SESは将来性がない?今後のキャリアプランや10年後の業界動向

最終更新日:2025年6月6日

「SESは将来性がない」
「続けてもキャリアに繋がらないかもしれない」

そんな不安を抱えている人も多いのではないでしょうか。IT業界において、SESという働き方に疑問や不満を感じているエンジニアは少なくありません。しかし、本当にSESに未来はないのでしょうか。近年のDX推進やクラウド化の流れにより、SESの需要や役割も大きく変化しています。本記事では、SES業界の現状や将来性、懸念される課題とリスク、そしてキャリアを広げるための考え方をわかりやすく解説します。

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この記事のまとめ

  • SES業界にはIT人材不足やDX推進、クラウド対応の拡大による需要がある
  • 将来性のある企業は上流工程に強みを持つため、多重下請けなどの構造的課題に注意が必要
  • SESエンジニアでも自身の価値を高めればキャリアの幅は広がる

SES業界の現状と将来性

SES業界は「将来性がない」「ブラックだ」といったネガティブなイメージを持たれがちです。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。本章では、SES業界の現在の状況と今後の見通しについて、客観的なデータや業界動向をもとにわかりやすく解説します。ポイントは以下の2点です。

SES業界は将来性がある

結論から言えば、SES業界には今後も一定の将来性があります。

経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によれば、IT人材の需要と供給の差(需給ギャップ)は、2030年には最大で約79万人に拡大する可能性があると試算されており、IT人材不足が深刻化しています。

また、同省の「DXレポート」では、老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システムがDXを本格的に推進する際の障壁となることに警鐘を鳴らし、2025年の完了を目指して計画的にDXを進めるよう促しています。

これらの動きを踏まえると、SESが関与する領域は高度化・多様化しており、上流工程への参画やクラウド領域など、より専門性の高い分野でのニーズが増加していると考えられます。今後もIT業界全体の拡大が続く中で、SESもまた進化する業態であると言えるでしょう。企業選びやスキル形成次第で、将来性のあるキャリアを築くことが十分に可能です。

SES業界の現状

SESは、今もIT業界に欠かせない役割を担っており、人材需要は引き続き高い状態が続いています。

前述の経済産業省の調査によれば、IT人材の需給ギャップは今後拡大すると予測されており、特にAIやビッグデータを活用する新しいビジネスの担い手となる人材の育成が不可欠とされています。これにより、SES企業が担う役割の重要性が増しています。

中小企業白書」では、企業は人材不足を補うために業務委託によるアウトソーシングを積極的に活用しており、特に専門的なIT業務においては外部リソースの活用が効果的とされています。

このようにSESは単なる「人材派遣」ではなく、企業のIT課題を解決する現場の実働部隊として重要な役割を果たしているのです。

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SESの将来性を左右する3つのポイント

SES業界がこの先も成長を続けられるかどうかは、外部環境の変化に大きく左右されます。中でも注目すべきは、下記の3つの要素です。


これらの要素がどのようにSESの将来性に影響を与えるのか、それぞれ詳しく解説します。

DX推進やクラウド需要の拡大

DXやクラウド活用が進む現代において、SESエンジニアの活躍の場はますます広がっています。

多くの企業がレガシーシステムからの脱却や業務効率化を目指しており、それに伴うITプロジェクトが急増しています。しかし、自社で専門エンジニアを抱える余裕がない企業は、SESを活用してこれらのプロジェクトを推進します。そのため、クラウド構築支援やSaaS導入サポートといった高度な案件にもSES人材が活用される機会が増えています。

このように、DX・クラウド需要の波によってSES業界の活躍領域は拡大中であり、SESエンジニアの将来性はますます高まっていくでしょう。

IT人材不足の継続

深刻なIT人材不足は、SESにとって「安定した需要の源」となっています。

経済産業省の予測【経済産業省の「IT人材需給に関する調査」】によれば、2030年には最大で79万人のIT人材が不足するとされています。この需給ギャップを埋めるには、正社員採用だけでは間に合いません。そこで即戦力として期待されるのがSESエンジニアです。派遣より柔軟で、請負よりスピーディに体制を組めるSESの特性は、多くの企業にとって有用です。

SIer企業やスタートアップの中には、SESを通じてプロジェクト単位で専門人材を確保し、スピーディに開発体制を整えるケースが多くあります。正社員採用には半年〜1年かかる一方で、SESなら採用に時間を要しないため、プロジェクトを即時スタートできる点が評価されています。

