独立系SIerとは？メリット・デメリットや他SIerの違いも紹介

• SIerとは
• SIerの種類
• 独立系SIerの大手企業一覧
• 独立系SIerに転職するメリット4点
• 独立系SIerに転職するデメリット5点
• 独立系SIerの将来性と優良企業を選ぶポイント
• 独立系Slerについてよくある質問

SIerとは

SIer（エスアイヤー）とはシステム開発や運用・保守などを請け負う企業のことで、System Integrator（システムインテグレーター）の略称です。自社でシステム開発をしていない会社へ向けて、必要なITシステムを提供します。そのため、SIerはITシステムの幅広い知識が必要とされています。

またSIerには、大きく分けて5つの種類があり、それぞれ特徴を持ちます。SIerへの転職を考えている方は、おさえておきましょう。

SIerの仕事内容

SIerの仕事は、主にITシステムを活用して顧客の課題を解決することです。顧客に対してITの提案やヒアリングなどを行い、要件定義・設計・プログラミングといった開発と運用・保守を行います。どのSIerも基本的には同様の仕事内容ですが、扱う製品やソリューションが異なったり、上流工程に重点が置かれたりと、SIerの種類によって特徴が異なります。

SIerの種類

SIerといえど、さまざまな種類があり、何が違うのか戸惑ったこともあるのではないでしょうか。
SIerはそれぞれの特徴から、独立系、メーカー系、ユーザー系、コンサル系、外資系の5種類に分けられます。概要や特徴を知っておくことは非常に重要です。

たとえば、転職では、自身の希望や適性と会社の特徴を照らし合わせることから始まります。それぞれの概要を知り、比較できることは、効率的な転職にもつながります。

以下では、SIerの種類と特徴を紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

独立系SIerとは

SIerの中には親会社やグループ企業を持つ有力な企業もありますが、そういった資本関係がなく独立資本で経営を行っているSIerのことを独立系SIerと呼びます。親会社やグループ企業の影響を受けないため、自由に経営を行うことができます。規模の面では、親会社の恩恵を受けるメーカー系SIerやユーザー系SIerなどとは異なり、比較的中小規模の企業が多いです。

メーカー系SIer

メーカー系SIerは、パソコンやサーバーなどを製造するハードウェアメーカーのITシステム部門などが分社・独立してできた企業を指します。したがって、多くの案件を親会社から受注し、親会社のハードウェアやソリューションを含めた幅広い提案やシステム開発が可能です。要件定義やシステムの基本設計などの上流工程が多いことも特徴です。

ユーザー系SIer

ユーザー系SIerは、流通・製造・商社・金融などの大手事業会社のITシステム部門が独立した子会社を指します。ユーザー系SIerの業務には、親会社やグループ企業向けのシステム開発を行う「内販」と、親会社やグループ企業以外の一般の企業に対してもシステムの開発サービスを提供する「外販」があります。内販と外販の比率によって、企業の特徴が変わるので注意が必要です。

コンサル系SIer

コンサル系SIerは、ITシステムの開発工程の中でも、より上流となるコンサルティングフェーズを主に行うSIerです。顧客課題の深堀りや、課題に対するIT戦略立案・導入企画を得意とし、その後のシステム開発も担います。なお、上流工程とは、開発などの下流といわれる工程に対する前段階の工程を指します。

外資系SIer

外資系SIerは、海外のSIerの日本法人です。米国や欧州などに本社がある企業の日本拠点であるケースが多く、グローバルにビジネスを展開する規模やブランド力を持つSIerです。外資系SIerの特徴は主に制度面にあり、能力主義や成果主義などで個の力が重視される傾向にあります。その反面、仕事がハードになりやすいといわれています。

関連記事：外資系SIerの企業例9選！年収、メリットやデメリットも解説

独立系SIerの大手企業一覧

独立系SIerといっても、どのような企業があるのかピンとこない方が多いでしょう。ここからは独立系Slerの大手企業を5社紹介します。紹介する企業は以下の5社です。

