Ubuntuとは?特徴や強み、できることを解説

最終更新日:2024年3月13日

UbuntuはLinuxの派生OS(オペレーティングシステム)の1つです。Linux系OSは安定性が高く安価なことから、企業向けサーバーOSとして広く使われています。中でもUbuntuは、一般PC用のみならずサーバー用OSとしても評価が高まっています。また、初心者でも比較的扱いやすく開発環境を容易に構築できるため人気があります。

ここでは、Ubuntuの成り立ちや概要、特徴、サーバーOSとしての魅力などを紹介します。

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この記事のまとめ

  • Ubuntuは、オープンソースで使えるLinuxをベースとした派生OSの1つ
  • Ubuntuは、「直感的で使いやすい操作性」や「充実したカスタマイズ性」、「Windowsとの互換性がある」ことなどから人気で初心者にもおすすめ
  • Ubuntuはサーバー用途としても広く使われ、世界規模で高いシェア率を誇っている

Ubuntuとは

Ubuntuはユーザーの使いやすさを重視した無料で利用できるLinux系OSの1つとして、2004年に公開されました。OSはコンピューターのシステムを管理するために不可欠なものです。つまり、パソコンやスマートフォン、アプリケーションなどはOSがなければ使用できません。

Ubuntuは、2005年10月頃から「Ubuntu Japanease Team」による日本語化が進み、国内でも急速に普及していきました。企業のWebサーバーOSとしても広く利用されています。Ubuntuの特徴は「一般のデスクトップPC」での使用を想定して進化してきたことです。

これはサーバー用途を主軸とするLinux系OSの中では珍しく、コンピューターへの指示は、テキストコマンドのみで操作するCLI(Command-Line Interface)よりも、ユーザーがクリックなどで視覚的に操作できるGUI(Graphical User Interface)ベースの操作に力を入れているといわれています。

Linuxとは?

Linuxは1991年にリーナス・トーバルズ氏が趣味で開発したオープンソースのOSです。

「カーネル」と呼ばれるOSの核の部分は無償で公開されています。そして、カーネルに複数のソフトウェアが追加され、1つのOSとなっているものを「ディストリビューション」と呼びます。これをもとに使途に応じたさまざまなディストリビューションが開発されています。

このディストリビューションの豊富さがLinuxの強みの1つです。大きく「Red Hat系」「Debian系」「Slackware系」に分類されます。それぞれ、パッケージ化されているソフトウェアは異なります。

Red Hat系OS

Red Hat系は企業向けに作られており、商業用のディストリビューションといえます。代表的なOSとしては「Red Hat Enterprise Linux(通称:RHEL)」があります。また、Red Hat系OSはRPM方式でのパッケージ管理を採用しており、機能の管理が容易である点が特徴です。主なRed Hat系OSとしては、以下が挙げられます。

  • ・CentOS

    ・Fedora(旧Fedora core)

Debian系OS

Red Hat系OSと双璧を為す存在が、Ubuntuも属するDebian系OSです。Debian系OSは、パッケージ管理のコマンドとして「apt」を採用しており、パッケージ間の依存関係を迅速に解消できることが強みです。主なDebian系OSとしては、以下がよく知られています。

  • ・Ubuntu

    ・Steam OS(ゲーミングPC特化型OS)

    ・Raspbian(Raspberry Pi用OS)

Slackware系OS

Linuxが普及し始めた時期に勢力を拡大した一派でしたが、近年は前述の2派に押され気味であり、それほど知名度は高くありません。

  • ・open SUSE

    ・Slackware

Ubuntuの特徴

Ubuntuには、自分で何かを開発したい方や初心者の方にもおすすめできる特徴が挙げられます。また、その特徴から、操作性にこだわりたい方や自分好みにカスタマイズしたい方にも適しているといえます。

UbuntuとほかのOSの特徴を比較してみると、Ubuntuの良さが分かったり、逆に使いにくそうと感じたりもする場合もあるでしょう。使う人によって目的やこだわりが違うため、どのような人にでもUbuntuがおすすめできるわけではありません。

