- IoTエンジニアとは?
- IoTエンジニアの仕事内容
- 未経験からIoTエンジニアになるには?
- IoTエンジニアに求められるスキル・経験
- IoTエンジニアの転職に役立つ資格
- IoTエンジニアの将来性
- IoTエンジニアの年収
- IoTエンジニアに関するよくある質問
- まとめ
IoTエンジニアとは?
IoTとは、モノとインターネットを繋げる技術です。IoTが普及し始めた昨今、注目されている職種がIoTエンジニアです。
そもそもIoTとは何なのか?その基礎知識から活用領域などもあわせて解説します。
そもそもIoTとは
IoTはInternet of Thingsの略です。日本語にすると、モノのインターネット、つまりモノをインターネットに接続する技術です。かつてはインターネットに接続するのはパソコンや携帯でしたが、今はあらゆるモノがインターネットに接続しています。スマート家電などがイメージしやすいでしょう。
IoTでできること
IoTでできることは、モノをインターネットに接続し、インターネット上にある機能を利用したりデータを共有したりすることなどです。たとえば、最新のソフトをダウンロードする、情報収集する、データを送って分析し分析結果を返してもらう、といったことができます。
IoTエンジニアの概要
IoTエンジニアとは、家電や自動車、その他デジタルデバイスにIoT機能を実装する職種です。企業によっては「組み込みエンジニア」とほぼ同一の職種として扱われます。センシング対応や無線通信機能の実装、シングルボードコンピュータ上での開発など、従来の組み込みエンジニアとは若干異なるスキルを重視される点が特徴です。
また、IoTでデータを収集し蓄積、加工を行うデータ分析基盤の構築にも携わる場合があります。
IoTエンジニアが活躍する分野・業界
IoTエンジニアが活躍する分野・業界は、メーカー系、金融業界、IT業界などが挙げられます。特に多いのは、メーカー系のうち自動車メーカー、医療精密機器メーカーなどです。これらの業界ではIoTの導入が進んでいて、結果的にIoTエンジニアの需要も高くなっています。
IoTエンジニアの仕事内容
IoTエンジニアの仕事は、「デジタルデバイスにIoT機能を実装すること」です。また、主な仕事に「コーディング」が含まれるという点では、他分野のエンジニアと共通しています。ただし、IoT機能の実装は、コーディングだけを行うわけではありません。具体的には、以下の3点です。
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・組み込みプログラミング・回路設計、制作
・センサー、デバイス、インターネットの連携部分の開発
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
組み込みプログラミング
IoTエンジニアは、C言語やC++、Javaを用いてさまざまなデジタルデバイス内で動作するプログラムを実装します。組み込みプログラミングは「制限されたリソースをいかに有効に使いきるか」がポイントです。IoTデバイスの大半は、小型のデジタルデバイスであり、使用できるハードウェアリソースには限りがあります。そのため、限りあるハードウェアリソースをいかに効率よく、無駄なく使うかが腕の見せ所です。
回路設計、製作
IoTエンジニアは、回路設計や製作を担当することもあります。こちらは実際に物理的な回路を制作するため、電子回路の知識が必要です。最近では「Arduino」や「Raspberry Pi」など、シングルボードコンピュータ(あらかじめコンピュータに必要な部品が組み込まれた超小型の基盤)上で回路設計を行います。そのため、先端デバイスの知識も求められます。
センサー、デバイス、インターネットの連携部分の開発
IoT機能の大半は、温度や加速度を計測するセンサーや無線通信機能で構成されます。これらが外部のデバイスとデータのやり取りを円滑に行えるように、連携部分の開発を担うことも多いです。たとえば、IoTデバイスで取得した温度情報を無線通信でスマートフォンへ送信する、という仕組みでは、IoTデバイス側にデータ送信機能やネットワーク通信機能を実装していきます。
未経験からIoTエンジニアになるには?
