本当にITエンジニアは大変なのか?
IT業界では「エンジニアはつらい」という声が聞かれますが、何を大変と感じるかは人それぞれのため、一概にしんどい仕事かどうかを判断するのは難しいです。
一般的に大変と言われる主な理由として「納期がきつい」「残業が多い」「常に自己学習が必要」などが挙げられます。
特に若手エンジニアの中には、想像以上の業務量や技術的な要求の高さに戸惑い、早期離職を選択するケースも少なくありません。また、ベテランエンジニアでも、急速な技術革新への対応や、増大する責任に疲弊することがあります。
しかし、このような状況は必ずしもIT業界全体に当てはまるわけではありません。実際には、充実した教育制度や働きやすい環境を整備している企業も多く存在します。そうした企業では、エンジニアの離職率も低い傾向があります。
以降では、エンジニアがつらいと感じる具体的な理由とその対処法について、詳しく解説していきます。
ITエンジニアがつらいと感じる理由8選
改めて、ITエンジニアがつらい・大変と感じる理由は、以下の8つです。
以下では、それぞれの理由を深堀して解説します。
関連記事:システムエンジニアの仕事はきつい?やめとけといわれる5つの理由
納期がきつい
多くのエンジニアが直面する課題の一つが、「厳しい納期」です。スケジュールの見積もりが非現実的なケースや、顧客都合による突発的な仕様変更が発生することも少なくありません。プロジェクトマネージャーの経験不足や、営業部門との連携不足により、技術的な難易度を考慮しない納期設定がなされる場合も多々あります。
また、上流工程での遅延が下流工程に大きな影響を与え、開発期間が著しく圧縮されるケースがあります。
結果として、エンジニアは常に時間を気にしなくてはならず、心身ともに大きな負担を抱えることが多いです。
システムエンジニアの仕事内容ややめとけと言われている理由は、以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
残業・休日出勤が多い
IT業界特有の労働時間の問題も大きな課題です。ITエンジニアの仕事は、納期遵守のための残業や、システムトラブルによる深夜・休日の緊急対応が発生することが多いです。特に運用保守フェーズでは、システム障害への即時対応が求められるため、休日や深夜であっても呼び出しを受けることがあります。
また、大規模なシステム更新や移行作業は、利用するユーザーへの影響を最小限に抑えるため、休日や深夜に実施されるケースが一般的です。このような不規則な勤務体系は、エンジニアの私生活や健康に大きな影響を与えています。
常に自己学習が必要
技術革新の速いIT業界では、継続的な学習が必須となります。新しい言語やフレームワーク、開発手法の習得に加え、セキュリティ対策や法令順守など、技術以外の知識も求められます。これらは業務時間外に自己学習をしなければならないケースが多いため、負担を感じるエンジニアは少なくありません。
平日の残業や休日出勤が多い中で、さらに自己学習の時間を確保することは非常に困難です。また、資格取得や技術書の購入など、金銭的な負担も無視できません。
エンジニアの最初のキャリアとして多くの方が歩む「プログラマー」の仕事に必要なスキル・知識について、詳しくは以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:プログラマーに必要なスキル・知識とは?資格や学習方法も紹介
業務の幅が広い
現代のITエンジニアには、幅広い知識と技術が求められます。たとえばシステムエンジニアの場合、以下のような業務があります。
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・プロジェクトの管理・要件分析や要件定義
・基本設計や詳細設計
さらに、ビジネス上の課題解決力や業界知識も重要視されています。