だからこそ、Ubuntuをこれから使ってみたいと考えているなら、ぜひ特徴を押さえておきましょう。機能性や操作性について知れば、Ubuntuがどのようなものなのかをさらに理解できます。

使いやすくユーザーフレンドリーなGUI

Linuxといえば、コマンド入力によって操作するCLIベースの操作を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、Ubuntuは一般のデスクトップPCでの操作を想定しているだけあって、GUIでマウスでの操作ができ非常に使いやすい特徴を持っています。その操作性はWindows OSやMacOSと大差がありません。

インストール後すぐに使える

Ubuntuはほかのデスクトップ用OSと同じように、インストール後、すぐに立ち上がり使用できるのも強みです。基本的な機能は初期インストールが完了した段階で全て揃っており、パッケージ管理や依存関係の解消など、面倒な作業を行う必要がありません。一度インストールすれば、インターネットやゲームなどのアプリケーションがすぐに使えます。

aptコマンドの刷新

UbuntuではDebian系OSで使われていたパッケージ管理コマンド「apt-get」「apt-cache」を刷新し、「apt」コマンドに統一しました。この変更は、バージョン14.04から行われ、パッケージに関する操作がよりシンプルになったことを示しています。

Windows OSとの互換性

Ubuntuのデスクトップ構成は至ってシンプルであり、Windowsアプリとの互換性も有しています。またMicrosoft社のOffice系アプリとの互換性を持つ無償のOffice系アプリ「OpenOffice」を搭載しているため、文書作成や表計算、プレゼンテーションなどを使った作業もすぐに開始できます。

日本語に対応している

Ubuntuは国際的な普及を目指し、多数の言語化が進んでいます。もちろん日本語化もされており、2005年11月からUbuntu Japan Teamという団体が発足し、日本語サポートを行っています。また、Ubuntuの使用方法やトラブルの解決方法などの情報を提供しているほか、日本語環境に対応したパッケージも配布しています。日本ユーザーにとって有益なコミュニティーです。

日本語化が進んだことで日本全体でもUbuntuの普及が進み、企業や学校などの施設でも利用されるケースが増えています。Ubuntuは日本語環境でも十分に利便性の高いOSといえるでしょう。

派生ディストリビューションが豊富

Ubuntuには、多数の派生ディストリビューションが存在していて公式のものだと10種類あるといわれています。たとえば、教育向けの用途に合わせたEdubuntu、Unityのデスクトップ環境を備えたUbuntu Unity、モダンなデザインでGNOMEの技術を採用したUbuntu Budgieなどです。

それぞれデスクトップ環境や特化しているものが異なります。10種類のディストリビューションから用途や好みに応じて選択できるのはUbuntuの特徴といえます。

Ubuntuでできること

次に、Ubuntuでできること、強みなどを紹介していきます。「Ubuntuで何ができるのか」「なぜUbuntuが選ばれるのか」、よく分かっていない人も多いのではないでしょうか。

Ubuntuは、Linuxとの関係性が難しく捉えられがちですが、機能やメリットを1つずつ理解していくと多くの人に選ばれる人気の理由も分かるでしょう。自分の好みに合わせたカスタマイズができるほか、操作がしやすい、目的に応じて使い方が選択できるなど、Ubuntuはさまざまな機能を兼ね備えています。

WindowsやMacに寄せるカスタマイズ

UbuntuはWindowsやMacに寄せたカスタマイズが可能です。たとえば、アイコンやテーマをダウンロードすれば、デスクトップの見た目をWindowsまたはMacのように変えたり、格好良い・お洒落な見た目に変えたりできます。また、ショートカットキーの設定もカスタマイズできるため、Windowsに寄せたい場合はWindowsと同様のショートカットキーが設定可能です。

Ubuntuは、WindowsやMacなどの一般的なデスクトップPC向けOSと同じように、マウスとキーボードによる直感的な操作をベースとしているため、操作しやすいのがメリットです。

