SESから社内SEへの転職は可能
SESから社内SEへの転職は可能です。SESからの転職は、「スキルの専門性が低い」「上流工程の経験不足」といった理由から難しいと言われがちです。しかし、SESエンジニアとしての経験や実績が評価されれば、社内SEへの転職は十分にチャンスがあります。SESから社内SEへの転職を成功させるには、SESと社内SEの違いを理解してから転職活動を進めることが重要です。
SESと社内SEの主な違いは以下のとおりです。
SES | 社内SE | |
---|---|---|
業務範囲 | ・サポートデスク対応 ・テストや運用保守などの 下流工程 |
・社内システムの設計、構築、運用保守全般 ・インフラ環境の整備 ・社内のIT関連のヘルプデスク ・IT戦略の立案 |
求められるスキル | ・あらゆる言語や システムの知識 ・正確な作業遂行能力 |
・インフラ、ネットワーク、セキュリティなどの幅広い知識 ・問題解決能力 ・社内調整のためのコミュニケーションカ |
このような違いを認識した上で、ポイントを押さえて転職活動を進めることで、SESから社内SEへのキャリアチェンジを実現できます。
SESから社内SEへ転職する手順
SESから社内SEへの転職を成功させるためには、計画的な準備が必要です。具体的には、以下の3つのステップを踏むと良いです。
1. スキルの棚卸しをする
2. 志望する企業や業界の研究をする
3. 履歴書や職務経歴書、ポートフォリオを作成する
それぞれのステップについて、詳しく見ていきましょう。
1. スキルの棚卸しをする
SESからの転職を行う際、効果的なアピールができるように、自分の保有スキルや強みを整理することが重要です。
スキルの棚卸しの手順は、以下のとおりです。
1. 現在の業務で使用している技術やツールをリストアップする
2. 過去のプロジェクトでの役割や成果をまとめる
3. 保有している資格や受講した研修を整理する
特に、過去のプロジェクトの成果は、実績を表す数値や具体的なエピソードがあると説得力が増すため、あわせて整理しておくことをおすすめします。
スキルの棚卸しを通して、転職活動に活かせるポイントをまとめておきましょう。
関連記事:社内SEに必要なスキル!SEとの違いや役立つ資格も解説
2. 志望する企業や業界の研究をする
転職活動において、志望企業や業界の研究も重要です。業界全体の動向や、企業の業務内容などを知ることで、自分のスキルをどのように活かせるかを明確にできます。
企業研究・業界研究のポイントは以下のとおりです。
ポイント | 説明 |
---|---|
求められるスキルの確認 | ・必須スキルと歓迎スキルの確認 ・経験年数や資格要件の確認 ・求められるスキルレベル |
企業の事業内容と 将来性の確認 |
・主力事業や今後の展開 ・技術スタックや開発環境 |
待遇・職場環境の確認 | ・給与水準や評価制度 ・福利厚生の内容 ・勤務形態や働き方の特徴 ・研修制度や勉強会の有無 |
これらの情報は、求人の募集要項や企業の公式サイト、業界に関するニュース記事やプレリリースなどから収集できます。
志望する企業や業界に対する理解を深め、効果的な志望動機や自己PRの作成につなげましょう。
社内SEの求人・転職情報>
3. 履歴書や職務経歴書、ポートフォリオを作成する
応募書類は、自身の経験やスキルを効果的にアピールするための重要なツールです。履歴書や職務経歴書、ポートフォリオではそれぞれ記載すべき内容が違います。各応募書類の記載内容は、以下のとおりです。
名称 | 形式 | 記載する内容 |
---|---|---|
履歴書 | 書類 | 学歴や経歴、保有する資格など |
職務経歴書 | 書類 | これまでに関わった業務経験や ポジションの詳細など |
ポートフォリオ | Webページや GitHubなど |
自己紹介や保有スキル、 実際に開発した成果物へのリンクなど |
特に、職務経歴書とポートフォリオは、これまでの経験から得た強みや実績を採用担当者にアピールできるものです。応募書類の完成度を高めるには、有識者にチェックしてもらい、自分のアピールポイントが狙いどおり伝わるかどうか確認してもらうと良いです。とはいえ、採用担当者目線で応募書類のフィードバックをしてくれる人は、そう簡単には見つかりません。
レバテックキャリアでは、あなたの強みがより伝わりやすくなるよう、応募書類の作成指導や添削を行っています。応募書類の作成にあまり自信がない方は、まずは次の記事「レバテックキャリアで書類選考を通過する!独自の強みで転職成功率アップ」をご覧ください。
