EVENT REPORTイベントレポート
ヒカラボレポートとは、開催されたヒカラボにおいて、登壇者が伝えたい講演内容を記事としてまとめたものです。ご参加された方はもちろん、ヒカラボに興味があるという方も是非ご覧ください。
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イベントレポートvol.23
2017/07/19(水)更新
2014/4/25に弊社イベント「ヒカ☆ラボ」にて「同窓会Growth Hack!×データログ集計、解析!をテーマに事例をまじえお話します! 16年ぶりの再会でも参加率6割の同窓会を開くには?Yahoo!出身のエンジニアが語る、アクセスログ可視化、 ユーザ属性解析を行うためのシステム設計のコツとは?」が開催されました。
改めてみると贅沢なタイトルですね。当日は100名以上の方が参加され、タイトルに名前負けしない白熱したセミナーとなりました。
そして今回の記事では登壇者の菊池様、そしてスペシャルゲストとして参加いただいたジェネストリーム 代表取締役・秋貞様の講演をピックアップしてレポート致します。
今回は菊池さんがGrowth hack話をされるとのことで、ゲストとして秋貞さんも駆けつけてくださいました。
元々Yahoo!でYDNというユーザーの行動分析をするAdサイエンスを担当されていた菊池さん。
世の中のデータはその一部しか実際は公開されていないと前置きされた上で、公開されていないデータにロマンを感じると話されました。既に公開されているデータの中から、フェルミ推定のようなイメージで公開されていないデータを類推していくことこそがロマンなんだとか。
さすがデータエンジニアです。
さてここからは本題のお話です。
今回は菊池さんが実際にGrowth hackの手法を用いて、同窓会を開催したというエピソードを説明して頂きました。
菊池さんは新潟県の中学校出身で、同窓生が165名。同窓会代表が菊池さんだったのですが、
実はこれまで同窓会は1度も開かれていなかったとのことです。そこで、16年ぶりに再会しよう!ということで同窓会が企画されました。
準備期間が9ヶ月もあったのですが、同窓生はいま北海道~福岡、サンフランシスコ、ロンドンに居るという状況でした。一般的には同窓会は3割集まれば成功と言われています。その状況のなか、菊池さんはGrowth hackの手法を用いて同窓会の参加者集めに奮闘されました。
同窓会をAARRRモデルに当てはめるとこのようになります。
データ分析のフレームワークが綺麗に同窓会に当てはまってしまいました。同窓会リーン・スタートアップですね。コンバージョン地点が同窓会への参加というのも面白いです。このAARRRモデルに従って同窓会の問題を発見しながら、菊池さんはGrowth hackしていきます。
菊池さんが実際に同窓会Growth hackのために作られた成功ストーリーがこちらです。1回だけの同窓会をどう成功させるかから落とし込み、成功の要素を分解していきます。
そしてこの成功ストーリーを施策レベルまで落としこんで計画を立て、実践されたそうです。
そして同窓会に人を集めるために成功ストーリーの中から的を絞ったところがコミュニケーションです。
これまで同窓会の案内ははがきで出席者を募集するということが一般的でしたが、菊池さんは成功ストーリーに沿ってLINE、Facebookを中心に人を集めていったそうです。
参加者を増やす施策としてFacebookグループやLINEでグループを作りコミュニケーションを活発にされました。その為にFacebookグループとFacebookメッセージの既読率のABテストやLINEグループのトークとノートのABテストなどを試されたと話されていました。
名簿を元に同窓生ひとりひとりの連絡手段とCV(同窓会の参加)までを可視化していくということで、効果を明らかにしていくあたりがデータエンジニアです。
菊池さんがAARRRの手法を同窓会応用し、LINEやFacebookでコミュニケーションを高めた結果、参加者が急増しました!
コミュニケーションが活発になった要因として
・強力なインフルエンサーが登場
→彼らが毎日20時~23時の間毎日おもしろいことを喋ったこと
・目的ごとにLINEのグループを作成したこと
・グループ内のルールを徹底させたこと
・人数が増加し、ネットワークの外部性が働いたため
ということを挙げられていました。
そのコミュニケーションに比例して同窓会への参加者も増加してきました。最終的には参加率は6割、98名が参加されたそうです。
同窓会参加の通説が3割の中6割の参加率はすごいですね!
過去の実績データを参考にそこから問題を認識するということ、そしてその問題点をAARRRモデルに落としこんで同窓会参加者の増加を狙うという手法が、まさにGrowth hackですね!
