ライトニングトークとは?メリットやネタ・資料作りのコツを紹介

最終更新日:2024年2月9日

ライトニングトークとは、稲妻(Lightning)のように短時間で行われるプレゼンテーションを指します。コミュニケーション力や要点をまとめる力の向上を目的とした、プレゼントレーニングの一種です。IT業界を中心に活用されている手法ですが、現在ではビジネスシーンだけでなく他分野でも取り入れられています。

「ライトニングトークの効果とは?」「どのように活用すればいい?」「何を話せば良いかわからない」といった興味や疑問を持つ人へ向けて、ライトニングトークの特徴やメリット、プレゼン方法や資料作りのコツを紹介します。

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この記事のまとめ

  • ライトニングトークとは、ITカンファレンスやエンジニア勉強会などで活用される短いプレゼンテーションのことである
  • ライトニングトークを繰り返すことで普段の業務でも利用する「説得力」が自然と身につき、コミュニケーション力の向上に役立つ
  • ライトニングトークに必要なのは「何を伝えたいか」を端的に分かりやすくまとめることであり、資料作成などにも活用できる

ライトニングトークとは?

ライトニングトーク(Lightning talks)はLTと略される短いプレゼンテーションを指します。稲妻(Lightning)のようにスピード感のあるプレゼンテーションという意味合いからその名がついています。ビジネスシーンで実際に活用するのではなく、プレゼン力やコミュニケーション能力を高めるためのトレーニングの一種です。

まずはライトニングトークとは何か、特徴を踏まえて解説します。

初心者でも参加しやすい3~5分のプレゼン

ライトニングトークは、ある程度の人数でグループを作り、テーマを決めます。同時に審査基準も設けて、プレゼンを開始しますが、持ち時間が3~5分と短いのが特徴です。

通常のプレゼンは短くても15分程度、1時間以上となる場合もありますが、ライトニングトークは最小限のプレゼン内容で構いません。いかにコンパクトにまとめるかが肝心となるため、プレゼンに不慣れな人や子どもでも参加しやすいです。

IT関係のイベント内で行われることが多い

ライトニングトークは、2020年頃プログラミング言語のカンファレンスから生まれました。その後エンジニアの勉強会やIT関連のイベントを中心に広がりを見せ、今ではオンラインライトニングトークなども盛んです。

一般的なイベントの場合、プレゼンを行うのは専門家やベテランの代表者に限られます。一方で、ライトニングトークは誰でも参加できる気軽さが特徴で、イベントの参加者でもプレゼンの機会に触れられます。

プレゼン初心者もチャレンジしやすい

ライトニングトークは短いプレゼンであるため、内容や伝えたいことは最小限で抑えられます。プレゼンというと「何時間もかけて事実確認と資料作成をし、言うべきことをまとめて何度もリハーサルをする」というイメージがされがちですが、ライトニングトークは数十分の準備でも構いません。

また、ライトニングトークにはスライドを使用することがほとんどですが、特にルールや形式も細かく決まっていないので、これまでプレゼンを経験したことない初心者でも参加しやすいといえるでしょう。

ライトニングトークをするメリット

たったの数分のプレゼンと思われがちですが、意外とプレゼンは「長く時間がある」よりも「短時間しかない」ほうが難しいとされています。なぜなら限られた時間の中で、いかに短く、分かりやすくスライドに要点をまとめるかが重要になるからです。そのため、ライトニングトークに何度も参加していくと、物事の要点をおさえる力が身につきます。

ライトニングトークにはメリットがたくさんありますが、代表的なメリットを4つにわけて解説します。

プレゼンテーションスキルが磨かれる

ライトニングトークの大きなメリットは、プレゼン力が高まることです。いきなり20分以上のプレゼンを行うのは、初心者にとってハードルが高いと感じてしまうでしょう。しかし、ビジネスシーンでは数十分のプレゼンテーションが頻繁に求められます。

一方でライトニングトークは気軽に参加しやすい分、プレゼンの経験を積むことができます。短いプレゼンに繰り返し慣れていくと、将来的には長時間のプレゼンテーションもこなす力が身につきます。

人前で話すことに慣れる

コミュニケーション能力が必須といわれるIT業界でも「人前に立つとうまく話せない」と困難を感じる人は少なくありません。ライトニングトークはたったの数分で完了するため、人前で話すトレーニングをするには最適な機会です。本格的なプレゼンをするとなると気後れする人も多いですが、「3分だけ」と指定があれば気楽に参加できるかもしれません。

端的に自分の意見を伝えられる

3~5分で自分の伝えたいテーマと内容を発表するとなると、内容を端的にまとめる技術や言葉選びなどのスキルが必要になります。ライトニングトークはプレゼンスキルを磨くことが目的であるため、何度も経験すると、回りくどくならず結論から話すサイクルを身につけられるでしょう。