関連記事:社内SEの職務経歴書の書き方は?基本とサンプルを紹介
SESから社内SEに転職する人の転職理由
SESから社内SEへの転職を考える方には、いくつかの理由があります。主な理由は、以下の4つです。
・自社への帰属意識が希薄になる
・自分の頑張りが自社に評価されにくい
・自社作業を定時後にしなくてはならないことがある
・SESより社内SEのほうが柔軟な働き方がしやすい
これらの課題は、SES特有の働き方から生じる問題点といえます。以下で、それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
関連記事:SESの客先常駐はどんな仕事?メリット・デメリットやSIerとの違い
自社への帰属意識が希薄になる
SESでの客先常駐により自社への帰属意識が薄れることが、社内SEへの転職を考えるきっかけになる場合があります。
客先常駐では、1人もしくは少人数体制で客先へ常駐することが多いです。そのため、自社との関わりが少なくなり、帰属意識が希薄化してしまいます。
客先常駐が長期化すると、自分が必要とされている感覚を得られず、「自社の一員」として働く意義を見失ってしまうことも少なくありません。結果として、「自社内で直接自分の価値を実感できる職場で働きたい」という思いが強まり、社内SEのような職種へ転職したいという気持ちにつながります。
このように、自社への帰属意識の希薄化が、SESから社内SEへの転職を考える原因となっています。
自分の頑張りが自社に評価されにくい
SESエンジニアは、常駐先での業務成果が自社の評価に十分に反映されないことがあります。これは、常駐先と自社での評価基準の違いや、自社の上司が日々の業務内容を直接確認できないことが要因です。
たとえば、新しい技術を習得して常駐先の業務改善に貢献しても、その成果が十分に自社に認識されず、昇給や昇進に反映されないと不満を感じるようなケースがあります。このような状況では、「自分の努力や成果を正当に評価してくれる環境で働きたい」という思いが強まり、自社で業務を行う社内SEへの転職を検討するきっかけとなります。
このように、努力や成果が適切に評価されないことへの不満も、SESから社内SEへの転職を選択する理由の1つであるといえるでしょう。
自社作業を定時後にしなくてはならないことがある
SESでは、常駐先での業務時間中に自社への報告や勤怠処理などの作業を行うことが難しく、定時後に対応せざるを得ないケースが発生します。これは、常駐先での業務時間を確保する必要があるためです。
たとえば、以下のような作業を定時後に行わなくてはならないケースがあります。
・日報や週報の作成と提出
・勤怠情報の入力
・経費精算の処理
・自社からの連絡事項の確認
このような二重の業務負担を解消したいという思いも、SESから社内SEへの転職を検討するきっかけとなりえます。
SESより社内SEのほうが柔軟な働き方がしやすい
社内SEは、SESと比較してより柔軟な働き方を実現しやすい環境にあります。これは、常駐先の規則や習慣に縛られることなく、自社の制度を活用できるためです。
社内SEの柔軟な働き方のメリットは以下のとおりです。
メリット | 理由 |
---|---|
時間的な裁量が得やすい | ・フレックスタイム制やリモート ワーク可能な企業も多い ・残業が比較的少ない |
納期の融通が利きやすい | ・自社のシステム開発なので、 納期への融通が利きやすくプレッシャーが少ない |
社内SEはフレックスタイム制ができる企業も多く、残業が比較的少ない職種であるため、時間的な裁量が得やすいです。また、開発する対象が自社の社内システムであるため、納期への融通が利きやすいことも、社内SEのメリットといえます。
このように、より柔軟な働き方を選択しやすいことが、SESエンジニアが社内SEへの転職を検討する理由の1つとなっています。
関連記事:
社内SEのメリット・デメリットは? 院内SEも含めて解説
社内SEが「人気・勝ち組の職種」と呼ばれる9つの理由
社内SEのほかにSESの経験を活かせる転職先3選
SESでの経験を活かせる転職先として、社内SE以外にもさまざまな選択肢があります。主な転職先は、以下の3つです。
・自社開発企業
・SIer
・ほかのSES企業
