C言語とは
C言語とは、汎用性の高さと実行速度の速さが特徴のプログラミング言語です。数あるプログラミング言語の中でも古くからある言語で、今でも根強い人気と需要があります。
汎用性の高さについては、組み込みソフト、スマホアプリ、業務用システムなど幅広い開発で使われています。実行速度については、C言語がコンパイル方式であるために高速になっています。
一方で他のプログラミング言語に比べて難易度が高いというデメリットもあります。結果的に学習途中で挫折する人も多い言語と言われています。
関連記事:C言語でできることとは?C言語習得者の転職のポイントについても解説
「C言語が難しい」のはなぜか?
「C言語が難しい」という意見は一定数あり、前述したように学習途中に挫折してしまう人もいます。それは一体どのような理由からなのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
メモリ管理の手間
メモリ管理とは、「計算処理に必要なメモリの確保と解放」のことを指します。C言語には処理に必要なメモリを必要なときに確保できる機能が搭載されています。つまり、動的にメモリを確保できるわけです。
その一方で、メモリを確保しておく必要が無くなった場合には、明示的にメモリを解放しなくてはなりません。なぜなら、異常なメモリアクセスなどによるプログラム異常終了の原因になるからです。
また、メモリ管理のミスによる異常終了は原因が特定しにくく、調査に時間を要することもあります。メモリ管理を使いこなすためには、どの関数がどの変数を参照しているのか、しっかりと把握しながら管理しなくてはなりません。
ポインタ管理が難しい
C言語でプログラムを構築する場合に必ずと言って良いほど使用する機能が「ポインタ」です。ポインタは、プログラム内に存在する変数が、メモリ上のどの場所にあるか(=メモリアドレス)を記憶する機能です。
ポイント管理を行うことで、「変数の参照」「文字列、配列へのアクセス」「動的なデータ構造」などが実現できるため、C言語に標準で搭載される関数の大半が、引数としてポインタを使用します。
ポインタは記述法が独特なうえに「今、ポインタが示しているのはどの変数か」などを常に頭の中でイメージしなくてはならないため、思考力や暗記力などが試される機能と言えるかもしれません。
書くコードが長く、バグの解析が難しい
C言語では、他の言語と比べて各コードが長くなる傾向があります。例えば「Hello World」を出力させるのにPythonだと1行で済むのに対し、C言語の場合は4行ほどコードを書かなくてはいけません。
本格的なソフトウェア開発だと、ソースコードの長さの違いは顕著になります。
C言語のコードが長くなる理由は、ハードウェアに近いレベルで細かな制御ができることにあります。そのため、プログラムで実行することは全てプログラマがコードとして記述する必要があります。
例えば、使用しなくなったメモリ領域を開放する場合、JavaやPythonでは「ガベージコレクション」という仕組みがあり、参照しなくなったメモリは自動的に開放してくれます。一方C言語ではメモリを開放するためのコードを明示的に書く必要があります。
また、コードが長くなることによって、バグを作り込んでしまう可能性も高くなるでしょう。コードが長く複雑になれば、調べなくてはならない対象のコードが増えるので、不具合の原因調査に時間がかかります。加えて、プログラムを修正したときの影響も大きくなるのでより慎重に影響調査やテストを行う必要があります。
環境構築が難しい
C言語で書かれたソースコードを実行するには、ソースコードをコンパイルして実行ファイルを作成する環境が必要です。
業務でプログラミングを行う場合、通常はVisual Studio など開発に必要なツールが全て揃っている総合開発環境をインストールします。しかし、この環境設定がC言語の場合はかなり複雑です。なぜなら総合開発環境は大規模開発用なので、入門レベルでは使わない機能に関する設定画面が多いからです。また、動作も重いのでプログラミング学習目的にはおすすめできません。
初心者の場合は必要最小限のC言語環境を作るところから始めるのが良いでしょう。
その他の理由
上記はC言語が難しいとされる理由の中でも、特にメジャーなものです。しかし、C言語にはこのほかにもいくつかの難関があります。
例えば、C言語は近年の高級言語にあるような「ライブラリをつなぎ合わせる方式」が使用できません。C言語によるプログラミングは、どちらかといえば、ライブラリにある部品をゼロから構築するようなイメージです。
また、高級言語では「メモリ管理」や「ポインタ管理」のような機能を、あまり意識せずとも使えてしまいます。C言語はこの2つを意図的に操作する必要があるため、手間が多いと感じられるようです。
さらに近年は、C言語を実践で触れる機会が減っています。C言語で作られた機能を他の言語で実装することはあっても、C言語によるゼロベースの開発はそれほど多くありません。こうした事柄も、C言語が難しいとされる理由のひとつでしょう。
C言語は本当に難しいのか?
