日本最大級のレンタルスペースサービス共同創業者が語る「期限を区切る」「相互レビュー化」「文言を強めに」でレビュー数が約10倍に!急成長するサービスの裏側|株式会社スペースマーケット

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「貸し会議室から球場まで」というユニークなキャッチコピーの「スペースマーケット」は、空きスペースを貸したい人と、借りたい人とをマッチングするプラットフォームだ。同サービスは、2014年1月の創業から急成長を見せており、2016年1月には民泊事業に参入することを表明し、ますます注目を集めている。
 
今回は、同社の共同創業者でありCTOを務める鈴木真一郎氏に、サービスの現状やサービスを成長させるために行った取り組みなどを伺った。

鈴木 真一郎(すずき しんいちろう)
取締役/CTO/プロダクトマネージャー
 

2003年に早稲田大学第一文学部を卒業し、NTTインターネット株式会社へ入社。銀行系のシステム開発などに携わる。2005年、ヤフー株式会社へ転職し、Yahoo!スポーツやワールドカップ、夏季/冬季五輪などメガイベントの開発、運用のリードエンジニアとして従事。
2010年リクルートメディアコミュニケーションズへ入社。2011年にソーシャルアプリの会社を立ち上げる。その後、株式会社スペースマーケットを重松大輔氏(現CEO)と共同創業。CTOとして開発を統括し、デザイン面にもコミットする。 

“貸し会議室から球場まで簡単予約”
日本最大級のレンタルスペースサービス

―「スペースマーケット」のサービスの概要を教えてください。
 
鈴木氏:一言で言うと、「空きスペースを貸したい人と、借りたい人をマッチングするプラットフォーム」です。キャッチコピーは、「貸し会議室から球場まで簡単に貸し借り」というもので、普通のイベントスペースや貸し会議室はもちろん、球場やお寺、銭湯などユニークなスペースを多数扱っているのが特徴の一つですね。

 

―現在のサービスの利用状況はどのようなものでしょうか?
 
鈴木氏:掲載しているスペースの数は、2016年3月現在で約5,000ヶ所ありまして、これはおそらく日本最大級ですね。利用ユーザー数ですと、Webサイト・アプリ含め、月間約15万人の方に利用していただいています。 



「Web:アプリの利用割合は約7:3、WebをPCとモバイルで分けると約4:6」とモバイルからの利用が多いそうだ

 ―スペースの種類がいろいろあるとのことですが、どのようなスペースが人気なのでしょうか?
 
鈴木氏:数でみると、1~2時間での利用が多い貸し会議室の件数がやはり多くなります。利用時間と利用件数とのトータルでみると、今は「キッチン付きスペース」がすごく人気がありますね。
 
―やはりスタンダードなスペースが人気なんですね。ユニークなスペースの利用事例も教えていただけますか?
 
鈴木氏:最近利用があったところでいうと、プラネタリウムや猿島(東京湾にある無人島)あたりでしょうか。ユニークなスペースの利用事例はまだ多くはありませんが、問い合わせ自体は最近けっこう増えてきています。
 
面白いところでいうと、かつて「笑っていいとも」を撮影していたスタジオアルタの利用事例がありましたね。社員総会で使用されたそうですが、タモリさんやいいとも青年隊のコスプレをしつつ、表彰式をやったりしたそうです(笑)。
 
―光景が浮かんできますね(笑)。実際のユーザーの声はどのようなものがありますか?
 
鈴木氏:圧倒的に多いのは「ここで、こんなことができるとは思いませんでした」という声ですね。たとえば「古民家で会議」などですと、いつもと違う場所で実施することで、意外なアイデアが出てきたという声はよく聞きます。
 
最近で印象に残っているところでいうと、「キッチン付きスペース」を会社のパーティでレンタルされた方々のケースですね。
 
その方々は、60歳くらいの副社長が料理をご自分で作られて、部下の方たちに振る舞ったそうなんです。そうすると、仕事の話ばかりだった居酒屋での飲み会と比べて、会話の内容が全然違ったんだとか。社員の皆さんから副社長に対して「料理するんですか?」「奥さんはどんな方なんですか」などプライベートの話も出てくるようになったと聞きました。「すごく新鮮な経験でした」という声を聞いて嬉しかったですね。
 
意外なところで、意外なことをする――スペースとコンテンツの組み合わせによって新しい経験が生まれるというのが「スペースマーケット」のウリの1つだと思っています。

コスプレや撮影などの用途で利用される方も多いとのこと

―なるほど。オーナーからの声はどうでしょうか?
 
