C++はなぜ難しいのか?理由や習得するメリットを徹底解説

最終更新日:2024年6月28日

C++は「難しい」「学習コストが高い」といわれているプログラミング言語です。実際、C++は覚えるべきことが多くて文法も複雑であり、習得は簡単ではありません。一方、C++は汎用性が高く、さまざまなことにチャレンジしたいエンジニアにとっては学習しがいのある言語です。本記事では、C++が難しいとされる理由や、学習するメリット、効率的な学習方法について解説していきます。

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この記事のまとめ

  • C++の習得が難しい理由としては「覚えることの多さ」「書くことの多さ」「ポインタの存在」などが挙げられる
  • C++を習得すると「IT技術の深い部分が理解できる」「さまざまなことにチャレンジできる」などのメリットがある
  • C++を効率的に習得するには「目的を明確にする」「基礎を固めてから進む」ことがポイント

C++は習得が難しいプログラミング言語のひとつ

「C++」と検索すると「難しい」というワードが多くサジェストされます。実際、C++は数あるプログラミング言語の中でも習得が難しい言語のひとつです。

C++はC言語にオブジェクト指向などの機能を追加して生まれました。そもそも、ベースとなったC言語自体が、覚えることが多く学習難易度の高い言語です。さらに、さまざまな機能が追加されているC++となれば、習得が難しいとされるのも当然です。

そのため、「なんでも良いからプログラミング言語を習得したい」と考えている初心者の方には、C++はおすすめできません。その難しさから、プログラミングに挫折してしまう恐れが大きいでしょう。

しかし、C++は難易度が高い分、ほかのプログラミング言語では実装が難しい、あるいはできないことを実装できます。また、処理速度が速い点や、機械の制御に強い点などもメリットです。

複雑なことを実装したいエンジニアや、プログラミング言語を習得してさまざまなことにチャレンジしたい方にとっては、学び甲斐のある言語といえます。

関連記事:C++とはどんな言語?特徴やC言語との違いをわかりやすく解説

C++の習得が難しい6つの理由

C++は習得するのが難しいとされる理由を6つ紹介します。

覚えることが多い

C++はC言語を拡張したプログラミング言語です。そのため、「C言語」の文法と「C++で追加された機能」の両方を覚えなくてはいけません。さらに、C言語の文法自体も複雑です。

Pythonを始めとする現代的なプログラミング言語は、パソコンやスマートフォンが普及した現代社会に向けて開発されました。どこでどのように使われるのか、ある程度のイメージをもとに作られているため、文法がシンプルで洗練されています。覚えることも少なく、感覚的にプログラミングを始められる点が特徴です。

一方、一般家庭にパソコンすらなかった時代に生まれたC言語は、さまざまな使われ方が想定されていました。できることの幅が広い分、多くの決めごとがあります。これらの決めごとを覚えていかなければ、複雑なプログラムを書けません。

C++ではさらに多くの機能が追加されているため、C言語以上に覚えるべきことが多くあります。学習を開始してから、ある程度のプログラムが書けるようになるまでかなりの時間がかかるでしょう。

書くべきコードの量が多い

コードが長く複雑な点も、C++が難しいとされる理由です。

Pythonで「Hello World」と表示するプログラムを記載する場合、以下のようになります。

print('Hello World')

一方、同じことをC++で実装するためには、以下のようなプログラムを書く必要があります。

#include
int main()
{
std::cout << "Hello World" << std::endl;
return 0;
}

Pythonであれば1行で書けるプログラムも、C++では複数行におよびます。ほかの言語に慣れているエンジニアにとっては、C++での記述は面倒で難しく感じてしまうでしょう。

当然ですが、それぞれの行には意味があり、省略はできません。また、C++を完璧に理解するためには、各テキストの意味や細かい使い方を学ぶ必要もあります。

読みやすいプログラムを書くことが難しい

Pythonなどのプログラミング言語では「オフサイドルール」が適応されています。同じ機能であれば、誰が書いても同じようなプログラムとなります。書かれたプログラムが自然に読みやすくなる点が大きなメリットです。

一方、C++はプログラムの書き方に特別な決まりがありません。そのため、プログラミング初心者がとりあえず動くプログラムを書いた場合、非常に読みにくいプログラムになる恐れがあります。個人で楽しむためのプログラムであれば問題ありませんが、仕事で使うプログラムとしては、保守性の観点から大きな問題となるでしょう。

C++で読みやすいプログラムを書くためには、コーディングルールを定め、それを守りながらプログラミングを行う必要があり、高いスキルが必要となります。

「ポインタ」を理解する必要がある

C言語最大の特徴であり、難関ともいえるのが「ポインタ」です。ポインタはC++にも引き継がれています。

ポインタは、メモリの値を直接参照できる強力なツールですが、それだけに使いこなすことは簡単ではありません。また、ミスをすれば重大なバグを生み出す危険性もあり、C言語やC++を初めて学ぶ人が戸惑いやすい部分です。

