【2021年12月】ITエンジニア動向レポート-レバテックのデータで分かるIT人材市場-

最終更新日:2021年12月23日

レバテック株式会社が運営するITエンジニア・クリエイター専門エージェント、レバテックキャリアは、2020年から2021年に新規登録された求職者データをもとに、現在のITエンジニア動向を探るための調査を実施。調査結果の分析と、現在の転職&フリーランス市場状況との関係性についても考察しています。

■調査概要
調査対象:「レバテック」の新規登録者のうち、特定のプログラミング技術を用いた実務経験がある人材の登録データ
調査期間:2020年1月1日~10月31日、2021年1月1日~10月31日
※フリーランス登録者数の伸び率のみ、2017年1月1日~2020年10月31日のデータを用いて算出

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1. 正社員ITエンジニアの人材動向

まずは、正社員として転職を希望しているITエンジニアの登録データから、現在の人材動向を考察します。

JavaをメインスキルとするITエンジニア割合は減少傾向。C言語が伸びる

レバテック登録者のメインスキルの割合は、トップがJavaの51.9%、次いでC言語8.8%、PHPが7.6%という結果になりました。圧倒的なシェアを占めるJava割合ですが、前年比で見ると、9.2ポイント下落しています。これは昨年コロナ禍の影響で、エンタープライズ向けシステムへの投資が減ったこと、みずほ銀行のシステム移行完了などが重なり一時的にJava人材が市場に流出した状況が、いったん落ち着きを取り戻した形となります。

Java割合の減少に対して、C言語の割合が3.8ポイントの上昇を見せました。2021年にかけてIoTや自動車業界での求人が増えており、それに伴いC言語のスキルをもつエンジニアが求人市場に出てきやすくなっている状況が伺えます。

また、JavaScript割合も1.6ポイント上昇。Webサービス業界ではJavaScriptやTypeScriptを使って開発を進めることがスタンダードとなっており、JavaScriptの経験があるエンジニアの需要は今後も高まっていくと考えられます。

20代登録者が増加傾向で全体の52.4%。30代の動きは保守傾向に。

レバテックキャリアの登録者の年齢層は、20代が全体の52.4%を占めています。昨対比では20~24歳は2.1ポイント、25~29歳は0.4ポイント伸びており、若手エンジニアの早期転職傾向が高まっていることが伺えます。

これは、コロナ禍の影響でリモートワークが進んだことでキャリアに向き合う時間が増え、この先のキャリアについて不安を抱く若手が多くなったことが考えられます。実際に、20代の登録者は積極的に転職したいというよりも、「将来的に転職するにあたって相談したい」という状態でお話を聞くことが多くなってきています。この傾向は、コロナ禍が落ち着きを見せリモートワークの実施率が減少することで、今後減少していくものと考えられます。

一方、30代の登録者は昨対比で微減傾向にあり、30~34歳は0.8ポイント、35~40歳は0.9ポイント低下。家庭を持つ人が多い30代のエンジニアは20代ほど積極的に転職に動かず、またエンジニア採用の難易度が高まっている中、中堅エンジニアを自社に引き止める動きが強まっている可能性が伺えます。

「収入が少なかったから」が急上昇。キャリアアップに次いで2位に

転職理由のトップは昨年に引き続き、「キャリアアップ」となりました。ついで、「仕事内容への不満」、「収入が少なくなったから」と続きます。「収入が少なくなったから」は昨対比で3.3ポイントと大きく上昇しましたが、コロナ禍の影響で企業の業績が悪化しエンジニアの賃金に悪影響を与えた、という傾向は見られていません。昨年一時的に高給与求人が増加し給与水準が上がったこと、副業など収入を増やすための情報が増えた結果、収入についての希望が増加したものと考えられます。

転職にあたって優先したいことの調査結果でも、トップの「スキルアップ」が2.9ポイント下落し、「収入アップ」が3.1ポイント増加と、転職理由と同等の傾向が見られています。実際に、スキルアップのみを希望するITエンジニアは減少傾向にあり、スキルアップに加えて、収入面やリモートワークなどの条件面を希望するエンジニアが増えている傾向にあります。

背景には、ITエンジニアの求人倍率の上昇が考えられます。ITエンジニアの求人倍率は年々上昇していますが、特に今年はDXなどのトレンドワードも後押しとなり求人数が飛躍的に増加した結果、求人倍率は昨年の3倍程度の水準となっています。条件を増やしても転職が叶う市場となり、エンジニアの希望条件の先鋭化が進んでいると考えられます。

2. フリーランスITエンジニアの人材動向

続いて、フリーランスとして案件受注を希望するITエンジニアの登録データから、フリーランスIT人材の動向を考察します。

フリーランス登録者は、2017年の約1.8倍に増加

レバテックのフリーランス登録者数(フリーランス転向希望者を含む)は年々増加しており、2021年の登録者数は2017年の約1.8倍となる見込みです。

ITエンジニアがフリーランスとして働くことはますます一般的になってきており、スキルがついたITエンジニアのキャリアパスの1つとして捉えられていることが伺えます。

また、リモートワークの普及により勤務地・勤務時間に縛られずに働けることを魅力に感じ、フリーランスに転身するエンジニアが年々増加しています。

若手と高年齢層のフリーランス人材が増加し、30~40代の中間層が減少

レバテックフリーランスに登録しているエンジニアの年齢層は、25~29歳がトップで22.0%、次いで20~24歳が16.6%、30~34歳が15.3%となりました。若いうちからフリーランス人材として働く選択をするITエンジニアが多い傾向にあり、十分なスキルが身についていることを示せる場合、スタートアップやベンチャー企業などにおいて若手のフリーランス人材が登用される事例も増えてきています。

対象的に30~40代の割合は減少傾向にあり、積極的にフリーランスに転身する中堅エンジニアが減少していることが伺えます。これはコロナ禍で先行きが不透明になる中、今の現場にとどまることを選択するエンジニアが多くなっていると考えられます。

また、50代以上の高年齢層の登録も増加しています。IT業界の初期から働くエンジニアが早期退職などを背景に登録にいたり、高年齢フリーランス人材が市場に出てきている傾向が見られます。高年齢層はC言語やJavaの人材が多く、企業がそのような人材を活用する事例も見られます。

Java人材は減少傾向に転じ、JavaScriptやPythonの割合が拡大

レバテックフリーランス登録者がメインスキルとして上げる言語の割合は、トップはJavaで21.6%、次いでJavaScriptが13.8%、PHPが13.5%となりました。

正社員版ではJavaは全体の約6割を占めていましたが、フリーランス版では約2割程度のシェアとなっており、フリーランス人材の案件の多様さが、登録者のメインスキル割合の結果に反映されていると考えられます。

昨対比を取り出して見ると、Java割合は、前年より9.2ポイント下落。これは昨年コロナ禍の影響で、エンタープライズ向けシステムへの投資が減ったこと、みずほ銀行のシステム移行完了などが重なり一時的にJava人材が市場に流出した状況が、いったん落ち着きを取り戻した形となります。

4.7ポイントと、最も大きく上昇を見せたJavaScriptは、正社員版と同じくJavaScriptやTypeScriptがWebサービス業界のスタンダードとなってきていることが増加の背景として上げられます。次いで上昇幅の大きいPythonは、一時期加熱していた機械学習ブームも落ち着きながらも、AIやデータ分析に対して着実に投資する企業が増えてきた結果、案件数が増加したことが影響していると考えられます。

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この記事の監修

レバテックキャリア編集部

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