ここでは、おすすめの転職先と特徴などを詳しく紹介します。また、転職エージェントのレバテックキャリアに相談していただければ、あなたに最適な職種や求人を紹介します。非公開求人の紹介も可能なので、ぜひお気軽にご相談ください。
自社開発企業
自社開発企業への転職は、SESエンジニアにとって魅力的なキャリアパスの1つです。自社製品を開発する企業では、開発プロセス全体に関わることができ、技術力とビジネス感覚の両方を磨くことができます。
たとえば、自社開発企業では、SESで培った知識を活かしながら、より幅広い開発工程に携わることが可能です。また、自社製品に長期的に関わるため開発の目的や成果がより見えやすく、やりがいを感じやすい環境です。
ただし、上流工程を担当できるスキルや、技術判断を正しく行える知識など、より専門性の高い技術力が必要となるため、転職のハードルは比較的高いといえるでしょう。しかしその分、大きなキャリアアップが期待できる魅力的な転職先といえます。
「自社内開発が多い」ITエンジニアの求人・転職情報>
SIer
SIerへの転職は、SESエンジニアにとって比較的ハードルが低い選択肢です。SESでの経験が直接活かせる場面が多く、かつ上流工程にも携わる機会が増えるため、キャリアアップを図りやすい環境といえます。
SESでの実務経験は、SIerでも重宝される技術力の証明になります。特に、複数のプロジェクトを経験していることは、適応力の高さを示す良いアピールポイントです。また、SIerでは上流工程への参画機会も増えるため、スキルを高められれば、リーダー職やマネジメント職へのキャリアアップにもつながります。
そのため、SIerは、SESの経験を活かしてキャリアアップを実現できるため、有力な転職先の1つといえるでしょう。
関連記事:
SIerの種類とは?業界構造を理解して最適な転職先を選ぼう
SIerの志望動機の例文と書き方!未経験も転職で使えるポイントを解説
ほかのSES企業
SES企業のあいだでも、待遇や案件の質、キャリア支援体制には差があるため、より良い条件のSES企業に転職することで、環境や待遇が改善される可能性があります。
たとえば、案件ごとに異なる技術を習得できることは魅力に感じているものの、自社のサポート体制に不満があるという人は、別のSES企業への転職を検討すると良いです。また、給与の低さや不明瞭な昇給条件などに納得がいかない場合も、SES企業へと転職することで状況が好転する場合があります。
このように、そのSES企業特有の問題に悩んでいる場合は、別のSES企業への転職が効果的な選択肢であるといえます。
まとめ
この記事では、SESから社内SEへの転職について、その可能性や手順、転職理由を詳しく解説しました。また、社内SE以外の転職先として、自社開発企業、SIer、ほかのSES企業についても紹介しました。
SESからの社内SEへの転職を成功させるためには、現在のスキルを適切に棚卸しし、志望する企業や業界についての理解を深めることが重要です。また、履歴書や職務経歴書、ポートフォリオを作成し、自分が社内SEとして企業に貢献できることをアピールすることも必要です。転職成功に向けて効率良く準備を進めるには、転職エージェントの活用をおすすめします。
レバテックキャリアでは、マンツーマンのカウンセリングから退職時のフォローまで、IT領域に特化したキャリアアドバイザーが転職活動を一貫してサポートします。社内SEへの転職を検討中のSESエンジニアの方は、ぜひご相談ください。
※本記事は2025年1月時点の情報を基に執筆しております
ITエンジニアの転職ならレバテックキャリア
レバテックキャリアはIT・Web業界のエンジニア職を専門とする転職エージェントです。最新の技術情報や業界動向に精通したキャリアアドバイザーが、年収・技術志向・今後のキャリアパス・ワークライフバランスなど、一人ひとりの希望に寄り添いながら転職活動をサポートします。一般公開されていない大手企業や優良企業の非公開求人も多数保有していますので、まずは一度カウンセリングでお話してみませんか?(オンラインでも可能です)
転職支援サービスに申し込む
また、「初めての転職で、何から始めていいかわからない」「まだ転職するかどうか迷っている」など、転職活動に何らかの不安を抱えている方には、無料の個別相談会も実施しています。キャリアアドバイザーが一対一で、これからのあなたのキャリアを一緒に考えます。お気軽にご相談ください。
「個別相談会」に申し込む
レバテックキャリアのサービスについて