SESの案件を抜けたい時の対処法!穏便なのは更新タイミングでの離脱?

最終更新日:2025年6月13日

SESとして現場に常駐する中で「この案件、もう抜けたい」と感じることは珍しくありません。業務内容や人間関係のミスマッチ、キャリアの方向性とのズレなど、案件に対する不満は誰にでも起こり得るものです。

とはいえ、急な離脱や引き留めを恐れて、一歩踏み出せない人も多いのではないでしょうか。

本記事では、SES案件への理解があるキャリアエージェント視点から、途中で抜けたいときの適切な対処法、穏便に進めるためのポイントを解説します。無理をせず、自分のキャリアを守る選択肢を考えていきましょう。

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この記事のまとめ

  • SES案件は、更新タイミングや引継ぎの工夫によって穏便に抜けられる
  • 合わない案件が続くなら、希望条件の整理や転職検討も有効
  • 長期案件やリーダーの質を意識することで、働きやすい現場に出会いやすくなる

SESで案件を途中で抜けることは可能

SES契約であっても、適切な手順を踏めば案件を途中で抜けることは可能です。契約期間中だからといって、どんな状況であっても辞められないわけではありません。

実際には、クライアント企業や自社への引き継ぎ、通知のタイミングを守ることで、トラブルを避けて離脱できるケースが多くあります。むしろ無理に続けて心身に支障が出るほうが、長期的にはリスクが大きくなりかねません。

また、「途中で辞めたら損害賠償になるのでは?」と不安を抱く人もいますが、労働者が損害賠償を求められるケースは非常にまれです。よほどの損害や契約違反がない限り、通常は問題になりません。

「辞められるのか不安」という人は、以下の記事も参考になります。

関連記事:SESの離職率はどれくらい?業界内で高い理由と優良企業の見分け方を紹介

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SESで案件を抜けたいときにとるべき対処法

案件を抜けたいと思っても、何から始めればいいのか迷う人は少なくありません。ここでは、円満に抜けるために今から実践できる行動を、順を追ってわかりやすく解説します。

契約のタイミングや現場の状況によって進め方は多少異なりますが、基本的な流れを押さえておけばスムーズに次のステップへ進めます。


以下の記事でも現場を変えるためのヒントをまとめています。

関連記事:SESの合わない現場を変えたい!経験を活かせるほかの現場や転職先を紹介

更新のタイミングを確認する

案件を穏便に抜けるために、まず確認すべきなのが「契約更新のタイミング」です。SES契約では、月単位・3ヶ月単位・6ヶ月単位など、契約期間が明確に区切られていることがほとんどです。この更新時期は「抜けることを申し出る交渉のチャンスでもあります。

とはいえ、現場で日々忙しくしていると、自分がどのタイミングで更新されているかを正確に把握できていない人も少なくありません。また、更新タイミングに合わせて抜ける場合でも、最低でも1ヶ月前には営業担当や上司に意向を伝えておく必要があります。

「案件を変えたい」と感じたら、まずは自分の契約更新日を確認しましょう。更新の直前に申し出ても次の契約がすでに決まっていて抜けにくくなるケースもあるため、早めのアクションがポイントです。

更新時に抜けられるように直属の上司や営業担当に相談する

更新のタイミングで案件を抜けるには、事前に営業担当や上司へ意向を伝えておくことが必要です。相談時には、以下の3点を押さえておくとスムーズです。

1.「◯月の更新をもって抜けたい」と時期を明示する
漠然と「辞めたい」と伝えるより、調整の前提が明確になる

2.理由は端的に事実ベースで伝える
感情的な表現や批判は避け、「業務内容が希望と異なるため」「今後のキャリアと方向性が合わないため」など事実を伝える

3.自社にとってもトラブルになりにくい形を意識する
後任への引継ぎ意欲を伝え、現場・自社の双方に配慮する

引き止めにあった場合でも、「あくまで更新タイミングでの離脱を希望する」という立場を明確にすることが重要です。事前に伝えていれば、営業担当も次のアサイン準備がしやすくなります。

次の現場の面談を受ける

SESでは、案件を抜けたあとすぐに新しい現場へアサインされることが一般的です。そのため、現在の案件での引継ぎ作業と並行して、次の現場候補との面談が進むケースが多く見られます。

