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ヒカラボレポートとは、開催されたヒカラボにおいて、登壇者が伝えたい講演内容を記事としてまとめたものです。ご参加された方はもちろん、ヒカラボに興味があるという方も是非ご覧ください。

イベントレポートvol.29

『女ゴコロフレームワーク』で100万の女子を魅了!ネイルブックDirが語る女性向けサービスとは?| 株式会社スピカ ヒカ☆ラボレポート

2017/07/19(水)更新

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突然ですが男性エンジニアの皆さん、女性向けサービスの開発で悩む場面に出くわすことはありませんか?

女性と男性では思考も行動パターンも異なるもの。
なかなか、女性の気持ちが理解できなくて困っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
(僕もその1人です・・・)

そこで今回は「女ゴコロをわかりたい!」という方必見!
日本最大のネイル写真共有サイト「ネイルブック」を運営する株式会社スピカのディレクター・正木友佳氏による「ヒカ☆ラボ」講演のレポートをお送りします。

プロフィール


株式会社スピカ
正木 友佳氏
ネイルブックのディレクションや、UI、UXの設計などを担当。 ソーシャルゲームやiPhoneアプリの開発もしていた元エンジニア。 プログラムも書ける女性ディレクターという希少価値を活かし、 ネイルブックをより良くするために日々ユーザやKPIと向き合っている。
◆株式会社スピカ:http://www.spika.co.jp/
◆ネイルブック:http://nailbook.jp/

 

女性向けサービスはこう作れ!

ネイルブックは毎日約1,000枚の新作ネイル写真が投稿されている日本最大のネイル写真共有サイトサービスです。

このサイトのユーザーの属性は20代、30代の女性がターゲットのため、定期的にユーザーと女子会を実施し、ヒアリングをしながら開発をしています。

今回は女子会から学んだ「女性向けサービスをつくるうえで大切なこと」をお伝えします。

 

女性の行動にはこんな特徴が!【UI編】

女性には男性にはあまり見られない特有の行動パターンがあるんです。

行動パターンその① よく使うアプリで行う動作を、ついつい他のアプリでやってしまう!

以前「掲載されているネイル写真を、拡大して見たい!」というユーザの声に応えて
“虫めがねボタンをタップして写真を拡大できる機能”をネイルブックに追加したことがあります。

でも女子会でさっそくテストしてみると、虫めがねにはほとんど触れてもらえず写真をタップするばかり…
ユーザが普段よく使うアプリにTwitterが挙げられたのですが、Twitterだと、写真をタップすることで拡大できますよね。どうやらみなさん、そっちのやり方に慣れていらっしゃるようでした。

そこで、当初の虫めがねではなくTwitterで採用されているUIを参考にすることで、写真を拡大する回数が50%アップしました。
 

行動パターンその② 目標達成までのステップが長いと途中で嫌になる!

ネイルブックはユーザの皆さんに写真を投稿してもらうサイトなので、
「どうすれば写真をより多く投稿してもらえるか」を真剣に皆で考えています。

ある時、Googleアナリティクスを見て分かったのが「ほとんどの方がアルバムから写真を選択する」ということ。
そこで、5ステップある写真投稿手順を3ステップに減らすよう提案しました。
カメラで撮影する画面タップやアルバムから写真を選択する画面タップを省き、直接カメラロールが表示されるようにしたんです。
その結果、写真の投稿枚数が20%アップしました。
 

行動パターンその③ 分からないことはやらない!


何ができるか分かりやすくしておくことって、とても大切です。

例えば、会員登録のページ。
いきなり新規登録の画面が出てくると「登録したものの何をしていいか分からない」と
せっかく登録したのに途中で辞めちゃうってことがあるんですね。
なので「会員登録すればこういうことができるんだよ」という説明を入れました。
「ネイルブックID」のような、一見内容が見えにくい表記にも説明を加えています。

また、表記についてはボタンにも注意を払いました。
「登録」のボタンにしても、単に「登録」と表記しまうと硬いイメージになってしまいます。
そこで「登録する」といった動詞の表現に変えました。それ以外のボタンも全て同様に統一しています。
このような取り組みの結果、新規会員の登録件数は8%アップし、登録から4週間後の継続率も5%増となりました。
 

行動パターンその④ 1度そこあると思ったものはいつもあると思っている!


