- Kotlin(コトリン)とは
- Kotlinの特徴
- Kotlinはオワコン?需要と将来性
- Kotlinを利用するメリットとデメリット
- Kotlinの学習方法
- Kotlinエンジニアの年収
- Kotlinエンジニアへの転職はエージェントの利用もおすすめ
- Kotlinに関するよくある質問
- まとめ
Kotlin(コトリン)とは
KotlinとはAndroidアプリ開発をより簡単に行えるよう、Javaを改良して作られた言語で、2011年に開発されました。現在ではGoogleがAndroidアプリ開発の公式言語として採用しています。Kotlinがリリースされる前は、Androidアプリ開発には、主にJavaが使用されていました。
言語の構文自体はJavaと互換性がない独自の方式ですが、コンパイルされたコードはJava仮想マシン上で動作するため、Javaで作成されたIT資産を利用できる特徴があります。
また、KotlinはJavaと同じ静的型付けのオブジェクト指向言語であるため、JavaやC#を扱うエンジニアにとっては比較的習得しやすいメリットもあります。
関連記事:Kotlinでできることは?特徴や事例を中心に徹底解説
KotlinとJavaの違い
KotlinとJavaの違いは複数あります。具体的には以下のようなものが挙げられるでしょう。
-
・コードが短く簡潔
・Androidアプリ開発に使用されることが多い
・Javaよりも学習難易度が低い
KotlinはJavaよりも新しいプログラミング言語で、Javaよりもコードが書きやすくなっています。そのため開発の利便性が高く、学習難易度も低いです。またAndroidアプリの開発はKotlinが主流になっているので、その点もJavaとの違いになっています。
Kotlinの特徴
ここでは、より詳細なKotlinの特徴について紹介します。特徴も把握しておくことで言語選びや学習時の参考になるでしょう。たとえば、Androidアプリ開発ならKotlin、業務用システムなどJavaを扱っている開発に携わりたいならJava、といった選び方が一般的です。特にAndroidアプリ開発に興味がある方は、知っておくべき特徴といえるでしょう。
Androidアプリ開発の公式言語
2019年に、Google社がKotlinをAndroidアプリ開発の公式言語として採用することを発表し、大きな注目を集めました。これにより、Kotlinを用いて開発されたAndroidアプリが数多く登場しています。
コードが簡潔
Kotlinは、Javaと比べてシンプルかつ簡潔にコードを記述できる点が特徴です。そのため、スピーディなアプリ開発・リリースにつながります。トレンドを考慮して市場への参入を早めたいプロジェクトでは、とくに重宝されるでしょう。
また、コードが簡潔なことにより可読性が増すため、メンテナンスのコストを低減する効果も期待できます。さらに、学習コストが小さい点もメリットで、プログラマーのスキルレベルの違いから発生するコードのばらつきを最小限に抑えられます。
関数の型宣言を後ろにおく
関数の型宣言は関数の前に置くプログラミング言語が多いですが、Kotlinでは関数の後ろで型宣言を行います。コーディング時は型宣言が前でも後ろでも大差ないですが、後からコードを読む際に、関数名が型よりも前にあると多少可読性が上がります。
セミコロンが省略できる
Javaを含む多くのプログラミング言語では、行の最後にセミコロンを入れないとエラーになります。エラーになるとコードの実行はそこでストップします。しかしKotlinではセミコロンを省略することが可能で、セミコロンがあってもなくても同じようにプログラムが動きます。1行に複数のコードを記述する場合は、コードの間にセミコロンが必要です。
安全性が高い
Kotlinは、もともと産業利用を目的とした汎用言語として開発されたため、安全性が高いです。また、コードが簡潔であることも安全性を高めています。簡潔なコードは可読性が高いため、自然とバグが発生しにくくなります。
さらに、Kotlinには「Null Safety」という仕様があり、Javaで発生しがちなNull参照を原因とする「NullPointerException」という実行時のエラーを防ぐことができます。Javaに比べて、Kotlinは非常に安全な開発ができる点がメリットです。
Javaとの互換性がある
Kotlinは、Javaと相互利用できます。Javaと同じJava仮想マシン上で動作するためです。Java仮想マシンとは、Javaで設計されたプログラムの実行を目的としたソフトウェアのことで、JVMと略されます。
KotlinはJVM言語のため、KotlinからJavaを呼び出すことも、JavaからKotlinを呼び出すこともできます。たとえば、Javaで作られたアプリに、Kotlinを使用して新しい機能を追加し、実装したあとJavaに変換することも可能です。
