- 30代ITエンジニアの転職に関する現状
- 30代ITエンジニアが転職を検討する主な理由
- 30代ITエンジニアが転職を成功させるポイント
- 30代ITエンジニアが転職時に求められるスキル
- 30代ITエンジニアの転職先の選び方・ポイント
- まとめ
30代ITエンジニアの転職に関する現状
まず、30代ITエンジニアの転職に関する現状を把握しましょう。特に押さえておきたい情報は以下の3つです。
30代の平均転職回数は2~3回
【年代別】平均転職回数 | |
---|---|
20代 | 1~2回 |
30代 | 2~3回 |
40代 | 3~4回 |
50代 | 6回以上 |
厚生労働省「雇用の構造に関する実態調査 / 転職者実態調査 / 令和2年 報告書 統計表 個人調査 / 性・年齢階級・最終学歴・現在の勤め先での職種、転職回数別転職者割合」から「【年代別】平均転職回数」を集計すると、30代の平均転職回数は2~3回となっています。20代では1~2回であることを踏まえると、30代ではキャリアの見直しやキャリアアップを目的とした転職が増えていることが推察できます。また、30代は家庭を持つ人が増える時期でもあり、年収アップを重視した転職を選択するケースも多く見られます。
30代での転職は決して珍しいことではなく、キャリア形成の一環として自然な流れといえるでしょう。
関連記事:30代で転職3回は多い?年齢別の平均回数と転職活動のコツ
求められるのは即戦力人材
30代のITエンジニアに対して企業が最も期待するのは「即戦力としてすぐに成果を出せること」です。新卒や20代とは異なり、30代には実務経験や業務遂行力が求められます。また、プロジェクト全体を俯瞰し、円滑に推進する力も期待されています。
20代ITエンジニアの転職との違い
項目 | 20代ITエンジニア | 30代ITエンジニア |
---|---|---|
求められるスキル | ・HTMLやCSS、JavaScript などのソフトスキル ・Gitやチーム開発の基礎知識 |
・要件定義や基本設計など 上流工程のハードスキルや経験 ・フレームワークや技術選定 の経験 |
面接で重視される点 | ・ポテンシャル(将来性) ・学習意欲や吸収力 |
・過去の実績やプロジェクトの 成果 ・即戦力としてすぐに 貢献できるか |
期待される役割 | ・プロジェクトメンバーの一員として開発 ・実装などの作業を正確に遂行できる ・他のメンバーと円滑にコミュニケーションがとれる |
・チームリーダーとしてプロジェクトを牽引する ・若手メンバーを育成する |
上記のとおり、特に20代前半は「育成を前提とした採用」が多く、ポテンシャル(将来性)や学習意欲、吸収力などが重視される傾向にあります。一方、30代の採用は即戦力であることが前提となります。これまでのプロジェクト経験や、具体的にどのように課題を解決してきたかといった実績が評価の対象になるのが特徴です。
関連記事:レバテックキャリアで30代の転職を成功させよう!強みや利用のメリット
30代ITエンジニアが転職を検討する主な理由
30代エンジニアが転職を検討する理由として、特に多い理由が以下の3つです。
それぞれ解説していきます。
年収アップを目指すため
レバテックキャリアが社会人エンジニア300名を対象に実施した「ITエンジニアの転職意識調査」によると、エンジニアが転職を決めた理由として多かったのが「収入アップのため(42.4%)」「会社や業界の将来性に不安を感じて(22.4%)」などです。
特に30代はライフステージの変化や将来設計を考慮し、年収やポジションの向上を意識する時期といえます。20代のうちは技術力を磨くことに集中していても、30代になると「収入が実力に見合っていない」「この会社で昇進できるか不安」といった課題が浮上しやすくなります
また、現職で「昇格のチャンスが少ない」「給与テーブルが固定されている」など、評価制度への不満が転職のきっかけになるケースもあるでしょう。
スキルの陳腐化や将来への不安を感じているため
技術の進化が著しいIT業界では、30代になると「このまま今の環境にいても、新しい技術が身につかないのではないか」という不安を感じやすくなるものです。
たとえば、レガシーシステムの保守運用に長く携わってきたエンジニアの場合、最新技術に触れる機会は限られています。将来のキャリアに不安を感じ、最新技術に触れられる環境や、成長中のプロダクトに関われる職場を求めて転職するケースもよく見られます。
キャリアアップのため
30代になると、キャリアパスにおいて「技術を極めるスペシャリスト」か「人をまとめるマネジメント職」かという方向性を明確にしなければなりません。しかし、現職にその選択肢がなかったり、自分が目指す方向に進めなかったりすると、外部に活路を見出して転職を検討するようになります。
たとえば、以下のような理由が転職のきっかけになることがあります。
-
・マネジメントに挑戦したいのにその機会が与えられない・スペシャリストとして成長したいのに年功序列の評価制度のためにスキルが正当に評価されない
このようにキャリアアップを目的とした転職は、30代において現実的かつ前向きな選択肢の一つといえるでしょう。
30代ITエンジニアが転職を成功させるポイント
30代ITエンジニアが転職を成功させるには、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。
