- システムアーキテクトの年収
- システムアーキテクトとは
- システムアーキテクトになるには
- 年収アップに役立つ資格
- さらに年収をアップするためのキャリアパス
- システムアーキテクトに関するよくある質問
- まとめ
システムアーキテクトの年収
システムアーキテクトは上流工程を担当する上級エンジニアです。エンジニアにはさまざまなポジションが用意されていますが、特にプロジェクトの品質や方向性、最も重要な設計などを担うのがシステムアーキテクトといえます。
結論からいうと、システムアーキテクトの年収はエンジニアよりも高い傾向にあります。なぜシステムアーキテクトの年収が高いのか、その理由や年収相場をまずは押さえておきましょう。
システムアーキテクトの年収相場
レバテックキャリアの求人によると、システムアーキテクトの平均年収は約853万円です。この数字は最新求人の中から上位10件の平均を算出したため、最大年収だと1000万円を超えるものもあります。
比較として転職情報提供サイトjobtagを参考にシステムエンジニアの平均年収を見ると、557.6万円とシステムアーキテクトの年収の高さが伺えます。
上流工程を担当するシステムアーキテクトは、そもそも未経験者の採用はほとんどありません。エンジニアとして経験を積みスキルアップした人がキャリアステップとして選ぶために、求人に提示される年収もその分高くなっていると予想できます。
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システムアーキテクトの年収が高い理由
システムアーキテクトの年収が高いのは、仕事内容と需要に理由が集約されます。システム開発の中心的存在であるシステムアーキテクトを理解するためにも、高年収である理由をチェックしてみましょう。
専門性が高く、スキルを求められる
システムアーキテクトは企業の戦略にあわせてシステム全体を設計し、運用までを見据える重要な立場です。
高い技術を持つエンジニアというだけでなく、インフラ構築やセキュリティ知識、データベース管理のノウハウまで広範囲な専門知識が必要不可欠といえます。
また、ビジネスインテリジェンスやデータ分析などの専門スキルが求められるシーンも多く、こうした知識を活用する仕事だからこそ年収が高いといえそうです。
市場で高い需要がある
近年DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が企業の戦略課題となり、より専門的な知識とIT戦略に長けたシステムアーキテクトの需要が急速的に高まっています。
Webサービスやクラウドサービスの普及、AIや機械学習の活用、大規模なデータの扱いなど、企業には技術的課題が多数生まれており、これらを解決するシステムアーキテクトには安定した仕事があるといえるでしょう。
いち早くこの技術的課題を解決するために、企業側は優秀な人材を確保するために高い報酬を設定する傾向にあります。DX化がどのように普及するかによって一概にはいえませんが、このシステムアーキテクトの高需要は今後も続くと予想されます。
システムアーキテクトとは
システムアーキテクトの年収事情を把握したところで、今一度どんな仕事でどのような責任を持つのか、システムアーキテクトについて概要を見ていきましょう。
仕事内容やその流れ、システムエンジニアとの違いを解説します。
システムアーキテクトの仕事内容
システムアーキテクトは「上流工程を担当する」と紹介しましたが、詳しく仕事内容をまとめると「システムの要件定義」「アーキテクチャの設計」「プロジェクトマネジメント」の3つになります。
以下では、それぞれを詳しく解説します。
システムの要件定義
まずはシステム開発において基準となるシステムの要件定義を行います。
システム化計画を実行するためには、ステークホルダーのニーズや要望などを整理し、各機能の重要性を評価する必要があります。技術的な実現可能性やコストも考慮し、可能な限り現実的な計画を立てるのがシステムアーキテクトの仕事です。
要件定義を最適化するには、業務プロセスの深い理解が必要といえます。これまでの経験を活かした幅広い知識と高度なスキルが求められ、後続工程で崩れないような要件定義が望ましいとされています。
システム全体のアーキテクチャの設計
アーキテクトと呼ばれるように、システム全体のアーキテクチャ(構造)設計にも携わるのがシステムアーキテクトの仕事です。
企業には、さまざまな業務を支える数多くのシステムが存在します。これらのシステムを一元化したり、コストダウンやシステム連携によって使いやすくしたり、構築・改善を行うのも業務のひとつです。
システムアーキテクトには、組織として一貫したIT環境の土台を築くことが求められます。深い専門知識と技術力が試され、設計力が必要になるのもこのフェーズです。
開発チームのマネジメント
開発初期から携わるシステムアーキテクトは、要件定義と全体構造の設計をしただけでは業務は完了しません。プロジェクトが終わるまでチームメンバーの進捗管理を行い、計画的に品質が保たれているかのチェックも行います。
