インフラエンジニアになるには?必要なスキルや資格とは

最終更新日:2024年4月12日

インフラエンジニアは、IT活用の基礎にあたるITインフラの設計、構築、運用・監視などに携わるITエンジニア職です。IT業界の中でも「縁の下の力持ち」的な役割を担っており、企業や組織運営におけるIT活用に欠かせない人材といえます。

インフラエンジニアにはインフラという領域に特化した専門的な知識とスキルが必要です。未経験からでもインフラエンジニアを目指すことは十分に可能ですが、いかにして効率よくスキル習得を行うかがポイントになります。

本記事ではインフラエンジニアを目指す方に向けて、概要、なるために必要なスキルや勉強法、キャリアアップに繫がるIT資格などを厳選して紹介します。

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この記事のまとめ

  • インフラエンジニアはITシステムやサービスのための基盤(ITインフラ)の設計、構築、運用・監視などが主な仕事です
  • インフラエンジニアの仕事は、要件定義、設計、構築、運用、保守などの工程に分けられます
  • 専門的な知識とスキルが必要な職種のため、資格試験を通して効率的に学習することがおすすめです
  • IT業界の人材不足などを要因として、未経験からでもインフラエンジニアへの門戸は開かれています
  • 今後もITの活用やDXの推進は続き、それを下支えするインフラエンジニアの需要は高いと考えられます

インフラエンジニアとは

インフラエンジニアとは、ITインフラの設計、構築、運用・監視などを行うエンジニア職種です

ITインフラとは、ITシステム、サービス、ソフトウェア、アプリケーションを利用するための土台となるサーバーなどのコンピュータや、デバイス、ネットワーク、クラウドなどの基盤環境です。

各種のシステムやサービスを稼働させる上で、インフラは必須の存在です。企業の根幹を支える業務を成り立たせるために欠かせない仕事でもあります。

インフラエンジニアの仕事内容

インフラエンジニアの主な仕事は、クライアントのニーズにあったインフラ環境を設計・構築し、運用・整備することです。基本的な工程としては、要件定義、設計、構築作業、運用・保守業務の4つに分けることができます。

さらに細かく仕事内容について詳しく知りたい方は、以下の記事でも解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。

関連記事:インフラエンジニアのやりがいとは?仕事内容や年収も紹介

要件定義

要件定義とは、クライアントが求めるITインフラをヒアリングやシステム構成などから形作ることです。どのような機能・性能を実装する必要があるかを定義し、要件として落としこむことを目的とした工程です。

この場合のクライアントにはインフラの納入先企業や同じシステム開発プロジェクトのアプリケーションチームなどが該当し、システムやサービス全体に望まれる機能を実現可能なインフラ環境を提案します。

設計

設計工程では、要件定義に沿ってインフラの詳細を定めます。ハードウェアやクラウドといった動作環境の構成、物理的な配置や結線、OSやミドルウェアなどの各種パラメータの設定、バックアップや冗長性の確保に関する仕組みなど、定めた内容を設計書に記載します。

構築作業

構築作業とは、作成した計画書に基づいてITインフラを構築する作業です。

物理的な構築作業では、サーバーやネットワーク機器などの搬入や設置、組み立て作業などを行います。近年では、ITインフラにクラウドサービスを適用するケースも多く、この場合にはクラウドサービス上にインフラ環境の設定を行います。

ミドルウェアなどをインストール・設定し、サーバー上のアプリケーションサービスを構築する作業も構築の重要な業務の一つです。線引きは所属企業やプロジェクトなどで異なるものの、アプリケーションサーバーのインストール設定やプログラミング言語の実行環境までを担当することもあります。

また、プラットフォームを構築し終わった後には、設計通りにITインフラが構築されているのかをテストにより確認します。起動停止などの動作テスト、バックアップやレストアなどの運用に関わる機能のテスト、負荷テストなどを実行しながらチェックします。

運用・保守業務

運用・保守業務では、リリース後のインフラに向けた稼働の支援、監視、チューニング、トラブル対応などを行います。継続的にインフラが稼働している状態を提供することがミッションです。

システム上に不具合が生じた際には、インフラ環境が通常通りに復旧するよう、早急に問題を追求しなければなりません。運用や管理と聞くと駆け出しのエンジニアが担うイメージがありますが、障害対応はインフラエンジニアとしての腕が試される場面でもあります。

また、ファームウェアやOS、ミドルウェアなどのアップデート適用などもしばしば発生する作業です。

関連記事:インフラエンジニアの運用・保守業務とは?詳しい仕事内容を紹介

インフラエンジニアになるには|未経験からでも大丈夫!