それぞれのポイントを解説します。
面接対策や自己PRの準備を念入りに行う
転職活動を成功させるためには、面接で自身の経験や実績をもとに「どのような価値を提供できるか」を具体的に伝えることが重要です。
単に「どのような業務を担当してきたか」だけでなく、「なぜそのアプローチを選んだのか」「どのような成果を上げたのか」「その経験を次にどう活かせるのか」といった論理的なストーリー設計を意識しましょう。
また、30代の転職では「なぜこのタイミングで転職するのか」という理由も重視されます。ネガティブな理由ではなく「自身の成長のために新しい環境で挑戦したい」「今のスキルをより活かせる環境に身を置きたい」といった前向きな動機を明確に伝えることが好印象につながります。
たとえば「PLとして3名のチームを率いた経験を通じてマネジメントのやりがいを感じた。今後は本格的にプロジェクトマネジメント(PM)スキルを磨き、プロジェクト全体の進行管理に携わりたい」といった形で現職での取り組みと転職理由、キャリアビジョンをセットで話すと説得力のある自己PRになるでしょう。
ITエンジニアの面接で企業が見ているポイントや面接時の質問・回答の例について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
関連記事:ITエンジニアの面接質問集42選!各種回答例を紹介
ポートフォリオや実績をわかりやすくまとめる
ITエンジニアの転職では、履歴書や職務経歴書だけでなく、具体的なアウトプット(成果物)も重視される傾向があります。特に30代であれば「どのような実績を残してきたか」「それがどんな成果につながったか」が評価の大きなポイントになります。これまでに関わったプロジェクトの中から、特に成果につながった取り組みをピックアップし、数値や改善効果を交えて簡潔にまとめましょう。たとえば、以下のような表現が効果的です。
・◯◯のパフォーマンス改善を行い、表示速度を30%向上させた
・プロジェクト管理を最適化し、納期遵守率を95%に改善した
このように成果ベースで表現することで、自身のスキルや貢献度を具体的にアピールできます。ITエンジニアのポートフォリオの作り方や参考例については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:ITエンジニアのポートフォリオとは?作り方や参考例を紹介
転職エージェントや人脈を積極的に活用する
30代の転職では自分一人で求人を探すだけでなく、転職エージェントや信頼できる人脈を活用することが成功のカギとなります。ITエンジニアの求人が多く掲載されているレバテックキャリアを利用すれば、自身の経験・スキルを活かせる求人を効率的に探すことが可能です。さらに、以下のメリットも得られます。
-
・希望条件やスキルに合った求人を厳選して紹介してくれるため、求人探しの時間と手間を削減できる
・非公開求人が豊富で好条件・好待遇の案件に出会うチャンスが広がる
・企業ごとに面接対策を実施しているため、通過率アップにつながる
・求人票の閲覧方法や注視するべきポイントがわかり、ミスマッチの防止につながる
また、30代は過去の職場やコミュニティで築いた人脈を活かせる時期でもあります。リファラル採用などを活用すれば、Web上に掲載されていない優良求人に出会える可能性が高まるでしょう。
30代ITエンジニアが転職時に求められるスキル
30代ITエンジニアの転職では、20代とは異なるスキルが求められます。特に重視されるスキルは下記の4つです。
それぞれ詳しく解説します。
リーダーシップとマネジメント力
30代のITエンジニアには、チームの中核を担う存在としてリーダーシップやマネジメント力が強く求められるようになります。たとえば、過去に数名のチームをまとめてプロジェクトを推進した経験などがあれば高く評価されやすいでしょう。また、単なる進行管理能力だけでなく、以下の観点も評価されます。
-
・技術的な課題をどう解決に導いたか
・メンバーの成長やモチベーションをどのように支援したか
・チーム内外とのコミュニケーションをどう円滑に進めたか
仮に上記のスキル・経験がない場合は、日常業務で後輩指導や進捗管理、業務改善に主体的に関わるように意識しましょう。これにより、リーダーシップとマネジメント力を養えます。
変化に対応するための学習習慣・情報収集力
意識的に学習時間を確保し、継続的に自己研鑽できているかも重要な評価ポイントとなります。
IT業界は技術の進化が非常に速いため、常に新しい知識をキャッチアップし続ける姿勢が欠かせません。しかし30代になると、日々の業務やマネジメント業務に追われ、学習の優先度が下がってしまいがちです。学ぶことを後回しにしていると、気づかぬうちにスキルが陳腐化し、転職市場での競争力が低下するリスクがあります。
たとえば以下のようなエピソードがあると、学習意欲の高さと実務への応用力をアピールできるでしょう。
-
・新しいフレームワークを独学で習得し、実際の業務に導入した・最新のクラウド技術を活用してシステムをモダナイズした
また、QiitaやZennなどの技術共有サイトへのアウトプットや、外部セミナー・コミュニティイベントへの参加なども主体的に学び続ける姿勢をアピールするポイントとして効果的です。
