- ゲームイラストレーターとは?
- ゲーム業界のイラストレーターに必要なスキル
- ゲーム業界のイラストレーターに向いている人の特徴
- ゲーム業界のイラストレーターを目指す方法
- イラストレーターの年収相場と求人例
- ゲームイラストレーターに関するよくある質問
- まとめ
ゲームイラストレーターとは?
ゲーム業界を専門に活躍するイラストレーターは「ゲームイラストレーター」と呼ばれており、主な仕事内容はゲームに登場するキャラクターやアイテム、背景などのイラスト制作です。かつてはコンシューマーゲームの案件がメインでしたが、現在では市場の変化に伴いスマートフォン向けのソーシャルゲームの案件が増えています。
イラストレーターは会社勤めでゲーム制作に携わる場合と、独立してフリーランスとして活動する場合があるため、それぞれのケースに分けて解説します。
ゲームイラストレーターの仕事内容
ゲームイラストレーターとは、イラストを描く仕事であるイラストレーターの中でもゲーム制作に特化したクリエイターを指します。名前の通り、ゲームイラストレーターはゲーム業界を中心に活動します。
コンシューマーゲームからアプリゲームまでさまざまなジャンルがありますが、イラストレーターの仕事の多くはソーシャルゲーム(アプリゲーム)に使用されるキャラクターデザインやイラスト制作です。キャラクターだけでなく、背景や小物、システムコマンド部分のエフェクトなど制作するイラストの種類は多岐にわたります。
会社勤めの場合
ゲーム業界で働くイラストレーターは、ゲームプランナーやアートディレクターの指示を受けながら、キャラクターやアイテム、背景、バナーなどの制作を行います。自由にイラストを描くというよりも、与えられる仕様書や指示書に記載されたゲームの世界観や設定に合うイラスト制作が求められる点が特徴です。
多様な企画を抱えるゲーム会社の場合、恋愛ものから歴史ものまで、異なるジャンルのイラストが求められるので、その世界観にあった作品に仕上げるスキルが必要です。また、ジャンルによってキャラクターの動きや色合いが大きく異なってくるため、ユーザーが違和感なくゲームの世界に没頭できるイラストを心掛ける必要があるでしょう。
イラストレーターとして採用された当初は、細かなアイテム等のデザインや、イラスト制作工程の一部分のみを担当するケースが多いかもしれません。しかし、自分のスキルや得意なジャンルをアピールし、社内で実績を重ねていけば、主要なキャラクターデザインや世界観を描くような仕事が任せられるようになるでしょう。
フリーランスの場合
ゲーム会社がフリーランスへ仕事を委託するのは、特定のスキルやジャンルに対応できる専門家が不足している場合や、人員が足りない繁忙期です。ラフ画像の作成のみ、あるいは着色のみなど、一部の工程のみをフリーランスが担当するケースもあります。
フリーランスとして仕事を続けていくには、複数のゲーム会社から仕事を依頼されるだけのスキルを磨き、実績を重ねていかなければなりません。フリーランスは自己の裁量で仕事が決められる一方、自分で営業活動をしなければ会社員ほど安定した仕事ができません。
上記の理由から、未経験のイラストレーターがフリーランスとして活動するのは難しいので、まずは会社員として実績を積むキャリア戦略が推奨されます。
関連記事:ゲームプログラマーとは - 仕事内容をわかりやすく紹介します
ゲーム業界のイラストレーターに必要なスキル
ゲームイラストレーターに必要なスキルとは、イラストレーターに必要である基本的なスキルからゲーム業界ならではの知識・技術など幅広いのが特徴です。
デザインスキル、ツールスキル、発想力などの能力、コミュニケーションなどのソフト面に対するスキルの4つに分けて解説します。
デザインスキル
イラストレーターになるにはスキルが重要です。学歴は必須ではないと言われていますが、多くの人が美術系の大学や専門学校でイラストやデザインスキルを習得しています。業務で仕様書に合致したイラストを描くには、自分の感性だけではなく、美術やデザインの理論に従った制作がセオリーです。
例えば、人物を描くには骨格や筋肉の動き方を理解した上で、それに従うような表現が求められます。その他にも、構図、光源、質感などを理解し、様々な表現ができるようにすると、幅広いジャンルのイラストに対応できるでしょう。
想像力
ゲーム制作におけるイラストレーターの仕事には、必ず指示書が提示されます。ただしこの指示書や企画書は必ずしもディテールが決まっているわけではなく、時にはイラストレーターが細かな設定を提案することもあるでしょう。
オーダーが抽象的なことも多いため、ゲーム制作側がどのような制作物を求めているのか雰囲気などを掴んだ上で想像力を働かせて業務に当たらなければなりません。想像力を育むにはさまざまなデザインに触れることが大切なので、日ごろから意識するのをおすすめします。
関連記事:ゲームプランナーとは?仕事内容、年収や求められるスキルも解説
デザインツールを扱うスキル