面談の調整自体は営業担当が主導しますが、希望する業務内容や働き方をあらかじめ整理しておくことが重要です。自分の志向と異なる案件にアサインされないよう、面談ではミスマッチを防ぐための確認を丁寧に行いましょう。

また、面談は単なる形式ではなく、現場の担当者に与える印象が配属可否に影響する場合もあります。今後のキャリアに関わる重要なステップとして、適切な受け答えや準備を心がけることが大切です。

業務の引継ぎをおこなう

抜けることが決まったら、業務の引継ぎを進めます。後任者や現場メンバーがスムーズに対応できるよう、担当業務の整理やドキュメントの共有を行っておくのが基本です。

特に以下の点を押さえておくと、トラブルを防ぎやすくなります。

  • ・担当しているタスクや手順を簡潔にまとめておく

    ・マニュアルや操作手順書などの資料を整備しておく

    ・引継ぎスケジュールを営業や現場と事前に調整しておく

後任が未決定でも、誰が引き継いでも問題ない状態を目指すことで、離脱後の問い合わせや混乱を最小限に抑えられます

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SES案件から穏便に抜けるときのポイント

案件の抜け方によっては、現場や自社との関係が悪化することがあるのも実情です。穏便に離脱するためには、手順だけでなく進め方にも意識したいことがあります。

以下では、案件を抜ける際に気を付けておきたいポイントを4つ紹介します。


案件を抜ける判断がつかない人は、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:SES(客先常駐)はつらい?やめとけと言われる6つの理由や解決法を紹介

顧客への報告のタイミングは社内で相談して決める

案件を抜けることが決まっても、顧客への報告は必ず社内で相談してからにしましょう。なぜなら、案件の要員変更について、顧客に対して一貫した説明をしなくてはならないからです。

たとえば、案件を抜けることについて、顧客が気にする点の説明ができないと、混乱を招く可能性があります。具体的には、以下のような情報を事前に整理し、必要に応じて担当者に共有しておくのが望ましいです。

  • ・案件を抜ける理由

    ・時期

    ・後任の体制など

これらの情報について筋道立てて伝えることで、顧客の理解を得やすくなります。また、状況によっては、営業担当や上司から顧客へ伝えてもらうか、営業担当や上司と一緒に顧客へと報告するほうが、顧客からの信頼を得やすい場合もあります。

そのため、まずは社内の営業担当と上司と相談し、報告内容や方法、タイミングを調整した上で、顧客へ報告することが重要です。

十分に引継ぎを行う

円満に案件を離脱するには、引継ぎの質が問われます。単に作業内容を伝えるだけでなく、現場メンバーやクライアントに不安を与えない進め方が求められます。

特に以下のような情報は、実務をともにしながら十分に共有することが重要です。

  • ・担当業務の現状と今後の見通し

    ・作業手順や使用ツールに関する実務的な知識

    ・顧客との連絡ルールや報告頻度

    ・過去の経緯や注意すべき点(トラブルや例外対応など)

「誰が引き継いでも混乱がない状態」を整えることが、最後まで信頼を保つための鍵になります。形式的に済ませず、相手の立場を意識した引継ぎを心がけましょう。

できれば配属から3ヶ月は続ける

やむを得ない事情がない限り、配属された現場には最低でも3ヶ月は継続して勤務するのが望ましいとされています。なぜなら、SESでは企業間の契約が3ヶ月単位で結ばれることが多く、1~2ヶ月で抜けるとクライアントからの印象が悪くなる可能性があるからです。「業務に適応する意思がない」「責任感がない」と判断され、自社や営業担当の信頼にも影響します。

また、短期間での離脱が続くと、次の案件の紹介が難しくなるケースもあります。 安定性を重視するクライアントに対して、営業側が推薦しづらくなるためです。

体調不良やメンタル面での不調がある場合は、無理をせず早めに相談しましょう。 無理に継続するよりも、適切に事情を共有して段階的な調整を進めることが重要です。

退職する場合には1ヶ月前には意向を伝える

案件からの離脱ではなく、SES企業そのものを退職する場合には、また別の配慮が必要です。現場での業務に加えて自社との契約や就業規則にも関わるため、より早めの準備が求められます。

一般的には、少なくとも1ヶ月前には営業担当や上司へ退職の意向を伝えるのが望ましいです。企業によっては2ヶ月以上前の申告が必要な場合もあるため、就業規則を確認したうえで動きましょう。

