UXとは?UIとの違いや具体例を分かりやすく解説

最終更新日:2024年11月15日

プロジェクトを進める中で「UXを意識したデザイン設計に」「UX向上のための施策が必要」といった言葉が出てくることがあります。UXとは、ユーザーエクスペリエンス・顧客体験という意味を持ち、「体験」を重要視する現在のビジネス環境で注目されている言葉です。

本記事では、IT業界で働くすべての人に向けて、UXの概要やUIとの違い、UXデザインの制作ポイントなどを解説します。

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この記事のまとめ

  • UXとは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称であり、サービスや製品を通じてユーザーが受け取る体験のことを指す
  • 優れたUXをもつ商品やサービスは、ユーザーに選ばれやすく、他社競合との差別化にもなるため、「UX向上」を目指すのが現在のビジネス環境の主流
  • 優れたUX/UIには必ず「ユーザー視点」が存在し、サービスを利用する顧客の理解が重要なポイントになる

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UX(ユーザーエクスペリエンス)とは?

UXとは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略です。直訳すると「顧客体験」となり、ユーザーがサービスや商品を利用した際に受ける体験そのものを指します。
たとえばECサイトを利用すると以下の体験を得られます。

  • ・欲しい商品が見つけやすい

    ・購入方法が分かりやすい

    ・サイトのデザインがスタイリッシュで好ましい

    ・カスタマーサポートの対応が早くて親切

このすべてがUXです。

関連記事:UI/UXとは?違いや活用事例、求められる背景を解説

UXハニカムにおけるUXの7つの構成要素

UXハニカムとは、UXをどのように評価するかを7つのポイントにまとめた思考整理フレームワークです。UXはユーザー体験だと理解していても、漠然とした概念であるため、具体的に理解できないという声も聞かれます。UXをより理解するためには、ピーター・モービル氏によって提唱されたUXハニカムをおさえることをおすすめします。

UXの7つの構成要素

  • Usable:使いやすい

    Findable:見つけやすい

    Useful:役に立つ

    Desirable:魅力がある

    Valuable:価値がある

    Credible:信頼できる

    Accessibl:手に入れやすい

このUXハニカムがあれば、現状のUXが「ユーザーにどのような体験を提供できているか」を評価できます。またUXハニカムで検証すると課題や改善点も見つけやすくなるため、具体的なアクションプランを立案するフェーズでも知っておきたい要素です。

UXの対象期間とは

制作側にいると、しばしばUXは「設計段階だけ意識するもので、プロジェクトが終了すればそこでUXの対象期間も終了する」と思われがちです。しかし、
UXはユーザーが製品を利用している一時的な期間だけでなく、サービスや製品を探して見つける期間、利用中、利用後まですべてが対象といえます。

このUXの対象期間はドイツで開催されたUXセミナーの資料で詳しく言及されています。USER EXPERIENCE WHITE PAPERでは、UXの対象期間を以下の4つに分類しています。

  • ・Anticipated UX(予期的UX)

    ・Momentary UX(一時的/瞬間的UX)

    ・Episodic UX(エピソード的UX)

    ・Cumulative UX(累積的UX)

それぞれのステージでユーザビリティを考慮したUXを設計しましょう。

UXとUIの違いと関係性

UXという言葉を使うシーンでは「UI/UX」のようにUIと並べられることも多いです。このUIとは何か、UXとの違いを明らかにしておきましょう。

  • ・UI(ユーザーインターフェース):プロダクトの表面部分でユーザーに見えている範囲のこと

    ・UX(ユーザーエクスペリエンス):UIによってアクションを起こした先のユーザー体験のこと

UIとは、利用者との接続面を意味する言葉で、たとえばWebサイトのレイアウトや画面構成、アプリのメニュー欄やボタン、アイコンなどを指します。UIを改善すると良いUXにつながります。ただし、UXの構成要素はUIだけではありません。当然、分かりやすいUIはUX向上に大きく影響しますが、処理速度などほかの要因も重要です。

関連記事:UIとは?UXとの違いやデザイン作成のポイントを解説

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優れたUXとは

優れたUXとは、どの端末でも使いやすい、直感的に操作方法を理解できるなどの要素が重要です。そのため、UXの向上にはUIの改善や処理時間の短縮などが関係します。また、優れたUXを設計するには、具体例を知ることが重要です。ここからは優れたUXと評価されているサービスを3つ紹介します。