鈴木氏:オーナーからもご好評をいただいています。たとえば、海辺の別荘を貸し出している方がいらっしゃいまして。その方はすでに退職されている方なんですが「若い子たちが来てくれて嬉しい」と楽しまれているようでした。
 
他にも、とある古民家のケースも面白かったですね。そこは多くのコスプレイヤーの方たちが毎週末に利用されるそうなんです。そのコスプレイヤーの方たちに人気の作品中に、ちゃぶ台が出てくるシーンがたくさん出てくるそうで、撮影用にちゃぶ台を持ち込む方も多かったそうです。それを見たオーナーが「大変だろう」ということで、わざわざちゃぶ台を購入されたんだとか。Webサイトにも「ちゃぶ台を買いましたので、ぜひ!」とアピールするくらい楽しまれているようでした(笑)。
 
スペースを有効利用できるだけでなく、ユーザーと触れ合うことができて嬉しいという活き活きしたオーナーのお声もよくお聞きしますね。 

イベントをやりたいという希望に対し、スペースを提案してもらうという使い方もできる

お気に入り、レビュー、わずかな気付きでサービスが成長

―スペース数/ユーザー数の推移としては、どういったペースで伸びていったのでしょうか?
 
鈴木氏:まずスペース数でいうと、2014年4月のリリース時点では100ヶ所程度でした。現在は5,000ヶ所という状況で、2年間で約50倍です。ユーザー数も、スペース数の増加に比例するペースで増加していっており、毎月120%成長を続けているような状況です。
 
―凄まじい成長スピードですね!スペース数/ユーザー数を伸ばすために、どのような取り組みを行ってきたのですか?
 
鈴木氏:2つのポイントがあります。1つはSEO対策をしっかりやったということがあります。リリース当初は、経験がなかったにも関わらずSEO対策をやらなければなりませんでした。そこでまずはSEOをはじめとしたWebマーケティングの書籍を読むところから始めました。また、弊社代表の重松の友人に、デジタルマーケティングのコンサルティング会社の社長がいましたので、その方に直接教えていただいたりもしましたね。そこから見よう見まねでしたが、Web版をグロースさせることができました。
 
もう1つは、スマートフォンアプリを提供したことで大きく伸びました。アプリの方も色々と試行錯誤を繰り返していったのですが、主だった取り組みを1つ挙げるとお気に入り機能の改善があります。
 
最初の段階ですと、スペースごとに“行きたい”、“行った”をユーザーが付けられる機能がありました。お気に入り機能をあらかじめ用途で分けた方がユーザーにとって使いやすいんじゃないかと考えていたんです。けれども、あまりその機能は使われなくて…。
 
それで社内の声やユーザーの声を聞いていくうちに「お気に入りを分けることを求められておらず、単純にブックマークとして使いたいのではないか?」という仮説を立ててみたんです。それを期間限定のつもりで試したところ、お気に入り機能の使用率はそれまでの10倍くらいまで伸びました。
 
―10倍はすごいですね!
 
鈴木氏:あとはレビューでも面白い結果が出ましたね。
 
レビューは当初、過去に利用したことがある人なら誰でも書けるというオープンな仕組みにしていましたが、全然レビューを書く人がいなかったんです。
 
そこで他のECサイトの事例を参考にし、「利用が終わったらユーザー/オーナー双方で2週間以内にレビューを書いてください」という仕組みにしたところ、こちらも10倍くらい書かれるようなったんです。
 
これは「2週間という期限を設けたこと」と「ユーザー/オーナーのどちらか片方がレビューを書くと、もう片方へ『あなたがレビューを書けば、レビューが公開されます』と通知されること」という点がポイントだと思っています。「こういうルールなんだ」という印象を持ってもらうことで、書いてもらいやすくなりましたね。
 
またレビューについては他にも事例がありまして。レビューを促す文言を、初めは「レビューを書いてください」くらいのフレンドリーなものにしていたんです。そこから「あなたがレビューを書かないと公開されません」といった旨の、強制的な文言にしたら一気に書かれるようになったというのもありましたね。

「お気に入りやレビューなど細かな改善が今のアクセス数にもつながっている」と鈴木氏は述べる

―レビューを書かなかったら何かペナルティなどがあるのですか?
 
鈴木氏:いえ、レビューを必須にはしていないのでペナルティなどは設けていません。
 
ただし、ユーザーはスペースを探す際にレビューを参考にしますので、似たようなスペースでしたらレビューがついている方が借りられやすくなります。
 
また相互レビューの形ですので、オーナーもユーザーのレビューを見ることもでき、オーナーは予約が入ってから「貸さない」とすることもできるんです。レビューの数が増えていき、書かない方が少数派になっていくと、レビューを書かないユーザー/スペースは借り/借りられにくくなるのかなと思います。

急成長するサービスを支える開発体制

―「スペースマーケット」の開発体制を教えてください。
 
鈴木氏:現在のチーム体制としては、エンジニア6名、デザイナー2名、ディレクター1名、あとは僕で計10名で開発を行っています。エンジニアは、自身がYahoo!にいたころの同僚だったり、ソーシャルゲーム開発を行っていた人もいれば、元SIerの人もいたりと、経歴はみんなバラバラですね。エンジニアのうち1名は、アプリ専属で開発を行っていまして。現時点ではアプリはiOSのみなので、Androidアプリ開発の経験があるエンジニアが欲しいと思っています。
 
開発環境としては、GitHubフローでエンジニアリングもデザインも回しています。
 
技術的なところでいうと、フロントエンドにはReact.js、バックエンドにはRuby on railsを用いています。最近、管理画面をリニューアルし、マイクロサービス化が完了したところです。iOSアプリの方は、現在Objective-CでやっていてSwiftに移行中。Apple Watch対応はSwiftで書かれていて、本体のほうをObjective-CからSwiftに移行している最中ですね。
 
―急速で成長しているサービスですので、苦労された点もあったのではないでしょうか?
 
