EVENT REPORTイベントレポート
ヒカラボレポートとは、開催されたヒカラボにおいて、登壇者が伝えたい講演内容を記事としてまとめたものです。ご参加された方はもちろん、ヒカラボに興味があるという方も是非ご覧ください。
ヒカラボレポートとは、開催されたヒカラボにおいて、登壇者が伝えたい講演内容を記事としてまとめたものです。ご参加された方はもちろん、ヒカラボに興味があるという方も是非ご覧ください。
リリースから1年半で世界最大級のレシピ動画アプリとなった『クラシル』。今回のヒカラボでは、そんなクラシルを支える開発チームから、CTOとアプリ・サーバーサイド・UI/UX・SREのリーダー4名が登壇。そのグロースノウハウについて、それぞれの手法を語っていただきました。ここでは、本イベントの概要レポートをお送りします。
講演者プロフィール
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講演者プロフィール
講演者プロフィール
まず1人目の登壇者は、Androidエンジニアの梅森氏。Andoroid版のクラシルアプリは2017年5月から12月にかけて、およそ60回ほど新しいバージョンがリリースされているそうなのですが、このようなリリース頻度でも作業で疲弊しないよう、リリース作業を自動化しているとのこと。
自動化に使用している主要なツールは、AWS CodePipelineとAWS CodeBuild。Amazon S3やAWS CodeCommit、Githubへの変更をAWS CodePipelineが検知したら、AWS CodeBuildをキックして、APKのビルドやキーストアでの署名、Slackへの通知、GitHubのReleaseページ生成などを自動で行っているそうです。構成や各ツールの詳細については、下記スライドをチェックしてみてください。
2人目の登壇者は、CTOの大竹氏。「良いプロダクトを作ろう」というシンプルですが奥深いテーマについて、起業時代からのお話を絡めながら組織やサービスそのものの考え方を語っていただきました。
大竹氏は、継続的な成長のための方法論として、「とにかくユーザーのことを知る」「抱えている課題を正確に把握して、解決する」といったことを大切にしているとのこと。また、意思決定の精度を高めるために独自のデータ分析基盤『Logose』を開発。イベント情報やアプリの起動情報などのログを蓄積し、ユーザー分析に役立てているとのことです。
そのほかに、アイディアの引き出しを増やすために海外プロダクトを研究したり、スケールする組織作りのために、作業の自動化を推し進めることで、時間あたりの生産性を増やすことにも注力しているそうです。
続いて登場したのは、サーバーサイドエンジニアの奥原氏。奥原氏は「クラシルの地味な裏方」として、社内ツールの開発や、APIの開発(負荷対策)、Web版クラシルの開発、検索機能の構築、バッチ処理の開発、他サービス連携…といった、多種多様な業務を担当しているとのこと。
膨大な量の作業になりますが、これらの作業はすべて奥原氏が1人で対応しているそう。このような作業量に対応するために大切なこととして、生産性の最大化やユーザーファーストの考え方、失敗を許容するチャレンジ精神の大切さなどを紹介いただきました。
続いて、クラシルのUI/UXデザインにたずさわる三笠氏に、サービス全体のデザイン設計についてお話しいただきました。三笠氏によると、サービスをデザインするには、まずはユーザーに感じて欲しい「理想の体験」を定義付けることから始まるとのこと。
さらに、ユーザーの理想と現実のギャップを埋めるためにデータ分析を取り入れるのが三笠氏のやり方。アクティブユーザー数などの「定量データ」、ユーザーインタビューやTwitterの投稿などで観察できる「定性データ」に加え、最終的に考えて判断する「直感」を組み合わせることによって、プロダクトのデザインが生まれてくるそうです。また、一番に大事にしなくてはならないこととして、プロダクトへの情熱についても言及し、クラシルに対する熱い思いも垣間見ることができました。
最後に登壇したのは、SREとしてインフラの構築やサービスの運用を支える深尾氏。サービスを運用していく中で、信頼性を高めることに際限がなくなり最後には疲弊してしまうため、サービスレベルの目標(SLO)を定めることが重要とのこと。
例えば、クラシルでは95%のリクエストを0.3秒以下で処理できれば目標達成、と定めており、これによって、対応の優先度を明確にしたり、サービスレベルの定量化を行うようにしているそうです。また、SLO運用のために逆に業務が大変にならないように、「ユーザー目線で考える」「取得しやすい指標」にするといった、SLOを設定する際の考え方にも言及。こうして“守り“のためのタスクをある程度制限することで、SREが“攻め”に回る重要性についても示唆していただきました。
今大注目のスタートアップの開発陣によるイベントということで、平日にもかかわらず、たくさんの方々にご来場いただきました! イベント後の懇親会でも活発にコミュニケーションがとられ、非常に盛況なイベントとなりました。
ヒカ☆ラボでは、このような技術者向けのイベントを定期的に行っていますので、興味のわいた方は、ぜひ今後のイベントスケジュールをチェックしてみてください!
▲開発陣の含蓄ある講演内容に耳を傾ける、128名の技術者たち。