特に中小企業では、一人のエンジニアが複数の役割を担当することも多く、専門性を深めることと幅広い知識の習得の両立が必要になることも多いです。このような状況は、特に経験の浅いエンジニアにとって大きな負担となっています。
システムエンジニアの仕事の詳細は、以下の記事で解説しているので、気になる方は覗いてみてください。
関連記事:システムエンジニアとは?仕事内容や年収を分かりやすく解説
業務量と給料が見合っていない
エンジニアの責任や業務量、求められるスキルレベルに比べて、給与水準が適切でないと感じるエンジニアは多いです。特に、みなし残業代がある企業や、スキルアップが給与に反映されにくい環境では、モチベーション低下につながります。
前述したように自己学習のための費用が自己負担となる場合も多く、給与面での不満を感じるエンジニアも少なくありません。
また、同じスキルレベルでも企業によって給与格差が大きいことも、不満の要因となっています。特に日本のIT業界は、大手企業ほど給料が高く、福利厚生も充実している傾向にあります。
そのため、給料に不満があるなら、他の企業で働くエンジニアの年収相場をチェックしてみるのもおすすめです。
クライアントに振り回されるケースが多い
ITエンジニアの仕事では、開発途中での度重なる仕様変更や、技術的に実現困難な要望や納期設定を受けることが少なくありません。
たとえば、「競合他社のサービスと同じ機能を即座に実装してほしい」「予算は変えずに追加機能を実装してほしい」といった要望が挙げられます。また、クライアントの意思決定の遅れが開発スケジュールに影響を与えるにもかかわらず、納期は変更できないというジレンマに直面することも珍しくありません。
このようなクライアントに振り回されてつらい・大変と感じている方は、転職で労働環境を変えるのも、解決手段の一つとしておすすめです。特に自社開発を行う企業であれば、クライアントに振り回されることも少なく仕事に打ち込めます。
コミュニケーション能力が求められる
エンジニアには高度な技術力だけでなく、優れたコミュニケーション能力も必要です。顧客との要件定義、チーム内での情報共有、非エンジニアへの技術説明など、さまざまな場面でコミュニケーションスキルが試されます。
また、リモートワークの増加に伴い、オンラインでのコミュニケーション能力も重要視されています。対面でのコミュニケーションと比べて意思疎通が難しいとされるオンライン環境では、より正確で分かりやすい情報伝達が必要です。
このように、純粋な技術スキルとは別に、高度なコミュニケーション能力が求められることは、元々技術志向が強く、交流を得意としないエンジニアにとっては、負担となりやすいでしょう。
やりたいことが違う
ITエンジニアは、入社時や転職時に描いていた理想と現実のギャップに悩まされるケースが少なくありません。特に、技術的な興味や理想と、実際の業務内容との不一致は深刻な問題です。
たとえば、業務命令でエンジニアから別の職種に変更を提案されるケースもあり、モチベーションの低下につながることも珍しくありません。
ITエンジニアがつらいと感じた際の対処法4選
ITエンジニアがつらいと感じた際の対処法は、以下のとおりです。
これらの対処法を実行することで、ITエンジニアの仕事に感じているつらさ・大変さの解消を図れます。今の仕事に不満を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
つらいと感じた原因を分析する
今の仕事がつらいと感じるなら、まずは冷静に現状を見つめ直し、具体的な問題点を特定することが重要です。具体的には、以下の内容を分析してみましょう。
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・業務の何が最もつらいのか?・何が原因でつらいのか?
・つらいことは今の職場で解消できそうか?
