R言語とは?
R言語は統計解析に特化しているプログラミング言語で、PHPやPythonとは異なる特徴を持っています。R言語の基本的な定義や特徴、歴史について解説します。
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・R言語の定義や特徴
・R言語の歴史
R言語の定義や特徴
R言語はPHPやPythonのような汎用性の高い開発言語ではなく、統計解析に特化しているのが特徴のプログラミング言語です。統計解析ツールの「R」と「R言語」はしばしば混同されますが、厳密には異なります。R言語はプログラミング言語(コンピューターに作業命令を出すための言語であり、特定の文法ルールに基づいて記述される)であり、「R」は無料かつオープンソースの統計解析ツールを指します。「R」では主にR言語を使って統計解析を行います。
R言語の歴史
R言語はS言語から生まれたプログラミング言語です。AT&Tベル研究所で開発されていたS言語を再実装して誕生しました。R言語はS言語とは別の独自の進化を遂げており、統計解析に使える豊富なパッケージが揃っています。
S言語用に書かれたコードの多くはR言語でも実行することが可能です。R言語はもともとは大学の統計学実習用のシステムとして開発されたものですが、ビッグデータ市場の隆盛などを背景にビジネスでも広く普及しています。オープンソースであるため現在も機能拡張が行われています。
R言語でできること
R言語は、統計解析およびデータの可視化が得意な言語であり、商品の売上データの分析や、心理学や物理学といった分野での研究結果分析に使われています。。ここでは、R言語でできることについてさらに詳しく見ていきましょう。
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・統計解析
・テキストマイニング
・データのグラフ化
統計解析
R言語は統計解析ができる言語です。統計解析とは統計学の理論に従って解析を行うことです。統計は集団の特性を客観的な数量(平均値や中央値)で表すことで、求められた数量は統計量と呼びます。統計解析は、治験結果の解析や商品開発における市場調査などで利用されています。教育機関では統計解析の補助教材としてR言語が用いられています。
テキストマイニング
テキストデータを解析して有益な情報を導き出す技術を指します。例えば、みずほ情報総研はテキストマイニング機能を追加したアンケートサービスを提供しています。アンケートの自由回答を内容ごとに自動的に分類し、自由回答の全文を読まなくても意見の傾向を把握できるというものです。R言語にはMeCabというテキストマイニングツールを動かすパッケージ(RMeCab)が備わっています。RMeCabを使うことで、MeCabを通じてテキストの分割や頻出単語の抽出などが行えます。
データのグラフ化
統計解析はデータを分析して終わりではありません。例えばデータ分析結果をグラフ化して、研究論文やプレゼンに添付するなど、分析結果を基に導いた結論を発表する必要があります。グラフがあることで、技術者以外にも「売上の推移がどうなっているか」などが分かりやすくなり、改善点も可視化されます。R言語には見やすいグラフを素早く作成するためのplot関数(折れ線グラフ)やpie関数(円グラフ)などの関数が豊富に揃っています。
R言語の特徴・メリット
R言語にはパッケージが豊富なことやグラフ作成が容易なこと、ベクトル処理、外部ソフトとの連携など便利な機能が多くあります。これらのR言語の特徴・メリットを詳しく紹介します。
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・パッケージが豊富
・グラフ作成が容易
・ベクトル処理機能が便利
・外部のソフトウェアやデータベースと連携しやすい
パッケージが豊富
R言語には現時点(2024年10月)で21,471ものパッケージが導入されています。パッケージとは、オブジェクトや関数をまとめたプログラムの部品群を指します。パッケージが豊富であることは分析手法の選択肢が広がるだけでなく、効率的なデータ処理やあらゆるデータの可視化が可能になるメリットを意味します。R言語の代表的なパッケージを表にまとめました。
パッケージ名 | 用途 | 活用例 |
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dplyr | データフレーム操作 |
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ggplot2 | グラフ作成 |
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R Markdown | Markdown形式との連携 |
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stringr | 文字列操作 |
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RMySQL | MySQLに接続 |
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jsonlite | JSONデータの取得 |
