Swiftアプリ開発でできることとは?開発に必要な環境も解説

最終更新日:2024年10月24日

Swiftでできることは、Apple社製品のアプリ開発がメインです。SwiftはObjective-Cの影響を受けて誕生しました。歴史が浅いため扱える人がまだ少なく、身につければエンジニアとしての価値が高まるでしょう。Objective-Cに比べて、Swiftは読み書きがしやすく、現代的なプログラミング言語であるため、プログラミング初心者にもおすすめです。Swiftの概要や、メリット・デメリット、開発できるもの、iOSアプリ開発に必要な環境について解説します。

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この記事のまとめ

  • SwiftはiOSやMac向けのアプリ開発に使用されている言語で、iOSアプリ、Macアプリ、Apple Watchアプリなど、Apple社製品のアプリ開発が可能です
  • 特にObjective-Cとの互換性が高く、より強力で柔軟なアプリケーションを作成ができます
  • 開発には、端末およびXcodeやXamarinなどの開発環境が必要です

Swiftとは

Swiftとは、Apple社が開発したオブジェクト指向のプログラミング言語です。iPhone、Mac、Apple Watch、iPadなどのApple製品向けのアプリケーションを開発できます
Swiftは本来、アマツバメという鳥のことで、「すばやい」「速い」「迅速な」などの意味を持ちます。

iOSやMac向けのアプリ開発に採用されるプログラミング言語

Swiftは、iOSやMac向けのアプリ開発に使用されている言語です。従来iOSアプリの開発には、Objective-Cという言語が使用されていました。Objective-CはC言語をベースに開発された言語のため、現代的な言語と比べると文法が独特で分かりにくく、習得が難しいと言われていました。そうした課題を解決すべく登場したのがSwiftです。

2014年にWWDCで発表された

Swiftは、2014年にApple社主催のWWDCで、Objective-Cに置き変わる言語として発表されました。この置き換わる形で発表されたことも、Swiftが注目されている理由の一つです。Objective-Cに変わるものを提供するという意味では、Apple社はXcodeにおけるJavaサポートをはじめ、さまざまなサポートを加えてきました。

よりモダンでパフォーマンス向上も見込めるSwiftは、登場当初から多くの開発者が好意的に受け入れています。

サーバーサイドの開発でも採用が進んでいる

SwiftはApple製品用のアプリ開発に加えて、サーバーサイドの開発においても活用が進んでいます。Swiftを開発する際に参考にしていたRubyやPythonができる処理を、Swiftでも行うことが可能です。

Swiftが登場するまでは、アプリ側とサーバー側で異なる言語を使用する必要がありました。SwiftではWebサーバーも作れるため、通信が発生するアプリを効率的に開発できます。

他言語との互換性がある

Swiftの大きな特徴の一つは、他の多くのプログラミング言語との互換性です。特にObjective-Cとの互換性は、既存のAppleのエコシステム内でのアプリ開発をスムーズにします。

開発者は、既存のObjective-CコードベースをSwiftに容易に統合でき、また、SwiftのコードをObjective-Cで書かれたアプリケーションやフレームワークに利用することも可能です。

この互換性により、開発者は新旧の技術を組み合わせて、より強力で柔軟なアプリケーションを作成できます。

Swiftで開発できるもの

Swiftで開発できるもの


Swiftで開発できるものについて解説します。

iOSアプリ開発

iOSは、iPhoneとiPadで使用されているOSです。日本ではiOSのシェア率が約50%と高いにも関わらず、Swiftエンジニアは不足しています。

Macアプリ開発

MacBook、MacBook Air、MacBook Proなどで動作するMacアプリを開発できます。
SwiftでMacアプリを開発するメリットは、安全性が高く、Macの性能を最大限に活かせることです。具体的には、Macのメモリー、ハードディスク、キーボードなどコンピューターの深くまで考慮した開発ができます。

Apple Watchアプリ開発

Apple WatchのアプリもSwiftで開発できます。スマートウォッチ市場は急速に成長しており、なかでもApple Watchは世界一のシェアを誇ります。
しかし、Apple Watchの活用シーンはまだまだ限られているのが現状です。だからこそ、アイディアを活かした画期的なApple Watchアプリを開発できるチャンスと言えるでしょう。

Webアプリケーション開発

Apple製品以外のWebアプリケーションの開発も可能です。一般的にWebアプリケーションは、JavaやRuby、PHPで開発されます。しかし、SwiftはRubyやJavaの良いところをとって開発された言語であるため、今後需要が高まると予想されます。