インフラエンジニアに限らず、ITエンジニアは全般的に人手不足の傾向が慢性的なため、IT未経験者に対しても求人が存在しています。インフラエンジニアに関しても、未経験者からなることは可能です。しかし、特にインフラエンジニアは専門性が強い職種であるため、経験はなくとも知識やスキルは求められます。

インフラエンジニアになるためのステップとして、事前に行っておける準備は下記です。


  • ・インフラエンジニアに必要な基礎知識・スキルを身につける

    ・インフラエンジニアに関連する資格を取得する


本記事では、インフラエンジニアになる上で重要なスキルやそれらを学ぶための勉強方法、仕事に活かせる資格まで解説していますので、ぜひ参考にしてください。

また、実際にインフラエンジニアへの転職を考えている方は、転職で知っておきたいこと、志望動機の書き方などを解説した記事がありますので、そちらもあわせてご覧ください。

関連記事:
インフラエンジニアの志望動機の書き方とは?例文付きで解説
インフラエンジニアの転職で知っておきたいこと

基礎知識・必要なスキルを身につける

インフラエンジニアにとって、基礎知識となるのはIT・コンピュータに関連する基礎的な知識です。ハードウェアやOS、ソフトウェアなどのITの構成要素について、広く知識を持つ必要があります。

また、インフラ内の専門分野としてサーバー、ネットワーク、クラウド、セキュリティといった各分野についても知識、スキルの習得が必要です。独学やスクールを利用して、実際に環境を構築しながら学習し理解を深めます。

インフラエンジニアに関連する資格を取得する

インフラエンジニアにとって、資格の取得は必須ではありませんが、ぜひ取得しておくことをおすすめします。なぜなら、資格取得を目指すことで必要な知識を網羅的に学べるだけでなく、転職で資格保有をアピールして有利に進めることができるからです。興味がある分野の資格は取得しておくとよいでしょう。

未経験からインフラエンジニアになれる理由

インフラエンジニアは専門的なスキルと知識が必要となるエンジニア職種です。しかしながら、未経験からでも目指せる職種でもあります。その理由について説明します。

IT業界は人材不足で需要が高いため

一つの理由に、IT業界の人材不足があげられます。

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の発表したDX白書2023のP.21,22では、日本国内企業のDX人材の質・量に関する充足度合いについてまとめられています。2022年では83.5%の企業が量的な不足を感じており、86.1%が質的な不足を感じているという結果となっており、大幅にDXを推進するIT人材が不足していることが伺えます。

出生率低下などによる労働者人口の減少で、ITに限らず様々な業界で人材不足が発生しています。これに加えて、IT業界ではDXの推進や業務のデジタル化、既存のシステムの維持、更新などで需要が増加傾向にあるため、需給ギャップが拡大する傾向を見せています。

クラウド化に伴いインフラエンジニアの需要が高まっているため

企業や組織がDXを推進する上での前提ともなっているのがクラウド化の促進です。各種の業務システムをSaaSの利用に置き換えたり、組織の持つITシステムの基盤をクラウド上に置くクラウド化は、業務でのデジタル技術の活用を促進するための足がかりとなります。また、インフラの維持コスト削減やBCP対策としてもクラウド化を進める組織は少なくありません。

これらのクラウド化では、既存のオンプレミス環境からクラウド環境へインフラの移し替えが発生するケースも多く、そこには知識とスキルを持ったインフラエンジニアが必要とされています。既存のインフラ技術に加えてクラウドに関する知見も持つことで、業務は未経験でも需要のあるエンジニアとなれるでしょう。

独学でスキルを習得できる環境が充実しているため

かつてはインフラ分野の学習にはサーバーやネットワーク機器などを用意する必要があり、独学には大きなハードルがありました。しかし、近年のクラウド環境の普及により、その前提は大きく変化してきています。クラウド環境と仮想化技術を利用することで、安価にどこからでもインフラ環境の構築、利用ができる状況となりました。

インターネット上にはインフラに関するテキスト、動画の学習コンテンツや書籍での情報も充実しています。インフラに関して、独学をしやすい環境が整ってきているといえます。

