Kotlinの概要・特徴とできること
はじめに、Kotlinとはどのような言語なのか、特徴やできることを解説します。
Kotlinとは
Kotlinとは、2011年に登場した、主にAndroidアプリを開発するためのプログラミング言語です。Kotlinが登場する前は、Androidアプリの開発にはJavaが多く使われていました。以下で、Kotlinの3つの特徴を見ていきましょう。
Javaに比べてコードの記述量が少ない
Kotlinは、Javaよりもシンプルなコードで記述できます。たとえば、Javaでは行末には必ずセミコロンが必要ですが、Kotlinでは改行することで“行末である”と判断されるため、セミコロンの省略が可能です。記述量を減らせるとともに記述ミスも少なくなるため、バグが起こりにくくなり、より質の高いアプリ開発につながります。
スピーディな開発が可能
コードの量が少なく素早く記述できる分、スピーディに開発を進められます。短期間でアプリを完成させ、いち早く市場に投入したい場合にもKotlinは重宝されています。
Javaとの連携が可能
Kotlinは、Java仮想マシン(JVM)上で動作するため、Javaとの共存・連携が可能です。すでにJavaで作られているアプリに、Kotlinで新規機能を追加することもできます。
Kotlinでできること
次にKotlinでできることを解説します。
Androidアプリ開発
Kotlinは、GoogleがAndroid開発の公式言語に指定しているため、Androidアプリの開発で多く使用されています。KotlinのオフィシャルサイトのAndroid Developersページには、Kotlinでのコードサンプルや開発事例などが紹介されており、「Twitter」「Yahoo!」「NETFLIX」「Kindle」「LINE」などが代表例です。
Webアプリの開発
Kotlinは、さまざまなフレームワーク(システム開発をサポートするツールや仕組み)を使うことで、Webやデスクトップなどのマルチなアプリ開発も可能です。
サーバーサイドの開発
サーバーサイドの開発でもKotlinは用いられます。現在サーバーサイドの開発にはJavaが広く使われていますが、追加や修正でKotlinが使用されるケースも多いです。Javaのフレームワークを活用することで、Kotlinを使ったサーバーサイドの開発がしやすくなります。
また、サーバーサイドをKotlinで開発すると、フロントエンドのAndroidのプログラミング言語と同じにできるため、エンジニアのスキルを統一できるメリットもあります。
Kotlinの採用事例
Kotlinはどのようなサービスで採用されているのでしょうか、採用事例とKotlinを採用したことによる効果を紹介します。
「生産性とコードの信頼性が向上」
Twitter は、世界的に有名なSNSのひとつです。
Kotlinの使用により、アプリのコード量が削減され、プログラミングの生産性が大幅に向上しました。具体的には、データクラス、シールクラス、デフォルトパラメータなどの言語機能を使用することで、コードの記述量を減らして開発時間を短縮するとともに、メンテナンスの対応工数も削減できました。
また、コンパイル時のnullチェックなどの安全性機能によって、エラーを事前に処理できるようになり、コードの信頼性も向上しています。
スマートニュース
「コード行の20%減による効率化で開発チームの士気が向上」
スマートニュースは、最新のニュースや生活に役立つ情報をスマートフォンで手軽に見ることができるアプリです。
スマートニュースの開発にKotlinを採用することで、コード量が20%削減でき、生産性が向上しました。現在では、すでに約半分のコードがKotlinに移行しており、今後の機能もすべてKotlinでの実装が予定されています。
開発の効率化により、チームのモチベーションアップにつながり、メンバー一人ひとりがさまざまなアイデアを具現化できるようになりました。
Duolingo
「JavaからKotlin への完全移行でコード行が平均30%削減」
Duolingo は、世界中で高い人気を誇る言語学習アプリです。無料で利用でき、Google Playでのダウンロード数は2億回を超えています。
Duolingoは、当初Javaで作られていましたが、リリースから2年後にはKotlinへの移行を完了しています。移行後は、各プログラムのコード行数が平均30%減少しました。なかには90%減少したプログラムもあります。開発者の満足度も向上し、現在もアプリは進化・拡大しています。
参考:Android Developers Kotlinデベロッパーの事例
Kotlinは学習すべき?メリットとデメリットを紹介
Kotlinに興味はあるものの、学習すべきかどうか悩んでいる方もいるのではないでしょうか。Kotlinの学習にはどのようなメリット・デメリットがあるのかを解説します。
関連記事:Kotlinのメリット・デメリットとは?今後も使われていく言語なのか解説
Kotlinを学習するメリット
求人数が多い
