EVENT REPORTイベントレポート
ヒカラボレポートとは、開催されたヒカラボにおいて、登壇者が伝えたい講演内容を記事としてまとめたものです。ご参加された方はもちろん、ヒカラボに興味があるという方も是非ご覧ください。
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世の中には下請け会社に事業会社、ベンチャー、大手…エンジニアさんにはさまざまな職場がありますよね。
仕事内容や働き方を詳しく知ることで自分の求めているものがわかるはず!
そこで、今回は多様なキャリアを持ち、フリーランス兼アナリストの田宮直人氏の「ヒカ☆ラボ」レポートをお送りします!
「サラリーマンと起業」「下請けと事業会社」「ベンチャーと大手」の違いについて、ご自身の経験に基づいてお話してくださいました。
講演者プロフィール
田宮 直人氏
僕は制作会社に就職したあと、下請け会社を起業したので、両方の経験に基づいて、それぞれ良かったこと、悪かったことを比較してみます。
・先輩エンジニアの指導があったこと
・周りの人のサポートが充実していること
・給与は自分で決めれたこと
・人脈が広がったこと
サラリーマン時代は、優秀な先輩エンジニアが丁寧に指導してくれたので、ある程度は何もしなくても成長できていました。
周りの方からも結構サポートしていただいて技術面も勉強できましたね。
あと役割分担で経理や総務の方がいたので、僕は自分の作業に集中できたんです。
起業してからは、その辺の情報収集とか、技術を追求するのは、自分次第なところがあったので結構苦労しました。
しかしながら、人脈が広がったことだけは起業して本当によかったなと思っています。
「こういうことやりたいんだけど何か詳しい人いない?」と聞かれた社長さん、担当者がクライアントに繋げてくれたりするんです。そこでまた新しい縁が出来て、サラリーマン時代とは比べ物にならない程、人脈が広がりました。
今でも、その時知り合った社長さんと飲みに行ったり、そういう人脈ができたのは良かったと今でも思っています。
・昇給には毎度不満、不信感を募らせていた
・責任がかなり大きくなったこと
・下請け企業で起業した場合、意思決定権はサラリーマンとは変わらず他人だったこと
よく「起業すれば自分の好きな事ができる」と思いがちですよね。実際は自分にかかる責任は重くなりますし、自分で何でも決められる訳ではなく、下請け会社の場合はお客さんと相談しながら決めていかないといけないんです。自分のサービスって部分においては自由ですけど、他人が介在するとそんなに自由ではないんです。サラリーマンとほぼ同じ感覚です。
だから結構窮屈なんですね。
先ほど、サラリーマン時代は経理や総務の方がいて、役割分担ができていたと言いましたが、一方で起業するとその役割分担がないので、仕事の全部を自分でしなくてはいけなかったんです。
会社の決算も自分で作っていましたし、社会保険等の手続きも自分でやります。
僕は自分で決算をつけていたのでお金はかかってないんですけど、税理士さんに頼むと1年で数十万くらいかかってしまうんです。そのお金が勿体無いと思ったので、通常士業の方に依頼すべきことも自分でやりました。
なので、結構本業以外のタスクが増えてしまいました…。
でも、自分への支払いは自分で決めれたので、苦労をしてもその分見返りがあるので、その辺のことは仕方ないかな、と割り切ることは出来ました。
下請け会社と事業会社では、働き方も不満に思うことも随分違いました。先ほどと同じように、良かったこと、苦労したこと等をまとめてみました。
・様々なプロジェクトを経験出来る
・サイトの運営・知識が得られたこと
・インフラの知識が得られたこと
下請けはお客さん次第で作るものが変わるので、いろいろなプロジェクトを経験できました。
様々な業務知識や業界の慣例はやっぱり入ってみないとわからないものがあります。
ただ、僕が経験した下請け会社では、インフラ部分についてはクライアントが準備したところにソースを配置するだけでしたので、概要はわかるけど実務的なところの知識があまり身についていませんでした。 一方で事業会社に所属したら、インフラの知識、サイト運営の知識のインプット量が圧倒的に増えるようになりましたね。
それに「作ったら流行らせなきゃ」という意識がずっとありました。
SEOを考慮していく、SEMの予算配分、数値を見て改善点を模索するなど、下請け会社では得られない知識ばかりで、かなり刺激的でした。
・ドキュメントワークの比重が大きかったこと
・予算有りきな開発をしていること
・時間を売っていると言うこと
