UXとは?UIとの違いや関係性、学習方法を分かりやすく解説

最終更新日:2024年6月10日

プロジェクトを進める中で「UXを意識したデザイン設計に」「UX向上のための施策が必要」といった言葉が出てくることがあります。UXとは、ユーザーエクスペリエンス・顧客体験という意味を持ち、「体験」を重要視する現在のビジネス環境で注目されている言葉です。本記事では、IT業界で働くすべての人に向けて、UXとは何か、同じタイミングで使われるUIとの違いやUXデザインの制作ポイントを解説します。

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この記事のまとめ

  • UXとは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称であり、サービスや製品を通じてユーザーが受け取る体験のことを指す
  • 優れたUXはユーザーに選ばれやすく製品の特徴にもなり、他社競合との差別化にもなるため、「UX向上」を目指すのが現在のビジネス環境の主流
  • 優れたUX/UIには必ず「ユーザー視点」が存在し、サービスを利用する顧客の理解が重要なポイントになる

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UX(ユーザーエクスペリエンス)とは?

UXとは、「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略です。直訳すると「顧客体験」となり、ユーザーがサービスや商品を利用した際に受ける体験そのものを指します。
たとえばECサイトを利用すると以下の体験を得られます。

  • ・欲しい商品が見つけやすい

    ・購入方法が分かりやすい

    ・サイトのデザインがスタイリッシュで好ましい

    ・カスタマーサポートの対応が早くて親切

このすべてがUXです。

UXハニカムが示すUXの7つの構成要素

UXはユーザー体験だと知っていても、サービスや製品であふれる現在のビジネス市場において、漠然とした概念であるため具体的に理解できないという声も聞かれます。そんなUXをより意識するためには、ピーター・モービル氏によって提唱されたUXハニカムを押さえておくことをおすすめします。

UXハニカムとは、UXをどのように評価するかを7つのポイントにまとめた思考整理フレームワークです。

Usable 使いやすい
Findable 見つけやすい
Useful 役に立つ
Desirable 魅力がある
Valuable 価値がある
Credible 信頼できる
Accessible 手に入れやすい

このUXハニカムがあれば、現状のUXが「ユーザーにとってどのようなUXなのか」を評価できます。またUXハニカムで検証すると課題や改善点も見つけやすくなるため、具体的なアクションプランを立案するフェーズでも知っておきたい要素です。

UXの対象期間とは

制作側にいると、しばしばUXは「設計段階だけ意識するもので、プロジェクトが終了すればそこでUXの対象期間も終了する」と思われがちです。しかし、UXはユーザーが製品を利用している一時的な期間だけでなく、サービスや製品を探して見つける期間、利用中、利用後まですべてが対象といえます。

このUXの対象期間はドイツで開催されたUXセミナーの資料で詳しく言及されています。USER EXPERIENCE WHITE PAPERでは、UXの対象期間を以下の4段階に分類しています。

  • ・Anticipated UX(予期的UX)

    ・Momentary UX(一時的/瞬間的UX)

    ・Episodic UX(エピソード的UX)

    ・Cumulative UX(累積的UX)

それぞれのステージでユーザビリティを考慮したUXを設計する必要があるでしょう。

UXとUIの違いと関係性

UXという言葉を使うシーンでは「UI/UX」のようにUIと並べられることも多いです。このUIとは何か、UXとの違いを明らかにしておきましょう。

  • ・UI…ユーザーインターフェース、プロダクトの表面部分でユーザーに見えている範囲のこと

    ・UX…ユーザーエクスペリエンス、UIによってアクションを起こした先のユーザー体験のこと

UIとはインターフェース(表面、接続面)を意味する言葉で、たとえばWebサイトのレイアウトや画面構成、アプリのメニュー欄やボタン、アイコンなどを意味します。UIによってサービスや商品を利用するとUXが発生します。
UI/UXは互いに欠かせない要素であり、深い関係性を持ちます。UI設計にはUX設計が欠かせないように、UXを意識する際もUIという概念が大切です。「UI/UXデザイナー」のように、担当者が兼任する場面も少なくありません。
ただし、異なる意味を持つ言葉であるため、それぞれを正しく理解しておきましょう。

関連記事:Webデザイナーとは?仕事内容や他職種との違い、未経験からの目指し方も紹介

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UXが企業から求められる理由とは

UXは最近になって急速に注目されるようになりました。なぜ、今UXがビジネスシーンで注目を集めるのでしょうか。ビジネス市場では日々変化が起こりますが、現状のプロダクト開発においてユーザーから選ばれるモノを作るために、大切な要素だと考えられています。
今一度UXを理解するために、UXがなぜ重要視されるのかをチェックしておきましょう。

コト消費で差別化する時代の変化への対応

IoTの普及により、IT業界を含めたビジネス市場は成熟しているのが現状です。商品やサービスは多種多様に展開され、たとえ良いモノがあったとしても「代わりになる商品が次々に登場する」といった場面は多く見られます。