法律上は2週間前の申告で退職が可能ですが、実務では以下のようなトラブルを招くおそれがあります。

  • ・後任の確保が間に合わない

    ・引継ぎが不十分になる

    ・顧客業務に支障が出る

    ・自社の信用に悪影響が出る

そのため、円満に案件から離れる場合は、契約更新のタイミングに合わせて退職するなど工夫が重要です。

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SESで抜けたい案件が続いたときの2つの対処法

案件を抜けたあとも、また自分に合わない現場にアサインされるケースは少なくありません。同じような状況を繰り返さないためには、キャリアの方向性を見直したり、自分の希望を適切に伝え直したりすることが重要です。

ここでは、再発防止のために取り組むべき2つの方法を紹介します。


難しさを覚えやすいSES転職については、以下の記事でも詳しくまとめています。

関連記事:SESの最適な転職タイミングを解説!伝え方やトラブル回避の方法

上司や営業担当者にキャリア像をもう一度伝え直す

案件を変えたあとにも同じようなミスマッチが続く場合、希望するキャリア像や働き方が営業担当に正確に伝わっていない可能性があります。一度伝えたつもりでも、内容があいまいだったり、伝達のタイミングが悪かったりすると、希望と異なる案件にアサインされてしまうことがあります。

このような状況を防ぐには、案件から離れたタイミングで自分の希望や方向性を改めて整理し、具体的に伝え直すことが効果的です。

たとえば、以下のような情報をまとめて共有すると、営業担当が案件を選定しやすくなります。

  • ・希望する業務内容(例:開発よりもインフラ、テストよりも設計など)

    ・使用したい技術領域や言語(例:Pythonを活かせる環境など)

    ・勤務地・勤務形態の希望(例:フルリモート/週1出社など)

    ・避けたい条件(例:客先常駐で一人配属はNG、夜間対応NGなど)

口頭だけで伝えるのではなく、文面やメモなどにまとめて共有しておくと、誤解が生じにくくなります。同様のミスマッチを繰り返さないためにも、営業担当との情報共有の精度を高めることが重要です。

転職活動を始める

合わない案件が続いた場合、退職を検討するのも自然な流れです。SES案件は現場ごとに環境が大きく変わるため、より安定した働き方を求めて転職する人も少なくありません。

実際に転職を選ぶことで、自分に合った技術領域や働き方を選びやすくなるというメリットもありますが、焦って行動すると、再びミスマッチを起こす可能性もあります。

転職で失敗しないためには、以下のポイントを事前に押さえておきましょう。

  • ・希望条件や優先順位を明確にする(年収、勤務地、働き方、業務内容など)

    ・SES以外の働き方の違いを理解しておく(受託、社内SE、自社開発など)

    ・企業文化や社風も確認する(口コミサイトや面談時の雰囲気など)

    ・転職エージェントなど第三者の視点も活用する

今の職場に強い不満があっても、転職は慎重に準備することが大切です。後悔のない選択をするためにも、自分の将来像を明確にしたうえで次のステップを検討していきましょう。

IT業界に特化した転職エージェントレバテックキャリアでは、SES出身者の支援実績も多く、自分に合ったキャリアパスを見つける手助けが受けられます。無理にひとりで抱え込まず、第三者の視点を取り入れて、選択肢を広げていくのも一つの方法です。

SESの転職について、以下の記事も参考にしてください。

関連記事:SESから転職できないといわれる7つの理由と失敗しない対策を紹介

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SESで案件を抜けたいと思う代表的な3つの理由

SESエンジニアが案件を抜けたいと考える代表的な理由には、主に以下の3つがあります。


これらの理由は、エンジニアの成長やモチベーションに深く関わる重要な問題です。それぞれ詳しく見ていきましょう。

スキルのミスマッチ

案件を抜けたいと感じる主な理由の1つは、自身のスキルと案件で求められるスキルのミスマッチです。ミスマッチが生じてしまうと、業務品質やモチベーションの低下につながります。

たとえば、未経験にも関わらず難易度の高い技術判断が伴う作業を担当するケースや、技術が不足しているのにスキル要件の高い作業を任されるケースなどです。また、逆に自身のスキルレベルが案件の要求より高過ぎる場合も、やりがいを感じられず、スキルの陳腐化を懸念することもあります。

