ITアーキテクトの業界・事業規模・地域別の年収は?キャリアパスも解説

最終更新日:2024年9月25日

ITアーキテクトは企業戦略に合わせたシステムの全体図を構成する仕事であり、システムエンジニアからキャリアアップする方が多いです。昨今ではシステムの複雑化に伴い、設計書を作成する前に全体図を示す必要性が大きくなり、ITアーキテクトの需要も高まっています。

本記事ではITアーキテクトの年収について解説します。業界・事業規模・地域別の平均年収・中央値を紹介し、また、ITアーキテクトになるまで・なった後のキャリアパスや、年収を上げるポイントについても触れています。

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この記事のまとめ

  • 業界や事業規模、地域によって差はあるものの、ITアーキテクトの年収はアプリケーションエンジニアやインフラエンジニアなどに比べると高い傾向にある
  • ITアーキテクトの仕事は、需要が高まっているうえに要求されるスキル・経験が多いことから、他職種よりも年収が高めになっている
  • 給与交渉を行ったり最新技術を身につけて市場価値を高めたりすることで、ITアーキテクトは更に年収を高めることができる

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ITアーキテクトの年収

ITアーキテクトの年収データを紹介します。業界・事業規模・地域別の年収をまとめました。また、ITアーキテクトと他のITエンジニアの年収の違いについても解説します。

そもそもITアーキテクトとは?

ITアーキテクトは情報処理推進機構(IPA)の「ITスキル標準(ITSS)」が定義したITエンジニア職の1つです。ITSSではシステムエンジニア(SE)やプログラマー(PG)などではなく、ビジネスの実状に沿うようにして11の職種に分けています。

ITSSはITアーキテクトを「ビジネス及びIT上の課題を分析し、ソリューションを構成する情報システム化要件として再構成する」職種と説明しています。「顧客の企業戦略を分析し、システムの全体図を描く仕事」と言えます。

関連記事:ITアーキテクトとは?求められるスキルや資格、年収などを紹介

ITアーキテクトの3つの専門分野

ITアーキテクトは次の3つの専門分野に分かれます。基本的に3つ全ての領域を把握している必要があり、そのうえでどれか1つの分野に特化できると、替えが利かない人材を目指せます。

・アプリケーションアーキテクチャ
ビジネス課題を分析し、アプリの機能・仕様を設計する

・インテグレーションアーキテクチャ
システム同士の連携・統合関連の分析・設計を行う

・インフラストラクチャアーキテクチャ
ビジネス課題を分析し、ネットワークなどのインフラを設計する

※参考:独立行政法人情報処理推進機構 ITスキル標準 職種の概要と達成度指標(4)ITアーキテクト

業界別の年収比較

レバテックキャリアの掲載求人をもとに集計した業界別の年収データは下記のとおりです。

業界 平均年収 想定年収 中央値
全業界 773万円 400万円~1,500万円 775万円
インターネット 838万円 405万円~1,700万円 775万円
ソフトウェア 745万円 400万円~1,500万円 750万円
SIer 769万円 430万円~1,200万円 808万円
クラウドサービス 773万円 387万円~1,400万円 760万円
人材・教育 929万円 339万円~2,000万円 876万円
コンサルティング 877万円 400万円~1,500万円 875万円

業界によってITアーキテクトの年収には差があり、特に年収が高いのは人材・教育やコンサルティングです。IT・通信以外の分野では、エンジニアの人手不足やその分野の業界知識も求められることから、平均年収が高いと推察されます。

事業規模別の年収比較

続いて、事業規模別の年収です。一般的には事業規模が大きい企業ほど年収が高くなる傾向がありますが、レバテックキャリアの求人では事業規模と年収との相関関係は見られませんでした。

事業規模 平均年収 想定年収 中央値
全事業規模 773万円 400万円~1,500万円 775万円
従業員数100名未満 780万円 360万円~2,000万円 756万円
従業員数100名以上
1,000名未満
821万円 450万円~1,700万円 800万円
従業員数1,000名以上 650万円 400万円~1,200万円 710万円

従業員100名以上1,000名未満がもっとも年収が高い一方で、事業規模の小さいベンチャーでも高い年収を提示する傾向が見られました。特に従業員数100名未満の企業は、優秀な人材を引きつけるために高い給与を提示していると推察されます。

地域別の年収比較

レバテックキャリアの掲載求人をもとに、求人数が特に多い地域をまとめた年収データは下記のとおりです。

地域 平均年収 想定年収 中央値
全国域 773万円 400万円~1,500万円 775万円
東京 878万円 495万円~1,400万円 877万円
大阪 667万円 300万円~1,500万円 628万円
福岡 765万円 300万円~2,000万円 763万円