Swiftのメリットとデメリット

Swiftのメリットとデメリットについて解説します。

メリット デメリット
・学習コストが低い
・処理速度が早くて軽量
・エラーに気付きやすい
・リアルタイムで動作確認ができる
・Apple製品全てに利用できる
・将来性がある
・コンパイルが遅い
・基本的にMacでしか開発できない
・Androidアプリの同時開発ができない

Swiftのメリット

Swiftのメリットについて解説します。

学習コストが低い

Swiftは初心者でもiOSアプリを作れるように開発された、可読性の高い言語です。RubyやPythonなどの現代的な言語を参考にしているため、文法がシンプルで、学習用のチュートリアルも充実しています。

処理速度が早くて軽量

Swiftという名前の通り、Swiftは処理の速さを売りにしています。特に、Arrayの処理が早いことが特徴です。「深さ優先探索アルゴリズム」を使ったApple公式のサイトの検証結果では、Objective-Cの最大2.6倍で、Pythonの最大8.4倍の速度が出ると公表しています。

エラーに気付きやすい

Swiftはコンパイル言語です。コンパイル時にデータの整合性をチェックするほか、制約も厳しいため、ビルド時にエラーに気付きやすいメリットがあります。Swiftでは、変数に何も入っていない状態を開発者が許可をせずに空の変数を利用した場合、アプリが強制終了します。潜在的なエラーを残したままリリースされることはありません。
Objective-Cでは、変数が空でもアプリとしてのエラーは起こりません。

関連記事:SwiftとObjective-Cの違いは?特徴や将来性を比較

リアルタイムで動作確認ができる

Swiftには、リアルタイムで動作確認ができる「Playgrounds」という機能があります。Objective-CやC言語は、修正するごとに毎回アプリケーションやシステムをコンパイルして実行する必要がありました。

Playgroundsの機能を使えば、コーディング中に結果となる動作をリアルタイムで確認できるため、開発時間の短縮につながります。

Apple製品全てに利用できる

Swiftは、Appleの全製品ラインにわたって使用できる汎用性の高い言語です。iPhoneやiPadのiOSアプリはもちろん、Macのデスクトップアプリ、Apple Watchのウェアラブルデバイス、さらにはApple TVのアプリケーション開発にもSwiftは適用されます。この広範な対応範囲により、開発者は一つの言語を学ぶだけで、多様なデバイス向けのアプリケーションを開発することができます。

将来性がある

Swiftの将来性は非常に明るいと言えます。Appleがこの言語を積極的に推進していること、そしてiOSデバイスの普及率の高さが、Swiftの需要を高めています。また、Swiftは学習しやすく、初心者にも扱いやすい言語であるため、プログラミング教育の分野でも注目されています。

さらに、Swiftはオープンソースであるため、世界中の開発者が改善に貢献しており、その進化は今後も続くと予想されます。このような背景から、Swiftは今後もアプリ開発の主要言語としての地位を確固たるものにしていくでしょう。

Swiftのデメリット

Swiftのデメリットについて解説します。

コンパイルが遅い

Swiftは、コンパイルが遅いです。なぜなら、差分コンパイルがサポートされていないためです。また、コンパイラが自動的に型を推測するので、情報を計算する時間がコンパイルする際に加算されることも原因と考えられます。

基本的にMacでしか開発できない

基本的に、Swiftを使用した開発は、MacOSのXcodeという開発環境で実施します。2020年9月に、Windows向けのツールチェーンイメージのリリースを発表しましたが、ツールチェーンインストーラーと統合開発環境のVisual Studio 2019、各種コンポーネントの準備が必要であるため、Macと比べて環境構築のコストが高くなります。

Androidアプリの同時開発ができない

Swiftでは、Androidアプリの開発はできません。AndroidとiPhoneアプリの両方を開発したい場合、2つの言語を使い分ける必要があり、開発コストがかかってしまいます。

しかし、Dart言語のFlutterで開発を行えば、1つの言語でAndroidとiPhoneアプリの両方を開発できます。Dartは、JavaScriptの代替としてGoogleが開発した言語で、Flutterはそのフレームワークです。