エンジニア不足という構造的課題が続く限り、SESの需要は途切れないでしょう。これは、将来にわたっての安定性につながる重要な要素です。

AIの進化によるSESへの影響

AI技術の進化は、SESエンジニアの役割を変化させつつ、新たな活躍の場も広げています

経済産業省の報告書「生成AI時代のDX推進に必要な人材・スキルの考え方」によれば、生成AIの技術は生産性や付加価値の向上を通じて大きなビジネス機会を引き出すとともに、様々な社会課題の解決に資することが期待されています。

同時に、生成AIの利活用を促進するための課題には、生成AIへの理解不足、不十分な向き合い方があります。これらの課題を解決するためには、推進人材育成、データの整備などのスキル向上が必要です。

このような背景から、SESエンジニアはAIを活用したシステムの設計・導入・運用といった領域において、技術支援役としての役割が期待されています。

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SES事業に将来性がないと言われる理由

SES業界には将来性がある一方で、「このままでは厳しい」と懸念される要素も存在します。この章では、SESが「将来性がない」と言われる下記3つの主な理由を整理し、どのような点に注意すべきかを解説します。

企業による内製化の推進

近年、企業がエンジニアを採用し、開発体制を内製化する動きが加速しています。この動きがSESの役割が縮小する懸念につながっています。

DXを推進する企業の多くは技術力を競争優位性と捉え、自社での開発体制構築に注力する傾向があります。その結果、外部委託よりも自社エンジニアを中心とした体制に移行する企業が増え、SESの案件数が限定的になる可能性はあります。

大手IT企業やSaaS企業では、業務ノウハウを社内に蓄積するためにSESへの依存度を下げるケースが見られ、内製化の流れは今後、他業界にも波及すると考えられます。ただし、すべての企業が内製化を進められるわけではなく、一定数はSESを活用し続けるでしょう。短期的な変化に惑わされず、自分の価値を高めていくことが大切です。

多重下請け構造による年収の低さ

SES業界では多重下請け構造が原因で、エンジニアに支払われる報酬が相場よりも低くなる傾向があります。

多くのSES案件は元請→一次請→二次請…といった構造になっており、企業間でマージンが発生します。このマージンが積み重なることで、現場で働くエンジニアの取り分が減少し、年収が上がりづらくなっています。

このような構造がある限り、報酬面での不満はつきまとうでしょう。そこで、SESを選ぶ際には、還元率の高い企業を選ぶ、契約内容をしっかり確認するといった工夫でリスクを抑えることが重要です。

専門的なスキルを身につける難しさ

SESでは、専門スキルや高単価案件に必要な経験を積みにくいことがあります。

SESでは能動的に設計や提案に関わるチャンスが限られるためです。

また、短期案件を転々とすると一貫した技術スタックが積み上がらず、結果としてスキルの汎用性が低くなりがちです。例えば、保守運用やテスト工程の業務ばかりを担当すると、開発経験が乏しくなり、「コードを書かないエンジニア」と見なされてしまうおそれがあります。このような状況は、次のステップ(設計・要件定義・PM補佐など)に進みづらくなります。

スキルアップを重視するなら、上流工程に携われる案件を意識的に選び、キャリアビジョンを持って現場を選定することが重要です。

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将来性のあるSES企業の特徴

SES業界には多くの企業が存在しますが、すべてが持続的な成長が見込まれるわけではありません。むしろ、選ぶ企業によってキャリアの成否が大きく左右されるのが実情です。本章では、SES業界の中でも「成長できる」「長く働ける」企業に共通する特徴を下記4つの視点から解説します。

上流工程や要件定義フェーズの案件を扱っている

上流工程に携わる案件を多く保有しているSES企業は、エンジニアの市場価値を高める環境を比較的多く提供しています。

設計・要件定義などの上流フェーズは、IT業務の中でも高いスキルと業務理解が求められ、単価も高くなります。こうした案件に関われるかどうかは、将来のキャリアに大きな差を生むでしょう。SES企業が上流工程の案件を保有していることは、営業力や顧客との関係性の強さの現れでもあります。