未経験の場合まずサーバー関連の仕事に就くのがおすすめ

未経験からインフラエンジニアを目指す場合には、まずはサーバーエンジニアなどのサーバー関連業務から始めるのがおすすめです。

ネットワークやクラウド、セキュリティなどの領域でもサーバーおよびOSに関する知識とスキルは必要となるため、サーバーに関する知識はインフラエンジニアにとって基礎的なスキルとなります。他分野に専門分野を変更するキャリアチェンジでも役立つものです。

インフラエンジニアの担当領域別の職種4種

インフラエンジニアとは、インフラを扱うエンジニア職の総称です。本項では、専門領域別の職種について紹介します。なお、複数の領域を兼ねるインフラエンジニアも存在しており、分類は企業やプロジェクトによっても変わってきます。

サーバーエンジニア

サーバーエンジニアは、サーバーの設計、構築、運用監視などを主に扱うインフラエンジニアです。サーバーとはハードウェアまたはソフトウェアにより、サービス提供を行うコンピューターを指す言葉で、近年では仮想化環境もサーバーの構築に含まれます。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアはコンピュータネットワークの設計、構築、運用監視などを行うエンジニアです。ネットワークに関する理論とネットワーク機器に関する専門的な知識が必要とされます。ソフトウェアによりネットワークを構成するネットワーク仮想化技術も利用する機会が増えています。

セキュリティエンジニア

サーバーは企業や組織にとって重要な資産であるデータの格納先であり、ネットワークは外部との境界です。様々なサイバー攻撃の脅威からITインフラを守る必要があり、そのための診断や対策を行うのがセキュリティエンジニアです。システム構成上の脆弱性やセキュリティソフトの導入などのインフラ領域の対策、ソフトウェア開発における安全性の確保、企業内のセキュリティに関する体制・ルール作り、教育なども担当するため、幅広い知識とスキルが求められます。

クラウドエンジニア

インフラ領域の中でも、近年利用が拡大しているのがクラウドサービスです。ネットワークで接続されたコンピュータやサービスを利用するクラウドに関して、サービスの選定、環境の設定、構築などを行います。サーバーエンジニアやネットワークエンジニアの技術がベースとなり、それに加えてクラウドサービスに関する知識やスキルが必要とされるエンジニア職です。

インフラエンジニアになるために重要なスキル

インフラエンジニアとして活躍するためには、さまざまなスキルが求められます。大別すると技術系のスキルとヒューマンスキルに分かれます。本項では、それぞれの領域ごとに詳しく解説します。

下記以外にも、インフラエンジニアに必要なスキルについて詳しく知りたい方は、以下の記事でも解説していますので、合わせてご覧ください。

関連記事:インフラエンジニアに必要なスキルは?知識、資格まで徹底解説

技術系の知識・スキル

技術系の知識およびスキルについて、代表的なものをあげています。学習により習得できる知識・スキルと、業務経験の中で身に着けるスキルがあります。

ITインフラの必須知識と技術

インフラの設計および運用保守業務を担うインフラエンジニアにとって、ネットワークやサーバー、ソフトウェアなどの知識・技術は必須です。

物理サーバと仮想サーバ、運用、ミドルウェアなどのスキルを身につけておけば、所属組織に適したより良いプラットフォームの構築を目指せます。

サーバの構築・テスト・運用管理・監視など、一連の作業工程を幅広く対応できることが理想とされます。ただし、全てを身に着けるには時間がかかるため、一般的にはインフラエンジニアは運用保守業務からスタートし、順次構築や設計のスキルを身に着けるステップが多いです。

設計スキル

インフラエンジニアの基本的な業務の一つが、要件定義書を元に設計書を作成することです。要件としてあがった内容を実現するために必要な構成、設定を定める設計業務は、インフラに関する知識と経験が必要です。

設計した内容は設計書に記載します。目的が明確かつシンプルで、誰が見ても理解できるような設計書を作成する必要があるため、設計書を作成するスキルは必須です。

障害対応スキル

大規模なインフラ環境ほど、システム障害のリスクは高くなります。障害発生の際、インフラエンジニアは速やかにシステムを正常に復旧させなければならないため、負荷軽減や障害対応などのスキルは必須です。

障害が起きないように対策をすることも重要ですが、障害が起きた際に迅速な対応ができるインフラエンジニアが企業にとって重宝される傾向にあります。落ち着いて障害と対峙できるメンタルと、ハードウェア、ミドルウェア、クラウドサービスや場合によってはアプリケーションにある障害の原因を切り分けるための幅広い知見が障害対応スキルには含まれます。