上記の内容を分析することで、自分でコントロール可能な要因と、環境に起因する要因を区別でき、効果的な解決策を見出せます。問題の本質を理解することで、的確な対策を講じられます。
上司や同僚に相談する
今の仕事がつらい・大変と感じている方は、上司や同僚に相談することで、新たな視点や解決策が見つかるかもしれません。なぜなら、周囲の人のなかには同じような経験をしている人もいるかもしれず、有益なアドバイスを得られる可能性があるからです。
特に、技術的な課題や業務の進め方について、経験豊富な先輩エンジニアからのアドバイスは非常に価値があります。また、社内にメンター制度がある場合は積極的に活用しましょう。定期的な1on1ミーティングなども、課題を共有し解決策を見出す良い機会となります。
つらい理由を解消するアクションを起こす
仕事がつらいと感じた時に効果的な対処法には、解消のためのアクションを起こすことが挙げられます。たとえば、業務量が多くつらい場合は、タスク管理ツールを活用したり、同僚からアドバイスをもらったりして業務の効率化を目指すのがおすすめです。
また、スキルが足らないことにつらさを感じている場合は、スクールに通ったり、独学で勉強したりすることで、足りないスキルを補いましょう。
つらい原因がわかっていても、解消のために行動できなければ、いつまでもつらいままです。原因が明確になっている方は、勇気を持って今の環境を改善するための行動を取りましょう。
なお、社内SEに必要なスキルは以下の記事で解説しているので、スキル不足で悩んでいる方はぜひご覧ください。
関連記事:社内SEに必要なスキルや経験・資格一覧!スキルアップする方法も解説
転職を検討する
現在の環境で改善が見込めない場合は、転職も有効な選択肢の一つです。ただし、転職を決断する前に、現在の問題点を明確にし、転職後も同じ問題に直面しないよう慎重な検討が重要です。
加えて、転職市場の動向やスキルの市場価値を把握し、自身のキャリアプランに合った企業を選択しましょう。また、転職活動を始める前に、現在の職場での経験や技術力を十分に積み上げておくことで、より良い条件での転職がしやすくなります。
とはいえ、転職が初めてな方が上記の内容を一人で実施するのは困難です。IT特化型の転職エージェントであるレバテックキャリアは、ITエンジニアの転職を成功させるためのノウハウを提供しています。以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:ITエンジニア転職の全ノウハウ!面接・職務経歴書の書き方など
理想の企業へ転職するために確認すべきポイント
理想の企業へ転職するためには、以下のポイントを押さえたうえで企業選びを行いましょう。
それぞれのポイントについて詳しく解説します。転職を成功させて今の環境を改善したい方は、ぜひ参考にしてください。
研修・資格取得支援などの充実度
企業の教育支援制度は、長期的なキャリア形成において重要な要素です。特に、エンジニア未経験の方は、転職先を選ぶ際に重視すべきポイントです。具体的には、企業の新入社員研修や技術研修の内容、頻度、期間などを確認しましょう。
また、社内勉強会の開催頻度や、外部セミナーへの参加支援、技術書籍の購入補助などもスキルアップの機会として重要です。メンター制度の有無や、新しい技術へのキャッチアップ支援体制についても確認がおすすめです。
このような研修・資格取得支援が充実した企業を選ぶことで、スキル不足により仕事がつらくなることを防げます。
現職と比べた時の年収
給料に不満がある方は、転職先を選ぶ際に現職と比べた時の年収を確認しましょう。比較する際は、基本給だけでなく、賞与や残業代、各種手当、昇給制度など、総合的な待遇を確認することが大切です。
特に、残業代の計算方法や支給基準、みなし残業の有無などは、実収入に大きく影響します。また、昇給やボーナスの実績、評価制度の透明性なども重要なチェックポイントです。スキルアップや責任の増加に応じた給与の変動についても、具体的な事例を確認しておくことをおすすめします。
自社開発の有無
自社開発と受託開発では、仕事の進め方や技術選定の自由度が大きく異なります。自社開発は、社内でシステム開発を進めるため、スケジュールの調整がしやすい点がメリットです。クライアントワークではないためスケジュールに余裕を持たせたり、状況に応じて納期を調整したりできます。
一方、受託開発では、クライアントの要望に応じた開発となるため、使用する技術や開発手法が制限される可能性が高いです。加えて、前述のようにクライアントに振り回されてストレスが溜まることも懸念されます。
そのため、現職での受託開発の仕事につらさや大変さを感じている方は、自社開発の企業に転職するのがおすすめです。
まとめ
エンジニアの仕事には確かにさまざまな課題がありますが、それらは決して乗り越えられない壁ではありません。つらいと感じる原因を適切に分析し、必要な対策を講じることで、より充実したキャリアを送れます。
重要なのは、問題を放置せず、積極的に解決に向けて行動を起こすことです。スキルアップや環境の改善に取り組み、必要に応じて転職という選択肢も視野に入れることで、自身のキャリアを前向きに構築していけます。
また、転職を考える際は、単に給与だけでなく、教育支援体制や開発環境など、総合的な視点で企業を評価することが重要です。慎重な企業選びを行うことで、より良い環境で能力を発揮し、エンジニアとしての成長を続けられます。
※本記事は2025年3月時点の情報を基に執筆しております