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RGA | Google Analyticsとの連携 |
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rJava | Javaアプリとの連携 |
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グラフ作成が容易
R言語はパッケージを導入しなくても、ヒストグラムや棒グラフ、折れ線グラフなどを簡単に作成でき、データ分析の結果を分かりやすく伝えることができます。R言語の標準機能でも十分にデータを視覚化できますが、さらにggplot2というパッケージを使うことでグラフのデザインをより細かく作り込めます。たとえば「fill」というオプションによってグラフの色を変更することが可能です。他にもグラフタイトルや軸の幅、バックカラー、ラベルなどを柔軟に変更できます。
ベクトル処理機能が便利
R言語はベクトル処理が便利な言語です。ベクトル処理のメリットは、複数のデータポイントに対してまとめて処理を行うことで、データ処理の速度が向上することです。ここで指すベクトルは、数学で習ったような向きや大きさを表す矢印ではありません。
数字や文字などの複数のデータポイントがまとまっているオブジェクトを指し、感覚的にはリストに近いと言えます。R言語ではc関数を使ってベクトルを作成します。たとえば「c(1, 2, 3, 4, 5) 」と記述するだけで、[1,2,3,4,5]というベクトルを作成できます。規則性のあるベクトルを作成する場合はseq、rep関数が便利です。
外部のソフトウェアやデータベースと連携しやすい
外部のソフトウェアやデータベースと連携することで、外部に蓄積したデータをスムーズに使えます。パッケージを導入するだけで連携が可能であるため、データをR上に移行するためのプログラムを作成する必要がありません。たとえば、RMySQLパッケージを使えばMySQLを介してデータベースにアクセスが可能です。他にも、Google Analytics からデータを取得できるRGAやJavaアプリと連携できるrJavaなどがあります。
R言語とPythonの違い
R言語とPythonの違いについて表にまとめました。
R言語 | Python | |
---|---|---|
できること・得意分野 | 解析したデータの可視化 (グラフ化) |
機械学習を駆使した統計解析 |
汎用性 | 低い (統計解析に特化) | 高い (Webアプリ・スマホアプリ開発にも使用可能) |
処理速度 | 一般的には遅い | 一般的には速い |
学習ハードル | 高い (統計解析の知識が必要・学習教材少ない) | 低い (統計解析の知識は不要・学習教材多い) |
以下で、各項目について詳しく解説します。
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・できること・得意分野
・汎用性
・処理速度
・学習ハードル
また、R言語とPythonの違いについては下記記事でも詳しく説明していますのでご参考ください。
関連記事:R言語とPythonの違いとは?目的や汎用性などから徹底比較
できること・得意分野
R言語とPtyhonはどちらも統計解析に使われていますが、得意分野が少し異なります。R言語はggplot2などの優れたグラフ作成パッケージがあり、データを分かりやすく可視化したい場合などに最適と言えます。PythonにもMatplotlibなどのグラフ作成パッケージがありますが、ggplot2の方がより見やすいグラフを作成できるうえに、グラフの細かいデザインまで調整が可能です。一方で、Pythonにはscikit-learnなどの優秀な機械学習ライブラリがあります。機械学習の手法を駆使して統計解析を行いたい場合にはPythonの方が適していると言えます。
汎用性
R言語は統計解析に特化した言語であり、Webアプリ開発などに利用することは難しいです。Pythonは汎用開発言語であり、統計解析以外にもWebアプリ開発などに使えます。また、PythonにはWebアプリ開発に必要な機能を一通り網羅したDjango、必要最低限のWebアプリ開発機能を厳選して揃えたFlaskなど、優秀なフレームワークが存在します。更に、PythonではKivyというフレームワークを使うことで、Androidアプリ・iOSアプリ開発にも利用可能です。
処理速度
処理速度はR言語よりもPythonの方が速いと言われています。ただし処理速度に関しては、プログラムの書き方やデータの内容にもよるので、一概にPythonの方が速いとは言えません。
学習ハードル
R言語は、文法や関数の使い方を学ぶ前に統計解析の基礎を学ぶ必要があり、学習ハードルは高いと言えます。また、R言語はドットインストールに教材はあるもののProgateにはありません。書籍の数もそこまで多くはなく、初心者がどのような手順で学習すれば良いか分からなくなる場合もあります。
Pythonはデータ分析以外にもWebアプリ開発などに使えるため、Webアプリ開発を通じてプログラミングの基礎を学べます。また、PythonはドットインストールにもProgateにも教材が用意されています。更に、文法について詳しく説明する初学者向けの本も豊富にあり、迷うことなく学習を進めやすいです。
R言語を学習するまでの4ステップ