このようなミスマッチは作業の遅延や品質の低下を引き起こし、結果的に本人の自信喪失やモチベーション低下につながるため、プロジェクトを抜けたいと感じる要因となります。

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技術的/キャリア的な不満がある

案件を抜けたいと感じる2つ目の理由は、技術的・キャリア的な不満です。技術的・キャリア的な不満につながる、SESの業務環境の例は以下のとおりです。

  • ・データ入力や単純なテスト作業が中心の業務

    ・古い技術スタックしか使用できず、新しい技術に触れる機会がない

    ・技術的な判断を任せてもらえない

このような環境では、エンジニアとしての成長機会が限られてしまい、将来のキャリアに不安を抱くことがあります。

そのため、技術的な不足やキャリアの方向性への懸念が、SESの案件を抜けたいと考える原因となりえます。

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常駐先の人間関係や環境がつらい

案件を抜けたいと感じる3つ目の理由は、常駐先での人間関係や環境の問題です。SES特有の「常駐先で働く」という形態は、さまざまな身体的・心理的負担を生むことがあります。

代表的なケースは以下の3つです。

  • ・常駐先の社員とのコミュニケーションの難しさ

    ・長時間労働や過度な残業

    ・自分の所属があいまいになる感覚

特に、自社への帰属意識が希薄になりやすい環境では、常駐先でも自社でも居場所が見つけられず、孤立感を感じることがあります。

そのため、常駐先の人間関係や環境がつらいこともプロジェクトを抜けたいと感じる原因の1つといえます。

事前に常駐先の環境や適性を知ると、案件のミスマッチを防げます。以下の記事でSES業務への理解を深めてみましょう。

関連記事:SESの客先常駐はどんな仕事?メリット・デメリットやSIerとの違い

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SESで良い案件に出会うポイント

案件を抜ける経験を通して、自分にとって「働きやすい案件とは何か」が見えてくることもあります。ここでは、今後より良い案件に出会うために、意識しておきたいポイントを2つ紹介します。


SESの案件でスキルアップの限界を感じた人は、「SESでも上流工程に携われる!方法や企業選びのポイントを解説」を参考にしてください。

長期間の案件をターゲットにする

人間関係やスキル面で安定して働きやすいという点から、長期間の案件を選ぶことは非常に有効です。

短期間の案件では、業務に慣れる前に終了してしまうことが多く、チームとの信頼関係を築いたり、新しい業務にチャレンジしたりする余裕がないことも少なくありません。その点、長期案件であれば、業務に慣れたあとに改善提案や新しい役割を任されることもあり、スキルアップのチャンスが広がります。

また、継続的に業務に取り組めることで、成果も出しやすくなり、キャリア上の実績として評価されやすくなります。

こうした理由から、「可能であれば長期的に携われる案件を希望しています」と営業担当に明確に伝えておくことをおすすめします。

経験豊富なリーダーの案件をターゲットにする

経験豊富なリーダーがいる案件では、業務の方向性が明確で、判断も早く、余計なストレスを感じにくい環境になりやすいです。課題やトラブルにも的確に対応してくれるため、「どう進めればいいのか分からない」と悩む場面を減らせます。

また、チームメンバーの働きをしっかり見ているリーダーが多く、努力や成果が適切に評価されやすいのもメリットです。

営業担当に相談する際の条件に「経験豊富なリーダーのいる現場」を加えると、このような働きやすい案件に出会いやすくなります。

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まとめ

SESで案件を抜けたいと思ったときは、我慢する前に状況を整理し、行動に移すことが重要です。契約更新のタイミングを見直したり、希望条件を改めて伝え直したりするだけでも、状況が好転する可能性はあります。

それでも改善が難しい場合には、転職も含めて選択肢を広げることが有効です。働きやすい案件に出会うには、長期案件やリーダーの経験値といった視点も参考になります。

環境を変えることは決して甘えではなく、キャリアを守るための合理的な判断です。できることから一つずつ、着実に進めていきましょう。

この記事の監修

レバテックキャリア編集部

レバテックキャリアは、IT/Web業界のエンジニア・クリエイター向けに特化した転職エージェントです。当メディアでは、エンジニア・クリエイターの転職に役立つノウハウから、日々のスキルアップや業務に活かせる情報まで、幅広いコンテンツを発信しています。

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