- プロンプトエンジニアは将来性のある市場価値が高い仕事
- 将来性のあるプロンプトエンジニアの仕事内容
- プロンプトエンジニアに求められるスキル
- プロンプトエンジニアに向いている人の特徴
- プロンプトエンジニアの平均年収は約628万円
- まとめ
プロンプトエンジニアは将来性のある市場価値が高い仕事
プロンプトエンジニアは、市場価値の高い職種として注目を集めています。その背景には、様々な分野におけるAI活用の普及が挙げられます。実際に、株式会社MM総研の「生成AI／LLMの国内利活用動向調査2024」によると、2025年には約7割の企業が生成AIを全社で本格的に利用する方針です。
たとえば、大手航空会社である日本航空株式会社（JAL）では、すでにAIチャットボットを導入して「チャット自動応答サービス」を展開しています。また、セブン-イレブン・ジャパンでは、発注数を提案するAI発注システムを全店舗で導入しており、発注作業にかかる時間を約4割削減しています。
このように、多くの企業がAIを業務に取り入れようとしているのです。しかし、AIから適切な結果を得るためには、専門的な知識を持ったプロンプトエンジニアの存在が不可欠です。
そのため、今後もAI技術の進化と普及に伴い、企業がAIを効果的に活用するためのプロンプトエンジニアの需要は、さらに増加すると予測されています。
将来性のあるプロンプトエンジニアの仕事内容
プロンプトエンジニアの主な仕事内容は、以下のとおりです。
それぞれの仕事内容について紹介します。
プロンプトの設計
プロンプトの設計は、AIから望ましい結果を得るための土台となる重要な作業です。プロンプトエンジニアは、ユーザーのニーズや業務要件を理解した上で、AIに適切な指示を与えるためのプロンプトを作成します。
たとえば、企業の顧客対応チャットボットを開発する場合、顧客の質問に対して適切な応答ができるようなプロンプトを設計する必要があります。この際、企業のトーンや方針に合わせた返答ができるよう、細かい指示をプロンプトに組み込むことが重要です。
また、AIの適切な応答には、対象となる業務領域の理解も必要不可欠です。これらのスキルを組み合わせることで、効果的なプロンプトを設計することができます。
プロンプトの最適化
プロンプトの最適化は、AIからより精度の高い応答を得るために行う改善作業です。初期設計したプロンプトは、実際の使用結果を分析して継続的に改善を重ねていく必要があります。具体的には、出力結果の分析から、エラーや不適切な回答を特定し、ユーザーのフィードバックを収集していく流れです。
その後、指示内容の明確化や制約条件の追加、文脈情報の補完などを行い、プロンプトを修正していきます。このような最適化のプロセスを繰り返すことで、より質の高いAIシステムを構築することができます。
AIモデルの分析
AIモデルの分析は、使用するAIの特性や限界を理解し、それらを踏まえた上で適切な活用方法を見出す作業です。プロンプトエンジニアは、各AIモデルの特徴を把握し、目的に応じて使い分けることが求められます。
たとえば、GPT-4とGPT-3.5では性能や得意分野が異なります。文章生成や創造的なタスクではGPT-4が優れている一方、単純な情報抽出ではGPT-3.5でも十分な場合があります。
このようにモデルによって特徴が異なるため、プロンプトエンジニアはモデルの得意分野と苦手分野の把握、処理速度やセキュリティリスクの確認など、さまざまな観点からの分析が必要です。
これらの分析結果を基に、プロジェクトに適したAIモデルの選定とプロンプトの設計を行うことで、効率的なAI活用が可能となります。
プロンプトエンジニアに求められるスキル
プロンプトエンジニアに求められるスキルは、以下のとおりです。
それぞれのスキルについて解説します。
AIの種類や学習／回答を導き出す仕組みに関する基礎知識
AIの基礎知識は、プロンプトエンジニアとして活動する上で必要不可欠な要素です。業務にあたる上で、機械学習の基本的な概念やディープラーニングの仕組み、さまざまなAIモデルの特徴を理解することが求められます。
たとえば、機械学習の分野では、教師あり学習と教師なし学習の違い、転移学習の概念などの理解が必要です。また、AIの限界や制約についても理解しておく必要があります。ハルシネーション（誤った情報の生成）や、データのプライバシーに関する課題など、AIを運用する上での潜在的なリスクを把握することが重要です。
これらの知識があることで、AIモデルの特性を理解し、適切なプロンプトの設計が可能になります。
なお、AIの基礎知識を身に付けるなら、G検定の取得がおすすめです。
自然言語処理（NLP）の知識
自然言語処理（NLP）は、人間の言語をAIが理解できる形に変換し、適切な結果を得るための技術です。自然言語でAIに指示を与えるには、AIによる自然言語の処理の仕組みを理解する必要があります。
