSではSwift、AndroidではJavaやKotlinがよく使われますが、Rubyでも開発が可能です。Rubyは、iOSとAndroid両方のOSに対応しています。ただし、ネイティブアプリ開発の場合は、SwiftはApple、KotlinはGoogleが標準言語として推奨しています。これらの言語はOSに最適化されており、できることも多いため、SwiftやKotlinを選んだほうがよいでしょう。

スクレイピング

スクレイピングとは、Web上から情報を収集し、加工して新しい情報を作り出すことです。スクレイピングは自動で情報収集を行うため、手動での情報収集に比べて非常に効率的です。Rubyには「Nokogiri」という名称のスクレイピングを行うライブラリがあり、初心者でも容易に実装できます。

API開発

API開発の代表的な例としては、SNSの認証があげられます。何らかのWebサービスへログインする際に、SNSの認証を流用することがあるでしょう。これは、TwitterやFacebookなどのIDやパスワードを流用して他のWebサービスにログインする仕組みですが、SNSの登録情報を、APIを通じて共有しているからできることです。Rubyでは、こうしたSNS認証などのAPI開発を効率的に実装できます。

ゲーム開発

ゲーム開発では、プログラミング言語はC++やUnityが主流です。しかし、Rubyには「gosu」「DXRuby」「NanoGL」などのゲーム向けライブラリがあり、ゲームの開発にも利用されています。

ポータルサイト

Rubyを使うと、ポータルサイト上での集客機能を容易に実装できます。たとえば、企業のポータルサイトでは、お知らせ機能やプッシュ通知、SNS連携などのLIVE発信機能を装備していることがあります。Rubyは、このようなLIVE発信機能を容易につけることができ、機能の追加やメンテナンスも容易です。

機械学習

機械学習とは、データを分析する手段のひとつ。データから機械が自動的に学習し、データの背景にあるルール、パターンを発見することができます。最近では予測・判断もできる機械学習が登場し、認知度を高めています。

この機械学習もRubyでできることですが、近年AI開発などでよく使われる機械学習は得意ではありません。機械学習においては、Rubyよりもさまざまな機械学習向けのライブラリを揃えているPythonの方が適しています。

関連記事:RubyとPythonエンジニアの違いとは?求められるスキルや転職のポイントを解説

Rubyの活用事例

Rubyを使用している代表的なWebサービスを紹介します。

クックパッド

クックパッドは、クックパッド株式会社が提供する月間PV約5億の有名な料理レシピサイト。Rubyで開発された国内サービスとしては最も有名なものです。Ruby on Railsは、処理が遅いと言われがちですが、その巨大さやユーザー数などから処理速度に関する危惧を払拭するサイトとなっています。
また、クックパッド開発者ブログが存在し、積極的に開発情報などを開示している点も特徴です。クックパッドの開発に携わっているエンジニアが技術系セミナーで講演を行うこともあります。

クラウドワークス

クラウドワークスは、フリーランスを中心に仕事を請け負いたい人と、仕事を依頼したい人をマッチングさせる国内最大規模のクラウドソーシングサイトです。近年では働き方改革が進み、週末起業や副業などを始める人が増加しているため、クラウドワークスの人気も高まっています。
クラウドワークスでは、当初のスタートアップから大きく成長するために短期間での開発が求められ、Ruby on Railsの生産性の高さが効果的だったそうです。将来の変化に対応できるシステムの構築により、現在も同社は成長を続けています。

HIKKY

株式会社HIKKYは、VRやメタバース空間でサービスを提供する企業です。HIKKY社は
バーチャルマーケットで、Ruby を使ったサービス等でRubyの特徴を活かした新規性・独創性・市場性・将来性に富んだビジネス事例を表彰するRuby biz Grand prix 2021の大賞を受賞しました。
バーチャルマーケットでは、バーチャル空間上でのWebサイトやECサイトが存在し、その開発にRubyやRuby on Railsが使われています。作りたいものを実現できる自由度など、Rubyの特徴を十分に活かしたバーチャル空間となっています。

※詳細はオフィシャルサイトのRuby活用事例をご参照ください。

hulu

月額課金型の動画サイトであるhulu。huluでは、バックエンドと呼ばれるシステムサイドでRubyを使用しています。

Twitter(現:X)