仮想化に関する知識

インフラの構築において、大きな進歩をもたらした技術に仮想化があります。仮想化とは、コンピュータ上にソフトウェアにより別の環境を生み出す技術です。OS環境(サーバー)やアプリケーションの動作環境となるコンテナが作成できます。クラウドサービスとの親和性も高いため、今後も活躍する技術です。

プログラミングスキル

プログラミングに対応できるインフラエンジニアを見据えているのであれば、軽量プログラミング言語(LL言語)やC言語の知識を身につけておくと活躍の幅が広がります。

そのほかにも、OS(Linux・UNIX・Windowsなど)コマンドとそれをまとめて実施できるシェルプログラミングなどのスキルを習得しておけば、強みとして活かすことができるでしょう。

関連記事:インフラエンジニアもプログラミングスキルが必要な理由を解説

ミドルウェアに関する知識

サーバーエンジニアの場合、ミドルウェアのインストールや設定が業務範囲に含まれることがあります。Webサーバーやアプリケーションサーバー、データベースなどのミドルウェアについて、インストールやパラメータに関する知識を持つことで広く活躍することが可能です。

クラウドの知識

従来はオンプレミス(自社内にサーバーやネットワークなどITインフラを構築する)環境が主流でしたが、最近ではインターネットを介してクラウドサービス上にITインフラを構築するクラウド環境が当たり前になっています。そのため、インフラエンジニアもクラウドの知識が求められています。

クラウドサービスは数多くありますが、主流であるAWS(Amazon Web Service)、GCP(Google Cloud Platform)、Microsoft Azureのいずれかは知っておくとよいでしょう。

関連記事:インフラエンジニアにAWSスキルが求められる理由

セキュリティの知識

サーバーやネットワークをただ構築するのではなく、高いセキュリティ性能を実現する設定を行うことが非常に重要です。例えば、クラウドサービス上に環境を構築したものの、セキュリティの設定が誤っていたために重要な情報が誰でも見られる状態になっていた、というインシデントが発生した例もあります。オンプレミスでも、ネットワークの設定が誤っていると外部からの攻撃によりサーバーダウンなどの被害を受ける可能性があります。インフラの停止はそこで動く業務アプリケーションなどの停止も意味しており、これらを業務に組み込んでいる場合には業務を中断せざるを得ない状況も発生します。

このようなインシデントを回避するためには、インフラエンジニアが環境を構築する段階でセキュリティを十分意識した設計・構築を行うことが大切です。インフラエンジニアになるために、最低限セキュリティの知識は得ておきましょう。

ヒューマンスキル

技術的な知見やスキルの高い人材が優秀なITエンジニアと考えられがちですが、実はクライアントとのコミュニケーションをスムーズに行うためにもヒューマンスキルも重要な要素です。具体的にどのようなスキルが求められるのか紹介します。

統率力

一つのプロジェクトで利用するインフラでも多数のサーバーが存在したり、ネットワーク構築の対象となるデバイスが多い場合などは複数のメンバーによって構成されるチームで仕事にあたります。チーム単位で業務を遂行するインフラエンジニアにとって、複数のエンジニアをまとめ上げる統率力は重要です。

また、折衝や他部署と関わる機会も非常に多いことから、柔軟な対応力も必要となります。

ヒアリング力

クライアントからの要望を正確に把握し、システム構築に活かすためにもヒアリング力は重要な要素といえるでしょう。ヒアリング力が低いと、クライアントやアプリケーション開発者が求めるインフラとは全く異なるものが完成し、クレームに発展したり、仕様変更に伴い納期遅れにつながったりするケースもあります。

提案力

システム開発の要件定義では、クライアントから状況を正確にヒアリングしたうえで、具体的な解決法を提案することが求められます。話を聞くばかりではクライアントの課題を解決することはできないため、さまざまなアイデアを組み合わせて提案する力が重要です。

顧客からの要望や質問に対して臨機応変に提案したり、代替案を提示したりするためには、実務経験を蓄積し、自身の中で知識の引き出しを多く持っておく必要があるでしょう。

コミュニケーションスキル

インフラエンジニアとして顧客の課題を解決しようとした場合、時には実現が難しい要望を提示されることもあります。そのとき、伝え方によっては顧客との間に亀裂が生じクレームに発展することもあるため、コミュニケーションスキルを身につけておく必要があります。

