EVENT REPORTイベントレポート
ヒカラボレポートとは、開催されたヒカラボにおいて、登壇者が伝えたい講演内容を記事としてまとめたものです。ご参加された方はもちろん、ヒカラボに興味があるという方も是非ご覧ください。
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イベントレポートvol.3
2016/01/19(火)更新2015/11/10(火)19:30~21:30
2015年11月10日(火)に開催されたヒカ☆ラボでは、ネットイヤーグループ株式会社の宮村和実氏をお迎えし、「UXデザインにおけるユーザー設計とは?」というテーマで講演を行いました。
宮村氏による講演のポイントは以下の4つ。
UXデザインに携わる多くの人々が頭を悩ませる、ユーザーのセグメンテーション軸の選び方やユーザー定義の仕方を、わかりやすく解説してくれました。
講演者プロフィール
UXデザインにおけるユーザーとは、システムの利用によって便益を得る個人またはグループを指します。
宮村氏いわく、ユーザー設計とは「ユーザーをセグメントに分けて定義する」こと。大切なのは、ユーザーの多様性を理解し、ユーザーをどう捉えるかだと言います。
セグメントとは、様々な特性・志向性・状況/環境を持つユーザーに対して、ユーザーを定める目的(例えば、「サービスのUX設計」や「サイトやアプリのUX/UI設計」など)に合わせた軸で区別したものであり、その中からさらに項目を決めてユーザーを切り出していくそうです。
ユーザーを定める目的に加え、設計対象範囲を決めると、考えるべきユーザーの範囲に焦点を当てることができると言います。
宮村氏はここで、ホテルのサービスの設計対象範囲を例に挙げて解説を行いました。「サービス全体」でユーザーを捉える場合は、旅行前の計画づくりにはじまり、宿泊するホテルの検討・決定・予約、旅行中のホテルチェックイン~チェックアウト、旅行後のことに至るまで、幅広くホテルサービスとユーザーの関係性を考える必要が出てくると言います。
しかし、それが「サイトやアプリ全体」でユーザーを捉える場合、幅広い視点は持ちつつも、旅行前の計画やホテルの検討・決定・予約にフォーカスして考えればよいことがわかってくるのだそうです。
考えるべきユーザーの範囲が定まったら、ユーザーをどうセグメントして捉えるかを決めていきます。宮村氏いわく、ユーザーの見出し方は以下の2つのやり方があると言います。
講演では、ホテルのサイト全体のリニューアル設計を例に挙げ、仮説軸を立ててユーザーを見出す方法について解説してくれました。
サイトの全体的な設計においては、サイト上での行動を設計に落としこむため、「サイト上でユーザーの行動に違いが出る軸」でユーザーをセグメントするとよいのだそうです。いくつかの仮説軸を検討した結果、一例として「ホテルの利用度合い」と「ホテルの予約検討度合い」を軸にユーザー群を分けてみると、各ユーザーごとにホテルに対する状況・行動に違いがあることがわかりました。
ユーザー定義をどこまで詳細に行うかは、プロジェクト・提案・計画のスケジュール・コスト・要件によってどこまで深掘るかを決めると言います。
詳細に定義すれば細かいUXシナリオやUX要件に繋げやすくなる一方、議論や検討に時間がかかります。大事なのは「ユーザーの特長・違いが明確化」され、「設計の大きなポイントが見いだせる」材料となる項目で定義することだと、宮村氏は語ります。
宮村氏の考える、ユーザー定義のポイントは以下の通りです。
ユーザー設計をした後は、定義したユーザーをもとにジャーニーマップやUXシナリオを作成し、その中からどんな設計や施策のポイントが見出だせるか抽出して議論を行うのだそうです。そのようにしてUX視点での要件を見出すことで、サービスやUI設計などの具体設計に繋げていくと言います。
宮村氏は、UX設計や具体設計のもととなるユーザー設計はとても大切な部分なので、「ひとりで考えず、プロジェクトメンバーやクライアントを含めたみんなで楽しく考えることが大事です」と語り、講演を締めくくりました。
なお、当日使用した全スライドを以下に掲載していますので、興味のある方はぜひご覧ください。