オブジェクト指向言語
Kotlinはオブジェクト指向言語です。すでにオブジェクト指向言語を習得しているエンジニアにとっては非常になじみやすいため、学習のハードルは低くなるでしょう。
Javaと異なりプリミティブ型は存在せず、すべてオブジェクトです。また、プロパティやトレイト、オブジェクト宣言など、Javaにはない便利な機能が提供されています。
Kotlinはオワコン?需要と将来性
Kotlinを検索すると、サジェストに「オワコン(将来性の低いコンテンツ)」「やめとけ」というネガティブワードも散見されます。Kotlinの習得を目指すか検討している場合、理由によっては別の言語を身につけるべきか迷うところでしょう。実際にはKotlinの需要や将来性はどう考えられているのか、確認していきましょう。
関連記事:未経験からKotlinエンジニアを目指す方法は?仕事内容やスキルも解説
現状Kotlinを使う企業は少ない
Kotlinはエンジニアから注目を集める言語ではありますが、Kotlinを使う企業は現状そこまで多くありません。たとえば2024年5月時点のレバテックキャリアの求人では、Javaが6,977件に対してKotlinは1,537件です。Kotlinの求人数もそれなりに多い印象ですが、Javaと比較すると少ないといえるでしょう。
今後の需要と将来性
現時点でKotlinの求人数が少なくても、今後も需要が見込めないわけではありません。
Googleが正式言語として採用し、Androidアプリ開発分野においてKotlinはJavaよりも優秀であるとGoogleが判断しているため、他企業が次第に影響を受ける可能性は十分に考えられます。
さらに現在のところ、Kotlinは希少性が高い言語です。すぐに必要とされなくても、今のうちに習得しておけば、エンジニアとしての市場価値を高めることにつながるでしょう。
以上を踏まえると将来性は決して低くありません。キャリアアップや今後の活躍の場を広げる意味でもKotlinに触れておくと良いでしょう。
Kotlinを利用するメリットとデメリット
Kotlinを利用するメリットとデメリットについて解説します。Kotlinは現在の状況を考えると万人におすすめのプログラミング言語ではなく、目的に合致する場合におすすめの言語です。プログラミング経験が浅い方の場合、優先順位としては低めであるといえます。メリットとデメリットを把握し、Kotlinのスキル習得を優先すべきか判断してください。
関連記事:Kotlinのメリット・デメリットとは?今後も使われていく言語なのか解説
Kotlinを利用するメリット
Kotlinを利用するメリットは、Kotlinの特徴がそのまま反映されるといえるでしょう。Kotlinの特徴がどういったメリットをもたらすのか理解してもらうためにも、先ほど紹介した特徴について深堀りします。
コードがシンプルである
Kotlinはコードの記述量が少ないため、可読性の高いコードで実装できます。可読性が高くなると、バグが見つけやすい、機能追加時に作業時間がかからないという利点があります。
今までJavaでAndroidアプリ開発をしていて、一度Kotlinを使用すると、「もうKotlinしか使えない」と感じる人も少なくありません。このわかりやすさは、プログラミング初心者にとっても大きなメリットでしょう。
エラーを減らすことができる
Kotlinには「Null Safety」の仕様があり、Nullを参照した際に発生するエラーが発生しません。Nullを許容する型とNullを許容しない型がわかりやすく区別されています。
Javaの場合では、エラーが発生していても、コンパイル時に気がつかないこともよくあるため、エラーの数を格段に減らせるでしょう。
学習コストが低い
Kotlinは、文法がシンプルなため難易度が比較的低く、独学でも学習しやすいといわれています。Java仮想マシンで動作するJava、Scalaと基本的な構文が似ているため、経験者にとっては難しい言語ではありません。
これまでにオブジェクト指向言語を経験したことがあれば、似ている部分も多いため、習得しやすいでしょう。
Javaと相互利用ができる
KotlinはJavaとの相互運用性が高い点もメリットです。KotlinからJavaを呼び出すことも、JavaからKotlinを呼び出すこともできます。相互に呼び出すことで、効率のよい運用につながるでしょう。
Javaで実装されている既存のシステムに、Kotlinで新しい機能を追加することもできます。もしJavaのソースにKotlinで機能を追加する際に困った場合でも、「Auto Converter」をかけてしまえば、簡単にKotlinファイルへの変換が可能です。
変数の宣言にvalとvarの2種類ある