ビジネスシーンでは、冗長な指示や分かりにくい表現は適していません。自分の意見を端的に述べる「伝える力」が身につくのもライトニングトークのメリットです。

メンバー間のコミュニケーションが深まる

ライトニングトークは参加する発表者だけでなく、聴衆にとってもメリットが大きいです。

まず、長いプレゼンではないため一人ひとりに集中して聞くことができます。その中で「おもしろい」と感じた発表者が見つけやすいため、ライトニングトーク後に交流をするきっかけになります。

参加者は聴衆も含めて理解が深まるため、オリエンテーションや勉強会の場面で取り入れられることが多いです。たとえば、プロジェクトのために集められたメンバーの相互理解を高めるためにも、ライトニングトークを活用できます。

ライトニングトークの資料・ネタ作りのコツ

ライトニングトークをするにあたって、スライドなどの資料を作成します。また、話す内容を事前にまとめておくのも大切です。ライトニングトークは短時間であるため、事前にまとめておくとスムーズに発表でき、時間内で要点を伝えることができるでしょう。

このとき使用する資料や、話すネタ作りのコツを5つのポイントにまとめました。一つずつチェックしてみましょう。

伝えたい内容を明確にし、トピックを絞る

ライトニングトークの3~5分のプレゼンでは、伝えられるポイントは1つか2つです。最大でも2個までにトピックを絞り、伝えたい内容を明確にしましょう。余談やニュアンスなどはすべてカットし、補足情報も最小限に抑えるのがポイントです。

聴衆を意識したネタ作り

プレゼンが単に時間以内に収まれば良いというわけではなく、ライトニングトークには聴衆がいて審査を受けます。聴衆にどう伝わるかをしっかり考えた上で、内容を精査していきましょう。

たとえば、発表者の自己紹介は、端的に1分以内が望ましいです。聴衆が聞きたいポイントは本題であり、どの時点で盛り上がるかを明確にすると内容が定まりやすいでしょう。

また、聴衆は「どこまでこの話が続くのか」を不安に覚えるとストレスを感じます。「○○だと主張する理由を3点説明します」など、具体的な数字を出してプレゼンの進行を分かりやすくすると、聴衆にとっても親切です。

PREP法を使って文章を考える

PREP法とは文章作成の際によく使われる手法であり、結論(Point)、理由(Reason)、具体例(Example)、結論(Point)の順に書くことを指します。

「私は○○だと思います。(結論)
なぜなら○○だからです。(理由)
以前も○○である事例が見つかりました。(具体例)
だからこそ○○です。(結論)」

PREP法は簡潔で分かりやすい文章が作成できるため、主にビジネスシーンで利用されています。結論から述べることで、主張の軸を定めることができ、主軸からぶれにくいのもメリットです。

PREP法で文章量を調節する場合、具体例のボリュームを増やしたり減らしたりすることで時間調整ができます。時間が余ったら補足情報も付け足せるため、事前に用意しておくと安心です。

文字の大きさや数などを意識した見やすいスライドを作る

スライドを使用する場合、レイアウトや内容も重要です。スライドは話す内容と同じではなく、あくまで内容の補助ツールとして活用しましょう。

文字の大きさは遠くの聴衆まで届くように調整し、見やすい配色や配置に気を配れるとベストです。基本的な部分ですが3~5分のプレゼンで何十枚ものスライドは必要ないため、フラッシュプレゼンをしない限り数枚で構いません。

スライドは1枚1分程度の内容になるよう意識する

事前に作成できるからといって、スライドに内容を詰め込むのはおすすめできません。話す内容とスライドを合わせる必要がありますが、1枚で1分程度のプレゼンになるようにトピック量を調整しましょう。

あるいは、フラッシュプレゼンという手法を使うのもおすすめです。フラッシュプレゼンにはある程度慣れが必要ですが、1枚ごとの情報量を減らしてテンポよくスライドを切り替える手法を指します。畳みかけるような主張の繰り返しなど、周囲に印象を強く与えるプレゼンにしたいときに活用される方法です。

ライトニングトーク初心者にありがちな失敗例

ライトニングトークは短時間で終わり、内容も組み立てやすいため、初心者にもおすすめのプレゼントレーニングです。しかし、短いという特徴がある以上、失敗することも多々あります。

まずはやってみてから失敗の対策を考えるのがおすすめですが、よくありがちな失敗例を2つ紹介します。この失敗事例を参考にプレゼンを見直すのも良いでしょう。

要領を得ておらずわかりにくい

ライトニングトークの目的は聴衆に内容を理解してもらうことと、具体的な行動を促すことです。プレゼンを見てどうアクションをとってもらいたいのか、主張の軸をしっかり定めておきましょう。

