レバテックキャリアから転職を成功させたITエンジニアにお話を伺う本企画。今回は元美容師という異色の経歴を持つ、ネットワークエンジニアの男性H.Kさんに取材をしました。
美容業界からIT業界へと異色のキャリアチェンジを経て、今やスマートビルという最先端の技術を提供するスタートアップ企業で重要な役割を担うH.Kさん。スタートアップでの生き生きとした働き方と、絶えず学び続けるその姿勢は、今後のキャリアを考えるエンジニアにとって何かしらのきっかけになるかもしれません。
今もらっている年収は高い？低い？
25歳、美容師から未経験でIT業界へ
─まず簡単なプロフィールと転職経歴を教えてください。
年齢は35歳で、東京都足立区の出身です。
いまはネットワークエンジニアなんですが、実は25歳まで美容師をやっていました。
25歳でSES企業に転職し、1年半ほど勤めた後、別のSESに転職。そこでは8年ほど働いて、2023年の5月に株式会社オプライゾンに転職しました。
なので転職回数としては3回ですね。
─美容師からITエンジニアへのキャリアチェンジは珍しい経歴ですよね。そのきっかけを教えてもらえますか？
そうですよね、自分でも少し異色な経歴だと思っています（笑）。
技術職に興味があり従事したく美容師を選びましたが、5年間美容師として働き自分の将来について改めて考えたとき、ほかの職種にもチャレンジしたいと思ったのがきっかけです。
─数ある仕事の中でもITエンジニアを選んだのはなぜですか？
元々IT業界に興味をもっていたことと、引き続き技術職に従事したいと考えていたので、未経験でチャレンジできるITエンジニアという仕事に挑戦してみたいと思いました。
─まったくの未経験からIT業界に飛び込まれたわけですが、IT関連のスキルはどのように身につけましたか？
ハローワークの職業訓練校です。最初は3ヵ月間のJava習得コースに通ったんですが、あまり実践的なことは学べなかったので、追加で1ヵ月間の資格取得コースにも通いました。
その資格取得コースでCCNAを取得できたので、そのままネットワークエンジニアの道に進んだという形ですね。
開発系はなんとなく数学っぽいイメージがあり苦手意識が強く、ネットワーク系の方が自分に合っているかなと。
SESからスタートしたネットワークエンジニア人生
─IT業界への第一歩はどのようなものだったのですか？
最初に入社したSES企業では、簡単な構成図を書く業務が多かったです。実際に絵を描くような業務だったので、当時イメージしていたIT業界よりもずっとアナログで驚きましたね。現場としては通信事業者が多かったです。
基礎を学ぶには良い職場だったんですが、本当は機器にもガッツリ触りたかったのでそういった意味では不満がありました。
─業務内容に満足できず、次の職場へ？
そうなりますね。2社目は、いわゆる転職フェアみたいなイベントで見つけました。合同説明会のような雰囲気と言えばイメージしやすいですかね？
エンジニアとして最初に入社したのは20人規模の会社でしたが、2社目は80人〜100人規模のそこそこ大きい会社でした。
─2社目には8年も在籍していたんですよね。
8年も続けられたのは、自分がやりたかった仕事を担当できた点が大きいと思います。金融系のクライアントが多く、業務としては基本設計から構築・運用まで、幅広い業務を経験しました。
給与面もかなり改善され、転職を機に年収で100万円ほどアップしました。1社目の時点では年収250万円ほどでしたが、2社目では最終的に年収600万円まで上がりました。
─特に印象に残っているプロジェクトはありますか？
5年間続いたプロジェクトですね。
そのプロジェクトではかなりレイヤーの高い業務まで経験させてもらえました。具体的には要件定義の手前くらいまで。
基本設計から詳細設計まで一通りやらせてもらえたので、たくさんのことを学べたし、楽しく働くこともできました。
8年のうち5年も同じ現場にいたので、印象に残っているというよりも、ほとんどがその現場の思い出ですね。
─ちょうど2社目で働かれている頃は、クラウド技術の導入が盛んになってきた時代では？
そうですね、その5年間参画したプロジェクトでもプライベートクラウドの構築に携わりました。オンプレからクラウドに技術領域が変わる中で、柔軟に対応することが求められましたが、それがまた新たなスキルアップに繋がったと思います。
トラブルシューティングの方法など、基本的な考え方は変わらないのでそこまで苦手意識を持つことなく、スムーズにクラウド移行に対応できたかなと思います。
エンジニアとしてのステップアップを求め転職
─前職では充実した働き方をされていたように思えるのですが、今回の転職に至った背景を教えてください。
その会社でできることをある程度やり尽くし、次のステップへ進みたいと感じたからです。
入社時、インフラ系のエンジニアは私だけだったんですが、退職時にはかなり大きな組織となり、エンジニアも充実してきたので会社に対する義理も通したかなと。
あとは、もっと上流工程で要件定義や顧客との交渉を行いたいと考えたのも理由のひとつです。お客様のもとへ自分で提案に行ったり、金額や納期の交渉をしたり、その会社ではそういった業務には触れることができなかったんです。
今後のキャリアを考えたときに、そういった業務も経験していかないとエンジニアとして埋もれていってしまう気がして。
─転職活動を開始してから、最終的に内定を得るまでにどの程度の期間が必要でしたか？