物価の高い東京が平均年収ももっとも高いという結果でした。ITアーキテクトだからというわけではなく、元々の地域の年収差による結果だと推察されます。

他の職種との年収比較

レバテックキャリアの掲載求人をもとに集計した職種ごとの年収データは下記のとおりです。

職種:ポジション 仕事内容 平均年収 想定年収 中央値
ITアーキテクト システムの全体図
を構成
773万円 400万円
~1,500万円
775万円
アプリケーション
エンジニア
業務アプリや
Webアプリなど
の開発
632万円 336万円
~1,200万円
623万円
インフラエンジニア システムが稼働
するインフラの
構築・管理
697万円 350万円
~1,449万円
650万円
プロジェクト
マネージャー
システム開発の
プロジェクトの
マネジメント
713万円 600万円
~800万円
713万円
ITコンサルタント ITを活用して
企業課題を解決
878万円 440万円
~1,500万円
860万円
CTO
※平均年収などの
データはCTO候補
技術戦略に
関する意思決定
744万円 400万円
~1,500万円
700万円

ITアーキテクトはアプリケーションエンジニアやインフラエンジニアからキャリアアップすることが多く、他のITエンジニア職と比較して年収が高くなっています。ITアーキテクトのポジションは技術力だけでなく、ビジネス戦略や全体設計を見据えた判断力が求められるため、責任の重さが年収に反映されていると考えられます。

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ITアーキテクトの年収が決まる要因について

ITアーキテクトの年収が決まる要因としては次の3つが挙げられます。各要因の詳細について、詳しく解説していきます。


  • ・経験年数

    ・保有資格

    ・専門スキル

経験年数

エンジニア経験が長くなればそれだけ多くのプロジェクトで活躍できる機会が増え、そこで成果を出せば年収アップに繋げられます。多岐にわたるプロジェクトで幅広い経験を積めば、柔軟な対応が可能になります。

たとえば顧客のITリテラシーが低いために要件を引き出せない場合、要件定義の経験豊富なITアーキテクトは、大まかなシステムのイメージ図を描くなどして顧客の理解を促すなど対処方法を知っており、成果に繋げることが可能です。

保有資格

資格を取得することでITアーキテクトとしてスキルがあることを証明できれば、昇格や年収アップに繋がります資格取得の学習を通してシステム構築や開発に必要となる要件の分析、システムのセキュリティ確保など、ITアーキテクトにとってコアとなるスキルを身につけることができ、実務で更に活躍が見込めます。

ITアーキテクトにおすすめの資格

ITアーキテクトを目指すならまず「システムアーキテクト試験」に合格したいところです。システムアーキテクト試験は、ITアーキテクトという職種を定義した情報処理推進機構(IPA)が提供している国家試験で、情報処理技術者試験の1区分となっています。その他、同じく情報処理技術者試験から以下の資格も保有すると、年収アップに繋げることができます。

・プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトのマネジメントスキルを得られる

・ITストラテジスト試験
経営戦略に基づいてIT戦略を検討するスキルを得られる

関連記事:ITアーキテクトに役立つ資格とは?仕事内容や役割もあわせて解説

専門スキル

ITアーキテクトとしての高度なスキルを保有し、面接でそれを効果的にアピールできれば、転職時の年収を高められます。また、転職後も専門スキルを活かせる仕事を任せられるでしょう。そこで顧客満足度の高いシステムを開発するなどの成績を収めれば、給与交渉時に有利に立ち回れます。

ITアーキテクトに必要なスキル

ITアーキテクトの仕事は、顧客の企業戦略を把握・分析し、システムの全体図を描くことです。顧客の企業戦略を把握・分析するには以下のスキルが必要となります。

  • ・コミュニケーションスキル

    ・ヒアリングスキル

    ・分析スキル

    ・ビジネス知識

    ・ネゴシエーションスキル

加えてシステムの全体図を描くためには以下のスキルが必要となります。

  • ・モデリングスキル

    ・システム設計スキル

    ・IT技術に関する幅広い知識

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ITアーキテクトの年収が他職種と比べて高い理由

ITアーキテクトは他職種と比べて年収が高い傾向があります。年収が高い理由としては、次の4つが挙げられます。


  • ・需要が高いため

    ・高度なスキルを要求されるため

    ・上流工程を担うため

    ・責任が重い仕事であるため

需要が高いため

ITアーキテクトが分かりやすい全体図を描くことで、顧客と開発者の間に認識の齟齬が生まれにくくなり、顧客の要望が正しく反映されたシステムを開発できます。ビジネスとITの橋渡し役ができる人材は多くの会社で必要とされています。

高度なスキルを要求されるため

ITSSでは職種ごとに必要なスキルレベルを規定しています。ITアーキテクトの場合、7段階中4〜7となっていて、非常に高度なスキルが要求されます。高度なスキルを保有している人材は希少性が高いため、年収もアップしやすいと言えます。ITアーキテクトの場合は特に、ビジネスと技術の両方が必要なためより希少性が高くなります。

