SASとは?統計解析との関係や活用できる職種を解説

最終更新日:2024年6月10日

SASとは「Statistical Analysis System」の略で、ソフトウェアの1つです。SASの目的は、統計計算や統計解析を簡単に実施することです。従来は統計計算ができる専門性の高い人材が必要でしたが、SASを使用することによって簡単なコマンドで実現可能となりました。高性能かつ高速、信頼性の高さから研究者をはじめ世界中の企業に利用されています。

本記事では、SASの概要と活用事例、SASを扱う職種、SASを学習するために必要なトレーニングについて解説します。

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この記事のまとめ

  • SASは統計計算や統計解析を目的としているパッケージソフト
  • 高性能で高速、信頼性も高いことから世界中で利用されており、データ分析の品質が認められている
  • SASを扱う職種にはデータサイエンティストとSASエンジニアがあり、どちらも統計学の知識とSASの活用方法を熟知している必要がある

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SASとは

SASは、Statistical Analysis Systemの略で、ソフトウェアの1つです。開発元は、アメリカのSAS Instituteです。

SASの目的は統計計算や統計解析であり、統計パッケージとして分類されます。蓄積されたデータを取り出し、さまざまな解析手法を用いてデータ分析を行い、データ解析や統計分析、解析結果の可視化を行えるパッケージソフトです。

統計計算を行うためには、複雑な計算式と計算させるためのプログラムが必要であり、従来は統計計算ができる人材が必要でした。しかし、SASを利用すれば、その計算を簡単なコマンドで実現できます。

SASは、統計の初学者であっても簡単に統計解析が可能です。より高度な解析が必要な場合は、SASの豊富なオプションを利用することにより実現できるようになっています。高性能で高速、信頼性が高いことから、研究者をはじめ世界中の企業に利用されており、SASで分析した内容は、世界的に論文などのデータ分析に活用されています。

SASの製品

単体のソフトウェア製品だけでなく、インターネットを通じて利用できるクラウドサービスの「SAS Cloud」や、Microsoft Azure上でいくつかの製品を利用できる「SAS on Azure」なども提供されています。

また、データ分析機能をより便利にできる基盤ソフトウェアとしてSAS Viyaがあります。SAS ViyaはAPI経由でデータ分析を行うことができ、JavaやPythonなどのプログラミング言語を用いれば、それぞれのAPIライブラリを介してデータ分析機能を利用できます。

なお、同じ分野の製品として、IBM社のSPSSとよく比較されます。ほかに、R言語やPythonなどもデータ解析環境の一種として引き合いに出されることが多いです。

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SASの活用事例

SASは2024年4月時点で40年以上の歴史をもち、全世界の約8万3,000サイトで採用されています。あまりにも膨大な採用事例があるため、SASがどういう風に使われているのかイメージできず、学習意欲につなげられない方もいるでしょう。そこで、SASがどのような業界や分野で利用されているか、具体的な活用事例を解説します。

金融:企業が多階層検知で用いて、サードパーティ不正の80%以上を削減

金融業界における活用事例です。

金融業界が抱えるリスクの1つとして、資金洗浄・薬物密売・テロ資金提供など、疑わしい犯罪取引などがあります。これらは早期探知する必要がありますが、SASの導入によりリスクと収益のバランスを戦略的に調整しながら、リスク意識の高い組織作りを支援することを可能にしました。SASの以下のような特徴を活かし、金融業界におけるリスクを低減しています。

【高速計算】
特許出願中の手法により、複雑な計算の処理時間を飛躍的に短縮

【市場評価におけるリスクを正確に集約】
損益の変化などリスクに関わる複数のデータソースやデータ形式を集約し、総合的に評価

【探索】
対話型の視覚化機能により、リスク指標と階層構造を即時に探索

【データ管理プロセスの自動化】
自己文書化型のリスクデータとインフラを採用し、データ管理プロセスを自動化

SASを利用することで高い収益性や効率性を実現できました。また、十分な規制遵守も可能なため金融機関での運用に適しており、実際にSAS分析ツールを活用してビッグデータを解析し、大手金融機関がマネーロンタリング対策の実績を残しています。
SASを導入することにより、システム開発から導入まで一貫したサービス体制を確立し、法改正に合わせたカスタマイズに迅速に対応することが可能となった事例です。