ここでは企業の概要と、売上高、従業員数、平均給与、平均年齢について紹介しています。参考にしてみてください。

BIPROGY（旧日本ユニシス）

BIPROGY株式会社はクラウドやアウトソーシングなどのサービスの提供、コンピュータやネットワークシステムの販売を行っている、日本でも有数の独立系SIer企業です。

売上高	202,291（百万円）
従業員数	4,442（人）
平均給与	8,163,349（円）
平均年齢	46.3（歳）

（2023年3月31日時点 有価証券報告書より抜粋）

大塚商会

株式会社大塚商会はオフィス用品の通販サービス「たのめーる」などが有名です。システムインテグレーション事業とサポート＆サービス事業の両事業があることにより、システム導入から運用まで顧客のニーズに応えています。

売上高	861,022（百万円）
従業員数	7,524（人）
平均給与	8,567,945（円）
平均年齢	41.8（歳）

（2022年12月31日時点 有価証券報告書より抜粋）

オービック

株式会社オービックは自社内でシステムに関する事業を完結できるのが特徴です。システムインテグレーション事業からシステムサポート事業、そしてオフィスオートメーション事業といって、オフィス家具の販売やオフィスの内装工事まで手がけています。

売上高	100,167（百万円）
従業員数	1,888（人）
平均給与	10,056,000（円）
平均年齢	36.1（歳）

（2023年3月31日時点 有価証券報告書より抜粋）

TIS

TIS株式会社は、さまざまな業界・分野にITサービスを提供しています。社会課題である金融包摂やスマートシティ、ヘルスケアなどにもITの分野から積極的に取り組んでいる企業です。

売上高	508,400（百万円）
従業員数	5,695（人）
平均給与	7,157,000（円）
平均年齢	40.4（歳）

（2023年3月31日時点 有価証券報告書より抜粋）

ユニアデックス

ユニアデックス株式会社はBIPROGYグループの会社で、ICT分野のインフラトータルサービスを提供しています。マルチクラウドサービスや次世代ネットワーク、ITアウトソーシングなどに強みがあるのが特徴です。

売上高	138,300（百万円）
従業員数	2,512（人）
平均給与	不明
平均年齢	不明

（2023年4月1日時点 会社ホームページより抜粋）

独立系SIerに転職するメリット4点

独立系SIerに転職を考える上で、メリットを知っておくことは重要です。自身の希望に合うメリットがあるかどうか、確認しておきましょう。独立系SlerはほかのSlerと比べて特徴がはっきりしているため、ほかとは違った転職するメリットが複数あります。

以下では、代表的なメリットを4点紹介します。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

親会社が存在しないため制約を受けない

独立系SIerは親会社がないため、親会社の製品の使用が必須であることや親会社の経営方針に合わせなくてはならないといったことがありません。

親会社があるメーカー系SIerの場合、親会社がハードウェアの製造やソリューションの開発などを行っているケースが多いです。この場合、親会社とのビジネス上の理由からITシステム開発時には親会社のハードウェアやソリューションを活用する必要があります。また、親会社と競合する会社の製品の利用は避けなければなりません。

親会社が一般の事業会社であるユーザー系SIerの場合も同様で、たとえば親会社が持つ人材リソースの活用が求められるなど、親会社の方針に影響されやすいでしょう。

独立系SIerはこのような制約がなく、ITシステム開発時にハードウェアやソリューションなどの製品を自由に選択できます。さらに、人材リソースにも縛りがなく、ビジネスを自由に進めることが可能です。

システム開発がメイン業務でスキルアップしやすい環境

独立系Slerの案件は多岐に渡るため、さまざまな技術やツールを経験できます。また、独立系Slerはプログラミングによるシステム開発がメインのため、プログラミングスキルを磨きたい人にはおすすめです。