近年は、デジタルツールを使った制作が一般的です。PhotoshopやIllustratorなどのデザインソフト、SAIやClip Studio Paintといった2Dペイントソフトに習熟しているのは必須のスキルといえます。
他にも、場合によってはMayaや3ds max等の3Dモデリングソフト、Adobe After Effectsなどの映像制作ソフトが使われるケースがあります。
また、ハードウェアに目を移すと、ペン状のスティックで描画操作を行うペンタブレットの利用が欠かせません。パソコンでイラスト制作を行うのに必須のデバイスなので、ペンタブレットの利用に慣れておくと良いでしょう。
コミュニケーションスキル
ゲームプランナーやアートディレクターと打ち合わせを行い、チームとして作業を行うため、イラストレーターとして働くのに高いコミュニケーションスキルが欠かせません。仕様書や指示書に書かれた要件を理解し、疑問があったら適切なタイミングで質問できるようなコミュニケーションスキルが求められます。
ゲーム業界のイラストレーターに向いている人の特徴
イラストレーターに限らずクリエイティブな職業は、人気が高い分個人のセンスや技術が求められるため、続けるにはシビアな場面も多いです。また向き不向きのある職業であるため、目指す際に自分には適性があるのかどうかを見極めることも大切です。
そこで、ゲーム業界のイラストレーターに向いている人の特徴をまとめました。一つずつチェックしていきましょう。
イラストへの情熱
趣味でイラストを描くのとは違い、プロのイラストレーターとして成功するには、自己を表現する機会を得るために努力し続ける強い情熱が必要です。自分の描きたいジャンルや作風とは異なるものを作らなければならない状況があるかもしれませんが、長期的に見てイラストレーターとしてのキャリアにこだわりを持って挑む態度が求められます。
イラスト制作を通じて、周囲の期待に応えることにやりがいを感じる人やものづくりに対して深い愛着を持てる人は、プロのイラストレーターに向いているといえるでしょう。
創造力
イラストレーターは、主要なキャラクターデザインやゲームの世界観を生み出す仕事を任されるため、世界観に沿ってオリジナリティ溢れる作品の制作が求められます。したがって、通常は数パターンのデザインを制作し、その中から採用するデザインをディレクターなどが決めます。
イラストレーターとして働き始めた段階では、仕様書や指示書に従うことが大切ですが、経験を重ねる中で、自分の個性を見つけていく態度も求められるでしょう。
継続的な学習意欲
どんなにイラストの上手い人でも、イラストレーターとして活躍している人は、継続して新たな知識・技術を吸収しています。自分のやり方に固執し過ぎず、流行や優れた作品からアイデアを吸収したり、他人の意見・アドバイスを取り入れたりできる人は、イラストレーターとして成功する可能性が高まるでしょう。
イラストの幅が広い
冒頭でもお伝えした通り、ゲームイラストレーターは背景からアイテムなどの小物、システムコマンド部分などさまざまな箇所のイラストを担当します。ソーシャルゲームの流行にともない、アイコンとして使用する「デフォルメ絵」を求められることもあるため、描けるイラストの幅が広いとより重宝されるでしょう。
ゲームイラストレーターを目指すなら、一部分の分野で使用できるイラストを突き詰めるよりも、さまざまなタッチのイラストが描けるように柔軟に習得することをおすすめします。
チームで仕事ができる
イラストレーターとは基本的に「イラストだけ担当する」ために一人で仕事をする場合も多いです。自分だけで業務が完結するのは最低限のやり取りでさまざまな案件に取り組めるというメリットもありますが、ゲーム制作においては複数人のイラストレーターやプランナー、エンジニアなどがチームになって行うことがほとんど。
そのため、やり取りを円滑にできるコミュニケーション能力が高い人は、ゲームイラストレーター向きです。チームでの仕事を苦痛に思わない、むしろ得意という人は適性があるといえるでしょう。
ゲーム業界のイラストレーターを目指す方法
ゲームイラストレーターになるには、まずはイラストレーターとしての基礎知識を身に着けた後にゲーム制作に特化した企業に所属するか、副業としてゲーム制作の仕事に携わるかの方法があります。
ゲームイラストレーターとしてのスキルを積むための方法を3通りにまとめました。専門学校などスクールを利用する方法、独学でイラストレーションの技術を身に着ける方法、副業として仕事から携わる方法を見ていきましょう。
専門学校に通って目指す
ゲーム制作、イラスト制作、キャラクターデザイン、ゲームキャラクターデザインなどの専門学校は複数あります。ゲーム業界で働くイラストレーターになるためには、まずはイラスト制作のスキルが必須です。そのため、ゲーム業界に特化していることよりもイラストに特化していることが重要です。
たとえば、ゲームプログラマーやゲームプランナーを目指すための専門学校だと希望とズレています。ゲームのイラストに特化した専門学校であれば良いのですが、そうでない場合はゲームの専門学校であることよりも、イラストの専門学校であることを優先すべきといえるでしょう。