現在Xに改名した投稿型SNSであるTwitter。2011年にRubyからベースシステムをJavaVMに移行しましたが、それまではRubyを利用し開発されていました。Twitterは世界各地で投稿されるポストをリアルタイム処理する必要があり、この処理動作において現在でも大部分のトラフィックにはRubyを使っています。

Rubyでできないこと

多数の機能があるRubyですができないこと、不得意とされる分野も存在します。それが「機械学習」です。機械学習はRubyでは不可能ではありませんが、プログラミングに多く利用されるPythonのほうが機能的にもライブラリも充実しており、特別な理由がないかぎりRubyを優先的に使用することはありません。

スマホアプリの開発はRubyでもできるとはいえ、本来JavaやKotlinが適しています。クロスプラットフォームとしてはUnityなどの別サービスのほうがシェア率も高く、このように「Rubyの代替言語が存在すること」はRubyを利用しないのが一般的です。

Rubyを習得するメリットと将来性

次に、Rubyを習得するメリットと将来性について解説します。

習得するメリット

Rubyは有名で人気の高い言語であるため、習得するメリットとして学びやすく求人数が多い、幅広い案件に対応できるなどが挙げられます。Rubyの特徴とあわせてメリットをチェックしていきましょう。

求人が多い

レバテックキャリアでは、Rubyに関する求人が2,700件ほどあります(※2023年11月現在)。Rubyは汎用性が高いため、さまざまな分野で利用されており、人材需要の高いプログラミング言語です。

学びやすい

Rubyはシンプルで記述が少ない点が特徴です。そのため、初心者にとって学びやすく、習得しやすいメリットがあります。

日本語の学習コンテンツが豊富

Rubyは日本生まれのプログラミング言語のため、海外生まれの言語よりも日本語のコンテンツが揃っています。情報収集がしやすいため、不具合やトラブルが起こった際にも素早く対処できるでしょう。また、参考にできる情報が豊富なことは、未経験者がスムーズに学習を進めるためにも重要な要素です。Web上に学習コンテンツも多くあり、費用を抑えてスキルを習得できます。

将来性

Rubyの将来性には、現状で不安を覚えるものが見当たりません。主流言語とまではいきませんが、Rubyは今後も需要がなくならないと考えられます。その理由を紹介します。

関連記事:
Rubyの将来性と需要は?懸念されている点も解説
Rubyとは?特徴やできることを初心者にもわかりやすく解説

世界的に使われている

世界のプログラミング言語検索数を示す「TIOBE Programming Community Index」によると、2023年11月現在、Rubyは18位にランクインしています。Rubyは世界中で使われている言語であり、スキルを身につければ将来海外でも通用する可能性が高いでしょう。

コミュニティが活発

プログラミング言語の発展には、コミュニティの存在も欠かせません。コミュニティでは、プログラミング言語をより良くするための意見交換や、使いやすいライブラリの提供などが行われます。Rubyは、日本だけではなく世界中で活発なコミュニティ活動が行われているため、将来性が期待できます。

※コミュニティ例:Ruby Association

Rubyの学習方法

Javaなどの有名なプログラミング言語に比べると、Rubyは文法がシンプルなため、学習のハードルはそれほど高くありません。初心者にはおすすめの言語といわれています。ここでは、経験者向けと未経験者向けの学習方法を解説します。

関連記事:Rubyの勉強方法や学習サイト、スキルを証明する資格を紹介

経験者向け学習方法

経験者はプログラミングの基礎を身につけている前提で、より実践的なものを学習するとよいでしょう。Rubyと共通点のある言語もあるため、比較的学習時間は短くても十分基礎知識を身につけられる方法を紹介します。

サイトで学ぶ

ほかのプログラミング言語のスキルを持っている人は、学習サイトで学ぶとよいでしょう。前述したとおり、Rubyは日本語の学習コンテンツが豊富にあります。経験者であれば、Ruby自体の難易度が比較的低いこともあり、サイトでも十分スキルを習得できるでしょう。

