SESエンジニアの離職率は10~30%未満
SESエンジニアの離職率は、就職四季報によると10~30%未満とされています。この数字は、IT業界全体と比較しても高い数値です。厚生労働省の調査を参考に、他業界の離職率と比較すると以下のようになります。
業界 | 離職率 |
---|---|
SES | 10~30%未満 |
IT業界(情報通信業) | 12.8% |
生活関連サービス業・娯楽業 | 28.1% |
卸売業・小売業 | 0.141 |
出典:厚生労働省「令和5年 雇用動向調査結果の概況 P12」
IT業界(情報通信業)全体で、サービス業や卸売業・小売業と比較すると低いですが、SESだけで見ると離職率は高いといえるでしょう。ただし、上記はあくまで業界全体の平均値であり、企業規模や待遇、労働環境などによって、企業ごとの離職率は大きく異なります。
SES企業の働き方について詳しく知りたい方は「SESの客先常駐はどんな仕事?メリット・デメリットやSIerとの違い」をご覧ください。
IT業界の中でSESの離職率が高い理由
IT業界の中でもSESの離職率が高いのには、さまざまな理由があります。主な理由としては、以下の4つです。
以下で詳しく解説していきます。
関連記事:SESを辞めたい時の対処法と転職するタイミング!1ヶ月前で辞められる?
理由1.給与が低い
SES企業の給与は、ほかの業態と比べて低くなりがちであるため、やりがいを見出せず離職してしまうことがあります。これは、SESエンジニアが客先で下流工程を担うことが多いという実態に起因しています。
下流工程は上流工程と比べて専門性が低いため、給与が低く抑えられやすいです。また、客先での高い評価が、必ずしも給与アップに直結するとは限りません。
たとえば、高い実績を積んでいるにも関わらず、所属しているSES企業に伝わらなければ、評価が上がることはないでしょう。結果として、給与が上がらないことに不満を感じ、より高待遇の企業へ転職するケースがあります。
理由2.常駐先が選べない
常駐先が選べないことも、SESの離職率に関わる要因の1つです。SESエンジニアは、どの企業のどんなプロジェクトに配属されるかを自分で決めにくい傾向にあります。そのため、必ずしも自分の希望する仕事ができるとは限らないのです。
さらに、プロジェクトの終了に伴い、常駐先が頻繁に変わる可能性があります。プロジェクトごとに異なる企業文化や人間関係に適応する必要があり、ストレスを感じるエンジニアも少なくありません。安定した環境で働きたい人にとっては、離職の大きな原因となります。
理由3.特定のスキルしか身につかない場合がある
SESでは、クライアント企業の要求に基づいた作業を行うため、特定のスキルしか身につかない場合があります。
たとえば、テスト工程を任された場合、契約期間中はテスターとしての業務をしなければなりません。ほかのスキルを習得したいと思っても、クライアントの要求以外の業務に携わることは難しく、エンジニアの不満につながる可能性があります。
本来は開発を希望していたエンジニアが、長期間テスト工程のみを担当させられることで、モチベーションが低下し、離職に至るケースも少なくありません。
理由4.キャリアアップしづらい
将来的なキャリアを考え、SESから離職する人もいます。SESは短期的なプロジェクトにアサインされる場合が多く、技術的なスキルは磨くことができます。しかし、プロジェクトマネジメントなど、上流工程のスキルを身につけるのが難しいです。
そのため、自身の将来を検討し、マネジメントスキルを習得できる環境を求めて転職を考えるSESエンジニアが多いです。また、SESでは明確なキャリアパスが示されていない場合もあり、将来のキャリア形成に不安を感じて離職を選択するケースもあります。
SESエンジニアの離職率が高い会社の特徴
SESエンジニアの離職率が高い会社には、いくつかの共通した特徴があります。これらの特徴を理解することで、転職活動における企業選びの際に役立ちます。
以下では、離職率が高い会社の特徴をまとめました。ぜひ参考にしてみてください。
特徴 | 説明 |
---|---|
給料が低い | エンジニアの市場価値、責任の重さ、 業務量にに見合わない低い給与設定をしている |