JavaやRuby、Pythonなど、一般的に使われているプログラミング言語では、ポインタやそれに類する機能は基本的にありません。そのため、ほかの言語を習得しているエンジニアであっても、C言語やC++を難しく感じやすいようです。

自由度が高過ぎるため混乱しやすい

C++の自由度の高さも、習得や理解を難しくしている部分です。JavaScriptであれば、Webページの開発が主な用途であるため、各種機能の使い方を想像しやすく、比較的簡単に習得できます。

一方、C++で実装できることは多岐にわたります。プログラムで実現できるほぼすべてのことを、C++で実装可能といっても過言ではありません。目的を持たずにC++を学ぶと、「この機能はどういったシーンでどのように使うの?」と悩むこともあるでしょう。

エラーメッセージが親切とはいえない

プログラミングにエラーはつきものですが、エラー箇所の特定が難しいことも、C++の習得が困難である理由のひとつです。

コンパイル型言語であるC++は、コンパイル時にエラーと向き合うことになります。一般的に、コンパイル型の言語はインタープリタ型の言語と比較して、エラー箇所の特定が困難です。

さらに、C++でのエラー箇所特定を難しくしているのが、エラーメッセージです。エラー箇所の特定には、ある程度の慣れを必要とします。現代的なプログラミング言語に慣れている方は、特に難しく感じてしまうでしょう。
 

C++は習得が難しいが学ぶメリットも多い

ここまで述べてきたとおり、C++の習得の難易度は高いといえます。一方、現代でも多くの現場で用いられていることからわかるように、C++にはメリットも多いため、身に着けられればとても便利です。本章では、エンジニアがC++を学習するメリットについて解説します。

C++を習得すればITに関する知識が深まる

C++は「メモリにアクセスできる」「機械の制御に強い」「処理速度が速い」などの特徴があり、習得すればITエンジニアにとって強力なツールとなります。

それらを可能としているのが、C++に実装されているメモリやハードウェアの制御機能です。C++を習得できれば、メモリの制御やハードウェアの制御など、IT全般に関する深い知識が自然に身につくでしょう。
AIやロボットの開発など、最先端の分野でC++が使われている理由のひとつは、ITの深い部分から制御できるからです。そうした背景から、C++はITの根幹ともいえるOSの開発でも使用されます。

C++エンジニアは一定の需要があり将来性が期待できる

C++が生まれたのは1983年と比較的古い言語です。しかし、処理速度の速さなど多くのメリットがあることから、現代でも多くの現場で使われています。

レバテックキャリアの求人数を見ると、C++エンジニアの求人は1,791件あります。(2023年11月時点)。多くの現場で使われているJavaの求人数6,886件や、Pythonの求人数4,568件と比較しても、少ない求人数ではありません。求人数の多さは、転職を希望しているエンジニアにとって魅力的でしょう。

また、C++にはさまざまな現場で活用されてきた実績があります。C言語との互換性があるため、C言語で作られたシステムの改修にもC++は用いられます。C言語やC++で作られたシステムの保守や改修の仕事は今後も続くでしょう。

こうした背景から、C++エンジニアは今後も一定の需要があると考えられます。将来性の高さは、これからC++を学びたいエンジニアにとって大きなメリットです。

C++を習得すればさまざまなことにチャレンジできる

C++は汎用性が高く、プログラミングで実装できるほぼすべてのことをカバーしています。また、処理速度の速さも大きな特徴です。

そのため、大規模システムの開発、ロボットや機械の制御、AIの開発、組み込みシステムシステムの開発など、あらゆる分野で利用されています。C++を習得すれば、こうしたさまざまな分野にチャレンジできるでしょう。可能性の幅を広げたいエンジニアにとって、C++は魅力的な言語のひとつです。

C++を効率的に習得するためには

C++は習得の難易度が高い言語ですが、その分習得すればエンジニアとして大きくステップアップできます。ここでは、C++を効率的に習得するために意識しておきたいポイントを紹介します。

目的をはっきりとさせる

C++は多くの機能を持っており、できることは多岐にわたります。ただ漫然とC++を身につけたいと思って学習を始めると、その自由度の高さから「どこから学習するべきか」「どこまで学習すればよいか」がわからず、挫折につながります。

まずは「ロボットの制御に挑戦してみたい」「組み込み向けのシンプルで研ぎすまされたコードを書きたい」など、具体的な目的を決めましょう。目的を明確にすることで、率先して学ぶべきことが見えてきます。

基礎を固める

C++は複雑な言語であるため、まずは基本的な構文やプログラムの構造への理解が重要です。変数、データ型、演算子、制御構造(if文、ループなど)から始め、基礎をしっかりと固めておきましょう

また、オブジェクト指向の理解も、C++の基礎となる部分です。オブジェクト指向のプログラミング言語を初めて触る方は、クラス、オブジェクト、継承、ポリモーフィズムなどオブジェクト指向の概念についてもある程度理解しておきましょう。

