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【CTOの職務経歴書】|株式会社ネットマーケティング CTO 柿田 明彦氏【前編】試行錯誤して、誰かの役に立つ喜び。プレイヤーからマネジメント側になった今でも、それは変わらない

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インタビューを通して、注目企業のCTOのキャリアや仕事の哲学に迫る「CTOの職務経歴書」。今回登場いただくのは、Facebookを活用した恋愛マッチングサービス「Omiai」や、Facebookユーザーに特化したスカウト型転職アプリ「Switch.」で注目を浴びる株式会社ネットマーケティングのCTO・柿田明彦さんです。

柿田さんは、小中学校は野球に熱中し、高校から音楽を始め、20代前半はバンドマンとしてプロのミュージシャンを目指していたという経歴の持ち主。さまざまな人生経験を重ねた柿田さんが、最終的にプログラミングの道へ進んだ理由とはどのようなものだったのでしょうか。

株式会社ネットマーケティングとは?
インターネットの可能性を追求し、広告事業とメディア事業を柱に、新しい価値を社会に提供。メディア事業では、2012年に「Omiai」、2015年1月に「Switch.」をリリース。「Omiai」の累計会員数は100万人を突破している。
http://www.net-marketing.co.jp/

野球少年が高校入学とともに文系に転向

-最初に、学生時代のことからお聞きします。柿田さんはどのような学生生活を送っていましたか。

柿田:小中学校時代は野球少年で、かなり本格的に打ち込んでいました。中学のときには、地元島根県の県大会で優勝して、野球で有名な高校からの誘いもあったんですよ。

では、高校では甲子園を目指して…?

柿田:いえ、それがそうはならなかったんです。当時の私は期待されることに抵抗があったのと、高校に入って目が悪くなったということもあり、野球をやめて一気に文系のインドア派に転向しました。

ブルーハーツが好きになってギターを練習したり、図書館に行って本を読み漁ったり…。高校時代は小中学生時代とは正反対の日々でした(笑)。

当時、プログラミングやITといったものには興味はなかったのでしょうか。

柿田:ありませんでしたね。私が小学校低学年のころに、MSX(※1)というパソコンの規格が流行ったことがあります。私もいとこの影響でMSX機を購入してプログラミングを勉強してみたことがありましたが、それも一時的でした。

先ほど、高校でギターを始めたと言いましたが、高校を卒業するころには、できれば音楽で食べていきたいと思うようになっていました。大学進学で上京したのですが、正直、勉強するというよりも、本格的に音楽をやるために東京の大学に入ったようなものです(笑)。

(※1)MSX:1980年代に米マイクロソフトとアスキーによって提唱されたパソコンの共通規格。または、同規格に沿って作られたパソコンのこと。

小中学校は野球少年だったという。野球の名門校からの誘いも

プログラミングに通じる“チョムスキーの言語学”

勉強よりも音楽がやりたくて大学に進学されたというお話がありましたが、大学ではなにを学ばれたのでしょう。

柿田:本当は中国哲学に興味があったのですが、私が入ろうと思っていた大学には中国哲学の科目がありませんでした。そこで、高校時代に英語が得意だったこともあって英語学を選びました。

大学生活といっても音楽が中心だったので、それほど勉強には身を入れていませんでしたが、それでもいくつか面白いと思った科目はありました。特に、言語学者のノーム・チョムスキーが好きでした。彼が提唱する人間の言語獲得に関する考えが刺激的だと感じたんです。

それはどのような考え方なのでしょう。

柿田:チョムスキーは「人間がなぜ母語を生得的に話すことができるか」というテーマに取り組んだ学者です。

彼の理論によると、人間の脳には生まれつき「普遍文法」という“言語を獲得するための能力”が備わっています。そして生後の環境で、親が話した言葉などの文例が子供に与えられると、普遍文法を働かせる「パラメータ(媒介変数)」が決定されます。このパラメータが言語ごとに異なるため、人間は育った地域の言語を取得するのです。

たとえば、日本で、日本人同士の親から生まれた子供は、生まれ持った「普遍文法」を日本語の「パラメータ」で働かせて、日本語を取得します。もし同じ子供が英語圏で生まれ育ったら、「普遍文法」を英語の「パラメータ」で働かせて、その子供は日本人であっても英語を取得します。