プロジェクト進行中は思わぬ技術的トラブルも発生しやすく、計画の変更や改善が必要になるシーンもあるでしょう。こうしたトラブル対応もシステムアーキテクトの業務範囲に含まれます。
システムエンジニアとの違い
システムアーキテクトとシステムエンジニアの違いは、業務の担当範囲にあります。
システムエンジニアがシステムアーキテクトが設計したものをもとに実装するのに対し、システムアーキテクトはビジネスモデルを実現するシステム全体を設計します。
システムエンジニアには技術的・実践的なスキルが求められますが、システムアーキテクトはそれに加えてクライアントの持つビジネスビジョンへの理解やIT戦略など、複合的な知見が求められる職業です。
システムアーキテクトになるには
システムアーキテクトになるには、まず未経験からだとほとんど難しいといえます。エンジニアとして経験を積み、知見と業務範囲を広げ、リーダー経験などを経てキャリアステップするのが一般的です。
また、紹介したようにシステムアーキテクトにはテクニカル面のスキルはもちろん、ITを活用するビジネスシンキングや多数のメンバーを束ねるリーダーシップも必要になります。
システムアーキテクトを目指す人に向けて、必要なスキルをいくつか紹介します。
システムアーキテクトに必要なスキル
システムアーキテクトの仕事内容から考えると「設計スキル」「システム戦略への理解」「コミュニケーションスキル」が必要だといえます。
これら3つのスキルについて、詳しく押さえておきましょう。
システム全般の設計スキル
システムアーキテクトはどのようなシステムが必要かを考え、設計することを中心的な業務としています。そのため、高度なシステム設計能力が求められます。
システムエンジニアだと個々の機能を設計するスキルが必要ですが、システムアーキテクトになるとシステム全体が主な設計対象です。よりシステム・業務全体を見渡す力、高度な知識・スキルが必要になるでしょう。
システム戦略の理解
システムアーキテクトが活躍する企業のDX化では、組織として一貫したITの土台を築く必要があります。そのため、組織のシステム戦略を十分に理解しなくてはなりません。
システムの全体設計には、業務ニーズを満たすだけでなく組織が保有するシステムとして全体の最適化も求められます。設計には戦略の理解が必要不可欠であり、このシステム戦略部分を無視してシステム構築をすると、効率性や開発リソース、メンテナンス効率などに問題が生じるでしょう。
システムアーキテクトに求められるシステム戦略の理解は、専門性の高い知識です。経験の多さと幅広く情報収集する学習姿勢も大切になるため、日頃から意識しておきたいスキルといえます。
コミュニケーションスキル
プロジェクトの初期段階から携わるシステムアーキテクトは、クライアントへのヒアリングとシステム設計における各ステークホルダーへの指示が必要です。社内外とのやり取りが頻繁に行われるポジションのため、全体を理解し言語化できるコミュニケーションスキルは必須といえます。
また、開発には各部門の専門家と技術的な協議を行うこともあります。さまざまな立場の関係者とのコミュニケーションが必要で、臨機応変な態度も求められるでしょう。
年収アップに役立つ資格
システムアーキテクトは高年収ですが、さらに年収を上げるためには資格取得の手段があります。
システムアーキテクトの業務をするにあたって必須資格はないものの、担当する上流工程はクライアントへの信頼も重要です。そのため、資格を持っていると「十分な実力がある」という証明として役立つでしょう。
企業によっては資格手当もあるため、その点でも年収アップにつながるといえます。
ここではシステムアーキテクトに関連した3つの資格試験を紹介するので、業務に必要なものを選んで活用してみましょう。
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験とは、独立法人情報処理推進機構が主催する国家資格です。
この資格があるとシステムアーキテクトの業務内容を理解し、ビジネスに活かすスキル・知識があることを実証できます。
試験では情報システム戦略を具現化する構造設計や要件定義、部下への指導などに活かす内容が含まれます。合格率の低い高難易度試験ですが、その分取得の価値が高い公認性のある資格試験です。
プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験はシステムアーキテクト試験と同じく、国家資格です。
プロジェクトの全体を総括するマネージャとしての資質を高める試験であり、マネジメント能力などを評価します。プロジェクト全体をまとめる立場であるシステムアーキテクトには有効な資格のひとつであり、試験内容は業務にも大きく関わる範囲が含まれています