ただし、オブジェクト指向はわかりづらいため、完璧に理解しようとすると先に進めなくなるおそれがあります。ある程度理解できたと実感した段階で、先に進むことも重要です。

実践を重視する

基礎が固まったら、実践を重視して学ぶのがおすすめです。覚えた機能を使って小さなプログラムを書いてみましょう。コツコツとコーディングを続けていれば、徐々に複雑なプログラムを書けるようになります。

なお、複雑なプログラムではエラーが発生しやすくなりますが、エラーを解決する過程で学ぶことも多くあります

デバッグスキルを養う

C++のプログラミングにある程度慣れてきたら、Visual C++などの統合開発環境も利用してみましょう。特に、デバッガーを利用してのデバッグスキルは、開発現場で必須ともいえる能力です。エラー箇所の特定がうまくなれば、より効率的に開発を進められるようになります。

標準テンプレートライブラ((STL)を使用する

C++で効率的な開発を行うためには、標準テンプレートライブラリ(STL)の利用が欠かせません。STLにはデータ構造やアルゴリズムが豊富に用意されており、開発を手助けしてくれます。STLについて学び、適切に利用することで、効率良くプログラムを書けるようになるでしょう。

定期的な練習を行う

習得したスキルは、定期的に使わないと忘れてしまいます。せっかく覚えた知識を無駄にしないためにも、復習が大切です。

復習にはLeetCodeやHackerRankなどの、コーディングに関する問題を解くサイトの利用がおすすめです。練習問題に取り組むことで、スキルを保持できます。

また、プログラミングの自己学習では、自分で決めた要件を解決していくことが主になりますが、第三者が決めた要件をクリアしていくこともスキルアップにつながります。

プロジェクトベースで学習する

より実務的なC++の技術を身につけたい場合は、実際のプロジェクトを通じた学習がおすすめです。オープンソースプロジェクトへの貢献など、実務的なプログラミングを学ぶチャンスは多々あります。自分自身でプロジェクトを立ち上げるのも有効です。

なお、プロジェクトベースでの学習は、ある程度C++のプログラミングスキルが身についていることが前提となります。

公式ドキュメントや参考書を参照する

C++を体系的に学ぶには、公式ドキュメントと参考書の併用がおすすめです。公式ドキュメントはある程度の知識があることを前提に書かれており、初心者ではとっつきにくく感じる部分もありますが、C++の参考書がそれを補ってくれます

C++は歴史が長く、ユーザー数も多いため、さまざまな参考書が販売されています。プログラミング入門者向けから、ITエンジニア向けまで幅広いラインナップがあるので、自分のレベルに合った書籍を見つけられるでしょう。

なお、独学で理解できない機能があるときは、オンライン上に開示されている実際のソースコードをチェックしてみましょう。実際のコードを細かく読み解くことで、機能の概要や実際の使い方を理解できるようになります。

C++コミュニティに参加してみる

C++は難易度が高いため、学習しているとどうしてもわからないことが出てくるかもしれません。そこで、C++コミュニティに参加して、質問したり情報を収集したりするのがおすすめです。

歴史の古いC++は、国内外にさまざまなコミュニティが存在しています。C++に関するさまざまな情報がやり取りされているため、問題解決の糸口を得られる可能性があるでしょう。

C言語の資料も参照する

C++はC言語から派生した言語です。そのため、C++に関する資料はC言語を知っている前提で書かれているものも少なくありません。C++の資料や書籍で意味がわからないと感じたときは、C言語の資料を参照すると答えに辿りつけるケースもあります。C言語の有名な書籍なども手元においておくと良いでしょう。

C++の勉強方法については、「C++の勉強方法は?おすすめの本やWebサイト、基本文法なども紹介」の記事でも詳しく解説しています。
また、スキルの把握のために資格を取得したいという方は、「C++の資格とは?プログラミング能力を強化するための鍵」も参考にしてみてください。

転職を意識しているならエージェントの利用も視野に入れる

C++はさまざまな分野で用いられており、ITのより深い部分に携わりたいエンジニアにとっては魅力的なプログラミング言語です。一方、技術力だけを身につけても、転職がうまくいくとは限りません。

転職を成功させるには、適切な求人情報を見つけ出して企業が求める人材像を理解し、スキルや強みを効果的にアピールする必要があります。現職を続けながら、C++の学習と並行して転職活動を進めるのは、かなりの時間と労力がかかるでしょう。

そこでおすすめなのが、ITに特化したエージェントの利用です。転職エージェントでは、自分のスキルや希望にマッチする求人情報のみを抽出してもらえます。また、職務経歴書や履歴書などの書類作成のサポートを受けられることもメリットです。

転職活動の負担を軽減できれば、C++の技術習得に多くの時間を割けるため、より良い条件での転職につながるでしょう。

関連記事:C++エンジニアの転職は難しい?将来性や需要、年収などを解説

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