- AIエンジニアがやめとけといわれる4つの理由
- AIエンジニアに向いている人の特徴
- AIエンジニアはやめておいたほうが良い人の特徴
- AIエンジニアになるために必要なスキル
- AIエンジニアはオワコン?気になる将来性
- AIエンジニアに関するよくある質問
- まとめ
AIエンジニアがやめとけといわれる4つの理由
AIエンジニアは、高い年収や将来性があるといわれる一方で、「やめとけ」「きつい」という声も存在します。その背景には、以下の4つの理由があります。
これらの理由について、詳しく解説していきます。
高度な技術が必要だから
AIエンジニアには高度な技術が必要である点が、やめとけといわれる1つの要因です。AIエンジニアは、プログラミングスキルだけでなく、数学や統計学の深い知識も求められます。
AIエンジニアに高い技術力が必要であることは、学歴から見て取れます。職業情報提供サイトjobtagによると、AIエンジニアの最終学歴は以下の図のとおりです。
AIエンジニアとして働く人の最終学歴としては、修士課程修了者が全体の約半数を占めています。この結果から、AIエンジニアを目指す場合、高度な技術を体系的に学ぶ必要があることが分かります。
独学で身につけるには相当な時間と労力が必要なため、AIエンジニアを目指すのは「やめとけ」といわれているようです。
急激な技術の進歩についていく必要があるから
AIエンジニアがやめとけといわれる2つ目の理由は、技術の進歩が急激で、常に新しい知識やスキルの習得が求められるためです。AI分野の技術の進歩は著しく、IT業界の中でも特に速い傾向があります。
たとえば、以下のような技術の変化に対応する必要があります。
-
・新しいフレームワークやライブラリの登場
・AIモデルの進化
・計算処理方法の改善
・開発手法の変更
このような変化は数ヶ月単位で起こることもあり、学習した内容がすぐに古くなってしまう可能性があります。そのため、仕事と並行して継続的な学習が必須となります。
このように知識のアップデートに対する負担が大きいことが、AIエンジニアは「やめとけ」といわれる要因の1つです。
企業で就業するには採用ハードルが高いから
AIエンジニアがやめとけといわれる理由として、採用ハードルが高いことが挙げられます。AIエンジニアの採用において、企業は高い基準を設けています。これは、AIプロジェクトが企業の重要な経営資源となっているためです。
採用時に重視される要素には以下があります。
-
・大学での研究実績
・国際学会での論文発表
・AIコンペティションでの入賞経験
このように、採用基準が高く設定されており、大学や大学院などで学習や研究を重ねてきたAIエンジニアとの経験の差を埋めるのは容易ではありません。そのため、AIエンジニアは「やめとけ」といわれています。
Pythonやデータ分析に加え特定分野の専門知識も必要だから
AIエンジニアには幅広い専門知識が必要であることが、やめとけといわれる理由の1つになっています。AIエンジニアに求められるスキルは、Pythonなどのプログラミング言語やデータ分析だけではありません。業界や分野に応じた専門知識も必要となります。
必要とされる主なスキルセットは以下のとおりです。
技術的スキル | 分野別の専門知識 |
---|---|
・Pythonなどの プログラミング言語 ・機械学習フレームワーク ・データ分析ツール ・クラウドプラットフォーム |
・画像認識 ・自然言語処理 ・音声処理 ・医療/金融などの 業界知識 |
このように、AIエンジニアには複数の専門領域にまたがる知識が求められます。特に、AIエンジニアの中でも機械学習エンジニアの領域を目指す場合には、機械学習専門のライブラリやフレームワークを身につける必要があります。学習範囲が広く、習得に時間がかかることが、AIエンジニアは「やめとけ」といわれる要因の1つです。
関連記事:
機械学習エンジニアとは?仕事内容や必要なスキル、将来性などを解説
Pythonによる機械学習入門!できることや勉強方法を紹介
AIエンジニアに向いている人の特徴
AIエンジニアは、特定の素質や興味を持つ人にとって、やりがいのある職種です。以下では、AIエンジニアに向いている人の特徴を説明します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
読解力があり批判的思考ができる人
高い読解力と批判的思考ができる人はAIエンジニアに向いています。複雑な技術文書や研究論文を理解し、その内容を実装に活かす必要があるためです。
たとえば、以下のような場面で読解力と批判的思考が必要となります。
-
・英語の技術文書や論文の理解
・新しいアルゴリズムの検証
・既存のソリューションの改善点の発見
・データの異常値や偏りの分析
AI分野では日々新しい技術や手法が発表されるため、深い読解力と批判的な視点を持つ人は、AIエンジニアという職種に適していると考えられます。
