【CTOの職務履歴書】|ポート株式会社 取締役CTO 浦田祐輝氏【前編】開発はチーム力が命。作業環境とクリエイティブのトレードオフのバランスは常に意識しています

インタビューを通して、注目企業のCTOのキャリアや仕事の哲学に迫る「CTOの職務経歴書」。今回、登場いただくのは株式会社ポートの浦田祐輝さんだ。小学生の頃からプログラミングを始め、10代で起業。大手ソーシャルゲーム会社ではアプリ部門ディレクターやテックヒルズ技術局長を務めるなど、華々しい経歴だが、その裏にはたゆまぬ努力と信念があった。

株式会社ポートとは
「世界中に、アタリマエとシアワセを」を理念に掲げ、2011年設立。株式会社ソーシャルリクルーティングの頃から手がける採用コンサルティング事業に加え、複数のバーティカルメディアをリリース。2015年には国内初の遠隔医療サービスも開始した。
https://www.theport.jp/

※当記事は2015年12月2日の取材内容を元に制作しています。

浦田祐輝(うらた ゆうき)氏の経歴
1997年 9歳
プログラミングを始める
2007年 大学中退・起業
受託の開発会社など、3社を立ち上げ
ソーシャルゲームアカデミー講師に
2012年 某大手ソーシャルゲーム会社入社
アプリ部門ディレクターを務める
2014年  ポート入社
CTOに就任

バンド募集の掲示板を作るため、プログラミングにのめりこんだ小学生時代

─9歳からプログラミングを始められたそうですね。どういうきっかけだったのでしょうか。
 
浦田氏:小学3年生のときに、いとこのお兄ちゃんがバンドでギターを弾いていて、「自分もやってみたいなぁ」と思ったんです。ただ、学校のクラスで「バンドやろう」なんて声をかけても、そんな誘いに乗ってくれる友達なんて全然いなくて(笑)。
 
だったら、募集用にインターネットの掲示板を作ったらいいんじゃないかと思いついて、たまたま家に置いてあったパソコンを見よう見まねでイジり始めたのが最初です。当時、まず覚えたのがHTMLとCGI、JSでした。中身はPerlのようなものを書いてました。
 
─小学生時代からすでにPerlの基本をしっかり叩き込んでいた、と。
 
浦田氏:いえいえ、そこまで本格的なものじゃなくて、まだオモチャ感覚でした。なにせブラインドタッチも知らなくて、人差し指だけで打ってましたから。
 
小学生だからマニュアル本や専門誌を買う余裕もないし、つまづいては書店で立ち読みをしながら、ページに書かれてあることやURLをその場で暗記しては、家に帰って試してみるということを繰り返していましたよ。
 
結局は、投稿機能を作るだけで1年ほどかかってしまったんですが、モノ作りのワクワク感だけは覚えたような気がします。その頃には本来の目的だったバンド募集のことは、すっかり忘れてしまっていましたけどね(笑)。
 
─中高から大学時代には、どのような学生生活を?
 
浦田氏:地元・福岡県内の中学校ではテニス部に所属し、九州大会にも出場した経験があります。高校は地元の進学校。最初は陸上部に入ったものの、当時、流行っていた漫画『ドラゴン桜』に影響され、「東大へ行く!」と宣言して2年の最後のほうで退部してしまいました。
 
結局、一浪したのち入学したのは、東京にある私立文系の大学でした。実はもともと理系志望でしたが、現役合格で理系の大学へ入った友達からあれこれ聞くうちに、あまりに毎日の授業が大変そうで、これは自分の時間がなさそうだなと思ったんですよね。
 
ただ、わざわざ文転して入った大学も、半年ほどで行かなくなりました。テキストさえ読んでいれば、授業に出なくてもついていける状態でしたので。

会社経営で学んだ、お金とチームの大切さ

─大学中退後は、10代で起業されています。当時、立て続けに3社もの会社を立ち上げ、経営されていたそうですが、どうやって資金を得て、どんな事業を展開されていたんでしょうか。
 
浦田氏:まず、起業にあたっては当然、資金が必要ですよね。そこで1社目は、資金をいろいろな方に援助してもらい、受託専門の会社を作ったんです。いろんな会社から受注していく段階で、徐々に技術力を上げていければいいという考えでした。
 
事業内容は、ソーシャルアプリの開発などをやっていました。いろいろな業界のアプリなども開発しました。ほかにも2社立ち上げましたが、開発途中の段階で上手くいかなくなったものもありました。

会社経営で学んだことについて語る浦田氏の写真

大学では経営学を専攻。しかし、卒業を待たずしてリアルな経営の道へ進むことに

 ─それだけ多くの事業を抱えながらも、一人で何十種類ものアプリ開発をされていたそうですが。
 
起業した3社とも基本的に、営業担当、経理担当がいて、あとは自分がCTOを務めているというメンバー構成でした。ただ、最初の頃は僕についてくれたアシスタントの子たちが、開発はおろかちょっとしたプログラミングすらできなくて。ほとんど雑用のような仕事しか頼めず、てんてこ舞の状態でしたね。
 
さらに、個人事業主としてさまざまな種類のアプリ開発を手がけていたりもして、毎日ひたすらパソコンに向かってましたね。
 
─そうして、会社経営ではどんなことを学ばれたのでしょうか。
 
浦田氏:やはりまずはお金の大切さですね。「25日(給料日)ってこんなに早く来てしまうのか」と感じていました。1日1日を着実にこなしていかないと、小さな会社はすぐダメになってしまいますから。
 
あとは開発におけるチーム力の大切さでしょうか。イコール、人を大事に思えるかどうかですよね。CTOは、部下に仕事を投げようと思えばいくらでも投げられるし、期限だって早められます。
 
実は、僕はかつてムチャブリばかりするような人間で、一度部下の子たちから「やってらんねえっす」と言われて、いっせいに辞められてしまったことがありました。以来、作業環境とクリエイティブのトレードオフのバランスを、常に意識しています。その証拠に今いるポートでは、僕が採用した子たちについては、一人も辞めてないんですよ!
 