さらに、システム開発の進め方やプロジェクトの進行方向、顧客とのコミュニケーション能力、時間管理やタスク管理のスキルなど、多くの職場で役に立つパーソナルスキルも十分に習得できます。

さまざまな業界と関わることができる

独立系Slerは、金融、製造、流通、医療など、さまざまな業界のクライアントと仕事をします。それぞれの業界に特化した知識や技術を身につけることができ、業界のトレンドや問題点についても深く理解できるでしょう。また、さまざまな業界のクライアントと仕事をすることで、新しいビジネスチャンスを発見しやすいです。

成果主義で中途入社でも認められやすい

独立系Slerは、成果に対して報酬を支払う成果主義の企業が多いため、中途入社でも認められやすい環境です。また、自分でアイデアを出し実現できる環境の企業も多いため、やりがいを感じながら働けます。さらに、プロジェクトの進め方やチームマネジメントなど、責任ある役割を担う機会が多いため、自己成長を促す環境が整っています。

独立系SIerに転職するデメリット5点

独立系Slerにはメリットがあると同時にデメリットも複数存在します。独立系SlerはほかのSlerと比べて特徴が明確な分、デメリットもはっきりしています。

ここではデメリットを5点ご紹介します。働き始めた後にギャップを感じないためにも、しっかりと確認しておきましょう。

納期・予算が厳しい

独立系SIerの業務は納期や予算が厳しい場合が多いです。理由としては、メーカー系やユーザー系のSIerと違って、クライアントがグループ会社や親会社ではないため、融通が利きにくいからです。タスクや予算の管理が苦手な方にとってはデメリットになるでしょう。

しかし、納期と予算を厳守し、業務を行うことは後の信頼関係へとつながります。独立系SIerはさまざまな業界の企業と取引をするため、信頼関係はとても重要です。

残業が多くなりがち

独立系Slerは、プロジェクトの納期や顧客の要望に応えるため、多忙な時期は残業が多くなりがちです。納期直前はプロジェクトの進捗状況や課題をクライアントに伝えなければならないため、作業量が一気に増えて残業が多くなる傾向にあります。

下請けになりやすく客先常駐になる

メーカー系・ユーザー系SIerの場合、親会社・グループ会社から案件が回ってくる場合が多く構造的には1次請けとなります。一方で、独立系SIerの場合はこれら元請けや2次請けから案件を委託される2次請け・3次請けとなり、売上が下がるケースもあります。

また、2次請けや3次請けなどの下請けは、案件全体の一部分など比較的単純な開発作業が委託されがちです。要件定義や設計など上流工程のスキルアップをしたい人にはもの足りない面もあるでしょう。

さらに、独立系SIerはほとんどの場合、客先常駐になります。客先常駐とは、クライアントとなる企業に出社して業務を行うことをいいます。他社への出社となるため、他人とのコミュニケーションがストレスに感じる方にとってはデメリットとなるでしょう。

関連記事：SESの客先常駐｜メリット・デメリットやSIerとの違い

離職率が高い

独立系に限らずSlerは、複数の案件に携わることが多く仕事内容が多岐にわたるため、業務負荷が高くなりやすいです。また、仕事に慣れない段階ではクライアントとのやりとりや仕事の納期などにプレッシャーを感じてしまう人もいます。

さらに、独立系Slerは中途採用が多く、プロジェクトが終了すると次の案件に移るため、仕事の流れやチームメンバーとの関係性が毎回リセットされます。プロジェクトによっては、スキルや知識を要求されるレベルが高い場合があるため、適性や希望に合わない場合も多いです。

これらの要因から離職率が高くなりやすいといわれています。

自社で顧客への営業が必要

独立系Slerは、親会社のサポートがないので、自社で案件を獲得しなければなりません。営業力がないことは企業の業績に直接的に関わります。たとえば、起業したての独立系SIerでは、業界へのつながりがない場合も多く、継続的に案件を取り続けることが難しいです。それにより、人員削減や経営破綻につながってしまう可能性もあります。