具体的には、文章を構成する最小の単位（形態素）に分割して、各種情報を与える「形態素解析」や、形態素解析で分割した単語などの関連性を分析し、文章を組み立てる「構文解析」などです。これらの基本的な概念を理解し、活用できる能力が求められます。
自然言語処理の知識を持つことで、AIモデルがどのように文章を処理して理解するのかを把握でき、より効果的なプロンプトを作成できます。
Pythonなどのプログラミングスキル
プロンプトエンジニアにプログラミングスキルは必須ではありません。しかし、AIモデルの実装や分析をする際には、Pythonなどのプログラミングスキルを持っておくことで、AIシステムとのより深い連携が可能になります。
特にPythonは、AI開発やデータ処理で広く使用されている言語であるため、基本的なコーディング能力を持っておくと業務に活かせます。
たとえば、APIを使用したAIモデルとの通信やデータの前処理、結果の解析などを行うためのコードを書くことが可能です。また、プロンプトのテンプレート化や、結果の評価を自動化するスクリプトの作成なども求められるため、スキルを持っておくことで仕事の幅も広がります。
なお、これからPythonの基礎知識やスキルを身に付けるなら、まずはPython3 エンジニア認定基礎試験の取得を目指すのがおすすめです。
高い言語化力とプロンプト設計スキル
プロンプトエンジニアには、複雑な要件や抽象的な概念を明確な言葉で表現できる能力が必要です。たとえば、「できるだけ自然な文章で」という曖昧なプロンプトでは、AIは質の高い回答を出してくれません。
そのため、プロンプトエンジニアには「新聞記事のような客観的な文体で、一文を30文字以内に抑えて」のような具体的な指示に変換できる力が求められます。
また、プロンプトの問題点を特定し、チーム内やクライアントに改善案を提案する際にも言語化能力が必要です。プロンプトの設計意図や改善点を、技術者以外にも分かりやすく伝えることができる人は、プロンプトエンジニアとして評価を得られやすくなります。
プロンプトエンジニアに必要なスキルや資格は、以下の記事でも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事：プロンプトエンジニアになるには？必要なスキルや資格を紹介
プロンプトエンジニアに向いている人の特徴
プロンプトエンジニアに向いている人の特徴は、以下のとおりです。
それぞれの特徴について解説します。
論理的で分かりやすい文章を書ける人
論理的で分かりやすい文章を作成するスキルは、効果的なプロンプトを設計する上で不可欠です。AIに正確な指示を与え、求める結果を得るためには、明確で構造化された文章を作成する能力が必要だからです。
たとえば、複雑な要件を段階的に分解してAIが理解しやすい形で表現する能力や、分かりやすく、 わかりやすくなおかつ具体的な指示を書く能力が求められます。
そのため論理的な文章を書くことを得意としている人は、プロンプトエンジニアに向いています。
好奇心旺盛でAIの最新情報を積極的に学べる人
AI技術は日々進化しており、新しいモデルや手法が次々と登場しています。そのため、好奇心旺盛で、常に最新の技術トレンドをキャッチアップできる人がプロンプトエンジニアに向いています。
たとえば、新しいAIモデルがリリースされた際に、その特徴や使い方を積極的に学んで活用方法を探求する姿勢が重要です。また、ほかのプロンプトエンジニアの成功事例や、効果的なプロンプトの設計パターンなどにも関心を持ち、自身のスキル向上に活かせる人が求められます。
プロンプトエンジニアの平均年収は約628万円
職業情報提供サイトjobtagによると、プロンプトエンジニアが含まれるAIエンジニアの平均年収は、628.9万円です。
なお、レバテックキャリアの求人を見てみると、プロンプトエンジニアの年収は400万円〜600万円でした。プロンプトエンジニアの実務経験が豊富な方を対象にした求人には、年収が1,000万円を超えるものもあります。
実際の求人が気になる方は、以下からご覧ください。
プロンプトエンジニアの求人・転職情報＞
まとめ
本記事では、プロンプトエンジニアの将来性や具体的な仕事内容、求められるスキル、適性などについて解説してきました。
プロンプトエンジニアは、AI市場の拡大から、需要や将来性のある仕事です。2025年には約7割の企業が生成AIを全社で本格的に利用すると言われており、今後もプロンプトエンジニアの需要は高まることが予想されます。
そんなプロンプトエンジニアになるには、AIの仕組みや特徴に関する基礎知識や、自然言語処理（NLP）の知識、Pythonなどのプログラミングスキルが求められます。また、プロンプトエンジニアは、高い言語化力がある方や、好奇心旺盛でAIの最新情報を積極的に学べる人が向いています。
プロンプトエンジニアになりたいと思っている方は、本記事で紹介した内容を参考にしてみてください。
※本記事は2025年5月時点の情報を基に執筆しております