施策としてLINEやFacebookを活用して参加者を集めたことも成功していますが、その施策にも細かいABテストが散りばめられていたはずです。実はGrowth hackによって改善できることはWebサービスだけではなく、身近なところに沢山あるのかもしれませんね。
後半は菊池さんに、可視化と解析の実装というテーマでLog解析に関して話して頂けました。
こちらがLog集計のツリーです。
Logの集計には大きくリアルタイム,バッチ,アドホックDWH/BIの3種類があります。
リアルタイムの最も簡単な方法はGoogle Analytics等のツールを使っていくことです。それ以外は手動でMongoDBなどに入れていくイメージになるそうです。
また菊池さん曰くAmazon Redshift、GoogleBigQuery、TreasureData……などなど、クラウドにログを投げて勝手に分析してくれるサービスが最近業界で盛り上がっているそうです。
集計したデータを各ツールで可視化するとこのようなイメージになります。
またViewを自作していく場合は
・Daily DashBord
→First ViewにKPIを置くこととElementの追加/削除が必要
・Analytics
→2d,データとグラフを追加
・Report
・(RawDataViewer)
の設計がポイントになってきます。
Viewを設計する際は常に観測者効果のことを考えて設計していくことも重要です。
マーケティング、開発ともにリアルタイムのデータの可視化のニーズは高まっていますが、菊池さん曰く「リアルタイムのデータの可視化では満足感は得られても満腹感は得られない」と話されました。
本当に必要なことは人ではなく、機械がリアルタイムにデータを判断することだそうです。
機械によってリアルタイムに解析されたデータを、広告やレコメンド
解析をバッチからリアルタイムにすることでCTRが37%増加した事例を先に話されました。
CTRが37%改善するってすごいですね!
ではどのようにレコメンダーにとって、それほど速くデータを解析していくのかといいますと
ユーザーのインタレストの情報とアトリビュートの情報を分け考えることがポイントになるそうです。
インタレスト情報には変動するものとしないものが含まれます。しかしアトリビュート情報には変動しない情報でなりたっており、それによって切り分けて設計することが素早くデータ解析をし、レコメンドしていく上で必要になってきます。
また会場ではその後簡単な、リアルタイムレコメンダーの実装の実例を紹介していただきました。
Logのお話をまとめました。最近ではデータが増えると検索が終わらないとか、初期導入コストがかかる等の問題があるためにHadroopで回すのではなく、カジュアルにデータを最小化して抽出することが求められるようになってきています。
最後に特別ゲストとして登壇して頂きました秋貞さんに、Cu-hackerのグロースハックについてお話していただきました。
ビジネスマンの1日の1/3~1/2を占めると言われる、ミーティングのスケジューリングに関するサービスです。ビジネスマンの生産性を高め、1日を30分増やすというビジョンにマッチしています。
今までにないスケジュール調整の形をテーマにGoogleアカウントと連携させることで、都合の良い時間を素早く見つけ、アポイント設定をスピーディーにすることが可能です。
今回のCu-hackerのグロースハックのお話はこちら。
Cu-hackerでAARRRモデルのRetentionを高めた事例をご紹介いただきました。
Cu-hackerではヘビーユーザー(登録してから平均利用率28%以上のユーザー)を増やすことに着目されました。
そして、サービスのデータを調査すると全ユーザーのヘビーユーザー含有率に比べ、仮登録利用ユーザーのヘビーユーザー含有率が4.7倍高いなどのデータから「仮登録利用者数を増やすとヘビーユーザーが増える」という仮説を導き出されたそうです。
先ほどの仮登録利用者数を増加させることでという仮説が立てられたあとは、実際に施策を打っていきます。
ただCu-hackerでは、仮登録利用者数を増加させる施策は「チュートリアルにたった1枚のスライドを追加した」だけだったそうです。
このスライドを入れるための工数がたった1日。しかもインターン生が実施したと話されていました。
たった1枚のスライドですが、効果は明確に現れ、ヘビーユーザー含有率が1.27倍に増加したそうです。
秋貞さんが話されていたなかで印象的だったのが、サービスは創ったら終わりではなく、創ってからが勝負だということでした。そしてGrowth hackを継続していくためには失敗を前提としてとらえ、失敗という挑戦を続けていくことが大切だと話されました。
AARRRモデルというGrowth hackのモデルを利用して同窓会やCu-hackerに応用され、結果を出されたことを聞いたことでGrowth hackの効果を実感された方も多くいらしたようでした。
また、「自分の切り口で自分の事業のどこに”穴”があるのかデータを調べてみて、その穴をどうやって改善できるのかちょっと頭と手を使って実装して見て下さい。」という秋貞さんの言葉が、誰でもGrowth hackをすることができることを語っていました。