半年はかかっていないと思います。約4ヶ月間くらいですかね。
ただ、実際に応募から内定までの期間で考えると3か月くらいでしょうか。
─何社くらいの選考を受けましたか？
エントリーしたのは20社程度で、そのうち実際に面接を受けたのはその半分の10社くらいです。
─当時の転職条件の優先順位を3つ教えてください。
1位と2位は同じくらいなんですけど、 まず自分の技術や経験をしっかり活かしながら成長できるか。そして自分の経験と実業務に対して給与が見合っているか、というところ。
この2つは同じくらい重視しました。
3番目はフレキシブルな働き方ができるか、という点ですね。ある程度リモートで働けたり、出社時間を調整できたりしたら嬉しいなと。
実際にいまの会社では、 週に2日はリモートワークですし、外せない用事などがある場合にも柔軟に対応させてもらえています。
─転職活動を成功させるためのコツや戦略は何かありましたか？
まずは転職理由を明確にして転職後の働き方をイメージすることが大事だと思います。
転職後の働き方や仕事の内容を具体的にイメージすることにより、面接段階でどの企業が自分の希望に近いかを見極められ、転職後のギャップを減らすことに繋がると思います。
また、自分の経験から言うと、面接は経験を積むことが非常に重要だと感じました。最初の数社は緊張してしまいますが、何度も面接を受けることで面接慣れし、落ち着いて受け答えできるようになります。それに何社か面接を受けていくと、質問のパターンがある程度見えてくると思います。
なので、面接経験を積むほど、鉄板の質問に対する回答がブラッシュアップされていくんです。
新しい挑戦｜スマートビルプロジェクトへの取り組み
─現在勤めている会社のどこに魅力を感じましたか？
新しい事業を立ち上げるスタートアップ企業という環境が魅力的でした。
特に、メイン事業であるスマートビルの構想がすごく面白くて、ここなら自分のネットワークに関する経験を活かしながら、いままでにないものを作っていけるんじゃないかなとワクワクしましたね。
─スマートビルという言葉は初めて耳にしたのですが、具体的にはどのようなプロジェクトなのでしょうか？
簡単に言うとスマートホームのビル版、つまりビルのシステム自動化・IoT化です。
具体的には、空調の自動調整や鍵の開閉、会議室の予約システムなど、ネットワークを通じて様々な機能の自動化を提供していきます。オフィスの鍵を全部IoT化して、時間単位で自動で施錠したり、会議室の予約時間になったら自動で空調が作動したり。
いまでもそういったオフィスは結構あるんですが、ほとんどはテナントやフロア単位でネットワークを管理しているんです。私が知る限り、ビル全体でネットワークを管理している建物は、日本にはまだないんです。
─確かに面白そうな構想ですね。転職活動時の採用面接はどのような雰囲気で行われましたか？
面接はオンラインで実施されたのですが、面接官はまさかの社員ほぼ全員でした。
と言っても9名だけなんですが、まさか9対1で面接されるとは思わず、かなり動揺しましたね。
─確かに9対1は圧迫感がすごそうですね……。動揺して失敗しませんでしたか？
失敗しました（笑）。
1次面接で前職の退職理由を聞かれて、理由のひとつとして「自分より先輩のネットワークエンジニアがいないので、自分の将来を思い描けるような、目標となる人物がいない」といった回答をしたんです。そうしたら「うちの会社も新規事業立ち上げの段階で、Kさんの将来像に当てはまるような人物はいないかもしれませんよ」と言われたのが失敗として記憶に残っています。
スタートアップ企業なんだから当たり前ですよね。これは落ちたな……と思っていたんですが、2次面接で誤った回答をしたことを正直に話し、「自分が後輩の目標となれるように努力します」と伝え、なんとか内定を貰えました。
─無事内定が貰えてよかったです。立ち上げ期のメンバーとしての役割と期待は大きいと感じていますか？
確かに小さな組織なので、一人ひとりの責任感は大きいです。
スマートビルのプロジェクトは、未来の建築とテクノロジーの融合の先駆けとなる可能性を秘めているので、そこには大きな期待と同時に、チャレンジの連続かなと。
─今のプロジェクトにおける具体的な役割は何ですか？
前職での経験をもとに、スマートビルに必要なネットワークの設計と構築をメインで担当しています。ただ、社員が少ないのでそれ以外のいろんな業務も担当しています。プリセールスのように営業と一緒に顧客のもとへ行き、技術サポートをしたり、提案資料を作成したり、幅広く仕事をさせてもらっています。
そういった意味では、「上流工程に携わる」といった希望はかなり叶えられていると思います。
─1日の仕事の流れについて教えていただけますか？
日によって異なりますが、基本的には朝8時半に出社してまずはメールチェックから始めます。その後、1日に2時間程度の会議があったり、案件に応じた設計資料作成やプロジェクトの進行管理などを行ったりします。
ほかにも、お客様のもとへ足を運んで直接話を聞いたり、現地調査に行ったりすることもあります。
─具体的にどのようなお客様に対してサービスを提供していますか？
現在は主にテナントビルを対象としていますが、将来的には病院や商業施設、スタジアムなど、さまざまな施設に対してのサービス展開を計画をしています。
─入社してから半年が経ちましたが、良かった点とギャップを感じた点、それぞれ教えてください。