自ら意思決定をして専門性を高めたい人
AIエンジニアには、自律的に学習を進め、専門性を高められる人が向いています。技術の進歩が速いAI分野では、自己主導型学習が大切となります。
具体的には、以下のような行動ができる人が適性を持っています。
-
・新しい技術トレンドの把握と学習
・独自の研究テーマの設定
・問題解決方法の考案
・技術選定の判断
また、特定の分野に関する深い知識を持ちたい、という意欲も重要です。特定の領域に特化したスキルを磨きたいという明確な目標を持ち学習を進められる人は、AIエンジニアとして活躍できる可能性が高いといえます。
研究的かつ探索的な仕事に興味のある人
研究的かつ探索的な仕事に興味のある人はAIエンジニアに向いています。AIエンジニアの仕事には、研究的要素が多く含まれます。新しいアルゴリズムの開発や、既存モデルの改良など、探索的な作業を行うことが少なくありません。
研究的な仕事の具体例は、以下のとおりです。
-
・データの特徴分析
・モデルの性能改善
・新しいアプローチの検討
・実験結果の検証と考察
このような作業には、失敗や試行錯誤がつきものです。そのため、研究や探索の結果が出るまでの過程を粘り強く取り組める、研究的かつ探索的な仕事が好きな人が向いています。
他者と対面で議論をしたりするのが好きな人
AIエンジニアには、他者と対面で議論をしたりするのが好きな人が向いています。AIエンジニアの仕事は、単独での作業だけでなく、チームでの協働も重要です。ほかのエンジニアやビジネス部門との密接なコミュニケーションが必要となります。
たとえば、AIエンジニアは以下のような場面でコミュニケーションが必要となります。
-
・技術的な課題についての議論
・プロジェクトの方向性の検討
・研究成果の発表
上記のような場面では、異なる専門分野の人々と建設的な議論ができる能力や、複雑な技術的概念を分かりやすく説明する能力が求められます。
そのため、技術力だけでなく、意見交換など対面でのコミュニケーションが得意な人はAIエンジニアとして活躍しやすい傾向にあります。
また、そのほかのAIエンジニアに向いている人の特徴については「AIエンジニアに向いている人の7つの特徴、学ぶべき技術」をあわせてご覧ください。
AIエンジニアはやめておいたほうが良い人の特徴
AIエンジニアは「やめとけ」という意見があるように、誰にでも向いている職種ではありません。以下に、AIエンジニアを目指すことを再検討したほうが良い人の特徴を4つ説明します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
新しい情報の継続的なキャッチアップが苦手な人
新しい情報のキャッチアップが苦手な人は、AIエンジニアとして活躍するのが難しい可能性があります。理由としては、AI技術は著しく進化しており、継続的な学習が必要であるためです。
たとえば、新しいアルゴリズムが登場したり、フレームワークやライブラリが改良されたりなど、日々変化していきます。これらの変化についていけない場合、技術的な負債が積み重なり、業務の進行に支障をきたす可能性があります。そのため、新しい情報や技術のキャッチアップが得意でない人は、AIエンジニアとして活躍するのが難しいといえるでしょう。
数学/論理的思考が苦手な人
AIエンジニアの仕事は、数学や論理的思考が不得意な人には適していない可能性があります。AIエンジニアの業務には、数学的な理解力と論理的思考力が必要です。
特に、AIエンジニアに必要な数学の分野として、以下のようなものが挙げられます。
-
・線形代数
・微積分
・確率統計
・情報理論
これらの数学的知識は、機械学習アルゴリズムの理解や実装に直接関わってきます。また、データの前処理や結果の解釈にも、論理的思考力が求められます。
数式を見ただけで苦手意識を感じる人や、複雑な論理構造を組み立てることが苦手な人は、AIエンジニアに向いていないでしょう。
誰かに教えてもらわないと学習できない人
指導やサポートがないと学習が進まないタイプの人は、AIエンジニアの適性に欠ける可能性があります。
AI技術は専門性が高く、高度な知識を持つAIエンジニアを身近で見つけるのは難しいのが現状です。そのため、疑問点が発生した場合は、技術書やオンラインコミュニティを駆使して解決できる能力が重要になります。
たとえば、モデルの精度が上がらないという課題に直面した際に、原因を自分で調査・検証できない人は、実際の業務では通用しない場面が多くなるでしょう。
自分から積極的に学習する習慣がない人や、独力で学習することに不安を感じる人は、AIエンジニアの適性に合わない場合があります。
創造的な作業よりルーティンワークを好む人
創造的な作業よりルーティンワークを好む人は、AIエンジニアに向いていない可能性があります。AIエンジニアの仕事には、創造性と柔軟な発想が必要です。決められた手順どおりに作業を進めるルーティンワークとは性質が異なります。