真剣な眼差しでインタビューを受ける浦田氏の写真

若いうちから起業や挫折を味わったせいか、「新卒から技術畑だけで育ったエンジニアよりも、いろんな人を見て来られたのが自分の強みかもしれない」と語る

入社わずか半年で要職に大抜擢!

─2012年には、ソーシャルゲーム会社の大手に入社されています。きっかけを教えてください。
 
浦田:起業後、しばらくしてから「技術を教える場を作りたい」と考えるようになって、土日に自分で無料講座を開催していました。しばらくすると、「ソーシャルゲームアカデミー」という、ゲーム制作の学校が専任講師を募集していることを知って、試しに応募してみたら採用されたんです。
 
実は学校を運営している会社の経営陣に、その会社の役員が含まれていました。コミュニケーションを取っていく中で、「じゃあウチに入るか」と声をかけていただき、学校の講師を始めて数ヶ月後には入社していました。
 
─その某ソーシャルゲーム会社では、どのような業務を担当されていたのでしょうか。アプリ部門のディレクターとしてご活躍だったと伺っていますが。
 
浦田:入社直後は、PHPでコードを書いていました。あとは版権ものなんかも手がけていましたね。Unityについては当時、「ブラウザからアプリに時代が移り始めてきているから、早い段階から絶対にUnityを導入すべきだ」と必要性を説いていたんです。「じゃあ、やってみてよ」と、入社半年後に声がかかりました。
 
以降は、ゲーム開発を進める中で、UnityとiPhone、Androidをつなぐためのライブラリやフレームワークなんかを作ったりしていました。
 
─わずか半年でプロジェクトリーダー格に大抜擢されたのは、実力があってこそのスピード出世だといえますね。ところで、ソーシャルアプリからゲームの開発へシフトしたのは、個人的な興味が移ったからなのでしょうか。
 
浦田:当時は、プログラミングの中でゲームのアルゴリズムがいちばん難しい、つまりもっともやり甲斐があるんじゃないかと思っていたので、挑戦しました。
 

身振り手振りを交えて話す浦田氏の写真

自宅ではずっとプログラミングに没頭しているという浦田氏。根っからのエンジニアである

 というのも、メディアの開発では言葉で説明できてしまう部分が多いのですが、ゲームの場合は言葉ではなかなか表現できない部分が大きい。例えば、「ここをもっとビュン!って早くして!」というリクエストがあったら、とりあえず0.2秒早くしてみる。だけど、実際は0.18秒の方がビュン!感が出たりするわけです。ゲームの開発は、そういうことの積み重ねで成り立っているんですよね。
 
あと、オブジェクト指向をしっかり身につけたいという思いもありました。ゲームは、しっかり設計しないと敵と味方の区別がつかないという状況に陥りがちです。でも、オブジェクト指向を用いることで、それらを上手く制御する仕組みを作っていくことができます。
 
そうしたゲーム開発は、ある程度キャリアのある人が集まる環境でないと習得できません。当時は、先輩たちから一つでも多くのノウハウを盗みたいと、毎日勇んで働いていましたね。

「指示を出す」のではなく「お願いする」コミュニケーション術

─大手の会社に初めて入ったことで、得たことも相当多かったのでは?
 
浦田氏:今から思い返してみても、毎日が勉強でしたね。優秀なエンジニアたちと切磋琢磨しあう環境も初めてでしたし、ものすごく刺激になりました。もっとも学んだ点といえば、プロジェクトを回すときの気遣いでしょうか。具体的には、自分よりもキャリアがあって、仕事ができる人たちをうまく動かすにはどうしたらよいかという点ですね。
 
自分の場合、むやみに指示を飛ばすのはやめて、まずはやりたいことを伝えて「お願いする」という姿勢を大事にしていました。こうしたチーム内のコミュニケーション術は、CTOにとって非常に必要な要素だと感じています。
 
─その某ソーシャルゲーム会社在籍時には、同社が主宰するエンジニア向けイベント、テックヒルズの技術局長も務められていますね。どのくらいの期間、担当されていたんですか?
 
浦田氏:テックヒルズは3カ月に1度開催されるもので、僕は2回分を担当しました。期間でいうと、計8カ月くらいでしょうか。
 
テックヒルズは僕が担当するまで、ギリギリまで話す内容が決まらないというケースが多かったんですよね。だから自分が担当したゲームエンジンの回(第7回『Game Engines!!どのゲームエンジンを選ぶ?』)では、Unityをはじめenchant.jsなど、なるべく旬の技術やその活用方法について、旬の人に話してもらえるように心がけました。
 
その甲斐あってか、ユビキタスエンターテイメント社の清水亮さんやKlab社の中澤慧さんに登壇していただきました。おかげで人脈も広がったし、何より自分自身にとっていちばんの勉強になりましたね。
 

笑顔を交えて話す浦田氏の写真

某ソーシャルゲーム会社では「大手ならではの組織の仕組みや大規模なプロジェクトの転がし方を学んだ」と語る

後編を読む技術者としてどれだけ先に行ってるかということは、どれだけ世の中を変える準備ができているかということ

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