そのため、モノそのもので他社競合と差別化することは困難な時代です。これを打開するために独自の体験や経験を提供する「コト消費」が意識され、今では「より使いやすいもの」「同じ値段でもアフターケアやサービスなどが充実しているもの」がフォーカスされやすいといえます。

コト消費があふれる現在では、ユーザー体験であるUXが差別化のポイントになります。機能やスペック面とは異なる領域で優れたUXを提供できると、競争優位性の獲得にもつながるでしょう。

ロイヤルカスタマー獲得につながる

ロイヤルカスタマーとは、企業やブランド・商品に対して信頼を寄せる顧客のことを指します。ロイヤルカスタマーはSNSや口コミサイトにポジティブな情報を拡散してくれるだけでなく、リピーターにもなるなど、プロダクトにおいて特にアピールしたいユーザー層です。

優れたUXがあれば、このロイヤルカスタマー獲得にもつながるでしょう。近年ではデータ分析技術が進化し、パーソナライズされた情報やサービスを提供することも可能です。

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優れたUXとはどのようなものか

UXの重要性を把握したところで、次は優れたUXとは何かの理解を深めましょう。「UX向上」というのは、UXの価値と品質を高めようという動きを指します。UXに関わる職種は、業務を行う際にこれらの目線で開発できているかを考えながら進める必要があります。
優れたUXには欠かせない要素が詰まっているため、人気のあるUXの具体例とあわせて解説します。

ユーザー目線で作られておりどのデバイスでも使いやすい

どんなおしゃれで前衛的なデザインも、ユーザーが「何を表しているのか分からない」と迷う余地を与えてしまうものは優れたUXとはいえません。前提として「ユーザー視点」があるものが、優れたUI/UXだといえます。

また、現在のサービスはさまざまなデバイスに対応するのが一般的です。たとえば、Webサイトもパソコンやスマートフォン、タブレットなど異なるデバイスに対応しているのが通常です。異なるデバイスで閲覧した際、レイアウトが崩れると適切なUXとはいえません。違うデバイスで見ても画面サイズに依存しない「レスポンシブデザイン」を意識するのが大切です。

操作方法でユーザーを悩ませることなく操作させられるのが理想

優れたUXの定義や要素はさまざまありますが、ユーザーが利用する際に「使いやすいか」「価値があるか」などを意識することが軸といえるでしょう。端的にいうと、ユーザーが一切悩まずスムーズに操作できるものこそ、優れたUI/UXです。
UIは、直感的な操作や適切な情報量を持つものが評価されます。UXはユーザーのライフスタイルに即したもので、ほかにはないメリットが多いものが目指すべき姿です。

優れたUXの具体例

言葉では理解しても、具体的にどんなUXが優れているといえるのか悩む方もいるでしょう。実際に開発段階になって、「どんなUXが良いか思いつかず難しい」「本当に優れたUXになっているか自信がない」と困難な場面に直面することもあるでしょう。優れたUXとはどんなものか実例を知ることで、参考になるはずです。UXによって成功しているサービスや製品を具体例としてチェックしてみましょう。

LINE

スマートフォン用アプリLINEは、アプリを通じてユーザー間でメッセージのやり取りができます。LINEのUIはメールのような「メッセージ受信画面」とは異なる吹き出し形式で表され、まるで実際に会話しているような体験が得られます。
会話の流れが分かりやすいUIと、無料でメッセージを送りあえるというUXデザインで、世界中にユーザーを持つ人気のアプリです。

Amazon

Amazonは世界最大級のオンラインショップです。AmazonのUXデザインはユーザーが円滑に購買体験ができるように設計されています。

たとえば商品名やカテゴリーなどの検索条件を簡単に入力でき、膨大なユーザーデータを利用して購買履歴や嗜好にあわせたおすすめアイテムの情報も表示できます。商品レビューや評価を分かりやすく表示することで、ユーザーが信頼しやすいのもAmazonが持つ優れたUXデザインといえるでしょう。

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UX改善の方法

実際のプロジェクトでは、既存の製品やサービスのUXを今一度見直す場面も多いです。続々と登場するより見やすく快適なシステム・サービスに対抗すべく、既存サービスの改善で対応することも多いからです。その規模は小さいこともあれば、大規模な改善が必要なこともあるなどさまざまです。UXを一から作るのではなく、改善するときのプロセスを把握しておきましょう。

UXの現状の把握

UXの改善は、UXデザインを新しく構築するのと同じようにターゲットユーザーの現状を把握するところから始めます。ユーザー体験を理解し情報を整理するための行動はUXリサーチと呼ばれ、ユーザビリティテストやインタビュー、アクセス解析などさまざまな手段が使われるのが特徴です。
ユーザーの悩みとニーズを洗い出し、心理を明らかにしておくと、改善ポイントが多数見つかります。