LINE

LINEは、ユーザー間でメッセージのやり取りができるアプリケーションです。LINEのUIは、メールのような「メッセージ受信画面」とは異なり、吹き出し形式で表され、まるで実際に会話をしているような体験ができます。

会話の流れが分かりやすいUIと、遅延なしでストレスフリーにコミュニケーションできるUXデザインで、世界中にユーザーをもつ人気のアプリです。

Amazon

Amazonは世界最大級のオンラインショップです。AmazonのUXデザインは、ユーザーが円滑に購買できるように設計されています。

たとえば、商品名やカテゴリーなどさまざまな条件で目的の商品を検索でき、膨大なユーザーデータをもとに嗜好に合わせたおすすめのアイテムを表示します。また、商品レビューや評価を分かりやすく表示することでユーザーが信頼しやすいのも、Amazonが持つ優れたUXデザインといえるでしょう。

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UXが企業から求められる理由とは

UXは最近になって、より注目されるようになりました。なぜ、今UXがビジネスシーンで注目を集めるのでしょうか。それは昨今溢れかえっているサービスや商品から、UXの重要度が増したからです。

今一度UXを理解するために、UXがなぜ重要視されるのかをチェックしておきましょう。

「モノ消費」から「コト消費」へと時代が変化した

商品やサービスは多種多様に展開され、たとえ良いモノがあったとしても「代わりになる商品が次々に登場する」といった場面は多く見られます。

そのため、製品やサービスそのもので他社競合と差別化することは困難です。これを打開するために独自の体験や経験を提供する「コト消費」が意識され、今では「より使いやすいもの」「同じ値段でもアフターケアやサービスなどが充実しているもの」がフォーカスされやすくなっています。

コト消費があふれる現在では、ユーザー体験であるUXが差別化のポイントになります。機能やスペック面とは異なる領域で優れたUXを提供できると、競争優位性の獲得にもつながるでしょう。

ロイヤルカスタマー獲得につながる

ロイヤルカスタマーとは、企業やブランド・商品に対して信頼を寄せる顧客のことを指します。ロイヤルカスタマーはSNSや口コミサイトにポジティブな情報を拡散してくれるだけでなく、リピーターにもなるなど、プロダクトにおいて特にアピールしたいユーザー層です。

優れたUXがあれば、このロイヤルカスタマー獲得にもつながるでしょう。近年ではデータ分析技術が進化し、パーソナライズされた情報やサービスを提供することも可能です。UI・UXデザイナーの転職を相談する

情報共有の手段とUIが多様化している

一人1台スマートフォンを持つ現在では、口コミなどのユーザー情報の共有が重要な要素になっています。ユーザーの共有手順を簡略化することで、自然とユーザー数が増えるなど、マーケティングにつながる事例も多いです。そのため、UXを最適化することはマーケティング施策にも繋がります。

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UX改善の方法

実際のプロジェクトでは、既存製品のUXを一定間隔で見直します。なぜなら続々と登場するより良いシステム・サービスに対抗すべく、既存サービスの改善をするからです。改善の規模は小さいこともあれば、大規模な場合もあります。UXを一から作るのではなく、改善する際のプロセスを把握しておきましょう。

UXの現状の把握

UXの改善は、UXデザインを新しく構築するのと同じようにターゲットユーザーの現状を把握するところから始めます。ユーザー体験を理解し情報を整理するための行動はUXリサーチと呼ばれ、UX
リサーチの主な手法はユーザビリティテストやインタビュー、アクセス解析などです。

ユーザーの悩みとニーズを洗い出し、心理を明らかにしておくと、改善ポイントが多数見つかります。

UXの現状と理想のギャップから改善施策を検討

UXリサーチを行い現状と理想のギャップを整理したら、課題を解決する理想のUXを設計します。この目標とするUXに向かって、施策を設けるのが次の段階です。
施策の検討には「カスタマージャーニーマップ」を作成することもあります。ユーザーの行動や感情の遷移を可視化するもので、「現状何がユーザーにとってストレスなのか」といった問題点が発見できる有効な手段です。

UX改善施策の実施・検証

改善施策はユーザー視点を持つと多数見つかりますが、その中でも優先順位の高いものから実行していきます。施策の実行後も、UXリサーチを継続して施策の効果を検証しましょう。