技術内容を非エンジニアにもわかりやすく説明できるスキル
30代になるとマネジメント業務やプロジェクト推進を担うことが増え、エンジニア以外の職種(営業、企画、経営層など)とコミュニケーションをとる機会が多くなります。その際に重要なのが、技術的な内容を専門知識のない相手にも伝わるように説明する力です。たとえば以下のようなポイントを、専門用語を噛み砕いて伝えることが求められます。
-
・なぜこの技術を選んだのか・導入によって何が改善されるのか
・どのようなビジネス効果が見込まれるのか
技術内容をわかりやすく説明するスキルは、社内での合意形成やプロジェクト推進に不可欠です。
後輩を育てる説明力とフィードバック力
30代のITエンジニアには、後輩や若手の育成という役割も期待されます。たとえば、コードレビューを通じた技術的なフィードバックや学習の方向性に関するアドバイスなどの経験は、企業側から高く評価されるポイントといえます。
後輩や若手の育成において重要なのは、単に教えるのではなく、相手の理解度や習熟度に応じた柔軟なコミュニケーションをとる力です。状況に応じて教え方を工夫できるITエンジニアは、チーム全体の成長を支える存在として企業から重宝されるでしょう。
30代ITエンジニアの転職先の選び方・ポイント
30代ITエンジニアが転職先を選ぶ際は、下記のポイントを押さえることが重要です。
それぞれのポイントを見ていきましょう。
過去の経験が活かせる環境を選ぶ
30代ITエンジニアが転職先を選ぶ際は、これまで培ってきた技術や経験を活かせる環境を選ぶことが非常に重要です。もちろん新しい挑戦も大切ですが、まったく異なる業界や職種への転職では適応に時間がかかり、即戦力としての価値を発揮しにくくなる可能性があります。そのため「これまでの経験をどう活かせるか」という視点から、使用してきた技術スタック、開発手法、チーム規模や体制を照らし合わせて転職先を検討することがポイントです。
たとえば、インフラエンジニアとしてオンプレミス環境の設計・構築経験があれば、クラウド移行プロジェクトを推進している企業への転職がおすすめです。システム全体を俯瞰してインフラを最適化してきた経験は、クラウドネイティブ環境への移行において大きな強みとなります。
また、以下の点を事前に確認することで「入社後にイメージと違った」というミスマッチを防ぐことが可能です。
・自分の得意な言語・フレームワークが使われているか
・チームの開発体制
・担当するフェーズ(要件定義・設計・実装・運用など)
・自身に与えられる裁量の範囲
金銭的に問題がないか確認する
30代は家族が増えたり、住宅を購入したりするなど、ライフステージの変化が多い時期です。そのため、収入面の安定性も転職時に重視するケースが多く見られます。転職によって給与が下がると生活の質や将来の資金計画に支障をきたすおそれがあるため、念入りに確認することが重要です。
企業が提示する給与だけでなく、賞与や昇給制度、残業代、手当の有無、福利厚生なども含めて総合的に判断しましょう。
企業の成長性や事業内容を確認する
転職先を選ぶ際は、企業が置かれている環境も含めて成長性や事業内容を確認しましょう。これらを事前に把握することで、長期的なキャリアプランを形成しやすくなります。具体的には、企業の財務状況やビジネスモデル、属している業界の動向などを確認すると良いでしょう。
たとえば、会社四季報オンラインでは上場企業の業績や財務情報などを確認できます。ビジネスモデルを確認したいときは、会社HPの会社概要やニュースリリース欄などがおすすめです。業界情報については、業界紙や日経クロステック、ITmediaなどの専門メディアで確認できます。
求めるポジションや役割、実現したいキャリアプランと合致しているかを確認する
30代はキャリア形成における分岐点であり「どのような働き方をしたいか」「将来的にどのようなポジションを目指すのか」といったキャリアの方向性を明確にすることが重要です。転職先を選ぶ際には、その企業が自分の描くキャリアプランと一致しているかを念入りに確認する必要があります。
たとえばマネジメントに挑戦したいのであれば、リーダーやプロジェクトマネージャー(PM)などのポジションに就ける可能性があるかどうかを確認しましょう。技術を極めたいスペシャリスト志向なのであれば、技術力を正当に評価する制度が整っているか、技術選定や設計に裁量を持って関われる環境かどうかがポイントになります。
また、ライフワークバランスを重視したい場合は、フルリモート勤務やフレックスタイム制度の有無、残業時間の実態など、働き方に関する制度や企業文化をチェックしましょう。
まとめ
30代のITエンジニアは、これまでに培ってきたスキルや経験を活かし、即戦力としての活躍が期待されています。転職を検討する際は自身の強みを整理し、目指すキャリアの方向性やライフプランを明確にすることが重要です。
また、30代未経験でもITエンジニアになることは可能ですが、20代に比べて即戦力としての期待が高まる分、採用のハードルは高くなる傾向にあります。いずれの場合も、求められるスキルや市場の動向を正しく理解し、戦略的に転職活動を進めることが重要です。
レバテックキャリアに登録すれば、これまで培ってきた経験やスキルを存分に活かせる求人を見つけやすくなります。最新の求人情報をチェックしながら、自分に合ったキャリアを実現していきましょう。