自社の営業力が低いと、将来的に案件が獲得できない事態になりえるため注意が必要です。

独立系SIerの将来性と優良企業を選ぶポイント

独立系Slerへの転職を検討している方は、将来性や企業の選び方が気になるのではないでしょうか。そもそもIT業界は今後も堅調に成長していくと考えられており、SIer全体で将来性はあると見られています。
しかし、もちろん全ての会社が将来有望であるとはいえないでしょう。そのため、転職の際にはしっかりと企業研究を行う必要があります。

ここからは独立系Slerの将来性と優良企業を選ぶポイントを紹介します。

将来性は十分あり

IT市場は今後も引き続き堅調な成長を続けると考えられており、独立系Slerは将来性があるといえます。ただし、AIやIoT・クラウドなどのデジタル化が進む中で、しっかりと将来を見据えた経営をしているかどうかで会社の将来性には差が出てくるでしょう。転職を検討している方は企業研究をしっかりとしておくことが大切です。

関連記事：SIerの将来性は？今後なくなると言われる理由と市場価値

元請けとして案件獲得しているか

独立系Slerは頼れる親会社がいないため、元請けとしての案件を多く獲得しているかが重要なポイントとなります。元請けとは、顧客企業と直接契約して案件を受注し、それを下請け企業に発注する立場である契約です。上流工程になればなるほど、案件に対する利益率が高くなるため、働き方や給与面で恩恵を受けられます。下請けであっても、元請けに近い案件が多い企業が良いでしょう。

また、元請けで案件を受注しているということは、顧客企業から信頼を得ているということです。顧客企業から信頼を得るために品質の高いサポートや開発をしてきたことがわかるため、転職先の仕事に対する姿勢への指標ともなります。

営業力が高く業界に幅広い繋がりがあるか

親会社・グループ企業から案件を委託されることの多いメーカー系・ユーザー系SIerとは異なり、独立系SIerは自身で案件を見つける必要があるため、営業力が求められます。営業力が弱いと、会社自体の成長にも影響が出てしまうでしょう。実績がどれだけあるか、会社が幅広い業界と関わっているかなどを確認してください。

特定の業種に強みがあるか

特定の業種への強みがある企業であるかどうかも一つのポイントです。一つ大きな軸となる業種とつながりがあれば、今後の経営に安心感が持てるでしょう。

たとえば、独立系SIerの中には、通販、会計など特定の分野でシェアが高く、企業成長が続いている会社があります。こういった観点で会社を選ぶのも良いでしょう。

独立系Slerについてよくある質問

独立系SIerに興味を持っている人や転職を検討している人の中には、独立系ならではの強みや特徴、年収相場が気になる人が多いようです。

ここでは独立系SIerに関するよくある質問について答えていきます。類似の疑問がある方は参考にしてみてください。

Q1. 独立系SIerの強みは？

独立系SlerはほかのSler企業と比べて特徴が明確なため、強みもはっきりしています。独立系Slerの主な強みは以下の4点です。

Q2. 独立系SIer企業にはどういう特徴がありますか？

独立系SIerは、親会社やグループ企業の影響を受けないため、自由に経営を行えるという特徴があります。規模の面では、ほかのSIerとは異なり、比較的中小規模の企業が多いです。また、業務の面では、システム開発がメインのため、プログラミングスキルなどを磨きたい方におすすめとなります。

Q3.SIerの年収相場はいくらですか？

SIerの年収相場はレバテックキャリアの求人を参考に算出すると平均480～780万円程度です。また、スキルによって年収1000万を超えるケースも見られます。高年収の求人を見てみると、プロジェクトリーダーなどの役職であったり、プログラミングとデザインなど2つ以上の強みを求められていたりする場合が多いです。

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