難しいと言われるC言語ですが、一方でC言語をマスターして業務で使いこなしているエンジニアも多くいます。実際にC言語による開発経験が豊富なエンジニアの間では、「確かに初めて触れるときは難しいが、慣れてしまえば汎用性が高く書きやすい」といった評価が多いです。
他の言語経験があってもC言語特有の概念を理解し、使いこなすまでに一定の期間がかかります。その点では難しいと言えるでしょう。
難しいC言語をそれでも習得するメリット
C言語には難しい部分もあります。最近主流の言語の方が簡単にプログラミングできるように作られています。では、難しいC言語をあえて習得するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
ハードウェアに関する知識が身につく
C言語はメモリ領域の制御を人間が細かく記述するので、ハードウェアの特にメモリ領域を意識してプログラミングする必要があります。その結果、ハードウェアに関する知識が身に付きます。C言語の記述に必要な知識のみですが、これをきっかけにハードウェアについて詳しく調べれば、知識が身に付いてC言語のこともより理解できるようになるでしょう。
技術力を大きく向上させられる
C言語は古くからあるプログラミング言語で、他の言語に影響を与えています。言い換えれば、後発の言語はC言語を簡易化して扱いやすく作られたものということです。C言語では人間が実装している部分が、他の言語では自動で作られています。その結果理解しないままプログラミングしているケースも多いのですが、C言語の経験があれば自動で作られる部分も理解した上でプログラミングするので技術力を大きく向上させられます。
需要が高い
C言語は需要が高いです。言語の需要をリサーチしたデータはいろいろありますが、たとえば検索エンジン「スタンバイ」ではC言語の求人数はRubyに次いで2番目に多いという結果になっています。
未経験者がC言語を学習する時のポイント
初学者がC言語を学習するときのポイントについて解説します。
動画情報をもとに開発環境を構築する
C言語は開発環境の構築に手間がかかります。なぜなら、コンパイラ(人間が書いたソースコードをマシン語に翻訳するツール)を動かし、実行ファイルを作成できる環境が必要だからです。
したがって、まず環境整備の勉強から開始することになります。このとき、動画情報サイトやオンラインスクールなどを参考にしながら、開発環境を構築してみてください。開発環境の構築自体は「目的」でなく「手段」であることを忘れないようにしましょう。
基礎文法の理解
C言語に限らず、プログラミング言語は基礎文法を理解することから学習が始まります。幸いなことにC言語は長い歴史をもつ言語で、学習教材は豊富です。実績のある書籍を1~2冊用意して基礎文法を身に着けていきましょう。
また、オンラインスクールやプログラミングスクールでも、必ずと言って良いほどC言語の授業が提供されているため、状況に応じて活用してみてください。
メモリアドレス、ポインタの理解
メモリアドレスとポインタの理解については、まず時間をかけてメモリアドレス管理の概念を理解することから始めてみてください。
もし、どうしてもポインタの動きが理解できない場合は「完成したプログラムを真似てコーディングを行いつつ、ポインタの動きを紙に書きだす」という方法を試してみてください。紙に書きだすことでポインタの動きと思考のズレが可視化されるため、理解が進みやすくなります。
毎日コードを書くクセをつける
コードを毎日書くことで、C言語の記述に慣れていきます。プログラミングは手を動かすことが重要で、理論を理解しつつ感覚的にも覚えていくようなイメージです。ただし、コードを理解することや、丸暗記ではなく要点を押さえることなども重要です。そのためコードを写経するようなときも、何も考えずに書き写すのではなく考えて理解しながら手を動かす必要があります。
まずはわかりやすいプログラミング言語から学習するのもおすすめ
C言語は難易度が高いので、他のより簡単なプログラミング言語から始める選択肢もあります。C言語特有の記述もありますが、逆に言えば基本的なアルゴリズムなどは他の言語も同じです。まずは他の言語スキルを身に付けてプログラミングの土台を理解していれば、C言語の習得もスムーズになります。
C言語を効率良く習得する方法
C言語を効率良く習得する方法は複数あります。自分に合う方法を一つ選択するか、複数の方法を組み合わせて学習を進めていくのも有効です。
関連記事:C言語を効率的に勉強!習得するメリットや理解度別の学習法も紹介
学習用プラットフォームを使う
C言語だけでなく他の言語も同じですが、最近は学習用プラットフォームが充実しています。動画コンテンツや、サイト上にプログラミングができるエディタなどが用意されているプラットフォームもあります。これらの学習用プラットフォームを使えば、コストを抑えてスキルを身に付けられます。
プログラミングスクールに通う
プログラミングスクールは、プログラミングの学習手段として王道になっています。プログラミングスクールではWeb系の言語やスマホアプリ開発の言語が扱われていることが多いですが、C言語を扱っているプログラミングスクールもあります。
完全オンラインのスクールが多いので、自宅にいながら学習できます。また、分からないことを直接講師に質問することができるので、苦手なところや理解が進んでいないところを徹底的に補強することができます。
セミナーに参加する
C言語をテーマにしたセミナーや、C言語を学ぶ人が集まるコミュニティが開催されています。こういった集まりに参加することで、情報交換ができます。オンラインでの開催が一般的になっているので、自宅から参加可能です。
C言語に関するよくある質問
C言語に関するよくある質問と回答を紹介します。
Q1. C言語が難しい理由は何ですか?
C言語が難しい理由は複数あります。特に大きな理由としては、ポインタなどC言語特有の概念・記述があること、コードの記述量が多くなることなどが挙げられます。結果的に、初期のプログラミング時も、デバッグ時も、改修時も大変さがあるでしょう。
Q2. C言語とJavaではどちらが難しいですか?
C言語とJavaの難易度は、一長一短で人によって感じ方が変わってくるでしょう。C言語の方が難しいと考える人もいれば、Javaの方が難しいと考える人もいます。C言語はポインタが特に難しいということでしたが、Javaはオブジェクト指向が最初は難しいかもしれません。
Q3. C言語プログラミング能力認定試験の難易度を教えてください。
C言語プログラミング能力認定試験の難易度は比較的低めです。例年の合格率は65%前後です。2021年は70%を超えていました。IT関連の資格の中には合格率が10%台のものも複数あるので、相対的には易しいと言えるでしょう。
まとめ
C言語は1972年の登場以来、コンパイル型言語の代表格として扱われてきたプログラミング言語です。現在でも、「C言語にはプログラミングの基礎が全て詰まっている」と言われるほどで、プログラマーのスキルを推し量る物差しとしての役割があります。
メモリ管理やポインタ管理などにより「習得が難しい」という意見もありますが、それにさえ慣れてしまえば、汎用性が高く書きやすい言語です。
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