Swiftでのアプリ開発に必要な環境

iOSアプリ開発に必要な環境について解説します。

開発する端末

iOSアプリ開発を行う場合、基本的にはMacOSが必要です。WindowsOSでもiOSアプリの開発は可能ですが、推奨はされていません。WindowsOSで開発するには、仮想環境にMacOSの環境を作り、そこで開発する形となるためです。もし開発ができたとしても、開発途中で不具合が発生するおそれがあります。
また、開発後にiOSアプリの動作確認ができるiPhoneやiPadがあるとよいでしょう。

開発ツール

iOSアプリ開発には、統合開発環境を使用します。統合開発環境とは、エディタ、コンパイラ、デバッガなどの開発に必要なツールをひとまとめにしたものです。従来は開発作業毎に別々のソフトが必要でしたが、現在では統合開発環境に集約されています。
iOSアプリ開発ではXcodeを使用することが多いです。Windowsで開発する場合は、クロスプラットフォーム開発ができるXamarin、React Native、Flutterなども使用できます。

Xcode

Xcodeは、Apple社が提供する開発環境です。インターフェースビルダーという機能があり、テキストやボタン、ラベルといった要素をドラックアンドドロップするだけで、自動的にコードを追加してくれます。直感的に扱うためのツールが揃っていることがXcodeの魅力です。

Xamarin

Xamarinは、Microsoft社が提供する開発環境です。iOSアプリやAndroidアプリなどの異なるOS向けのアプリを一元的に開発できます。ただし、2021年から、XamarinでのiOSアプリ開発は途中までしか行えなくなっているため、最終的にはMacOSが必要です。

初心者向けSwiftの構文とサンプルコード

ここからは、これからSwiftの学習を始めようと思っている方に向けて、Swiftはどんな書き方をするのか、基本的なサンプルコードをご紹介します。

基本の文法

以下は、基本の文法についてサンプルコードとともに紹介します。Swiftをこれから学習したいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

出力

メッセージなど出力したい場合には、「print」関数を実行します。例えば、以下のコマンドを実行すると「テストメッセージ」と出力されます。

print("テストメッセージ")

変数

変数は、文字や数値など値を入れる入れ物です。以下の例では、変数に値を代入したうえで、その変数の値をprint関数で出力します。

var test = "テストメッセージ"
print(test)

関数

関数は特定の処理をまとめて名前を付けたものです。先ほど実行した「print」も関数です。また、自分で処理を作成し、関数を宣言できます。以下の例では、引数として渡された3つの値の合計を算出し戻す関数です。

func triplesum(first_int:int, second_int:int, third_int:int) -> int
return(first_int + second_int + third_int)
}

配列

配列は、同じデータ型をまとめて格納するコレクションの1つです。「配列名: [型名] = [配列の要素]」で定義し、宣言時に要素をいれておくことも、空の状態で宣言することもできます。また、配列にあとから要素を追加することも可能です。

//String型の要素なし配列
var emptyArray: [String] = []

//要素あり配列
var monthly = ["Jan","Feb","Mar","Apr","May"]

//新しい要素追加
monthly.append("Jun")

if

if文は、条件による分岐が行えます。例えば以下では、変数の値によって処理を分岐させています。

//初期値の設定
var country = "Japan"

//基本文法
if(country == "Japan") {

print("日本です")

} else if(country == "USA") {

print("米国です")

} else {

print("その他の国です")

}

class

class(クラス)は、オブジェクト指向言語で使われる機能です。値(プロパティ)と処理(メソッド)の両方を定義し、そのclassからインスタンスを生成して値や処理を行います。

//クラスの定義
class CarClass {

//プロパティの定義
var bodycolor:String
var crew:Int

//イニシャライザ
init(bodycolor:String, crew:Int) {
self.bodycolor = bodycolor
self.crew = crew
}

//メソッドの定義
func information() {
print("車体の色は" + bodycolor + "です。乗車定員は" + crew + "名です。")
}
}

//インスタンスを生成
let bus = CarClass(bodycolor:"Yellow", crew:10)

//クラスのッメソッドを参照
bus.information()

iOSアプリ開発で使用される主なプログラミング言語とは

Swiftの他に、iOSアプリ開発で使用される主なプログラミング言語を紹介します。

Objective-C

Objective-Cは、C言語をベースにオブジェクト指向化された言語です。Swiftが登場するまで、iOSアプリ開発においてはObjective-Cが使用されていました。
Swiftと同じコンパイラ言語です。iOSアプリ開発の事例が圧倒的に多いため、多数のノウハウが存在しています。