技術者コミュニティで学ぶ

Rubyには、オフィシャルなもの以外にも、複数のコミュニティが存在します。コミュニティには経験豊富なエンジニアがいることも多く、簡単に質問や情報共有ができるため学習には有用です。有名なコミュニティにRubyKaigiがあり、定期的なカンファレンスも開催されているため、ぜひチェックしてみてください。

未経験者向け学習方法

書籍やサイトを使って独学する方法もありますが、未経験者が確実にスキルを習得するにはスクールの活用がおすすめです。独学に比べて費用はかかるものの、カリキュラムに沿って現役エンジニアなどの専門講師から学べるため、確実かつ短期間でスキルを身につけられます。

関連記事:
Rubyエンジニアに未経験から転職! 年収や求人数、転職成功事例
未経験からRubyエンジニアになるには? 必要スキルや年収、求人例も紹介

Rubyに関する資格

Rubyに関する資格を紹介します。Rubyエンジニアになるにあたって必須資格や試験はありませんが、Rubyの知識とスキルを証明する場面やキャリアパスを形成したい場合には、資格は役に立ちます。認知度の高い試験をまとめたので、ひとつずつ見ていきましょう。

関連記事:Ruby初心者は何を学ぶべき?キャリアパスについても考察

Ruby技術者認定試験

Ruby技術者認定試験はRubyアソシエーションが運営しています。Rubyを使ってシステムを設計開発、運用するエンジニアや、Rubyを使ったシステム提案を行うコンサルタント、Rubyの講師などを対象とする資格です。レベルに応じて、SilverとGoldの2種類に分かれています。

Ruby技術者認定試験(Silver)

Silver試験では、Rubyの基本的な知識、技術レベルが問われます。文法知識やオブジェクトや標準ライブラリの知識などを中心に出題されます。

Ruby技術者認定試験(Gold)

Gold試験では、Silverよりもさらに深い知識が問われます。Silverよりも高い応用力が試されるため、実際の試験問題を解いて実践力を高めておくとよいでしょう。

Rails技術者認定試験

Rails技術者認定試験は、株式会社 オデッセイ コミュニケーションズが運営する、Ruby on Railsの専門知識を評価する資格です。
「Rails4 技術者認定ブロンズ試験」「Rails4 技術者認定シルバー試験」「Rails5 技術者認定ベーシック試験」のランクが設定されています。
Ruby on Railsのバージョンによって対応する試験が変わり、Rails4には「Rails4 技術者認定ブロンズ試験」と「Rails4 技術者認定シルバー試験」、Rails5には「Rails5 技術者認定ベーシック試験」が対応しています。

Rubyに関するよくある質問

Rubyに関してよく聞かれる質問をまとめました。本記事を振り返る意味でも、ひとつずつチェックしていきましょう。

Q1. Rubyは主に何に活用されていますか?

Rubyは下記の羊土などで活用されています。


  • ・Webアプリケーション開発

    ・SNS開発、運用

    ・ブログ開発、運用

    ・ショッピングサイトなどWebサービス開発


身近なSNSにもRubyは利用されているため、身近な言語です。

Q2. Rubyの強みを教えてください

Rubyはシンプルであり記述が少なく、開発環境も簡単に構築できます。Rubyが得意とする分野であるスマートフォン向けアプリやWebサービスでは、この強みを活かして開発が進んでいます。

Q3. Rubyの習得難易度は高いですか?

Rubyは記述が少なく済むため、習得難易度は低めと考えられます。また、人気の高い言語でありドキュメントや指南書籍も多く、豊富なコンテンツから学習を進められるでしょう。
そのため、エンジニア経験が少ない人にとっても触れるハードルは低めです。求人数も多いことから、Rubyから学習を始めるのも推奨できます。

関連記事:Rubyエンジニアの年収はどれくらい?求人数や将来性もチェック

まとめ

Rubyは日本発祥のプログラミング言語であり、現在でもWeb開発やスマホアプリ開発、スクレイピングなどさまざまな開発シーンで活用されています。できることが多岐にわたる人気言語であるため、これからエンジニアとしてキャリアの幅を広げたい人にとってはおすすめです。
学習方法の選択肢が広い分、Rubyを学ぶためには関連資格や最新情報の精査などが重要です。本記事を参考に、Rubyへの理解を深めてみましょう。

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この記事の監修

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