このように、「普遍文法」と「パラメータ」によって人間は育った環境の言葉を母語として獲得できるというのがチョムスキーの理論です。

言語学としても面白かったのですが、この理論は、現代の情報処理やプログラミングにも通じる話です。今から考えると、そういう点に惹かれていたのかもしれませんね。

また、こうした学問領域は、仮説を立てて結果を検証し、間違いがあれば別の方法を探るというプロセスがありますよね。これはまさにPDCAを回すプロセスそのもので、大学時代にこうした考え方に触れたのは、ビジネスを動かす今の自分に役立っていると思います。

言語学とプログラミングには共通点があると語る

プロミュージシャンの夢を諦め、最初の就職

柿田さんは大学を出てからすぐに就職したわけではないんですよね。

柿田:はい。25歳までは音楽の夢を追い続けようと決めていたので、就職活動はせずにアルバイトをしながらバンド活動を続けていました。

そんなに本気でミュージシャンを目指されていたんですね。

柿田:大学時代からライブハウスにも出演していましたし、音楽制作会社のオーディションに応募していいところまで行ったこともあるんですよ。といっても、現在CTOをやっているということは、その夢は実現しなかったということなのですが…(笑)。

結局、自分で決めていた25歳の期限が来たため、プロミュージシャンになるという夢は諦め、就職を考えるようになりました。

ネットマーケティング社に来る前に、IT系の会社に最初の就職先をされますよね。これまでのお話で、チョムスキー理論がプログラミングに通じるといったことや、大学の勉強がPDCAにつながるといった話はありました。ただ、実際問題としてIT系に進むという要素があまりなかったように思うのですが…。

柿田:たしかにそうですね。

IT系に興味を持ったのは偶然でした。当時、塾講師のアルバイトをしていたのですが、文系出身の同僚がIT方面に進みたいと言って、C言語の本を読んでいたんです。それでその本を借りて読んでみたら、プログラムを自分で作ることの面白さにハマったんですね。

それから、私が就職を検討していた時期はちょうどインターネットが普及してきたころだったので、これからはWeb界隈が面白くなるという予感もありました。それで、IT未経験でも入れる会社を探したんです。

エンジニアは天職だ! プログラミングにハマったSIer時代

その会社はどのような会社でしたか。また、柿田さんはどのような業務を担当されたのでしょう。

柿田:BtoBの小さなSIerだったので、自社独自のサービスはなく、クライアントにIT人材を派遣するのがメイン業務の会社でした。私も入社後すぐに客先に常駐して、航空会社のシステムをJavaで作ったり、トラブルを解決したりといった業務に追われました。

IT未経験で入って、いきなりそんなことができるものなのでしょうか。

柿田:もちろん知識もほとんどありませんし、今から思えば不備もあったかもしれません。でも、私自身は自分で勉強しながら試行錯誤することが好きだったんですね。特にプログラミングの場合は、作ったものをすぐに結果として目にすることができます。こんなに面白い世界があったのかと思い、天職だと感じました。

4月に入社して、5月のゴールデンウィークに客先に泊まり込んでシステムを組んだこともありましたが、それがつらいとか苦しいとは思いませんでした。

エンジニアになってみて、どんな点がやりがいだと感じましたか。

柿田:やはり人に喜んでもらえるところですね。

たとえば経理のシステムが使いやすくなれば、経理の担当者さんに「ありがとう」と言ってもらえる。それがものすごく嬉しいんです。この感覚は、当時から現在に至るまでずっと変わりません。

特に今の業務はBtoCですから、ユーザーの声がダイレクトにありますよね。これはエンジニア冥利に尽きることです。

その会社には何年くらい在籍されたのですか。

柿田:11年です。最初の数年は、現場でひたすらスキルを磨きました。企業の業務系システムの開発をメインに、C言語、Java、Perl、PHP、C#など、さまざまな言語を経験しましたね。後半5年ほどは、プロジェクトマネジメントや要件定義がメインになりました。

その会社での経験で今に役立っていることはありますか。

柿田:CTOという今の立場から見れば、やはり後半のマネジメント業務が印象に残っていますし、役にも立っていますね。

チームビルディングやプロジェクトマネジメントはもちろんですが、採用や人事考課にも関わらせていただき、人を見る目や育成するノウハウが身に付きました。

前職ではプログラミングだけでなくマネジメント業務も経験

後編を読む世の中にインパクトを与え、ユーザーの人生を変えていくようなサービスを追求したい
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