エンジニアリングマネージャーとは?目指し方や仕事内容、必要スキルを解説

最終更新日:2024年4月12日

技術への興味が強いエンジニアにとって、気になるポジションのひとつがエンジニアリングマネージャーです。一方、エンジニアリングマネージャーがどのような仕事を担っているのか、正しく理解している人は多くありません。エンジニアリングマネージャーの役割や求められるスキル、エンジニアからキャリアアップするための方法などについて詳しく解説していきます。

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この記事のまとめ

  • エンジニアリングマネージャーには「技術面からのプロジェクトマネジメント」や「技術的課題の管理や解消」などが求められる
  • エンジニアリングマネージャーは、エンジニアが快適に開発を進められるよう環境を整える役割もある
  • 技術系の仕事ができるなど、技術に興味を持っているエンジニアにおすすめのキャリアアップ先といえる

エンジニアリングマネージャー(EM)とは?主な仕事内容

エンジニアリングマネージャー(EM)の主な仕事内容を紹介します。ただし、企業やプロジェクトによって、エンジニアリングマネージャーに求められる仕事内容は異なるため注意しましょう。

技術的な観点からのプロジェクトマネジメント

エンジニアリングマネージャーの主な役割は「技術的な観点」からプロジェクトを支えることです。

開発現場では、突発的な仕事が増加したり、特定のエンジニアへの業務が集中したりすることがあります。こうした状況が長期間続くと、エンジニアのモチベーションの低下や開発する製品の品質の劣化につながりかねません。

エンジニアリングマネージャーは、タスクの見直しや人員の再配置などを行い、工数の平準化を図ります。また、製品の品質をチェックすることも大切な役割です。

技術的な課題の管理と解消

現場で発生する課題の管理も、エンジニアリングマネージャーの重要な仕事です。技術的な課題の解決や、仕様変更に伴う工数の増加など、さまざまな課題への対処が求められます。

プロジェクトメンバーの評価

エンジニアリングマネージャーは技術に対する理解があり、現場に近い位置で働くため、チームのエンジニアを評価しやすい立場にあります。

どのエンジニアがどういったスキルを持っているのか、どれだけのアウトプットを出せているのか、アウトプットの品質はどうかなど、さまざまな観点からエンジニアを適切に評価します。

また、評価した内容をエンジニアのモチベーションアップにつなげることも大切です。

エンジニアのスキルアップの手助け

各メンバーが習得すべき技術の助言を行う、目標設定の手助けをするなど、チームメンバーのスキルアップを促すことも欠かせません。

チームメンバーの技術向上はプロジェクトの円滑化や製品の品質向上に直結します。

チームビルディング

リモートワークの普及に伴い、メンバー間の基本的なやり取りがコミュニケーションツールのみという企業が増えました。このような環境では、コミュニケーションの不足から認識の齟齬が発生する例があります。

また、若手のメンバーは、どのタイミングで、誰に何を質問すればよいのか迷ってしまうこともあります。こうした背景から、エンジニアリングマネージャーにはチームビルディングの役割が強く求められるようになりました。

顔の見えるコミュニケーションを実施する、ベテランに若手の指導を依頼するなど、エンジニア同士の連携を高める工夫が大切です。

エンジニアの採用

仕様の変更に伴い、当初の予定よりも大規模な開発が行われるケースなどでは、人員が足りなくなることがあります。人員不足の場合にエンジニアを採用することも、エンジニアリングマネージャーの役割です。

エンジニアを採用する際ポイントは、求めるスキルを明確にすることです。プログラミング言語が使えるかといった基本的なことだけではありません。ドキュメント作成能力や、クライアントとのコミュニケーション力など現場のニーズに合わせて、必要なスキルを明確化します。

また、転職エージェントやSES企業とのやり取りもエンジニアリングマネージャーの仕事です。最終的には面接に立ち合い、適切な人材かどうかを判断します。

労働・開発環境の整備

チーム内のエンジニアが快適に開発を続けられる環境を整えます。作業の効率化や情報共有の円滑化のためにツールを導入する場合もあるでしょう。

また、物理的な開発環境を整備することもあります。クライアント先に常駐して開発するケースでは、作業用の机・椅子・モニターなどの質や配置などによって開発が滞るおそれがあります。こうした課題を解決することもエンジニアリングマネージャーの重要な役割です。

経営・営業サイドと開発現場の仲介

技術的なバックグラウンドを持たない経営や営業サイドと開発現場では、認識の齟齬やそれに伴う摩擦が生まれることもあります。その結果、現場の士気低下につながることもあるため、早期解決が欠かせません。

エンジニアリングマネージャーには、技術的な視点と経営者的な視点の両方を踏まえて、経営者や営業に現場の意見を伝えることが求められます。これにより、エンジニアの満足度向上や離職率の低下につながるでしょう。

エンジニアリングマネージャー(EM)とPM・テックリードとの違い

エンジニアリングマネージャーと混同されやすい仕事に、プロジェクトマネージャーとテックリードがあります。それぞれエンジニアリングマネージャーとはどのような違いがあるのかを解説します。