たとえば、単に「それは無理です」と伝えるのではなく、「この方法であれば実現できます」といったように具体的な解決策や代替案を提示することが重要です。

体力

ITインフラは企業や組織の基幹的な業務を支えており、インフラが停止すると業務の停止につながって経営上の被害までも発生することがあります。システムによっては24時間365日の稼働が前提の場合もあり、これを支えるインフラエンジニアは日時昼夜問わず業務を求められるケースもあります。その際には、体力や精神力が問われます。

所属企業やプロジェクトによっては、IT機器の導入や障害対応、納期内でのプロジェクト遂行など、体力を要求される場面が多いこともあります。

関連記事:インフラエンジニアに夜勤がある理由とは|回避方法も解説

英語力

ネットワーク機器やサーバー向けソフトウェアは、海外製品が多いため、英語が求められるケースがあります。例えば、構築時やトラブル時に製品マニュアルを参照する場合に英語のマニュアルを見ることも少なくありません。ソフトウェア製品であればサポートとのやりとりに英語を求められる場合もあります。

また、ソフトウェアのバージョンアップなど製品に関する最新情報は海外から発信される場合もあるため、英語を身につけておくと最新情報をいち早くキャッチアップできます。特に英語での情報発信のスキルまでは身につけなくとも、英語を読む力を身につけておくと、インフラエンジニアの仕事に大いに役立ちます。

関連記事:インフラエンジニアが英語を使えることで得られるメリット

インフラエンジニアになるための勉強方法

これからインフラエンジニアを目指す方は、どのような学習方法でスキルや知識を身につければ良いのでしょうか。効果的な学習方法をいくつか紹介します。

学習方法や初心者からの目指し方については、下記の記事でさらに詳しく記載しています。初心者からインフラエンジニアを目指す方は、こちらも合わせてご覧ください。

関連記事:インフラエンジニアの勉強方法は?未経験・初心者にもわかりやすく解説

資格を取る勉強の過程で学ぶ

インフラエンジニアになるためには、必須となる資格はなく、実務経験や高いスキルが身についていれば誰でも業務に従事できます。しかし、未経験者がインフラエンジニアの業務を体系的に学ぶためには、資格の取得に向けた学習をすることがおすすめです。

ネットワークやサーバー、セキュリティといったインフラの基礎から応用までを網羅できるため、実務に役立つスキルが効率的に身につきます。資格の保有もインフラエンジニアへの就職・転職でアピールポイントとして役立ちます。

実際の機器に触れてみる

たとえばサーバーやスイッチといったネットワークの機器を操作するためには、特定のコマンドを理解しなければなりません。しかし、どのコマンドを打てばどのような動作が起こるのかは、参考書などを読んでも十分理解できないことも多いです。

実際の機器に触れてコマンドを打つことによって、自分自身の体験として知識が定着しやすくなります。実際の機器を所有していなくても、PC上で同様の動作が再現できるシミュレーターもあるため、さまざまな方法を試してみると良いでしょう。

クラウドサービスの普及により、PCとインターネットへの接続があれば環境構築がしやすくなりました。無料で利用できるサービスや無料枠を設けているサービスもあるため、学習に役立ててください。

書籍で学ぶ

インフラエンジニアの業務内容を網羅した書籍を読んで知識を身につける方法もあります。ネットワークやサーバーといった特定のジャンルに特化した書籍を別々に読むのもよいですが、下記ではインフラエンジニアの業務全般に関した書籍を紹介します。

『改訂新版 インフラエンジニアの教科書』(佐野 裕、シーアンドアール研究所)
『インフラエンジニアの教科書2 スキルアップに効く技術と知識』(佐野 裕、シーアンドアール研究所)

インフラエンジニアとはどのような職種なのか、従事する業務の範囲や内容を中心に網羅したシリーズです。ある程度の知識が身についている方よりは、IT業界が未経験で0からインフラエンジニアを目指したい方に向いている教科書といえるでしょう。

Webサイトを利用して学ぶ

もっとも手軽な勉強方法としては、Webサイトで情報収集しながら学ぶことです。今回は代表的なWebサイトを3つ紹介します。

ネットワークエンジニアとして

ネットワークエンジニアとして」は、その名の通り、ネットワークエンジニアが押さえておきたい基本的な知識を網羅したWebサイトです。いずれのコンテンツも無料で閲覧でき、本格的な技術書にも匹敵するほどの膨大な情報量を誇ります。