Kotlinは、変数宣言する際に、valだけではなくvarを使用することができます。valで変数を定義した場合は、変数の中身を変更することはできません。変数ではなく定数のような形で利用します。
一方、varで定義した場合はコードの中身を変更することが可能です。Kotlinは、目的に応じてvalとvarを使い分ける必要があります。
Androidアプリ開発をGoogleがサポートしている
KotlinはGoogleがAndroid開発に採用している「公式言語」です。そのため、Android開発者向けにGoogleからサポートが多数発表されており、Androidアプリ開発のシーンでは他言語に比べて圧倒的に作業しやすいのがメリットです。
主なサポートは後述しますが、Android Studio3.2でのLintサポート、オンライン学習コースなどが挙げられます。
Kotlinを利用するデメリット
Kotlinは言語仕様で見れば取り立ててデメリットはありません。Javaの欠点が改良されていて、優れた言語です。ただしKotlinは新しいプログラミング言語で、幅広いプロジェクトに浸透しているわけではありません。結果的に、Kotlinの学習や学習後の活用においてデメリットがあります。
Kotlinに関する情報が少ない
Kotlinは、Javaに比べると参考にできる日本語の情報や参考書が少ないです。そのため、プログラミング初心者が独学でKotlinを習得するのは少しハードルが高めといえます。
しかし、Androidアプリ開発の公式言語ということもあり、現在ではGoogleがAndroid開発者向けの参考資料やオンライン学習コースなどを日本語で提供しています。Kotlinを学習する場合は、Android Studioと合わせて利用するとよいでしょう。
Androidアプリ開発以外の事例が少ない
KotlinはJavaに比べると、まだ日本における活用シーンは多くありません。Kotlinを扱えるエンジニアの数も少ないです。しかし、今後はAndroidアプリ開発のデファクトスタンダードとしてKotlinが広まっていくと予想されるため、将来性は高い言語だと考えられます。
Kotlinの学習方法
Kotlinは比較的新しい言語であるために、どのように習得するのが効率的かで迷うエンジニアもいるでしょう。そこで、Kotlinの学習方法の中でも実践しやすいものをピックアップしました。一つずつチェックしていきます。個人によってこれらの学習法が合う合わないがあるので、良さそうと感じたものから試していくと良いでしょう。
関連記事:
Kotlinの転職市場|必要なスキルや求人例、将来性を解説
Kotlinの勉強方法は?勉強するメリットや資格について徹底解説
オンラインサイトで独学する
Web上には、Kotlinを学習したい人向けの無料サイトがいくつかあります。これらの入門サイトを有効に活用できれば、Kotlinを独学で習得できます。5分程度のスキマ時間でできるものもあり、いつでも気軽に学習に取り組めることがメリットです。
スクールのように、スケジュールを組んだり通ったりする必要もありません。独学のコツは、反復して復習することです。わからないところがあればメモしておき、理解できるまで何度も読み直しましょう。
プログラミングスクールに通う
学習にかける予算に余裕がある人は、プログラミングスクールもおすすめです。スケジュールに沿って確実に学習できるメリットがあります。また、現役エンジニアからKotlinに関する最新の情報や、実務に役立つアドバイスがもらえる場合も多いです。就職や転職サポートが充実しているスクールも多く、転職活動もスムーズに進むでしょう。
IT勉強会を活用して学習する
Kotlinに限らずプログラミング言語を学ぶ場合には、オンライン上や会場を貸切って行われるIT勉強会を活用するのも一つの手段です。IT勉強会とは複数人のエンジニアが一緒に作業し、着実な言語の習得を目指すものを指します。
こうしたイベントは個人主催が多く、イベントの検索サービスを使えば開催日や詳細を調べることができます。
Kotlinの資格取得を目指す
資格の取得を目標にすれば、勉強の道筋を立てやすくなります。また、資格はスキルの証明になるため、転職活動でもプラスに働く可能性が高いです。KotlinはAndroidアプリ開発に用いられるため、Android関連の資格取得が有効です。代表的な資格としては、Android™技術者認定試験制度が挙げられるでしょう。
Android™技術者認定試験制度は、一般社団法人 IT職業能力支援機構 Android技術者認定試験制度委員会が主催する試験制度です。「アプリケーション技術者認定試験」と「プラットフォーム技術者認定試験」の2種類があり、自身が携わる専門領域に応じたスキル認定を受けられます。
関連記事:Kotlinエンジニアの資格とは?必要なスキルや勉強法を解説
Kotlinエンジニアの年収