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験はIT業界全般に向けて必要な情報処理能力を認定する資格です。
IT業界の中では人気の高い資格ですが、主に情報処理に関する深い知識が求められ合格率も低い高難易度の試験といわれています。合格するとITストラテジストとして認定され、高度情報処理技術者であることが証明できるでしょう。
さらに年収をアップするためのキャリアパス
システムアーキテクトとして経験を積み、さらなるキャリアアップを狙うには「ITコンサルタント」「プロジェクトマネージャー」「CTO」などの選択肢があります。
システムアーキテクトよりも責任が大きく、企業のビジネス全体に影響を与えるポジションですが、その分やりがいも大きく高年収が狙える職業です。
以下では、これらの職業について詳しく解説します。
ITコンサルタント
ITコンサルタントとは、クライアントの要望にそったIT分野のシステム導入や業務改善の提案、支援を行う職業です。システムアーキテクトと異なるのは「システムそのものの設計に携わるか」であり、ITコンサルタントは名前の通りコンサルティングに特化したスペシャリストといえます。
ITコンサルタントはシステム全体の設計はもちろん、ビジネス視点でのシステム戦略や企画を担当します。システムアーキテクトとしての経験やスキルが活かせる仕事であり、よりクライアントに利益をもたらす視点が求められます。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーはプロジェクト全体のQCD(品質、コスト、納期)を保つためのマネジメントを行う職業です。システムアーキテクトはややエンジニアよりの立場ですが、プロジェクトマネージャーになると現場最高責任者としてより大きな権限と責任を持ちます。
システム全体の設計スキルはもちろん、クライアントと開発者の両視点を持ちながらプロジェクト全体を見ていく必要があるでしょう。システムアーキテクトで培えるコミュニケーションスキルやビジネス知識などが活かせる職業です。
CTO
CTOとは最高技術責任者を指します。一般的にはスタートアップ企業の創業期にリードエンジニアを経験した人が行きつく最高ポジションとされ、プロジェクトそのものの権限だけでなく実行する企業全体の責任も担うケースがある職業です。
CTOは経営にも参画する企業の幹部であるため、キャリア転職などで就くことは珍しいと考えられます。たとえば大手企業でプロジェクトマネージャーや営業マネジメントも経験したエンジニアが、新規企業のスタートアップ時にCIOを任されることがあります。
システムアーキテクトに関するよくある質問
上級エンジニアと呼ばれるシステムアーキテクトは、高度な専門知識と技術、エンジニアスキルだけでなくビジネス戦略も視野に入れたスキルが求められる高収入の職業です。
「どのくらいの年収なのか?」「システムアーキテクトになるのは難しいのか?」などの質問や、「仕事内容とは?」という疑問をよく聞かれます。
以下では、これらの疑問を解説します。
Q1. システムアーキテクトの平均年収は?
レバテックキャリアの求人によると、システムアーキテクトの平均年収は約853万円です。この数字は最新求人の中から上位10件の平均を算出したため、最大年収だと1000万円を超えるものもあります。
システムエンジニアを含める前線で実装するポジションと比較すると高い年収であり、キャリアステップや上位職種への転職でさらに年収アップも狙えます。
Q2. システムアーキテクトは難しいですか?
システムアーキテクトがなぜ高収入なのかというと、未経験から転職するのは難しく、ほとんどの場合で十分なエンジニアの経験と高いスキル、幅広い専門知識を有した優秀な人材が求められる職業だといえるからです。
このため、誰でもシステムアーキテクトになれるわけではなく、システムアーキテクトへの転職・就職は「簡単ではない」といえるでしょう。
十分なシステム戦略の理解と常に学ぶ姿勢、コミュニケーション能力などのビジネススキルも求められます。
Q3. システムアーキテクトはどんな仕事?
システムアーキテクトは開発プロジェクトにおいて、企業のビジネス戦略を成功させる目的で要件定義を行い、システム全体の企画・設計をする仕事です。開発の初期段階から携わり、企業の持つ課題やビジネス戦略を考えたうえでどのような開発を行うかを提案します。
まとめ
システムアーキテクトは上流工程を担当するエンジニアであり、システムエンジニアよりも深い知識と責任、IT戦略の知識も求められます。技術的なスキルはもちろん、専門性の高いビジネス知識も求められることから高年収の職業です。
年収が高い分責任も大きい仕事ですが、エンジニアとしてより大規模なプロジェクトに参加できるというやりがいもあります。システムアーキテクト以上のキャリアパスもあるため、本記事を参考に自分のキャリアビジョンを設計してみましょう。
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