未経験からでもIoTエンジニアへの転職は可能です。ただし、「未経験」がどのような状態を指すかでアプローチの方法が異なります。ここでは、IoT関連以外のエンジニア経験がある、エンジニア経験がなくても理系出身である、エンジニア経験がなく文系出身である場合に分けて解説します。自分のケースとあうアプローチ方法を選び、転職活動を進めましょう。
関連記事:AIエンジニアに未経験から転職可能?必要な知識・スキルも紹介
エンジニア経験ありの場合
IoT・組み込み以外の業界でエンジニア経験がある場合は、すでにプログラミングスキルは実用レベルの方が多いでしょう。一方、ハードウェア・電子回路・RTOS(リアルタイムOS)といった特殊なスキルは備えていない可能性が高いため、これらスキルの補強をしていきましょう。独学では習得が難しい分野のため、スクール活用も視野に入れておくべきです。特に、実機を用いて演習を行うコースを設けているスクールを活用するとよいでしょう。
理系のエンジニア未経験者の場合
このケースでは、いわゆる「ポテンシャル採用」で転職できる可能性が十分にあります。IoTエンジニアは常に人手不足であり、若手の参入もそれほど多くありません。したがって、理工系の基礎を持った20代は歓迎される傾向にあります。
特に、大手よりも人手不足が深刻な中小・独立系企業はポテンシャル採用枠を設けている可能性が高いです。中小および独立系の組み込み開発企業の求人を中心に転職活動を続けましょう。ただし、志向や適性をアピールするために、独学でC言語・C++・C#やマイコンボード、シングルボードコンピュータなどの知識はつけておくべきでしょう。
関連記事:ポテンシャル採用とは?企業がチェックしているポイントを紹介
文系のエンジニア未経験者の場合
エンジニア経験・理工系の下地のどちらも持たない場合は、転職のハードルが非常に高くなります。したがって、スクールや専門学校などでゼロから組み込み系の知識を学ぶか、他分野で1~3年のエンジニアの経験を積むことが先決です。
IoTエンジニアに求められるスキル・経験
IoTエンジニアに求められるスキル・経験は一般のエンジニアと異なります。ここからはIoTエンジニアに求められるスキルを8つ紹介します。専門的な内容も含まれるため、理解を深めてしっかり技術が身につくようにしておきましょう。必要なスキル・経験の詳細を紹介します。
電子回路の知識
IoTエンジニアは、デジタルデバイスに搭載される制御用基板の設計・開発を行います。また、制御用基板上で動作するプログラムを実装するには、電子回路の知識も必要です。したがって、マイクロプロセッサや電子回路の基礎は必ず押さえておくようにしましょう。
リアルタイムOSを扱った経験
リアルタイムOS(以下、RTOS)とは、組み込み業界で使用される特殊なOSのことです。Windowsなどの一般的なPC用のOSなどとは異なり、決められた時間内に規定の処理を確実に実行するため「リアルタイム性」を重視した造りであることが特徴です。代表的なRTOSには「ITRON」「VxWorks」などがあります。こうしたRTOSを扱った経験があれば、未経験でも評価を得られやすくなるでしょう。
C言語、C++、C#、アセンブリ言語のスキル
IoTエンジニアには、C言語やアセンブリ言語のスキルが求められます。C言語は高級言語でありながらハードウェア寄りの処理が可能、メモリ消費が少ないプログラムの実装が可能な点から組み込み系のアプリケーション開発で多用される言語です。また、アセンブリとはコンピュータが直接理解できる機械言語で、ハードウェアに近い環境のプログラミングでは以前から活用されている言語です。
特にC言語は必須スキルであり、中途採用ならば必ず備えておきたいスキルです。アセンブリ言語は、以前に比べると重要度は低下しているものの、既存ロジックの処理最適化や高速化のために使われることもあります。
マイコンボード、シングルボードコンピュータの操作スキル
マイコンボードやシングルボードコンピュータは、手のひらよりも小さな基盤上に、一般的なPCと同じような構成(CPU、メモリ、ネットワークインターフェースなど)を配置したハードウェアです。IoT化では、こうした超小型基盤・コンピュータ内に複数の機能を実装し、デジタルデバイスを操作します。ただし、超小型ゆえに制限も多く、特にメモリ使用量を意識したコーディングが求められます。
ネットワークに関する知識
IoTはインターネットへの接続を前提にしているため、ネットワークに関する知識が必要です。モノをインターネットに接続するための通信規格は複数あるので、特定の通信規格だけでなく、どの通信規格でも対応できるように仕組みや実際に使用するツールを理解しておく必要があります。
セキュリティの知識