AIエンジニアに求められる創造的な作業の例は、以下のとおりです。
-
・新しいアルゴリズムの考案
・データの特徴量設計
・モデルの最適化手法の検討
・問題解決アプローチの提案
毎日同じような作業を繰り返すことを好む人や、明確な手順書がない状況で不安を感じる人には、AIエンジニアは向いていない可能性があります。
AIエンジニアになるために必要なスキル
AIエンジニアには、単にコードを書けるだけでなく、AIに関する専門的な知識が求められます。特に以下のようなスキルが必要です。
-
・PythonやR言語などのコーディングスキル
・機械学習やディープラーニングの基礎知識
・データ分析の知識やツールを使いこなす技術
また、上記のほかに、画像処理や自然言語処理、音声処理などの技術や、医学や農学などの特定の分野における専門知識が求められる場合もあります。
そのほか、必要なスキルについては「AIエンジニアとは?仕事内容やなるために必要なスキル、年収を解説」で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。
AIエンジニアはオワコン?気になる将来性
AIエンジニアは、決してオワコンではありません。むしろ、今後ますます需要が高まる分野といわれています。企業のDX推進や、AIを活用したサービスの増加により、AIエンジニアの需要は伸びているからです。
AIエンジニアがオワコンといわれる背景には、AIによる自動化への懸念があります。たとえば、ChatGPTによるコード生成の普及や、ローコード/ノーコードAIツールの登場により、AIへの敷居は確かに低くなってきています。しかし、それらのAIサービスを開発する側であるAIエンジニアの仕事がなくなることは、近い将来では考えにくいです。
さらに、AI技術の進化に伴い、プロンプトエンジニアという新しい職種も生まれています。プロンプトエンジニアは、AI生成コンテンツの品質管理や効果的なプロンプトの設計など、AIツールを効果的に活用するための専門家です。このように、AI技術の発展は従来のAIエンジニアの仕事を奪うのではなく、新たな専門職を生み出しています。
AIエンジニアの需要は今後も継続すると予測され、むしろAI技術の進化に伴って、より専門的なスキルや新しい役割が求められるようになっていくと考えられます。
AIエンジニアに関するよくある質問
AIエンジニアについて、よくある質問と回答を紹介します。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
Q1. AIエンジニアの年収はいくらですか?
厚生労働省が運営する職業情報提供サイトjobtagによると、AIエンジニアの平均年収は558.3万円となっています。ただし、この金額は経験年数や技術力、勤務する企業の規模などによって変動します。また、高度な専門性を持つAIエンジニアの場合、年収が1000万円を超える可能性もあります。
AIエンジニアの年収の詳細は「AIエンジニアの年収は?傾向や年収アップの方法を解説」をご覧ください。
Q2. 未経験でもAIエンジニアになれますか?
ITエンジニア未経験者にとって、AIエンジニアへの転職はかなりハードルが高いものの不可能ではありません。AI開発の基礎を学び、資格を取得するなどの段階的なアプローチを踏めば実現できる可能性があります。
未経験でAIエンジニアになる方法の詳細は「未経験でAIエンジニアになるには?必要なスキルや役立つ資格を紹介」「未経験でAIエンジニアに転職できる?20~40代の求人例や採用要件」をご覧ください。
Q3. AIエンジニアになるのに資格は必要ですか?
AIエンジニアという職種に就くために、必要な特定の資格はありません。しかし、AI実装検定やG検定、E資格などを取得しておくと、スキルの証明や転職時のアピールポイントとして役立ちます。
そのほか、AIエンジニアにおすすめの資格の詳細は「AI関連の資格おすすめ15選!取得のメリットや勉強方法も解説」をご覧ください。
まとめ
この記事では、AIエンジニアが「やめとけ」といわれる理由や適性、必要なスキル、将来性について詳しく解説しました。
AIエンジニアがやめとけといわれる理由としては、高度な技術力が必要なことや、技術の進歩が速く追いつくのが大変なこと、採用のハードルが高いことなどが挙げられます。
一方で、AIエンジニアは、企業のDX推進やAIを活用したサービスの増加により需要が高いです。また、プロンプトエンジニアなど、AIを活用する新たな職種も生まれていることも紹介しました。
AIエンジニアという職種は確かに参入障壁が高いものの、着実に学習を進め、必要なスキルを身につけていけば、将来性のある魅力的なキャリアとなります。この記事の内容を参考にして、キャリアプランの1つとして検討してみてください。
※本記事は2025年4月時点の情報を基に執筆しております