コマンドを基本としたCLIベースのOSのように「コマンドが分からないから操作できない」「細かいオプションの指定が理解しにくい」といった問題が発生しにくいです。このことが、「初心者でも扱いやすく馴染みやすい」という強みにつながっています。

コマンド操作も可能

Ubuntuは、Linux系OSの特徴であるCLIベースのコマンド操作にも対応しています。コマンド操作の利点としては「メモリーやCPUなどリソースの消費量が少ない」「複数のバッチ処理などをまとめて実行できる」「脆弱性を回避しやすい」などが挙げられます。いわゆる「ビジネスユースのサーバー用途」ではCLIの強みが強調されやすいでしょう。

豊富なソフトウェアを無償で利用可能

Ubuntuには「Ubuntu Software」と呼ばれる機能が搭載されています。Ubuntuをダウンロードし、Ubuntu Softwareを起動すれば、業務用アプリやサーバー用途を想定したアプリが入手できます。そのため、ほかのWebサイトなどからソフトウェアを探してくる手間がありません。

また、ソフトウェアはすべて無料で簡単にインストール可能なため、コストがかからずコマンド操作に慣れていない初心者にもおすすめです。

サーバー用OSとしても利用可能

Ubuntuは一般のデスクトップPC用OSとして知名度を高めてきましたが、近年はサーバーOSとしても注目されています。ほかのサーバー向けディストリビューションとの差が縮まっており、「プログラミング言語ごとのパッケージ管理」や「コンテナ技術の使用」も可能になっています。もともと商用版が存在しない完全無償のOSであることから、安価にサーバーを構築したい場合に選択されることが多いようです。

サーバーOSとしてのUbuntuの魅力

UbuntuはサーバーOSとしても広く知られています。そのシェア率は世界規模でも高く、多くのユーザーが利用しています。そのような高い支持を誇っている理由は、Ubuntuの魅力にあるといえるでしょう。Ubuntuは、大きなコミュニティによって日々さまざまな意見や情報が発信され、頻繁に改善と更新を繰り返しています。

ではもう少し具体的にサーバーOSとしてのUbuntuの魅力を紹介します。

開発コミュニティの大きさと活発さ

Linux系ディストリビューションの無償サーバーOSとしては、長い間「CentOS」が人気を集めていました。しかし近年は、安定性の高さやコミュニティの充実度、セキュリティの面からUbuntu Serverも評価されています。

具体的には、「Ubuntuコミュニティの大きさ、優秀さ」が挙げられます。Ubuntuの開発コミュニティはCentOSよりも大きく、公開されているナレッジ(ドキュメントなど)も豊富です。

Ubuntuに限らず、オープンソースソフトウェアは「開発コミュニティがいかに大きく活発か」が、その評価を大きく左右します。開発コミュニティが大きく活発であれば、情報交換の頻度も高くなり、「有事の際に解決法を入手できるまでの時間」が早くなるからです。

パッケージの更新頻度

サーバー用途ではさまざまなパッケージを必要としますが、肝心のパッケージ本体が更新されなければ、いつまで経っても新しい機能を利用できません。

Ubuntuはパッケージ更新頻度が高く、常に最新の機能を利用しやすいという強みを持っています。一方でCentOSの場合は、重要かつ最低限必要なパッケージのみが更新される傾向にあります。

Webサイト向けOSではUbuntuがシェアトップクラス

Ubuntuはパッケージのインストールや管理も比較的簡単であり、小規模なシステムのサーバーとして使用するのであれば、CentOSよりも優秀といえるかもしれません。このことを示すように、Ubuntuのシェアは Linux系ディストリビューションの中でも特に高く、2024年2月時点で約25%です。(※)

※参考:W3Techs「Historical trends in the usage statistics of Linux subcategories, February 2024」

Ubuntuの活用に向いている人

Ubuntuに触れてみたいと思っても、普段使っているPCのOSが異なるために、その機会がない方も多いのではないでしょうか。Ubuntuはオープンソースのため、使うには自分でインストールする必要があります。また、自分で情報を集めなければインストール方法や操作方法も分からず困ることもあるでしょう。そのため、Ubuntuを扱うには主体的に機能や扱い方を勉強する向上心も必要です。