「ネイルブック」には、写真をストックするときに用いる「かわいい」というボタンがあるんです。
ある時、このボタンを右端から左端に配置を変えてみました。

すると、配置を変えた瞬間から「『かわいい』ボタンがなくなった!」とお問い合わせを多くいただきました。
みなさん「『かわいい』ボタンはこの場所!」と思い込まれて、移動したのではなく消えたと感じられたようです。
結果、実際「かわいい」ボタンのクリック数は配置移動前より6%減少してしまいました。

UI編をまとめてみると・・・
 


・よく使われているアプリのUIを参考にする!
・目的達成までのステップはできるだけ短く!
・「このサービスで何ができるか」を分かりやすく説明する!
・ボタンを動詞化することで「このボタンを押したら何ができるのか?」を分かりやすく伝える!
・パーツの配置を慎重に行う!
 


 

女心は複雑なの!【UX編】

■「女ゴコロフレームワーク」をUXに活用

女心って、ご存知の通り結構複雑なんです。

「ネイルをする人はどうやってネイルサロンを決めるのか?」と悩んだことがありました。
その結果、女性が何かを決定するときは

1)物理フィルター
2)感性フィルター
3)妄想フィルター

の3ステップを踏むのではないか、ということに気づきました。
ネイルブックではそれを「女ゴコロフレームワーク」と呼んでいます。

もっと具体的にお話しましょう。
ネイルブックにおけるネイルデザインの決定方法を例とします。

1)ネイルデザインを決めるときはまず、色やデザイン、職場環境に合ったネイルなど「どうしても譲れない条件」を元に絞っていきます。(物理的フィルター)

2)その後「自分がなんとなく思い描いているデザインとズレがないか?」とネイル写真やネイリストの写真から鑑定します。(感性フィルター)

3)そして最後に「女友達や男性からの評判はどうかな?」とか「周りとずれてないかな?」など考えた上でデザインを決定しているのです。(妄想フィルター)

結婚相手を決めるときも同じ流れが当てはまります。
まず、顔とか外見、学歴といった条件を「物理フィルター」にかける。
それから話が合うか、性格が合うかを「感性フィルター」にかけて
最後に「妄想フィルター」を使って、結婚生活とか老後とかの想像していく…

こんな感じで「女ゴコロフレームワーク」は色んなところで応用が可能ですので(笑)
女性向けサービスを作る際には参考にしてみてください。
 

■トレンドを取り入れて手元に置きたくなる存在に

この他にも、女性向けサイトはトレンドがすごく大事になります。
ネイルブックでは、アイコンをシーズンごとにトレンドに合わせて変更しています。
このような「小さな変化」にもユーザーさんは反応してくださっていて「使わないけどアイコンがかわいいから残しておく」という方もいるようです。

UX編をまとめてみると・・・
 



・女ゴコロフレームワークを活用する
・トレンド感を大切にする
 


 

まとめ

女ゴコロ、理解できましたか?

グロースハックを頑張ったり、ものすごく効率的な開発手法を取るのももちろん大切なのですが
女性向けサービスの場合は、まず女性のことを理解し、その行動や思考に沿ったサービス設計をしないといけません。
ネイルブックは、女性目線を追究してきたからこそ今があるんだなと感じています。
女性のことは女性に聞くのが1番です!
みなさんも職場の女性はもちろん、友達や彼女など総動員して、まずはお話を聞いてみてくださいね。

 


いかがでしたか?
これまで気づかなかったことや、「あの時の行動はこういうことだったのか」と気づきがある方もいるのではないでしょうか。
女性向けサービスを開発中の方、女性とのコミュニケーションでお悩みの方のヒントになれば幸いです!
ぜひ参考にしてくださいね!

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