わざわざ分厚い本を開く手間もなく、スマートフォンやタブレット端末で手軽に閲覧できるため、スキマ時間などを勉強に充てたい方におすすめです。

3分間NetWorking

3分間NetWorking」は、インフラエンジニアにとって不可欠なネットワークの基礎を、細かい単元に分けてまとめてあるサイトです。1単位あたり3分程度の短時間で閲覧できるため、通勤時間や就寝前の時間を効果的に活用しながら継続的な学習に充てられるはずです。

エンベーダー

エンベーダー」は、環境構築やインフラに関する独学のための学習サービスです。ゲームの形式を取っており、楽しく学ぶことにも重点が置かれています。Linuxやデータベース、プログラミング環境構築、資格試験LinuCの対策、セキュリティなどのコースが提供されており、目指すキャリアにあわせてコースを選択することが可能です。

プログラミングスクールに通う

ITスキルを身につける方法としてプログラミングスクールに通うのは大変有効な手段です。特にIT未経験の人にとっては、何から始めたらよいかも分からない人もいるでしょう。プログラミングスクールなら、用意されたカリキュラムに沿ってメンターから指導を受けながら効率的に学習できます。

独学で勉強を行うと、分からないところで詰まって挫折したり、モチベーションが続かず効果があがらない場合も少なくありません。プログラミングスクールなら学習のサポートが得られるだけでなく、スクールによっては給付金や転職サポートも得られるところもあります。

しっかりしたスキルを身につけたい方は、プログラミングスクールを検討してみるとよいでしょう。

勉強会に参加する

インフラエンジニアは専門スキルが求められますが、その専門スキルを学ぶための勉強会が開かれる場合もあります。例えば、ネットワーク機器やデータベースソフトウェアを販売するメーカーやクラウドベンダーが自社サービスを学ぶための勉強会を開いていることもあります。また、著名な有識者が定期的にコミュニティで勉強会を開いているケースもあります。

勉強会ではインフラエンジニアとして活躍している人との交流も得られ、スキルを学べるだけでなく人脈も広がります。近くで勉強会が開かれている場合やオンライン勉強会があれば、積極的に参加してみるとよいでしょう。

職業訓練に通う

就職に役立つ技術が学べる公的な制度として、職業訓練があります。職業訓練でインフラエンジニアに必要なスキルを無料で受講することが可能です。

主に、失業保険を受給している求職者を対象とする「公的職業訓練」と、失業保険を受給できない退職者を対象とする「求職者支援訓練」の2つがあります。利用するにはハローワーク窓口で申込手続きを行います。

インフラエンジニアの仕事で活かせる資格

インフラエンジニアを目指すために、就職や転職で役立つ資格に挑戦したいと考えている方も多いことでしょう。そこで、IT業界未経験からでも挑戦できる資格をいくつか紹介します。

下記に紹介する以外のインフラエンジニアに役立つ資格については、以下の記事でも解説していますので、こちらも参照ください。

関連記事:インフラエンジニアに役立つ資格11選!各難易度と概要も紹介

ITパスポート

ITパスポートは独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営し、経済産業省が認定する国家資格「情報処理技術者試験」の最も簡単なカテゴリです。主にITを利用する立場の人材をターゲットとしており、ITパスポートを取得したからといって必ずしもインフラエンジニアの業務がマスターできるとは限りません。

しかし、少なくともIT関連の基礎的な知識やスキルを保有していることは証明できます。この資格を足がかりとしてさらにレベルの高い資格に挑戦する足がかりとしてください。

基本情報技術者試験

基本情報技術者試験は独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が運営し、経済産業省が認定する国家資格「情報処理技術者試験」の中でもエントリレベルのエンジニアに向けた試験です。ITに関する幅広い分野を対象に基礎レベルの知識が求められる内容ですが、ハードウェア、ソフトウェア、プログラミング、システム開発に関する知識、プロジェクトマネジメントなどを試験範囲に含むため、難易度は低くありません。令和5年よりCBTで受験ができるようになったため、取得に向けたハードルは下がったといえます。

ORACLE MASTER

ORACLE MASTERとは、オラクル社が運営している商用データベースOracleについてのベンダー試験です。インフラエンジニアとしてデータベースの運用に関わる場面も多いため、取得しておくと就職や転職に有利にはたらくこともあるでしょう。