以下のような条件に該当するなら、特にUbuntuがおすすめといえます。

使っていないPCを活用したい人

自宅に私用していないPCがあれば、すぐにUbuntuをインストールして試すことができます。無料な上に古いPCでもUbuntuなら動作も早く、サーバーとして利用したりOSとして利用したりと活用方法はさまざまです。手元に使用しないPCがない場合は、PCを買い替える際に処分せずに残しておくと良いでしょう。

OSについて勉強したい人

UbuntuはOSについて学ぶのにおすすめです。Web上で公開されているソースコードなどを活用すればコードを変更して動作を確認できるため、アウトプットにも効果的です。ただし、一般的にはWindows OSやMacOSが主流であり、OSとしての情報量が少ないため、Ubuntuの扱い方や細かい設定方法などを主体的に調べて学んでいける人に向いています。学習サイトや参考本なども併用して手を動かしながら学んでいくとより効果的でしょう。

Ubuntuのインストール方法

Ubuntuを日本語で使いたいのであれば、Ubuntu Japan TeamのWebサイトから簡単にダウンロード可能です。ダウンロードページに遷移するとデスクトップ用とサーバー用に分かれているため、目的に応じて選択してください。

ここでは、デスクトップのLTS版をダウンロードする場合の大まかな流れを紹介します。LTS版は5年間無料でセキュリティ・メンテナンスのアップデートが保障されているものです。

  • 1.Ubuntu Japan Teamのダウンロードページにアクセス

    2.Ubuntu Desktop LTSのインストーラのダウンロード

    3.インストールページに遷移後、Ubuntuをインストール

    4.完了通知を確認後、PCを再起動すれば利用可能

Ubuntuをインストールする前には、必ず推奨システムの条件を確認しましょう。「デュアルコアプロセッサ2GHz以上」「 システムメモリ4GB」「ハードドライブ空き容量25GB」、という3つの条件をすべて満たすのであれば問題なく利用可能です。

Ubuntuに関するよくある質問

IT業界ではLinuxはサーバーとして広く使われているため、業務上で触れる機会が多いといえます。また、サーバーの仕組みを勉強する過程でLinuxを知り、同時にUbuntuを初めて知る方もいるでしょう。そのような多くの人がUbuntuに関心を持つ理由は、趣味だったりスキルアップのためだったりとさまざまですが、気になる部分は大体同じようです。

ここでは、Ubuntuに関するよくある質問とその回答を紹介します。

Q1. Ubuntuが人気の理由を教えてください

人気の理由は、開発環境としての高い安定性が挙げられます。開発には開発環境の構築が必須ですが、Ubuntuならその手間が省けます。手持ちのPCを仮想環境として利用できるのは大きなメリットでしょう。そのため、「仮想環境で試行錯誤しながら自分で何かを作ってみたい」といった人からも人気です。

Q2. Ubuntuの欠点は何ですか?

Windowsとの互換性はあるものの、完全に同じアプリケーションではないため、Ubuntuを使いこなすのが難しいと感じる人もいるでしょう。また、周辺機器を使用する場合にはLinuxに対応した製品でなくてはいけません。さらにリリース直後は動作が不安定になる傾向が見られます。

まとめ

UbuntuはLinuxの派生OS(ディストリビューション)の1つです。UbuntuはもともとGUIの充実が強みでしたが、近年はサーバー用OSとしても評価が拡大しています。Webサイト向けOSとしては、シェア率も高いです。

Windows OSやMacOSと違い無料で簡単に使えるため、手軽にUbuntuを試せるのは初心者にとってもメリットです。IT業界ではサーバー用途で使われることが多く、Ubuntuを使いこなせれば業務上でも役に立ちます。また、UbuntuはLinuxをベースとしているので、実際に使いながら学習していけばLinuxのOSやサーバーの知識も深められるでしょう。

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この記事の監修

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