上流案件が豊富な企業を選ぶことで、将来的にPMやITコンサルなど、より高度なポジションへの道が開ける可能性が高まるでしょう。

自社サービスを展開している

自社プロダクトやサービスを持つSES企業は、受託や常駐だけに依存しないビジネスモデルを確立しており、安定性と技術力の両方に期待できます。

SESだけに依存していると、景気や取引先の影響を受けやすく、事業が不安定になりがちです。一方で自社開発も行う企業は、開発の全工程に精通しているため、技術力の底上げや最新技術の導入にも積極的です。

こうした環境で働くことで、自社開発とSESの両方のメリットを享受でき、安定感と成長性のあるキャリアを築くことができます

教育・スキルアップ支援が整っている

成長できるSES企業は、エンジニアのスキルアップに投資しています。

IT業界では技術トレンドの変化が速く、継続的な学習が欠かせません。その中で、教育支援のない企業では現場任せになりがちで、エンジニアが自己成長できずにキャリアが停滞するおそれがあります。

将来性のある企業では、資格取得支援や社内勉強会、オンライン講座の無料提供などを通じて、技術的な成長を後押ししています。教育支援を活用してAWS認定やJava資格取得など、業務に直結するスキルアップが可能です。

キャリア相談・フォロー体制がある

キャリアの悩みや将来の方向性を相談できる体制が整っている企業は、比較的エンジニアを大切にする文化があります。

SESは常駐先が変わることが多く、孤独感を覚えやすい働き方です。定期的な面談やキャリアコーチによるサポートがある企業は、社員の成長やメンタルケアに真摯に向き合っている証拠です。

1on1面談やアサイン前後の希望ヒアリング、キャリア面談を定期的に行う企業は社員の定着率が高く、ミスマッチの少ない環境が整っているでしょう。

SES企業の選び方については下記の記事で詳しく解説しています。

関連記事:
SESがブラックといわれる理由を解説!やばい企業の特徴も紹介
SESでも上流工程に携われる!方法や企業選びのポイントを解説

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SESエンジニアのキャリアはどうなる?

SESで大切なのは、そこでどのような経験を積み、将来どこへ向かうかの視点を持つことです。

SESでは、様々な現場やプロジェクトを通じて、業務理解・技術選定力・適応力といった実践的なスキルを磨くことができます。こうした経験は市場価値の高いスキルへとつながり、キャリアアップの土台になります。

基礎スキルを身につけた後は、自社開発・受託開発・ITコンサルの企業などへの転職、PM・PLへの昇格といった多様なキャリアパスが開かれます。さらに、技術や提案力を活かしてフリーランスとして独立したり、社内で営業・技術責任者へと転換したりする道もあります。SESは「終着点」ではなく、自分次第で未来を切り拓ける柔軟な働き方と言えるでしょう。

SESエンジニアのキャリアについて詳しく知りたい人は、下記の記事もあわせてご覧ください。

関連記事:
SESを辞めたい時の対処法と転職タイミング!1ヶ月前で退職できる?
SESの合わない現場を変えたい!経験を活かせるほかの現場や転職先を紹介

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SES業界の課題とリスク

SES業界には将来性やキャリアの可能性がある一方で、特有の課題やリスクが存在することも事実です。

まず、プロジェクトのアサインはクライアントの都合に左右されやすく、自分の希望や適性とは異なる業務に配属されるケースがあります。特に若手は保守運用やテスト工程に偏る傾向があり、思うようにスキルアップできないと悩むこともあるでしょう。

また、SESは下流工程の業務が多く、上流工程の経験が積めないままキャリアが停滞するリスクも否めません。さらに、常駐先での勤務が中心となるため、帰属意識を持ちづらく、孤独感を覚えやすい点も課題です。

これらのリスクを回避するには、案件の透明性、評価制度、フォロー体制がしっかりした企業を選ぶことが大切です。

SESのこれらの課題と解決方法については下記の記事で詳しく解説しています。

関連記事:
SESの客先常駐はどんな仕事?メリット・デメリットやSIerとの違い
SESの給料・年収が上がらない理由は5つ!昇給する方法なども紹介
SESの案件ガチャって何?ハズレ案件の特徴や回避方法も解説

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まとめ

SES業界は「将来性がない」と思われがちですが、実際はDX推進やIT人材不足、AIの進化といった外的要因により、今後も一定の需要が見込まれます。一方で、多重下請け構造やキャリア形成の難しさといった課題も存在するため、企業選びや働き方には注意が必要です。

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この記事の監修

レバテックキャリア編集部

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