ユーザーの心理や利用環境は絶えず変化します。長期的にUXデザインの質を高めるには継続したアップデートが必要であり、ブラッシュアップは欠かせないと考えておきましょう。UI・UXデザイナーの転職を相談する

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UXデザインの勉強方法

UXデザインは「デザイン」という名称がついていることから、デザインに特化したスキルが必要と考えられがちです。しかし、実際にはデザイン要素を考慮した作業をするものの「自分で絵を描く」といったデザインに直接関連する作業を行なうわけではありません。そのため、デザイン知識はもちろん、デザイン制作以外の分野への知見も求められます。

ここからはどのようにUXデザインを理解すれば良いのか、技術と知識を身につける方法を紹介します。

関連記事:デザイナーとして就職するためには?職種と必要なスキルを解説

デザインの基本から学習する

UXデザイナーは「体験を設計する仕事」ですが、ユーザーが体験を得るためにはユーザーが操作する部分=UIの設計が欠かせません。芸術性や個性はそこまで必要ありませんが、デザインの基本は必ずおさえておきましょう。

UI/UXデザインには原則が存在します。デザインの原則を体系的に理解し、デザインによって不自由なく表現できるようになると、ユーザーに評価されやすく正確に情報を伝えやすくなるでしょう。

デザインツールの使い方を身につける

デザインの基礎とはデザイン知識の部分であり、実際に実装するには専用ツールを使いこなす必要があります。媒体によって使用するツールはさまざまですが、Web上のデザイン制作ではPhotoshop®やIllustrator®が使われることが多いです。世界的にも有名なツールであるため、まずは一通り触っておくと理解が深まります。

ツールの使い方はデザイン業務をしたことのない未経験者だと難しく感じるものです。書籍やサイトで学んだり、動画などでも学習できるため、効率的な学習方法を見つけておきましょう。

UI/UXの事例を参考にする

国内外には、優れたUI/UXの事例が多数あります。特に海外のプロダクトではUXデザインを重視する傾向があるため、研究を進めるためにも日々チェックしておくことが大切です。
UXデザインには、正解が存在しません。優れたUXデザインを参考に「どの部分が評価されているのか」「自社サービスではどう活用できるのか」など比較して考えてみることをおすすめします。

UI/UXを実際にデザインしてみる

UI/UXデザイン力は、実際に手を動かすことで身につきやすいです。大きなプロジェクトに参画する必要はないため、個人でも新規サービスを作ってみて、UI/UXの設計と改善を経験すると学べる部分が見つかります。

知識やスキルのアウトプットは、繰り返すとある程度パターン化できます。制作したら他者からのアドバイスやフィードバックを得るとよりブラッシュアップできるため、ポートフォリオとしてまとめておくと良いでしょう。

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UXに関するよくある質問

UXは、ユーザー体験を意味する言葉です。ビジネス戦略における大切な要素として、今注目される言葉といえるでしょう。プロダクト開発に限らずIT業界でビジネスを進めるなら知っておきたい概念といえます。

UXへの理解を深めるためにも、UXに興味がある方がよく抱く疑問と、その回答を確認しておきましょう。

Q1. UXとはどういう意味ですか?

UXとは、「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略称であり「ユーザー体験」という意味を持ちます。
サービスや商品を通じて顧客が感じる体験すべてを指し、「分かりやすい」「使いやすい」と感じるUXこそが優れているといわれています。

Q2. UXとUIの違いは何ですか?

UXとはユーザー体験で、UIとはユーザーがサービスなどを利用する際に目に見える部分、操作できるそのものを指します。

たとえば、WebサイトをUI/UXを意識してつくると、見やすく使いやすいサイトになります。また、UIを最適化すれば必ずUXも最適化されるわけでは無い点に注意が必要です。

Q3. UXデザイナーとは何をする職種ですか?

UXデザイナーとは、端的にいうとユーザー体験を設計する職業です。ユーザー体験を設計するには「どのようなニーズがあるのか」「ユーザーが抱える課題は何か」「どんなUIだとユーザーが使いやすいと感じるか」など、さまざまな要素を検証する必要があります。UI・UXデザイナーの転職を相談する

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まとめ

今注目されている言葉である「UX」について紹介してきました。顧客の体験を意味するUXは、多数のプロダクトであふれる現在において、他社との差別化を作る大切な重要課題です。特にIT業界では頻出する単語であるため、本記事を参考にUIとの違いや優れたUXの作成ポイントなど、正しくUXを理解しておきましょう。

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