独学で勉強して目指す
学校などに行っていなくても、独学でイラスト制作を学ぶことも可能です。今は学習のためのコンテンツが充実しているので、無料でスキルを習得することも可能でしょう。独学で勉強する場合、ポートフォリオを制作することがより重要になります。
なぜなら、企業側からすると口頭や書類だけではスキルが分からないからです。実際に作ったポートフォリオを提出することで、企業に評価してもらいやすくなるでしょう。
副業から始めるのも一つの手
いきなり会社員や本格的なフリーランスで働くのが難しそうな場合、副業からイラストレーターの仕事を始める選択肢もあります。
単発の仕事が募集されていることも多いので、まずは自分にもできそうな仕事を受けてみて、イラスト制作するのも一つの手です。スキルアップと同時に、イラストレーターとしてやっていけるという自信にもつながるでしょう。
副業からゲームイラストレーターを目指すメリットとして、実践的なスキルや業務の現場に近いやり取りができることが挙げられます。ポートフォリオの整理や営業活動など、イラストレーター以外の業務も自分一人で行わなくてはなりませんが、副業からだと自分のレベルに見合う仕事に携われます。
イラストレーターの年収相場と求人例
ゲームイラストレーターを含むイラストレーター全般の年収相場、求人例を紹介します。実際にレバテックキャリアに掲載されている事例のため、どの程度の年収があるのか、実際の業務内容などをイメージしやすいです。
ゲームに特化した仕事のみをまとめたので、ゲームイラストレーターを目指している人は参考にしてください。
関連記事:
ゲームディレクターの仕事内容は?未経験からなる方法や求められるスキルを紹介
ゲームプロデューサーの仕事内容とは?必要なスキルなども解説
モバイルゲームの企画・開発
【想定年収】
400~800万円
【業務内容】
・スマホゲーム等のイラスト制作
・キャラクターデザイン、背景、アイテム等の原画・彩色
・新規ゲーム用のコンセプトアート制作
【必要なスキル・経験】
・Photoshop、SAI等デザインツールを用いたイラスト制作経験
・ポートフォリオ1点以上(男性、モンスター、背景等)
・画力(絵の説得力)
国内外に展開するスマホ向けゲームの開発・運営
【想定年収】
550~1200万円
【業務内容】
・ゲームのデザイン制作
・キャラクターデザイン、グラフィックデザイン
・アニメーション制作
【必要なスキル・経験】
・Photoshopの実務経験
・高度なデッサン力
・相手の立場を尊重しつつチームワークで仕事ができる
ゲームイラストレーターに関するよくある質問
ゲームイラストレーターに関する質問の中でも「どのように目指すべきか」というものがよく見られます。近年拡大傾向にあるゲーム市場は、情報のアップデートも早く把握しにくい側面もあるかもしれません。
そこで、ゲームイラストレーターに関する質問を3つまとめました。一つずつ見ていきましょう。
Q1.ゲームイラストレーターになるには何をすべきですか?
ゲームイラストレーターになるには、特別な資格は必要ありません。基本として、イラストレーターの基礎知識と技術を身に着ける必要があります。
-
・専門学校やオンラインスクールなどを利用し知識を体得する・書籍や動画などを利用し独学で身に着ける
・実際に副業として仕事を請け負い、身に着ける
以上の3通りが考えられますが、それぞれにメリットデメリットがあります。自分に合う方法を見つけて活用することが大切です。
Q2.ゲーム会社のイラストレーターは何をしますか?
イラストレーターとはイラスト制作を行う職業ですが、ゲーム会社のイラストレーターは「ゲームイラストレーター」と呼ばれます。所属する企業が制作するゲームのキャラクターデザインや背景、アイコンなどのイラストを担当します。
Q3.ゲームイラストレーターの年収はどのくらいですか?
ゲームイラストレーターの年収はレバテックの求人掲載から見る平均はおよそ700万円です。案件によっては300〜1000万円以上と年収の上下に大きな幅があり、イラストレーター本人の知名度によっても報酬は異なります。
会社に所属せずフリーランスとして働くイラストレーターも多いため、年収は一概には提示できません。一方で、スキルと経験次第で大幅な年収アップも目指せる職業といえるでしょう。
まとめ
イラストレーターとして企業で働くには、デッサン力からツールの経験まで、幅広いスキルを身に付けておく必要があります。作品に合わせたイラストを描く技術も重要になります。特にゲーム業界のイラストレーターは競争が激しい職種ではありますが、イラストへの情熱を持ち続けられれば、長期的なキャリアを築くことも可能です。本記事を参考に、ゲーム制作に興味のあるクリエイターはゲームイラストレーターを目指してみましょう。
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