JavaScript

JavaScriptは、ブラウザを動かすためのプログラミング言語です。Webサイトを訪問した時のポップアップ画面やカルーセルのように、サイト上でアニメーションが動いているように見せることができます。
Webに特化している言語ですが、iOSアプリも開発でき、汎用性の高さが特長です。

近年では、アプリ開発向けの優秀なフレームワークが多数登場しており、JavaScriptでのクロスプラットフォーム開発環境も整いつつあるため、iOSアプリ開発の使用言語として候補に上がるでしょう。

C#

C#は、Swiftと同じオブジェクト指向言語です。Microsoft社が開発した言語のため、Windows向けのアプリケーション開発に特化しているイメージがありますが、Xamarinというツールを使用することで、iOSアプリとAndroidアプリのクロスプラットフォーム開発に対応できます。

また、Visual Studio for Macもリリースされており、MacでもC#を使った開発を行える点が魅力です。

Python

Pythonは、AIやブロックチェーンの領域で注目を浴びているプログラミング言語です。少ないコードで簡潔にプログラムをかけるほか、専門的なライブラリが充実している特徴を持ちます。
iOSアプリ開発も可能で、Pythonのオープンソースのライブラリである「Kivy」を用いれば、iOSとAndroidどちらのOSでも動くクロスプラットフォーム対応型のアプリ開発が可能です。

クロスプラットフォーム開発ができるものには、Kivyの他にもXamarinという開発ツールや、React Native、Flutterなどフレームワークがあります。

Swiftエンジニアを目指すならエージェントの利用もおすすめ

これからSwiftエンジニアとして転職を考えているのであれば、転職エージェントの利用もおすすめです。転職エージェントでは、条件にあった求人のみを提示してもらえるため、求人検索の時間や手間を大幅に削減できます。

Swiftエンジニアとして、自分の理想の条件を満たす働き方を目指すためには、これまでのスキルや経験が評価されやすい職場を探すことが基本です。
Swiftの学習時間に加え、転職活動の時間も考えると、多くの時間が必要になります。

エージェントの利用により削減した時間をSwiftの学習や転職活動にあてれば、転職が成功しやすくなるほか、早期に転職できる可能性も高まるでしょう。
転職エージェントでは、転職希望者とのカウンセリングを通じて、個人のアピールポイントを明確にします。また、経験やスキルを活かしやすい求人の紹介も、転職のプロフェッショナルならではのサービスです。

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Swiftに関するよくある質問

Q1. Swiftでアプリ開発をするメリットは何ですか?

Swiftでのアプリ開発には多くのメリットがあります。まず、SwiftはAppleによって開発された言語であり、iOS、macOS、watchOS、tvOSなど、Appleの各プラットフォームに最適化されています。これにより、Apple製品のユーザーに向けたアプリ開発が容易になります。

また、Swiftは高速でパフォーマンスが優れており、安全性にも配慮されているため、効率的かつ信頼性の高いアプリケーションの開発が可能です。さらに、Swiftは読みやすく書きやすいモダンな構文を採用しているため、プログラミング初心者にも学びやすく、開発プロセスの迅速化に寄与します。

Q2. Swiftを習得する難易度は高いですか?

Swiftの習得難易度は、他のプログラミング言語と比べ比較的低いと言えます。Swiftは、初心者にも理解しやすいクリーンで直感的な構文を採用しています。これにより、プログラミングの基本概念を学びながら、効率的にSwiftのスキルを身につけることができます。また、Appleが提供する豊富な学習リソースやコミュニティのサポートも、Swiftの学習を容易にしています。

ただし、プログラミング経験が全くない初心者にとっては、基本的なプログラミングの概念を理解することが最初のステップとなります。

Q3. Swiftでは何が作れますか?

Swiftは非常に多様なアプリケーションの開発に使用できる汎用性の高い言語です。主に、iOSデバイス(iPhone、iPad)、macOS(Macコンピューター)、watchOS(Apple Watch)、tvOS(Apple TV)向けのアプリケーションを作成するのに適しています。これには、日常的なユーティリティアプリから、高度なグラフィックスを要するゲーム、ビジネス向けアプリケーション、教育ツール、さらには健康管理やフィットネス追跡アプリなどが含まれます。
また、Swiftのオープンソース性のおかげで、サーバーサイドのプログラミングやクロスプラットフォームの開発にも利用されるようになっています。そのため、Swiftを使えば、幅広い種類のアプリケーションを作成することが可能です。

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