Kotlinエンジニアの年収に注目する前に、情報通信業の年収を確認してみましょう。厚生労働省による「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、情報通信業の平均年収は381.2万円です。年齢別には以下のようになります。
年齢 | 平均年収 |
---|---|
~19歳 | 191.4万円 |
20~24歳 | 243.1万円 |
25~29歳 | 283.5万円 |
30~34歳 | 329.4万円 |
35~39歳 | 387.1万円 |
40~44歳 | 424.6万円 |
45~49歳 | 459.2万円 |
50~54歳 | 467.5万円 |
55~59歳 | 495.2万円 |
60~64歳 | 373.9万円 |
65~69歳 | 276.9万円 |
上記は情報通信業に従事する人全般の数字なので、エンジニアだけを抽出すると平均年収はやや高くなると想定されます。レバテックキャリアの求人でKotlinエンジニアの平均年収を算定すると、650万円程度と推測されます。ほかのプログラミング言語のエンジニアでも同水準なので、Kotlinエンジニアの年収が特別高いというわけではありません。
情報通信業に従事する人全般の中ではエンジニアの平均年収はやや高めで、それはKotlinエンジニアも同様ということです。また厚生労働省のデータとレバテックキャリアの数字では単純比較できないので、上記はあくまでも参考とお考えください。
Kotlinエンジニアへの転職はエージェントの利用もおすすめ
これからKotlinエンジニアとして転職を考えているのであれば、転職エージェントの利用がおすすめです。転職エージェントでは、経験やスキル・希望の条件に合う求人のみ提示されるため、求人検索にかける時間を大幅に削減できます。
Kotlinエンジニアとして、希望の条件を満たす企業に就職するためには、これまでのスキルや経験を評価してもらえるよう努力する必要があります。Kotlinの学習に加え、企業研究や職務経歴書の作成などの時間も考えると、多くの時間を割かなければいけません。
転職エージェントを活用して効率よく転職先の企業を探すことができれば、時間に余裕ができ、転職が成功する可能性も高まるでしょう。エージェントでは、転職希望者とのカウンセリングを通じて、アピールポイントを明確にするサポートもしてもらえます。
Kotlinに関するよくある質問
Kotlinに関する情報は現在シェアの高い主要言語と比べると少なく、疑問に思う点も多いのが実情です。IT関連職未経験の方はもちろん、今後のスキルアップとしてKotlinの習得を考えている人も、理解度が低いまま身につけても存分に活かせません。Kotlinに関するよく聞かれる質問をチェックし、疑問を解消していきましょう。
Q1. KotlinとJavaの違いは何ですか?
Javaは大規模開発向けのプログラミング言語です。KotlinはAndroidアプリ開発やWebサービスの開発で用いられることが多い言語です。これまではJavaがAndroidアプリ開発の主流でしたが、GoogleがKotlinを採用したことから置き換わりつつあります。
Q2. Kotlinでは何ができますか?
Kotlinは、以下の分野で活用されています。
-
・サーバーサイド開発
・Webアプリ開発
・Androidアプリ開発
現在、需要が高い分野で利用されている言語といえるでしょう。まだ、日本では普及していませんが、これから需要が高まることも考えられます。
Q3. Kotlinの難易度を教えてください
コードが簡潔でミスが少なく済み、学習コストも低いためKotlinの難易度は比較的低めです。これまでにオブジェクト指向言語を経験している人にとっては学習しやすい言語といえるでしょう。ただし、学習難易度は低めであるものの、未経験者だと時間も予算もかかるのはほかの言語と同じです。
Q4. Kotlinの弱点は何ですか?
Kotlinは比較的新しい言語であり、情報やその実態が把握しにくいのがデメリットです。現状では求人数も少ないため、Kotlin以外の言語も習得することが望まれます。また、Android開発において重要視されますが、Androidアプリ以外の活用例は少なく、活躍できる分野が限られるのも弱点といえます。
まとめ
KotlinとはAndroidアプリ開発の分野では「今後主流になる」といわれる言語であり、現状求人数が少ないとはいえ扱えるとメリットは多く希少性が高く、将来性も見込めます。ただし、Javaとシェアが逆転する可能性もゼロではないとはいえ、主流の言語であるJavaとあわせて学習するのがおすすめです。
今後エンジニアとしての自身の市場価値を高めたい場合は、今のうちに習得を進めてみてはいかがでしょうか。
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