ORACLE MASTERは難易度別にブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナまでのランクがあるため、未経験者はまずブロンズから挑戦してみましょう。

Linux技術者認定(LPIC)

LPICとは、オープンソース技術者向けにNPO団体LPIが運営しているLinuxのスキルを証明する資格です。Linuxは主にサーバーに用いられることが多いOSのため、インフラエンジニアとしてLPICを取得することはスキルを証明するうえでも効果的といえるでしょう。

LPICは難易度に応じてLPIC-1からLPIC-3までのランクがあり、未経験から目指すのであればLPIC-1がおすすめです。

シスコ技術者認定(CCNA)

シスコ技術者認定は、ネットワーク機器の販売を手掛けるシスコシステムズ社が運営するベンダー試験です。シスコシステムズ社はネットワーク機器で高いシェアを誇っており、インフラエンジニアの仕事の中でシスコ製品を扱うことも少なくありません。そのためこの資格は価値が高いといえます。

CCNAは4段階の認定の中でも下から2番目のレベルで、エントリーレベルのネットワークエンジニアに向けたレベルとなっています。この資格を取得しておくとネットワーク構築における一定以上のスキルを示すことが可能です。CCNAの上位資格としてCCNP、CCIEなどがあるため、ステップアップすることで自身のスキルを高められます。

AWS認定試験

AWS認定試験はクラウドサービスで最も高いシェアを誇るAWS(Amazon Web Service)についてのスキル・知識を問う認定試験です。AWSサービスを活用したインフラ構築における、設計や構築に必要な知識・スキルが問われます。

2024年1月19日時点で資格は3つのレベル+専門知識のレベル分けがされており、13の試験分野に分かれています。このうち、「Data Engineer Associate」はBeta版であり、「Certified Data Analytics 」は2024年4月に廃止予定です。

インフラエンジニアに有用な資格としては「Cloud Practitioner」「Solutions Architect - Associate」「Solutions Architect - Professional」「Advanced Networking - Specialty」「Database - Specialty」「Security - Specialty」などがあげられます。AWSは世界中のクラウド市場で大きなシェアを持っているため、資格を取得しておくと転職や年収アップに有利です。

ネットワークスペシャリスト試験

ネットワークスペシャリスト試験は、IPAが運営している情報処理技術者試験のなかでも高度なネットワーク技術者向けの試験です。主にネットワーク技術の専門家として主導的な役割を果たす人を対象としています。CCNAのようにベンダー資格ではないため、ネットワーク技術全般が問われます。

直近の2023年春期の合格率は14.3%と難易度は高いですが、それだけ価値は高く、インフラエンジニア、ネットワークエンジニアを目指す人はぜひ取っておきたい資格の1つです。

データベーススペシャリスト試験

データベーススペシャリスト試験は、IPAが運営している情報処理技術者試験のなかでも高度なデータベース技術者向けの試験です。ネットワークスペシャリスト試験と同様、特定技術の専門家を対象としており、主にデータベース分野について問われます。

同じデータベース関連資格にORACLE MASTERがありますが、ORACLE MASTERがオラクル社製品に関する資格であるのに対し、データベーススペシャリスト試験は特定製品によらない一般的な知識が問われます。直近の2023年秋期の合格率は18.5%と、難易度の高い資格です。

レバテックキャリアアドバイザー 田頭から一言!

どの資格も、それを取得することで一定のスキルを証明することができます。ただし、単一の資格だけでなく、複数の資格を組み合わせることで、より高い評価を得ることができます。近年は、AWS認定資格が注目を集めており、プロフェッショナルレベルのソリューションアーキテクトやDevOpsエンジニアの認定を持っていると、企業からの評価が高まる傾向にあります。

インフラエンジニアの市場

インフラエンジニアは需要が高く、市場価値が高い職種です。この背景として、以下が考えられます。


  • ・IT人材の慢性的な不足

    ・専門的なスキルが求められる

    ・Webサービスを展開していくためにITインフラは必須

    ・クラウドサービスや仮想化技術など、新しい技術が急速に普及


今までもオンプレミス上にWebサービスを構築して展開する上でインフラエンジニアが求められていましたが、クラウドサービスの普及でクラウドのスキルも求められています。そのため、オンプレミス、クラウド両方に対応できるインフラエンジニアは、需要が高まっています。

インフラエンジニアの需要、年収について詳しく知りたい方は、以下の記事でも解説しています。年収傾向や人手不足の理由についても解説しているので、合わせてご覧ください。