インターネットを利用する際にはセキュリティが重要ということは周知のとおりでしょう。年々セキュリティの重要度は高まっています。パソコンやスマホだけでなく、モノをインターネットに接続するIoTでもセキュリティが重要なのは同じです。
アプリケーションの知識
IoTはスマートフォンから操作する場合が多いです。スマートフォンから操作する場合、スマートフォンにアプリをインストールすることになります。そのため、IoT開発とスマホアプリ開発はセットになることも多いです。
AI(人工知能)やデータサイエンスの知識
IoTのデータ蓄積、解析にはAIやデータサイエンスを使用します。つまり、IoT開発とAI開発はセットになることが多いです。今後IoTとAI両方に対応できるエンジニアに需要が集中する可能性も高いでしょう。
IoTエンジニアの転職に役立つ資格
IoTエンジニアへ転職する場合、組み込み系のスキルおよびIoTに関する資格はアピールポイントです。資格は必須ではないものの、持っていると客観的に一定以上のスキルが身についていることの証明になるからです。ここでは、IoTエンジニアへの転職でアピールポイントとなる資格について紹介します。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)により運営され、経済産業省が認定する国家資格です。組み込みシステムに携わるエンジニアを対象としています。IoTを含んだ組み込みシステムの設計・開発を主導するレベルのスキルを示せるため、IoTエンジニアとして転職する際にも役立ちます。
選択式と記述式の両方の試験があり、令和5年度秋期の合格率が16.6%と非常に難易度の高い試験です。その分、受験に向けての学習をとおしてスペシャリストとしての高い知識とスキルを身につけられます。
IoT検定
IoT検定はIoT検定制度委員会により運営される認定資格試験です。IoTを利用するユーザーや開発を行うエンジニア、事業に活用する経営者などが対象です。IoT・AI・ビッグデータなどの技術とマーケットについての知識・スキルを検定しています。IoT検定は、以下の4つの試験カテゴリに分かれています。
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・IoT検定ユーザー試験パワー・ユーザー
・IoT検定レベル1試験プロフェッショナル・コーディネータ
・IoT検定レベル2試験プロフェッショナル・エンジニア
・IoT検定レベル3試験プロフェッショナル・アーキテクト
※2023年12月時点では「IoT検定レベル2試験プロフェッショナル・エンジニア」「IoT検定レベル3試験プロフェッショナル・アーキテクト」は公式サイトにて詳細準備中となっています。
IoTに関して技術とマーケットの両者に関する知識とスキルを示せるため、IoTエンジニアの転職においても活用可能です。
IoTシステム技術検定試験
IoTシステム技術検定試験は、IoTに関する知識とスキルの検定試験です。IT関連企業により組織されるモバイルコンピューティング推進コンソーシアムによって運営されています。IoTビジネスに関わる人を対象としており、中級以上は技術者を対象とした試験です。
グレードは、基礎検定(IoTアドバイザー)、中級検定(IoTエキスパート)、上級検定(IoTプロフェッショナル)の3段階となっています。
基礎検定はIoTに関する基礎知識が問われる、IoTをビジネスで利用するユーザーに向けた検定です。中級検定はIoTシステム構築に携わる基本技術を認定するもので、IoTのユーザー企業の中堅社員およびIoT構築に携わるITエンジニアを対象としています。上級検定は高度なIoTシステムを構築する専門的な技術を認定しており、IoTに関わるユーザー企業、IT企業の上位技術者が対象です。
情報処理安全確保支援士試験
情報処理安全確保支援士試験は情報処理試験の一つです。セキュリティ担当者におすすめされる資格ですが、最近はシステムエンジニアやプログラマーにセキュリティ知識が求められており、IoTエンジニアも同様です。情報処理安全確保支援士の資格を取得することで、幅広いスキルが評価されるでしょう。
関連記事:AIエンジニアほかAI関連の転職で役に立つ資格
IoTエンジニアの将来性
「離れたモノ同士をネットワークで接続、通信する」ことが主題であるIoT化は、人口減少が続く日本において、重要な施策の1つです。今後は、交通・医療・教育・農業など、生活の隅々までIoTが浸透すると予想されます。したがって、IoT業界はますます拡大していくと予測されます。