鈴木氏:苦労した点はエンジニアの採用ですね。人数が少ない段階ですと1名入っただけでも影響が大きいですから、割としっかり選んでいます。会社全体の行動指針にも入っている「自分より優秀な人材を採用し、共に成長せよ」という部分を意識しています。
 
採用基準として一番重視しているのは、弊社のカルチャーにフィットしているかですね。たとえば「スペースマーケットというサービスが好きである」や「シェアリングエコノミーへ関心がある」などが判断基準の例ですね。ここがしっかりとしているエンジニアを採用することは、創業からのこだわりであり苦労してきた点かなと感じています。

「優秀な人に来てもらうたびに、営業・開発の仕組み化が進んでいった印象がある」と語る鈴木氏

 ―なるほど。それでは鈴木さんご自身がお仕事をする上で重視しているのは、どういったところでしょうか?
 
鈴木氏:プロダクトのUXには徹底的にこだわっていまして、その上で「ラスト1マイルを詰め切る」という言葉をとても大切にしています。「あともう少しで完成する」というときに細部を詰めると、大きくクオリティが変わってくるということが、自分の経験上多々ありますので。
 
もう1つはプロダクトを提供するにあたって、「本質の再確認」という点も重視しています。「これって本当にユーザーの役に立つんだっけ?」「この機能でいいんだっけ?」といった部分を最後まで確認するようにしています。その結果、「意味がない」「必要ない」となったら、リリースが迫っていたとしても一旦辞めることも辞さないという視点を大事にしています。

民泊サービスと「スペースマーケット」は別軸

―今後の展開を教えてください。
 
鈴木氏:2016年1月に発表したとおり、民泊事業に参入します。先ほど触れたAndroidアプリについても開発を行っていく予定です。
 
―民泊事業には競合サービスがいくつもありますが、その中でどういった差別化を図っていくのでしょうか?
 
鈴木氏:そもそものところでいうと、ビジョンが違うと僕らは考えています。一口に「泊まる」といっても実はいろいろと種類があって、他の民泊サービスは「宿泊」がベースであるのに対し、僕らのサービスは「イベント」がベースになっています。
 
僕らの想定している「泊まる」というのは、「イベント」に紐付いたものでして。たとえば「社員合宿を行う中で泊まるところ」といったように、「スペースマーケット」は「イベントのプラットフォーム」として考えていますので、軸は違ってくると思います。
 
他の点でいうと、某サービスが「宿泊」を1つの単位として貸し借りするのに対して、僕らは「時間」を単位として貸し借りをできます。これはオーナーにとっては明確な違いなんです。
 
一例を挙げれば「『スペースマーケット』を使って日中は時間単位で貸出して、夜は他のサービスで宿泊させる」という形で、オーナーにとっては空きスペースをフル活用できる可能性があるわけです。実際にこういった使い分けをされているオーナーもいらっしゃいますので、差別化はできている部分はあるかなと。
 
民泊事業はホテル業界などにも影響しうると言われるほどですので、十分なマーケットがある。そこへ「スペースマーケット」が切り込んで行けたらと思います。 

「スペースマーケット」開発の裏側を
5月20日(金)のヒカ☆ラボで大公開!

―5月に弊社のヒカ☆ラボに登壇される予定だと伺っています。どういった講演内容を考えていらっしゃるのでしょうか?
 
鈴木氏:先日バックエンドで大きなリニューアルをしたので、それに関する裏側を三部構成でお話しようと思っています。「全体のアーキテクチャやチームビルディング」については僕が、「Webのフロント/バックエンド」や「iOSアプリ」については各担当者が講演する形を想定しています
 
―とても興味深い内容ですね。最後にヒカ☆ラボへ参加しようと思われている方へ向けてメッセージをお願いします。
 
鈴木氏:弊社は現在、各自のエンジニアリングで、サービスをグロースさせることができるフェーズにあります。エンジニアとしてやりがいがある状況で、僕らがどういったことを行ってきたかに興味を持っていただける方に、ぜひご来場いただきたいです。

話題のサービス「スペースマーケット」を支えるRails x React x アプリ開発の裏側を大公開!

■日時:5/20(金)19:30~21:30
■場所:渋谷ヒカリエ
■予約方法:弊社サイトから予約する

レバテック営業担当「大林春菜」から一言!

急成長するサービスを支えるアツい思いに感動!

「ラスト1マイルを詰め切る」という点を意識しているという鈴木さん。自分たちのプロダクトに誇りを持って開発されているのがお話から伝わってきて、とてもかっこよかったです。オフィス内も非常に活気があり、メンバー全員がサービスに関わっていく「The スタートアップ」という環境であるのが感じられて魅力的でした。民泊事業でも「スペースマーケット」がどうスケールしていくか、目が離せません!

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