勤務時間が異常に長い | 納期が厳しい、人員不足などの理由から 過剰な残業を強いている |
人間関係や社内の 雰囲気が悪い |
上司や同僚との人間関係、社内の雰囲気が悪く ハラスメントが横行している |
休暇や福利厚生が 取得できない |
有給休暇を取得しづらい、福利厚生が整って いないなど、労働環境が劣悪 |
スキルや経験を 積みにくい |
新しい技術やスキルを学ぶ機会が提供されない、 常に同じ作業を繰り返す |
上記の特徴は、SESエンジニアが転職を検討する際に注意すべき重要なポイントです。これらは、エンジニアのモチベーション低下や生活の質の低下につながり、離職の大きな原因となります。
待遇面だけでなく、職場環境や企業文化なども考慮し、総合的に判断することで、より良い転職につながります。転職を検討する際は、企業の実態を把握することが重要です。
優良企業を見分ける方法
SES業界で優良企業を見分けるためには、さまざまな方法があります。ここでは、特に効果的な方法として2つの方法を紹介します。
以下で詳しく解説するので、参考にしてみてください。
企業研究を行う
優良企業を見分けるには、企業の公式サイト、口コミサイト、会社四季報などを参考に企業研究を行う方法があります。Webサイト上だけでなく、実際に企業に足を運んで話を聞くのもおすすめです。
下記に、企業研究を行う際の代表的なチェックポイントを紹介します。
-
・企業理念:企業の価値観や目指す方向性
・資本金:企業の規模や財務状況を把握する指標
・事業内容:企業が行っている事業、業務体系
・売上高:企業の業績を判断する指標
・社風:企業の雰囲気や働きやすさ
・平均年齢:社員の平均年齢やキャリア
・男女比:社員や役員の男女割合
・教育体制:OJTや研修などスキルアップ、キャリアアップへのサポート体制
・平均勤続年数:社員の定着率を判断する指標
企業研究を行う際は、これらのポイントをチェックしてみてください。
優良企業かどうかに離職率はあまり関係ない
実は、離職率が高い会社が必ずしもブラック企業とは限りません。なぜなら、すべての転職者が、企業に不満を持って辞めているとは限らないからです。
たとえば、キャリアアップしたい、別の技術に触れたい、ほかのサービスを作りたいなど、転職する理由は人によってさまざまです。そのため、離職率は優良企業かどうかを判断する上で、そこまで深く関与するものではありません。
低い離職率は、必ずしも社員の満足度を表す指標ではなく、ほかの要因が影響している可能性もあるため、総合的に判断することが重要です。
転職エージェントを活用する
優良企業を見分けるには、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントは、さまざまな企業の情報を保有しており、求職者の希望やスキルに合った企業を紹介してくれます。
たとえば、レバテックキャリアは、38,000件以上の求人(※ 2024年9月時点、非公開求人を含む)と圧倒的な情報量でIT転職の成功をサポートします。自分で企業研究をする時間がない人や、転職活動に自信がない人は、まずは相談してみてください。相談することで、客観的な視点から自分に合った企業を見つけられます。
まとめ
この記事では、SESエンジニアの離職率の高さやその理由、離職率の高い企業の特徴、そして優良企業の見分け方について解説しました。
SESエンジニアの離職率は、全業界平均と比較すると高い数値にあります。その背景には、給与の低さ、常駐先の選択ができないこと、特定のスキルしか身につかない可能性、キャリアアップの難しさといった要因があります。これらの要因が、SESエンジニアのモチベーション低下や将来への不安につながり、離職率の高さを招いているといえるでしょう。
SES業界で転職を成功させるためには、業界の特性や企業の特徴を理解し、戦略的に転職活動を進めることが大切です。転職活動の際は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
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