一方、IoTエンジニアの数は慢性的に不足しています。総務省が発表した「令和4年版 情報通信白書」によると、AIやIoTの導入などデジタルトランスフォーメーションを進めるにあたって「人材不足が課題である」と答えた企業が、全体の67.6%でした。米国(26.9%)やドイツ(50.8%)など諸外国と比べても特に日本では先端IT人材が不足している状況です。
また、ハードウェアや電子回路の知識が必要なことから、新規参入のハードルが高く、人材の世代交代が進みにくいようです。この実態を踏まえると、しっかりとスキルを身に付けると希少価値の高い人材と見なされ、安定したキャリア構築が可能になるといえます。
IoTエンジニアの年収
レバテックキャリアに掲載されている求人・転職情報よりIoTエンジニアの平均年収を算出してみました。2023年12月時点で、職種「組込・制御エンジニア」フリーワード「IoT」で検索を行い、24件の求人・転職情報を抽出、年収の最大値と最小値の中間の平均を想定年収としています。
この場合、IoTエンジニアの想定年収は約640万円でした。専門性の高い組込・制御エンジニアの中でも、IoTに関する技術を持つエンジニアは高い年収が見込めるといえます。また、最大年収が1,200万円を超える案件も見られました。
IoTエンジニアの求人例
レバテックキャリアで扱っているIoTエンジニアの求人例を紹介します。
【業界】
製造
【業務内容】
■担当業務
・クラウドサービス開発/運用の推進
■期待される役割
・モノ売りからコト売りへのシフトを推進するリーダー
・クラウドや最新技術を積極的に取り込み、ビジネス特性に見合った最適な方法を提案、実践、定着させる開発/運用メンバー
【求められるスキル・経験】
<スキル>
■アプリケーションソフトウェア開発に関わるスキル
・プログラミング経験2年以上(開発環境、クラウドインフラおよびCI環境構築/運営含む)
・ソフトウェアアーキテクチャの開発経験1年以上
・基礎的なソフトウェアエンジニアリングへの理解
■クラウドソリューションの運用に関わるスキル
・クラウドインフラの基礎的な知識
・クラウドインフラの運用経験2年以上(運用設計、運用監視、System Engineering対応含む)
<マインド>
・クラウドに対する興味/関心がある方
・世の中の変化や新しい技術に興味を持ち、社会に役立つサービスを自ら生み出したいセルフスターター
・難易度の高い課題にも失敗を恐れずチャレンジし、最後までやり遂げる責任感がある方
・仲間を大切にし、協力し合って開発を成し遂げることで、達成感や喜びを感じたい方
【想定年収】
500~800万円
【勤務地】
東京都
IoTエンジニアに関するよくある質問
IoTエンジニアに関するよくある質問とその回答を紹介します。IoTエンジニアの年収、将来性、求められる技術などを知り、目標を立てることが重要です。
Q1. IoTエンジニアの年収はいくらですか?
レバテックキャリアの求人を参考にすると、IoTエンジニアの想定年収は平均約640万円でした。ハイスキルな人材になると1200万円以上の年収を得られる求人もあります。IoTエンジニアは現在需要が高まっている職種なので、しっかりと技術を身につければ高年収の求人にもチャレンジしやすいです。
関連記事:AIエンジニアの年収を年代・業務内容・業務形態別に紹介します
Q2. IoTエンジニアの将来性はありますか?
IoTの技術はいろいろな業界に使える用途があり、実際需要があります。需要があるので技術も進歩していく可能性が高く、それに伴いIoTエンジニアの需要も伸びていくと考えられるでしょう。技術的にほかのエンジニアへの汎用性もあるので、IoTエンジニアのスキルがあれば市場の変化に合わせて仕事を選べます。
関連記事:AIエンジニアを目指す人向け|ITエンジニアとの違いやキャリアプランを徹底解説
Q3. IoTとはどのような技術ですか?
IoTはInternet of Thingsの略で、日本語にするとモノのインターネットです。現状いろいろなモノをインターネットに接続することができます。具体的には、家電製品、車、建物などが挙げられます。スマート家電、スマートハウスのようにスマートと付いているモノはインターネットに接続できる場合が多く、IoTの技術が使われた製品の可能性が高いです。
まとめ
IoTエンジニアは、IoTの開発を専門にするエンジニアです。IoTとはInternet of Thingsの略で、モノをインターネットに接続する技術を指します。組み込み系、Web系、アプリ系のスキルが求められ、IoTエンジニアとして必要なスキルを網羅すればほかのエンジニアにも応用が利きます。IoTは今後需要が伸びる可能性が高いです。市場が予想外の形で変化しても、IoTエンジニアはスキル的に生き残りやすいといえるでしょう。
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