10人程度の少人数の組織なので、社長も同じ部屋で働いているようなすごくフラットな環境なんです。人が少ないのでチャンスも多く、自分次第でいろんな業務に関われるのは良い環境かなと。そういった職場が苦手な人もいるとは思いますが、私には合っていました。
入社前は既にサービスとして完成されている認識でしたが、まだ作り上げる段階の物が多く
そういった点ではギャップを感じました。
サービス仕様を検討するなど、今までにあまり経験したことのなかったことを勉強できるよい機会だと感じています。
スタートアップで求められるのは、変化に適応しながら組織を牽引できる存在
─転職時に希望していた「経験を活かしながら成長できる環境」は満たされていると思いますが、もうひとつの条件であった給与に関してはどうですか？
給与に関してもすごく満足してます。
内定時に提示された金額は前職の給与を上回っていましたが、入社後の実績値では更にそれを上回りそうです。
─それは素晴らしいですね！ また、これからのビジネス展開や技術開発の中で、特に学びたいと考えている分野や、新たに取り入れていきたい技術などがあれば教えていただけますか？
うちの会社ではNaaS（ネットワークアズアサービス）という技術を提供しているんです。簡単に言うとネットワークのサブスクリプションみたいなもので、アメリカでは普及が進んでいる一方で、日本にはまだ広がっていない現状があります。
ただ、今後は日本にもどんどん普及していくと予想しています。この技術をいまのうちに分析し、自社で開発・適用できるようになれば、会社としてもエンジニアとしてもさらなる価値を生み出せるんじゃないかと考えています。
─さらに、今後のIT業界で必要とされるスキルや資格について、何か具体的に考えていることはありますか？
資格としてCCNPを取得していますが、ITのセキュリティに関しては継続的に勉強しています。特に、いまはIPAの情報処理安全確保支援士という資格の取得を目標としています。
お客様への提案においてもセキュリティを心配する声はとても多く、今後もますます重要性を増してくる分野だと実感しているところです。なので、こうした知識・技術を持っていることは大きな武器になるなと。
─スタートアップ企業においては、どのような人材が求められていると感じますか？
スタートアップでは、自らの専門分野を理解し、それを活かすことができる人材が非常に求められていると思います。
あとは、既存の枠組みにとらわれないような新しいアイデアやアプローチを持ち込み、柔軟な思考で行動できる人も歓迎されるんじゃないでしょうか。スタートアップは常に変化していく環境なので、その変化に応じて成長し、会社を牽引できるような人が必要ですね。
会社とともに業界でも名の知れた存在を目指す
─プライベートの時間はどのように過ごしていますか？
プライベートでは、家でリラックスする時間を大切にしています。趣味の1つに料理があるので、自宅でお酒を楽しみながら手料理を作ることもよくありますね。
子どもはいないんですが、夫婦共働きなので妻と外食を楽しむことも多いです。ただ二人ともお酒が大好きなので、外食費が結構かかっちゃうのがネックで……。週1日〜週2日くらいは外食してると思います。
─お酒が共通の趣味なんですね。外食費以外に、月々の支出はどの程度かかっていますか？
結婚を機に家を購入したので、ローンの支払いが12万円。光熱費がだいたい全部ひっくるめて2万円くらいですかね。食費は外食含めて7万円くらいでしょうか。
あとは通信費とかその他もろもろって感じです。
きっちりと把握しているわけではないんですが、合計で30万円いかないくらいだと思います。
ただ、生活を楽しむための出費は惜しまず、妻と相談しながらバランスよく管理しています。
─最後に今後のキャリアについての目標や展望を教えてください。
将来的には、今の会社を業界内で知られた名のある企業に成長させたいというのが大きな目標ですね。
私自身もネットワークの専門家として、スキルを磨き続け、会社の成長に直結するような重要なプロジェクトを任される人材となりたいです。そしてゆくゆくは業界内でも認知される存在になることも目標の一つです。
─聞かせていただいたお話は、今後転職を考えている多くのITエンジニアやスタートアップに興味がある方々にとって、とても参考になるものと思います。本日はありがとうございました。
ITエンジニア・Webクリエイターの転職ならレバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア・クリエイターを専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通したキャリアアドバイザーが、年収・技術志向・今後のキャリアパス・ワークライフバランスなど、一人ひとりの希望に寄り添いながら転職活動をサポートします。一般公開されていない大手企業や優良企業の非公開求人も多数保有していますので、まずは一度カウンセリングにお越しください。
転職支援サービスに申し込む
また、「初めての転職で、何から始めていいかわからない」「まだ転職するかどうか迷っている」など、転職活動に何らかの不安を抱えている方には、無料の個別相談会も実施しています。キャリアアドバイザーが一対一で、これからのあなたのキャリアを一緒に考えます。お気軽にご相談ください。
「個別相談会」に申し込む