よくある失敗例として、要領を得ないプレゼンが挙げられます。「一体何の話だったのか、言いたいことは何だったのか」と疑問が残ってしまうと、プレゼンとして失敗です。スライドの情報量は的確だったのか、発表者自身も何を伝えたいかが理解できているかを今一度振り返りましょう。

時間オーバー

熱量のあるプレゼンを短時間で行うライトニングトークは、持ち時間が終わるとそこで強制終了することがほとんどです。この持ち時間の厳守も場を盛り上げる要素ですが、プレゼンに不慣れであるほど時間をオーバーしやすくなります。

3~5分と短ければ簡単にも思えますが、意外と短いプレゼンは難しいです。練習不足が起きていないか、発表時間に対して自己紹介や補足説明が長すぎてはいないかなど、時間オーバーの原因を明らかにして次回に活かすようにしましょう。

ライトニングトークで話す際に意識するべきこと

ライトニングトークで魅力的なプレゼンをするため、自分の思い通りの発表をするために、話し方に十分意識を向けましょう。普段は意識していない部分がライトニングトークではネックとなるため、伝わりやすく印象の良い話し方を練習するのは大切です。

ライトニングトークだけでなくビジネスシーンでも役立つため、聴衆に伝わりやすい話し方を以下にまとめました。

時間配分

発表者の自己紹介は1分以内に、プレゼンは大きく3つのブロックに分け、最初のブロックは2分以内に、など細かく時間配分をすると時間オーバーを防げます

また、時間配分は実際にプレゼンを練習してみて、足りない情報やいらない情報を調整するのにも役立ちます。「考えたプレゼンをしてみたら、意外と時間が余ってしまった」といったこともあるため、適切な量になるように時間を区切りましょう。

目線

目線が低く、うつむきがちで発表すると、自信がないように見え、主張も弱く感じてしまいます。就職や転職の際に面接を行いますが、面接官と向き合っているような意識で、台本から目を離して聴衆に視線を向けることも大切です。

また、プレゼン経験がない人ほど表情が強張ります。意識して顔を柔らかくするなど、普段よりもにこやかにすることで目線の違和感もなくなるでしょう。

言葉選び

ライトニングトークは知識を披露する場ではないため、専門用語の羅列をしないよう気をつけましょう。専門的な話を繰り返されると、聴衆にとっては理解しづらく、退屈さや疎外感を感じてしまいます。聴衆に伝わらないと意味がないため、難しい言葉を避けて誰でも分かるように言い換えるとベストです。

話し方

ぼそぼそとした小さな声では、発表の場から離れた聴衆には届きません。普段よりも一段階明るい声を出すイメージで、口を大きく開く意識をするとはっきりとした発声ができます。

また、緊張すると言葉が詰まる人、早口になる人などさまざまです。練習する際に自分のプレゼンを録音するなどして、徹底的に違和感をなくすと伝わりやすい話し方ができるようになるでしょう。

聴衆の層を意識した内容選び

ライトニングトークでは、自分の立場を設定されることもあれば特にルールがない場合もあります。ただし聴衆は「ITカンファレンスに集まった人」「クライアント」「自社内の人」など立場がはっきりしているはずです。

同じテーマでも、聴衆の層によって内容や言葉選びは変わります。聴衆の立場になって、「この伝え方では分かりにくいかもしれない」「この方向性のほうがイメージしやすいかもしれない」と内容を選ぶとプレゼンの質は向上するでしょう。

リハーサルをしておくのが成功の鍵

プレゼンの成功は事前の練習によって大きく左右されます。準備が整いスライドも作成したら、本番を想定してリハーサルを行いましょう。

リハーサルは1度すれば良いというわけではなく、何度も改善を重ねて行うべきです。資料や伝える内容を覚えられると、目線もしっかり上げることができ話し方にも自信が出ます。

誰でも、緊張するとパフォーマンスが落ちてしまうことはあります。その緊張を克服するにはリハーサルを繰り返すしかないため、最大限自分の思いをプレゼンできるように何度も反復して練習してみてください。

まとめ

ライトニングトークは比較的新しく登場したプレゼンの手法で、ビジネスシーンに役立つスキルアップができるといったメリットもあります。短い時間のプレゼンで構わないため、初心者でもハードルが低く気軽に参加できるという点が特徴です。
簡単そうに思える数分のプレゼンですが、やってみると話し方や内容の精査、伝え方にはコツが必要であることがわかります。ライトニングトークのすべての要素はプレゼンだけでなく、ビジネスシーンのあらゆる実務に活かせるため、プレゼンや人前で話すことに苦手意識を感じている人は、ぜひ試してみてください。

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