R言語を学習するまでのステップは次のとおりです。
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・Step1.R言語の基礎を学ぶ
・Step2.R言語を使ったグラフの描画方法を学ぶ
・Step3.学習した内容をプログラミングする
・Step4.パッケージを利用する
R言語は、統計解析に特化したプログラミング言語です。そのため、R言語に触れる前に統計解析の基礎を学習することがおすすめです。
各ステップで行う内容について詳しく解説します。
Step1. R言語の基礎を学ぶ
まずは、R言語や統計解析の基礎を学習しましょう。はじめに統計解析について理解しておくことがR言語を使いこなすために必要です。統計解析の知識が十分にない状態でR言語を学習しても「この機能は何に使うのか」が分からず、理解しにくいです。また、統計解析の楽しさが実感できず、学習に挫折してしまう可能性もあります。そこでまず統計解析入門などの書籍を購入し基礎を学ぶことから始めましょう。
R言語の基礎を学ぶためには、学習サイトを利用するのがおすすめです。ドットインストールにはR言語の基礎を学べる教材が用意されています(現在レッスンはアーカイブ化されており、視聴は可能ですが質問の受け付けや内容の更新は行われていません)。
学習サイトは初学者向けに教材が作られているうえに、スキマ時間を使って勉強しやすいです。また、ドットインストールは動画の再生スピードを変更したり、文字起こし機能を使ったりすることもできて学習効率を高められます。
さらに、RStudioなどの統合開発環境を使用し、コードを実際に書いて実行結果を確認する学習方法も効率的です。
Step2. R言語を使ったグラフの描画方法を学ぶ
R言語の特徴であるグラフの描画方法について学びましょう。R言語には多くのグラフや図解を簡単に描画できる関数が用意されています。具体的にはplot関数(折れ線グラフ)やpie関数(円グラフ)、lines関数(ヒストグラム)などです。学習方法については、UdemyのRではじめる統計基礎講座や書籍を参考にするのがおすすめです。
Step3. 学習した内容をプログラミングする
ここまでで学習したデータの解析方法を活用するためのプログラミングをしましょう。回帰分析やロジスティック回帰分析、t検定などさまざまな手法を実際にプログラミングして、より実践に近い学習をするのが効果的です。
Step4. パッケージを利用する
最後に、統計解析や機械学習に関するパッケージの利用方法を学習しましょう。パッケージを利用することで、プログラムに高度な機能をより効率的に組み込めます。
R言語を扱うエンジニアの需要・将来性
R言語の需要やR言語を扱うエンジニアの将来性について解説します。R言語を扱うエンジニアの平均年収・中央値・想定年収や求人数についてもまとめています。R言語を扱うエンジニアへの転職を考えている人は参考にしてみてください。
R言語の需要
レバテックキャリアの掲載求人(※2024年10月)をもとにR言語求人の年収をまとめました。
平均年収 | 中央値 | 想定年収 |
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762万円 | 775万円 | 350万円~1,640万円 |
国税庁の調査による日本の平均年収の458万円と比べても平均年収が高いことが分かります。また、レバテックキャリアのR言語スキルが求められる求人数は2024年10月現在494件/30,093件でした。Pythonは6,363件なので、R言語の求人数は少なめと言えます。
R言語を扱うエンジニアの将来性
Pythonの方が汎用性が高いので、どうしてもR言語の求人数は相対的に少なくなってしまいます。しかし、AIの発展やビッグデータの普及などを踏まえるとR言語も十分に将来性はあると言えます。総務省のデータによると、日本のAIシステム市場規模(支出額)は今後も成長を続け、2027年には1兆1,034億7,700万円まで拡大すると予測されています。また、RPy2などのパッケージを使ってPython上でR言語の関数を使う場合もあります。統計解析の分野に携わりたい人は、PythonもR言語も学習しておくことが望ましいです。
まとめ
本記事のまとめは下記の通りです。
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・R言語は統計解析に特化したプログラミング言語であり、特にグラフ作成の機能が豊富な点が強みである・R言語を勉強する前に統計解析の基礎を学ぶ必要がある。統計解析を学んだら、R言語・RStudioをインストールし、学習サイトを活用して文法などを勉強していくと良い
・言語としての汎用性や求人数はPythonが上回っているが、AIの発展やビッグデータの普及などを考えるとR言語も十分に将来性があると言える
R言語は統計解析に特化した言語で、特にグラフ作成に強みがあります。同じくデータ分析で使われるPythonと比べると人気は下がるものの、AIの発展やビッグデータの普及に伴い今後需要が高まる可能性があります。統計解析やテキストマイニング分野に携わりたい方はPythonに加えてR言語も習得しておくと、キャリアの幅を広げられます。
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