Kotlinの求人数は増加傾向にあり、レバテックキャリアのサイトでは約1,542件の募集があります。今後もますますKotlinの需要は高まっていくでしょう。他の求人サイトでも多くの募集がありますが、Javaや他の言語とともに募集されているケースがほとんどです。
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Javaとの連携で使う機会が多い
前述のとおり、KotlinはJavaとの連携が可能です。Javaで開発されたプログラムの既存コードはそのままで、新規機能はKotlinで開発することもできます。今後、Javaで開発された多くのアプリに対する修正・追加に、Kotlinが活用される機会が増えていくでしょう。
Googleのサポートが充実している
Kotlinは、GoogleがAndroid開発の公式言語として採用したことで、Android開発者はGoogleからの強力なサポートを受けられるようになりました。具体的には、開発ツールAndroid Studioによるサポートや、オンライン学習コースなどが提供されています。
シンプルなコードで書きやすい
Kotlinは文法がシンプルで記述量が少ないため、開発の負担を軽減できます。初心者にもコードが読みやすく、比較的習得しやすいでしょう。
Kotlinのデメリット
Javaに比べると利用場面がまだ少ない
Kotlinは、Androidアプリの開発を主な目的としており、Javaのように利用場面は多くありません。また、海外に比べると日本ではAndroidのシェア率が低く、Kotlinを扱えるエンジニアもまだ少ないのが現状です。しかし、今後日本でもAndroidのシェアが高まったり、Androidアプリ開発以外にもKotlinが使用される機会が増えたりする可能性は十分にあります。
日本語の情報が少ない
Kotlinは2011年に登場した比較的新しい言語です。そのため、Javaに比べると日本語の情報サイトやドキュメントが多く存在しません。しかし、今後Kotlinでの開発事例が増え、Androidアプリ開発における主流言語になれば、日本語の情報も増えていくと予想されます。
Kotlinの学習方法
Kotlinは、もともとJavaを扱いやすいように改良して開発されました。比較的学習のハードルが低く、初心者にもおすすめの言語といえます。Kotlinのスキルを身につければ、Javaも覚えやすくなるでしょう。また、すでにJavaのスキルがある人にとっては、Kotlinは容易に習得できるはずです。ここでは、プログラミング経験者と未経験者別に、おすすめの学習方法を紹介します。
経験者向けの学習方法
何らかのプログラミング言語をマスターしている経験者であれば、書籍やGoogle公式サイトの活用がおすすめです。公式サイトには、さまざまな事例が紹介されているほか、Kotlin のプレイグラウンドという、実際のコードを入力・実行できる画面も用意されているため、すぐに実践できます。
未経験者向けの学習方法
未経験者がスキルをしっかりと身につけるためには、プログラミングスクールに通うことが近道でしょう。コストはかかりますが、提供されたカリキュラムに沿ってプロの講師が指導してくれるため、確実に短期間でスキルが身につきます。
プログラミング勉強会を活用して学習する
プログラミング勉強会を活用してKotlinを習得する方法もあります。勉強会では、プログラミングに詳しい方にコツを聞いたり、一緒に作業したりすることができるため、経験者・未経験者どちらにも役立つでしょう。
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Kotlinに関するよくある質問
Kotlinに関するよくある質問と回答を紹介します。
Q1. Kotlinでできることは何ですか?
KotlinでできることはAndroidアプリケーションの開発です。他のアプリケーション開発も可能ですが、基本的にはAndroidのアプリケーション開発に特化したプログラミング言語です。
Q2. Kotlinに将来性はありますか?
Androidアプリケーション開発では、JavaからKotlinへの移行が進んでいます。新規開発案件はKotlinを使用する方が一般的になっているでしょう。今後はAndroidアプリケーション開発以外でも、Javaの代わりにKotlinが使われる機会も増える可能性があります。
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Q3. Kotlinの欠点はなんですか?
KotlinはJavaから派生した言語として使われてきたので、Javaのライブラリを引用する仕様になっています。Kotlin自体のライブラリは少ないということです。また新しい言語であるため、たとえばJavaと比べると情報量は少なめです。情報量が少なくても学習には問題ありませんが、エラーハンドリングなどで苦戦する可能性があるでしょう。
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