情報通信:500を超える予兆モデルの精度を保ったまま自動的に運用し続ける分析基盤を完成

情報通信業での事例です。

情報通信企業の課題は、顧客データを集約し、蓄積されたデータを個人ごとに高精度に分析することです。顧客の属性や行動履歴などのデータをより高度に取得できれば、顧客ニーズに最適なサービスを提案することにつながります。

顧客データの高度な分析のため、SAS consulting serviceを導入した企業は、以下のような利点を得ることができました。


  • ・SASを利用し、AIを組み込んだ500を超えるモデルを常時運用

    ・時間の限られた接客において、的確な提案で成約率3倍を達成


顧客にとって最適なサービスを提供するためには、顧客のデータ準備が必要です。データ準備には大量のリソースが不可欠ですが、SAS consulting serviceによって最適化を繰り返し、現在では大量のリソースを処理する500ものモデルを運用し続け、成約率3倍などの実績を残しています。

医療:医学研究のデータマネジメントと統計解析を支える

東京大学は、医学系研究科・医学部および附属病院の学生・教職員が自由にSASのソフトウェアを利用できるよう、教育機関向けのライセンス契約を導入しています。医学研究の一環として高度なデータ分析を行うためです。
なかでも、医学部健康総合科学科では統計学とSASプログラミングの基礎を学習する統計情報処理実習が必修科目になっており、卒業論文や修士論文の執筆においてもSASは欠かせません。

医学研究においてSASを使用するメリットは大きいです。疫学や臨床の医学研究ではSASがデータ管理と統計解析の標準となっており、統計解析結果の品質を検証するポリシーが厳格であるためです。

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SASが活用できる職種

SASを開発に用いる代表的な職種には、データサイエンティストとSASエンジニアがあります。当然ながら、業務内容にはSAS以外での作業も含まれます。転職を検討するのであれば、SASを用いる場面以外でどのような業務を行なうのかは知っておくべき内容です。それぞれの具体的な業務内容と必要なスキルについて解説します。

データサイエンティスト

膨大なデータを分析し、開発における課題の解決策を導きだすのがデータサイエンティストです。さまざまな意思決定の場面で、データに基づいた合理的な判断を行えるようサポートします。

データサイエンティストは、企業をより成長させるために、まず、現在その企業が抱えている課題の抽出を行います。次に、課題を解決するための仮説を立て、検証のためのデータ収集を行います。最後に検証を実施し、問題がなければ企業に解決策を提案、もし問題があればまた仮説を立てて検証を繰り返します。

このように、データを収集して統計解析をするデータサイエンティストには、統計に関する高度な知識が求められます。もちろん、SASの活用方法の知識があればより効果的な解決策を提案できます。また、開発業務で扱うプログラミング言語やデータベース、機械学習の知識が必要です。

SASエンジニア

SASを活用したデータ分析や統計処理、プログラミングを行うエンジニアをSASエンジニアといいます。金融や医療、政府機関などのあらゆる領域で活躍しています。

主な仕事はSAS言語を駆使したデータの統計分析です。具体的にはデータの集計や加工、整形、クレンジング、抽出などの処理を行い、分析やレポートに必要な形式に変換します。また、SASを用いたシステム開発や運用に携わります。SASを用いたシステムは大量のデータ処理や高度な分析が可能であるため、金融機関や保険会社など大規模な企業で採用されることが多く、その導入と運用のサポートが業務となります。SASシステムのカスタマイズや移行作業もSASエンジニアの仕事です。

SASエンジニアには、データ分析に必要な統計学や数学の知識が求められます。ただし、高度な数学的知識は必須ではありません。むしろ、データベースの知識がSASエンジニアにとって不可欠です。SASが処理するデータを保管し管理するのがデータベースです。そのため、データベースの構造や運用、クエリの実行方法を理解していることが重要です。

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SASを学習するためには

SASにはSAS言語という独自のプログラミング言語があります。SASの公式サイトにSAS OnDemand for Academicsという学習サービスが提供されているため、学習に活用することをおすすめします。SAS OnDemand for Academicsは、クラウド上で利用可能でOSも問いません。また、誰でも無料で利用可能です。利用方法は以下の通りです。

  • 1. SASプロフィールの登録

    2. SAS OnDemandに登録

    3. SAS Studioの利用開始

なお、セルフサービスで開発環境を構築でき、すべてのSAS製品に搭載されているSAS Studioは、ブラウザで開けるツールです。SAS認定資格を取得する際に使い慣れておくと役立つため、資格取得を視野に入れている場合はSAS Studioを使いこなせるようにしておきましょう。

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この記事の監修

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