関連記事:インフラエンジニアの需要・将来性は?今後、役立つスキルも解説

インフラエンジニアの将来性

今後はDX(デジタルトランスフォーメーション)の展開により、クラウドサービスやIoT、AIの利用が急速に広まると予想されています。これらのサービスを展開するにも、ITインフラが必要であり、インフラエンジニアが求められます。

そのため、今後もインフラエンジニアの需要が高い状態が継続することが予想されます。また、まだオンプレミスのシステムも残っているため、オンプレミス、クラウド両方のスキルが求められる状況も継続するでしょう。

インフラエンジニアの将来性については、以下の記事でも解説しております。さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。

関連記事:
インフラエンジニアの将来性は?キャリアアップに役立つ資格
インフラエンジニアとは?仕事内容や年収、将来性を解説
インフラエンジニアのキャリアパスは?将来性や役立つスキルと資格も紹介

インフラエンジニアの平均年収

厚生労働省の職業情報提供サイト(日本版O-NET)によると、インフラエンジニアが含まれる「システムエンジニア(基盤システム)」の平均年収は660.4万円です。令和4年賃金構造基本統計調査の職業分類「ITシステム設計技術者」をもとにしています。

また、2024年1月20日時点でレバテックキャリアに登録されている職種「インフラエンジニア」の求人・転職情報より30件を抽出し平均年収を算出すると、インフラエンジニアの平均年収は約611万円となります。

これらの平均年収に関するデータは、インフラエンジニアと一口に言っても求められるスキルの幅が広いため、経験やスキルによって年収は大きく変動することが予想されます。あくまで参考程度に見るとよいでしょう。

インフラエンジニアの求人・転職情報

関連記事:
インフラエンジニアの年収は?さらに年収を上げるポイントも紹介
インフラエンジニアのスペシャリストになるには

インフラエンジニアに関するよくある質問

インフラエンジニアに関するよくある質問と回答をまとめました。インフラエンジニアになるキャリアを検討する参考になれば幸いです。

Q1.インフラエンジニアに必要なスキルはなんですか?

インフラエンジニアには、技術的なスキルとヒューマンスキルの両方が求められます。より具体的なスキルとしては、下記があげられます。

技術的なスキル

  • ・ITインフラの必須知識と技術

    ・設計書作成スキル

    ・障害対応スキル

    ・仮想化に関する知識

    ・プログラミング言語スキル

    ・ミドルウェアに関する知識

    ・クラウドの知識

    ・セキュリティの知識


ヒューマンスキル

  • ・統率力

    ・ヒアリング力

    ・提案力

    ・コミュニケーションスキル

    ・体力

    ・英語力

Q2.インフラエンジニアに向いているのはどんな人ですか?

インフラエンジニアはITについて幅広い知見と専門的なスキルが必要となるため、IT全般に関して興味がある人が向いています。新たな技術の登場にも興味を持ち、学習を続けられる好奇心があればより活躍できるでしょう。

また、インフラエンジニアが対峙するトラブルにおいては、冷静かつ論理的な思考ができる人が適性があるといえます。

Q3.インフラエンジニアでつらい・きついことはなんですか?

インフラエンジニアが「つらい、きつい」とするポイントとして下記があげられます。


  • ・組織のインフラを支える重責

    ・ユーザーに動いて当たり前と思われ、問題が起きた時には風あたりが強い

    ・継続的に学習が必要

    ・緊急でのトラブル対応がある

まとめ

IT業界においては慢性的な人手不足が大きな問題となっています。これを背景として人材を広く募っているため、未経験からでもインフラエンジニアになることは十分可能です。

インフラエンジニアの場合、基本的に運用保守業務から担当するケースが多いため、その間に技術的な専門スキルを身につけることもできます。今回紹介した内容を参考にしながら、インフラエンジニアへの就職や転職に向けて行動を起こしてみましょう。

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レバテックキャリアアドバイザー 田頭プロフィールはこちら

中途採用でレバテック株式会社へ入社し、約1年半の期間、個人営業としてキャリアアドバイザー業務に従事。さまざまな候補者様の転職活動をサポートし、キャリアアドバイザーとして事業部のMVPを受賞した。
その後、プレイングリーダーを経て、現在はチームリーダーを担当。これまでマネジメントにかかわってきたメンバー数は数十名を超え、営業と教育、マネジメント業務を中心に業務に励んでいる。

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