参考:独立行政法人情報処理推進機構 6.ITスキル標準とは -キャリアフレームワーク

上流工程を担うため

ウォーターフォール開発は「企画」「要件定義」「設計」「開発」「テスト」という流れで行われますが、ITアーキテクトは主に「要件定義」「設計」で活躍します。下流工程よりも上流工程に関わる仕事の方が年収は高くなる傾向があります。ITコンサルタントやプロジェクトマネージャーも上流工程に該当しますが、これらの職種も年収が高めです。

責任が重い仕事であるため

責任が重く精神的な負担が大きい仕事は年収が高くなりやすいです。ITアーキテクトのミスはプロジェクト全体に大きく関わってきます。たとえば「要件定義」「設計」の段階で不備があるのにもかかわらず開発段階に入ると、開発途中で大幅な方針転換をしないといけなくなり、工数が多くかかってしまいます。

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ITアーキテクトになる・なった後のキャリアパス

続いて、ITアーキテクトになる前後のキャリアパス例を紹介します。ITアーキテクトを目指す場合、次のようなキャリアを歩むエンジニアが多いです。


  • ・プログラマーなどの仕事で開発経験を積む

    ・システムエンジニアに昇格する

    ・スキルを高めITスペシャリストを目指す

    ・ITアーキテクトに昇格する

    ・プロジェクトマネージャーなど更にキャリアアップを目指す

1. プログラマーなどの仕事で開発経験を積む

ITアーキテクトになるためにはプログラマーやアプリケーションエンジニアとしての開発経験が必要です。最初からITアーキテクトとしてのキャリアをスタートすることは難しいため、開発経験やテスト経験を積んだ後に、上流工程の仕事に昇格することを目指します。

2. システムエンジニアに昇格する

システムエンジニアの役割は、システム開発の要件定義および設計書の作成です。プログラマーとは違い、設計書を書くための文章力や顧客から要件を聞き出すヒアリング力が求められます。開発業務を行いながら、独学やセミナーなどでこれらのスキルを身につけておくと、キャリアアップに繋がります。

3. スキルを高めITスペシャリストを目指す

ITスペシャリストとは、IT関連の特定の専門技術を保有しているエンジニアを指します。その中でITアーキテクトには、システムの全体図をゼロベースから描いたり、技術スタックを選定したりする高度なスキルが必要です。小規模なプロジェクトのリーダーとして経験を積むことで、より高度なスキルを取得することを目指しましょう。

4. ITアーキテクトに昇格する

ITアーキテクトになるには、IT技術だけでなくビジネス視点で物事を考える力も必要です。顧客のビジネス課題を分析し、顧客が最大限成果を得られるシステムを構築するためには、ビジネスの理解が欠かせません。そこで、システムアーキテクト試験などの資格を通じてビジネス視点を身につけるのがおすすめです。ITスペシャリストレベルの技術力に加え、ビジネス視点を身につけられると、ITアーキテクトへの道が開けます。

5. プロジェクトマネージャーなど更にキャリアアップを目指す

ITアーキテクトとしてのキャリアを積んだ後は、プロジェクトマネージャーやITコンサルタント、さらにCIOやCTOといった最高責任者のポジションを目指すことができます。
プロジェクトマネージャーには予算管理や人員の選定・評価といったスキルが必要になり、ITコンサルタントは企業課題をより深く分析し、具体的な解決策を提案できるスキルが求められます。それぞれのステップに必要なスキルを磨きながら、キャリアを進めていくことが重要です。

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ITアーキテクトが年収を上げるためのポイント

最後に、ITアーキテクトが年収を上げるポイントを紹介します。ポイントは次の3つです。


  • ・給与交渉を行う

    ・最新技術を身につけて市場価値を高める

    ・転職エージェントを活用して転職する

給与交渉を行う

現在の給与が自分の市場価値や技術レベルに見合っていない場合、給与交渉することをおすすめします。自分の過去の実績やスキルレベルが分かるエビデンスを提示し、求められた役割以上の成果を出している点をアピールすることで給与が上がる可能性があります。たとえば「過去のプロジェクトで顧客の売上が10%ずつ上がっている。ITアーキテクトで自分と同じ程度の実績を出している人は、これぐらいの給与をもらっている」などと具体的にアピールしましょう。

最新技術を身につけて市場価値を高める

最新技術を取り入れたシステムは、企業の売上アップや業務効率化に大きく貢献する場合が多いです。たとえばAIやIoT、クラウドなどの技術が該当します。最新技術を取得したエンジニアは企業に貢献できる人材であるため、市場価値も高くなります。

転職エージェントを活用して転職する

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この記事の監修

レバテックキャリア編集部

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