PM(プロジェクトマネージャー)の仕事内容と役割分担

PM(プロジェクトマネージャー)は「プロジェクト全体」をマネジメントする職種です。高い品質の製品を、納期に間に合うように開発する役割があります。

具体的には、プロジェクトを円滑に進めるために、予算・人員、スケジュール、リスクの管理などを実施します。場合によっては、クライアントや自社経営陣との折衝なども必要です。

一方、エンジニアリングマネージャーは、より現場に近い部分のマネジメントを行います。具体的なタスクの割り出しや管理、開発に伴う課題の管理や解決、人員の配置などが主な役割です。

プロジェクトマネージャーは、必ずしも技術的なバックグラウンドを持っている必要はありません。一方、エンジニアリングマネージャーには技術的なスキルが求められます。

関連記事:プロジェクトマネージャーとは?役割・仕事内容・必須スキルを解説

テックリードの仕事内容と役割分担

テックリードの主な役割は、製品の品質を向上させることです。システムのアーキテクチャの検討、各エンジニアが作成するコードやテストケースの管理・チェックなど、技術的に特化した部分のマネジメントを担当します。

一方で、エンジニアリングマネージャーには、エンジニアの働きやすさや、人員の確保といった観点からのマネジメントが求められます。

なお、テックリードとエンジニアリングマネージャーの明確な線引きはなく、企業やプロジェクトによって呼び名や役割が異なるケースも少なくありません。テックリードのポジションを設けず、エンジニアリングマネージャーがテックリードの役割を兼任することもあります。

エンジニアリングマネージャー(EM)を目指すメリット

エンジニアからのキャリアアップ先は多岐にわたります。そのなかでエンジニアリングマネージャーを目指すことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。代表例を解説します。

技術系の仕事ができる

技術に興味を持っているエンジニアにとって、管理業務が多く、技術に触れるケースが少ないプロジェクトマネージャーへのキャリアアップは魅力的に思えないケースもあります。

一方、エンジニアリングマネージャーであれば、技術とマネジメントの両方の視点で業務が可能です。最新技術に触れていたいエンジニアには魅力的なキャリアアップ先といえるでしょう。

年収アップが期待できる

マネージャーのような役職に就くと、給与があがるのが一般的です。レバテックキャリアの求人を見ても、SEの多くが300万~700万円なのに対し、エンジニアリングマネージャーでは700~1500万円ほどの求人も多くあります(2024年2月現在)。

転職市場で有利になる

マネジメント経験者は転職市場で高く評価される傾向があります。エンジニアリングマネージャーを経験すると、転職先の幅が広がります。大幅な年収アップにつながる可能性もあるでしょう。

エンジニアリングマネージャー(EM)に求められるスキル・能力

エンジニアリングマネージャーには、技術力以外にも幅広いスキルや能力が求められます。これらが備わっていないと、転職やキャリアアップは難しい職種です。必要なスキルについて詳しくみていきましょう。

コミュニケーションスキル

エンジニアリングマネージャーとして現場をマネジメントするためには、チーム内のエンジニアとの密なコミュニケーションが欠かせません。問題を抱え込んでいないか、仕事に不満を感じていないかなど、メンバーの状況を把握することで、プロジェクトを円滑に進められます。

マネジメントスキル

エンジニアリングマネージャーは、チームメンバーのモチベーションや生産性、製品品質、タスクなどさまざまな要素を管理します。

そのため、ピープルマネジメント、テクノロジーマネジメント、プロダクトマネジメント、プロジェクトマネジメントなどのスキルが求められます。

リーダーシップ

プロジェクト成功に向け、現場のモチベーションを上げることもエンジニアリングマネージャーの大切な役割です。チームをまとめ上げ、生産性を向上させるためにはリーダーシップが欠かせません。

最新技術への興味や継続的な学習

エンジニアリングマネージャーは現場のエンジニアと同等、またはそれ以上の知識と技術力が必要です。技術力があってこそ、エンジニアからの信頼を得られるほか、課題の解決にもつながります。

最新技術に興味を持ち続け、情報取集する能力がある人はエンジニアリングマネージャーに向いているでしょう。業務を進めながら、最新技術にも目を向けて学習を続けることは簡単ではありません。技術に対する興味があってこそ務まる仕事といえます。

背景を理解する能力

開発を続けていると、クライアントの要望で仕様の変更などを求められるケースがあります。しかし、要望を鵜呑みにして開発すると、工数が増えるだけで効率的とはいえません。また、仕事が増え続ければ、現場のエンジニアから不満が出てしまいます。

仕様変更などを求められた場合は「なぜその機能が必要なのか」の背景を考えてみることが大切です。新たに開発するのではなく、既存機能を使った代替案を提案できるケースもあるでしょう。背景を理解し、適切な手段を提示できれば、工数を抑えつつ、クライアントの満足度向上にもつながります。

交渉力

エンジニアリングマネージャーには交渉力も必須です。人員の確保はエンジニアリングマネージャーの重要な仕事ですが、多くの予算が必要となるため、経営陣が渋るケースも少なくありません。