現状と理想とのギャップから改善施策を検討

UXリサーチを行い現状と理想のギャップが表面化すると、課題を解決する理想のUXを設計します。この目標とするUXに向かって、施策を設けるのが次の段階です。

施策の検討には「カスタマージャーニーマップ」を作成することもあります。ユーザーの行動や感情の遷移を可視化するもので、「現状何がユーザーにとってストレスなのか」といった問題点が発見できる有効な手段です。

UX改善施策の実施・検証

改善施策はユーザー視点を持つと多数見つかりますが、その中でも優先順位の高いものから実行していきます。施策の実行後も、UXリサーチを継続して施策の効果を検証しましょう。
ユーザーの心理や利用環境は絶えず変化します。長期的にUXデザインの質を高めるには継続したアップデートが必要であり、ブラッシュアップは欠かせないと考えておきましょう。

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UXデザインの勉強方法

UXデザインは「デザイン」という名称がついていることから、デザインに特化したスキルが必要と考えられがちです。しかし、実際にはデザイン要素を考慮した作業をするものの、「自分で絵を描く」といったデザインに直接関連する作業を行なうわけではありません。そのため、デザイン知識はもちろん、デザイン制作以外の分野への知見も求められます。どのようにUXデザインを理解すれば良いのか、技術と知識を身につける方法をいくつか紹介します。

関連記事:デザイナーとして就職するためには?職種と必要なスキルを解説

デザインの基本から学習する

UXデザイナーは「体験を設計する仕事」ですが、ユーザーが体験を得るためにはユーザーが操作する部分=UIの設計が欠かせません。芸術性や個性はそこまで必要ありませんが、デザインの基本は必ず押さえておきましょう。

UI/UXデザインには原則が存在します。デザインの原則を体系的に理解し、デザインによって不自由なく表現できるようになると、ユーザーに評価されやすく正確に情報を伝えやすくなるでしょう。

デザインツールの使い方を身につける

デザインの基礎とはデザイン知識の部分であり、実際に実装するには専用ツールを使いこなす必要があります。媒体によって使用するツールはさまざまですが、Web上のデザイン制作ではPhotoshop®やIllustrator®が使われることが多いです。世界的にも有名なツールであるため、まずは一通り触っておくと理解が深まります。

ツールの使い方はデザイン業務をしたことのない未経験者だと難しく感じるものです。書籍やサイトで学んだり、動画などでも学習できるため、効率的な学習方法を見つけておきましょう。

Webサイトを見てUI/UXの事例を参考にする

国内外には、優れたUI/UXの事例が多数存在します。特に海外のプロダクトではUXデザインを重視する傾向があるため、研究を進めるためにもチェックしておくと地力向上につながるでしょう。
UXデザインには、正解が存在しません。優れたUXデザインを参考に「どの部分が評価されているのか」「自社サービスではどう活用できるのか」など比較して考えてみることをおすすめします。

UI/UXを実際にデザインしてみる

UI/UXデザイン力は、実際に手を動かすことで身につきやすいです。大きなプロジェクトに参画する必要はないため、個人でも新規サービスを作ってみて、UI/UXの設計と改善を経験すると学べる部分が見つかります。

知識やスキルのアウトプットは、繰り返すとある程度パターン化できます。制作したら他者からのアドバイスやフィードバックを得るとよりブラッシュアップできるため、ポートフォリオとしてまとめておくと良いでしょう。

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UXに関するよくある質問

UXは、ユーザー体験を意味する言葉です。ビジネス戦略における大切な要素として、今注目される言葉といえるでしょう。プロダクト開発に限らずIT業界でビジネスを進めるなら知っておきたい概念といえます。

UXへの理解を深めるためにも、UXに興味がある方がよく抱く疑問と、その回答を確認しておきましょう。

Q1. UXとはどういう意味ですか?

UXとは、「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称であり「ユーザー体験」という意味を持ちます。
サービスや商品を通じて顧客が感じる体験すべてを指し、「分かりやすい」「使いやすい」と感じるUXこそが優れているといわれています。

Q2. UXとUIの違いは何ですか?

UXとはユーザー体験で、UIとはユーザーがサービスなどを利用する際に目に見える部分、操作できるそのものを指します。
たとえば、WebサイトをUI/UXを意識してつくると、見やすく使いやすいサイトになります。UI/UXのように並べて使われる言葉ですが、違う意味を持つ点には注意が必要です。

Q3. UXデザイナーとは何をする職種ですか?

UXデザイナーとは、端的にいうとユーザー体験を設計する職業です。ユーザー体験を設計するには「どのようなニーズがあるのか」「ユーザーが抱える課題は何か」「どんなUIだとユーザーが使いやすいと感じるか」など、さまざまな要素を検証する必要があります。

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まとめ

今注目されている言葉である「UX」について紹介してきました。顧客の体験を意味するUXは、多数のプロダクトであふれる現在において、他社との差別化を作る大切な重要課題です。特にIT業界では頻出する単語であるため、本記事を参考にUIとの違いや優れたUXの作成ポイントなど、正しくUXを理解しておきましょう。

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