EVENT REPORTイベントレポート
ヒカラボレポートとは、開催されたヒカラボにおいて、登壇者が伝えたい講演内容を記事としてまとめたものです。ご参加された方はもちろん、ヒカラボに興味があるという方も是非ご覧ください。
ヒカラボレポートとは、開催されたヒカラボにおいて、登壇者が伝えたい講演内容を記事としてまとめたものです。ご参加された方はもちろん、ヒカラボに興味があるという方も是非ご覧ください。
2014年7月23日のヒカ☆ラボでは「求められるデザイナー・クリエイターになるには?」というテーマで株式会社クラウドゲート、そして株式会社アカツキが登壇し、当日は約50名の方に参加していただきました。
今回の記事で「ゲーム制作現場から求められるスキル」についてアカツキの橋本氏の講演内容をお届けいたします。
講演者プロフィール
ソーシャルゲームのこれまでを振り返ると、インターフェイスの進化というのが見えてきます。
つい4、5年位前まではガラケーでしたが、ネイティブアプリに移り変わり、よりコンシューマーゲームに近づいて来ました。それによってポチポチゲームから思考性の高いゲームが作られるようになってきました。
指向性の高いゲームの中では、これまで『神撃のバハムート』を代表に、ある程度世界観が決まった中で、クリエイターの個性を出したイラスト描くというモデルが主流でした。
それに比べて、今のソーシャルゲームのトレンドは明確な世界観や制約の中でのキャラクターデザイン。
従来のゲーム、映画、アニメと同じ世界観づくりがソーシャルゲームにも求められています。
ここからは求められるデザインスキルを、技術面とマインド面の2つに分けてお話します。
WebからNativeアプリにシフトしてきたことによって、求められるスキルは変わってきています。
同時に、クオリティもこれまでよりさらに高水準のものが求められるようになっています。
ブラウザゲームの時代は、いわゆる「Webデザイナー」と、いわゆるUI/UXやFlashなど、幅広くオンライン上の仕事をするスキルセットをもった人でした。
しかし、今は
・Webデザイナー(デザイン)→UI/UXデザイナー
・Webデザイナー(コーダー)→フロントエンジニア
・フラッシャー→アニメーター/エフェクター
と、求められるスキルがハイレベルになっています。
今後は、特化スキル型とマルチスキル型といった2種類のデザイナーやクリエイターが活躍するのではと考えています。
特化スキル型とは、いわばホームランバッターです。
ソーシャルゲームの流れからも、1つのスキルに特化していること自体が重要になってきています。
そして、このことはNativeへのシフトする必須条件になりつつあります。
分業制やスキルの特化により、さらにプロフェッショナルのニーズは高くなっています。
そのため、1つの技術に特化した人は今後もきちんとご飯が食べていける。これは間違いないです。
例えば、UIで特化していくなら、大事なのは誰にも負けない世界観を表現する力や、表現のロジックが必要です。
さらに、デザインPDCAのサイクルを回しつつ、ファクトに基づいたUIを作れるかどうかも重要です。
イラストレーションを特化するならクライアントの想像を越える表現を描くことができること。
また、0から世界観を作ることができるイラストレーターは貴重な存在です。
特化スキル型のメリットは、いわゆる「職人」として自分の考えを表現できることです。
デメリットとしては、相当スキルが高く無いと、ニーズがなくなった時に困ってしまいますね。
もう1つがマルチスキル型です。
デザイナーとして、ある程度突出したスキルはもはや持ってることが前提ともいえます。
加えて、デザイン周りにまつわるスキルを網羅し、たとえばゲーム全体の統括など、至るところでバリューを発揮する存在がマルチスキル型のデザイナーです。
マルチスキルのメリットは、どこでもバリューを発揮できるので職には困りません。
デメリットとしては、卓越したものが無いと感じる時があること、またいろんなスキルを学ぶ必要があるので勉強するコストがかなり高くなってしまいます。
クリエイターが持つべきマインドとしては、やはり「プロダクト志向」であることです。
ただイラストを描くだけではなく、どのような世界観の中で、そのイラストがどこに使われ、表現されるのか、ということは前提として把握しておく必要があります。どんな仕事でも同じですが、ゴールをしっかり明確にするということです。
また同時に、ユーザーがどう思うかも考慮します。
クリエイターは自分が描いたイラストやデザインにプライドをもってどういう意思でつくったかを伝えられる仕事をするべきだと思っています。
クリエイターに必要なのは世界観を構築する力。
イラストレーターは、より上位のレイヤーで一緒にものづくりができるスキルが求められています。
例えば、プランナーからの「こんな世界観で、こんなゲームを作りたいんだ」と言った要望に対し、デザイナーやイラストレーターって、人の頭の中にある世界観を形にすることができる技能を持つ唯一の職業なんです。
さらに、その世界観を構築した上で、デザイン(配色、形、アニメーションなど)がちゃんとユーザー目線で作られてるか、プロダクト目線で見ることができているかが大事です。
トレンドの理解や知識は必須です。アニメや漫画は全部見ておくべきですね。
例えば『妖怪ウォッチ』は、なぜこんなに流行しているのか。しっかり考察し、理解するなどの考えるプロセスも重要です。
ゲームはどうやってできるのか。その中で自分はどのようなバリューを発揮できるのか。このように考えられるようになると、上位のイラストレーターに近づきます。
特化型もマルチスキル型も、新しい技術を学び続けなければならないことは同じです。
自分を磨くこと。それを表現し続けること。
インプットしながらアウトプットを出し続けることによって、成長が促されます。
僕自身もクリエイターとして、そこを頑張っていきたいと思っています。