・同じプロジェクトで長い期間やると飽きてきたこと
・収支について、下請け会社よりシビアだったこと
下請けと事業会社は働き方も違うんです。
下請け会社は予算ありきな開発をしていました。そこが僕としては結構窮屈でしたね。予算の中で開発することが目標だったので、自分が作ったものが流行ったかなんて気にしなかったし、気にしなくても良かった。
でも僕はこうしたらもっと楽しくなる、便利になると考えると、そこに手が出せなくなるのは非常につまらなかったです。 事業会社はそう言う面で悩むことはなかったですが、収支についてかなりシビアでした。
エンジニアに対して日々の売り上げの進捗などを共有して、「これだけがんばらなきゃいけないんだよ」って結構ケツを叩かれました。けれど、事業会社の働き方が僕は結構楽しいです。
だから工数よりも収益優先でした。雑につくって損害が出る、売上が見込めないくらいなら、納期を遅らせると言う、下請け会社では考えられない選択もしょっちゅうありました。 けれど、事業会社に入っちゃうと、ずっと同じプロジェクトをやってなきゃいけなかったりするので、飽きてしまうこともありました。
僕が入った会社に関しては、同じような求人サイトを2つやっていたので、2年近くずっと同じプロジェクトばっかりやっていて飽きちゃいましたね(苦笑)事業会社でも、幅広く業種、サービスを広げているような会社なら、多少は緩和されるところもあるかとは思いますが。
こちらも当然得られることや、苦労するポイントが結構違いました。こちらもまとめると、こんな感じです。
・幅広い知識が必要で、実際に幅広いことを担当することが出来る
・様々な実装をトライすることが出来た
・より高度な実装と向き合うようになったこと
・様々な人脈が広がったこと
ベンチャーと大手って求められるものが全然違うんです。 小さい組織だと、幅広い知識が必要とされます。対して大手はより高度な実装と向き合う必要が出てきます。
大手にいくと、誰かがあっちこっちにフレキシブルに動くってことはわりと珍しいと思います。例えば、パフォーマンスを改善することのみ担当するような人がいますね。
そのような人と話す、一緒に仕事することは自分の知識も増しますし、最先端な技術に触れることも出来たので刺激的でした。
・一人に依存することがある
・事故らないことが正義
・ゴミコードとずっと付き合う
・意思決定に時間がかかった
小さい組織だといろんな実装をトライできたんですが、大手になるとトライして事故ったら損害額が自分の給与では払えないぐらいになってしまうので、大手では事故を起こさないことが第一とされます。
それがゆえに、あんまりアグレッシブな変更を嫌う傾向にあるので、場所によっては古い技術をずっと引きずっているところもありました。 また、小さい組織だと仕事が1人に依存することが多くなるんです。何もかもやって、ちゃんと引き継ぎドキュメントもつくったり、公開もするんですけど、意外とみんな理解してくれないんです。自分の身に降り注がれない限り、分かろうとしてくれなかったりというのが結構ありました。
逆に、大きい組織は人数も多く誰かに任せることができるので、気が楽でしたし有給もとりやすかったです。 かわりに大手で嫌だったのは、意思決定に時間がかかったことです。役員からもすごく遠いですし。
ちょっとお役所的に、企画承認会議、仕様承認会議、リリース判定会議を経由しないとリリース出来ない、と言う職場もあり、「1日くらいの作業なのになんでやらせてくれないんだろう?」という不満が結構ありました。
僕自身、自分がどういうところに身を置きたいかっていうのは、ちょっと将来的に考えておかないといけないことかなぁと思っています。 でも、それプラス、そこで何をしたいかを考えてみることも必要だと思います。どんな開発がしたい、お客さんと友好的にやりたい、ただ社長になりたい、有名になりたい、マネジメントがしたい、いろんなサービスつくりたい…いろいろあるはずです。下の図を使って、今自分がどこにいるのか、そして【どこで】【何をしたいのか】考えてみてください。
そして、どう達成するのか、ストーリーを考えてみてください。 この図で同じ箱の中で転職するのは、結構簡単だと思います。
ただ、隣の箱に移るのは結構大変だと思います。
・アプリを個人で出した実績
・外部セミナーでの登壇
・Web媒体への寄稿
・コネ
・正社員じゃなく、業務委託、派遣社員と言うように、入社のハードルを下げる
どんなストーリーで自分の思い描いているキャリアを実現するかは、人それぞれなので、目指したいところ、やりたいこと、そのストーリーを整理して、自分が望むキャリアを作ってください!