「なぜこのタイミングで増員が必要なのか」「どのレベルの技術者が必要なのか」などを的確に伝え、予算を確保する必要があります。

エンジニアリングマネージャー(EM)を目指すためには

必要スキルは明確になったものの、具体的にどのようなアクションを起こせば良いか分からない人もいるでしょう。これからエンジニアリングマネージャーへのキャリアアップを目指す方が、日頃から意識しておきたいポイントを紹介します。

幅広い技術を身につける

エンジニアリングマネージャーにはITに関する幅広い知識が求められます。プログラミングだけではなく、ネットワーク、DB、OSなど、さまざまなジャンルの知識をある程度身につけておくことが重要です。

また、セキュリティ意識の高まりや、クラウドうえでの開発など、各種トレンドについても押さえておくとよいでしょう。

チームリーダーなどの経験を積む

エンジニアリングマネージャーを目指すためには、チームリーダーなどで実績を積む必要があります。しかし、チームリーダーは簡単になれるものではありません。

チームリーダーになるためには、若手エンジニアの指導をするなど、積極的な姿勢を見せることが重要です。日頃の行動が評価につながれば、指名される可能性が高まるでしょう。

マネジメント関連の知識を身につける

エンジニアリングマネージャーにとって、マネジメント関連の知識は不可欠です。マネジメント関連の知識を体系的に身につけるのにおすすめなのが、IPA(情報処理推進機構)が実施している「プロジェクトマネージャー試験」の取得に挑戦することです。

試験で問われる内容は「組織の戦略及びシステム全般に関する基本的な事項」や「プロジェクト計画の作成」「開発アプローチの選択」など多岐にわたります。そのため、学習を通して幅広い知識が身につくでしょう。

プロジェクトマネージャー試験は難易度が高く、簡単には合格できませんが、その分取得することに価値がある試験です。取得できれば、積極的な姿勢のアピールにもつながります。

エンジニアリングマネージャーを目指していることを積極的に発信する

仕事は待っていても与えられません。自ら取りに行くことが大切です。エンジニアリングマネージャーを目指すのであれば、その旨を上司を含む周囲に伝えておくことをおすすめします。

キャリアアップしたい意欲が上司に伝われば、後押ししてもらえる可能性が高まります。

仕事のフィードバックを積極的に求める

スキルアップを目指すのであれば、自分の弱点を客観的に把握し、改善に努めることが大切です。そして、弱点を客観的にチェックするうえで、上司からのフィードバックは欠かせません。

耳が痛い話もあるかもしれませんが、フィードバックは積極的に求めましょう。また、フィードバックを受けようとする姿勢も、評価につながるはずです。
なおエンジニアリングマネージャーを目指している旨を伝えておけば、そこへ向けての具体的なアドバイスが得られることもあります

エンジニアリングマネージャー(EM)からのキャリアパス

エンジニアリングマネージャーとして経験を積んだあとのキャリアパスには、PM(プロジェクトマネージャー)やCTO、フリーランスなどの選択肢が考えられます。それぞれどのようにエンジニアリングマネージャーのスキルが活かせるのか解説します。

PM(プロジェクトマネージャー)

エンジニアリングマネージャーからのキャリアアップ先として一般的なのがプロジェクトマネージャーです。エンジニアリングマネージャーの仕事で培った得たマネジメントスキルを活かせます。

企業やプロジェクトによっては、エンジニアリングマネージャーの役職を設けていないことがあります。その場合、プロジェクトマネージャーがエンジニアリングマネージャー的なポジションもこなすのが通常です。エンジニアリングマネージャーで培った技術的なバックボーンが役に立つでしょう。

CTO(最高技術責任者)

技術面と経営面の両方の視点を活かすポジションがCTO(最高技術責任者)です。CTOはエンジニアリングマネージャーで培った経験や知識が役立つため、エンジニアリングマネージャー経験者がスタートアップ企業のCTOとして誘われるケースもあります。

フリーランス

自分の裁量で仕事をしたい場合、フリーランスとして独立する方法もあります。フリーランスとして仕事をするためには、クライアントからの信頼を得ることが欠かせません。エンジニアリングマネージャーの経験は、個人として仕事をしていくうえでも大きなアピール材料となるでしょう。

まとめ

エンジニアリングマネージャーを目指していても、職場でポストが空いていない場合や、そもそもエンジニアリングマネージャーのポジションが用意されていない場合もあるでしょう。そこで、転職も視野に入れることをおすすめします。

マネジメント経験がない状態では、エンジニアリングマネージャーへの転職は困難ですが、転職先の企業で成果を出せばキャリアアップできる可能性は大いにあります。

転職を目指すのであれば、転職エージェントの活用を検討してみてください。転職エージェントではカウンセリングなどを通じて自分の強みを知ることができるため、転職活動を効率的に進められます。また、履歴書や職務経歴書などを第三者の視点からチェックしてもらえることもメリットです。

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この記事の監修

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