コーディングテストの概要と目的
コーディングテストは、プログラミング能力やアルゴリズム設計能力を評価するための試験です。
採用試験やスキルチェックなどに利用され、特定の課題を解決するコードを実装することで、候補者の実践力を測ります。企業側はある程度の技術力を持った人を採用したいと考えているため、テストを実施して足切りを行う必要があるのです。
コーディングテストは、大きく分けてオンライン形式と対面式の2パターンがあります。オンライン形式では、アルゴリズムやデータ構造など計算効率を問う問題が出題され、システム設計やAPI実装などの知識が求められることもあります。
一方、対面式ではホワイトボードや紙にその場で記述をし、説明する形式が一般的です。以前は対面形式が数多く見られましたが、コロナ禍以降はオンライン形式でのコーディングテストが増えています。
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コーディングテストの足切り基準とは
コーディングテストの主な足切り基準は、以下のとおりです。それぞれ詳しい内容について説明していきます。
要件が満たされているか
コーディングテストにおいて最も重要な評価基準は、問題に記載された要件を満たした成果物であるかどうかです。たとえ高度なアルゴリズムや技術が用いられた実行可能なプログラムであっても、要件を満たしていなければ評価されません。
要件を満たすためには、以下の点を意識しましょう。
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・問題文を丁寧に読み、何が求められているのかを正確に把握する
・要件に優先順位を付けて期限内にコーディングを完成させる
・すべてのテストケースを網羅し、要件を満たすコードを記述する
・不要な機能を少なくし、求められている機能を確実に実装する
期限内に提出しているか
プログラムの正確な動作やコードの品質と同様、決められた期限を守ることは重要であり、コーディングテストでも重視されます。プロジェクトでは、どんなに優れたコードであっても納期を過ぎてしまえば意味がないため、期限を守ることは必須です。
期限内に提出するためには、以下の点を意識しましょう。
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・要件定義からコーディング、提出までにかかる全体の時間を予想する
・問題を正確に理解し、優先順位をつけて重要な部分から実装を進める
・完成度を追求しすぎるあまり時間をかけすぎない
・最低限の要件を満たした状態で期限に間に合うよう計画を立てる
さらに、余裕を持って提出するために進捗を定期的に確認し、コードテストや再確認の時間も考慮ししょう。期限を守ることは自己管理能力やプロ意識を示す要素でもあり、コーディングテストの基本です。
問題・課題を理解しているか
問題・課題を理解しているかも重要な評価基準のひとつです。どれほど優れた技術や効率的なアルゴリズムを使っていても、問題・課題を理解していなければ、適切な成果物は作成できません。
問題を理解するためには、以下の点を考慮しましょう。
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・課題文を丁寧に読み込み、要件や制約、期待される処理を明確にする
・曖昧な部分があれば、問題に記載されている入力項目や出力項目、あるいは制約条件を確認する
・問題の優先順位を見極め、最も重要な部分を期限内に実装する計画を立てる
・認識の誤りを避けるために必要なタスクをリスト化する
この手順に従って問題を把握することで、適切なコードを作成するためのベースを整理できます。問題を正しく理解する能力は、コーディングスキル以上にプログラム開発に影響を与える要素であり、テストの評価基準において重視されるポイントです。
わかりやすいコードか
コーディングテストにおいて、わかりやすいコードを書けるかどうかは、チーム開発を想定した際に重視される評価基準のひとつです。
企業では個人ではなくチームで開発を進めるため、ほかのメンバーが容易に理解でき、運用保守がしやすいコードを求められます。プログラムが正しく動作しても、読みづらかったり、意図が不明瞭だったりする場合、チーム全体の生産性を下げる原因となるためです。
わかりやすいコードを実装するためには、以下の点に注意しましょう。
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・変数名や関数名をわかりやすいものにする
・複雑なロジックや重要な処理に適切なコメントをつける
・冗長なコードを避け、コードを構造化する
・コードの可読性を高めるためにインデントを活用し、コーディング規約を統一する
修正点が出た場合に柔軟に対応できるか
修正を依頼された場合は、変更の意図を正しく理解することが重要です。不明点があれば確認し、要求に対して適切な対応をする姿勢が評価されます。
実務では、要件の変更や仕様追加、予期しないエラーが発生するケースが頻繁にあります。その際には柔軟に対応し、迅速かつ正確に修正を施すスキルが求められます。
修正の過程では、新たにエラーが生じないようテストを行うことも忘れてはなりません。柔軟な対応力を示すことで、適応力が評価されます。
コーディングテストに合格する方法
コーディングテストに合格する方法として、以下の5つが挙げられます。
読解力(正確な理解力)を育む
コーディングテストで合格するためには、読解力(正確な理解力)を育むことが非常に重要です。問題文の要件や制約、期待される結果を正確に理解しなければ、適切なコードを作成することはできません。
読解力を高めるためには、以下の点を意識するとよいでしょう。
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・問題文を丁寧に読み、重要なポイントを把握する習慣を身につける
・要件や制約条件を明確にし、必要に応じてメモや図解を活用して整理する
・問題文を分析し、どのような処理が求められているかを具体的にイメージする
日頃から読解力を鍛えるために、プログラミング問題集やオンライン学習教材で練習を重ねることが重要です。さまざまな形式の問題を解くことで、短時間で要件を理解できるスキルが身につきます。
論理的思考力を育む
論理的思考力を備えることで、問題の本質を的確に捉え、効率的にコードを作成できます。
論理的思考力を鍛えるためには、問題を明確に理解し、解決すべき課題を細分化することが重要です。たとえば、大きな問題を小さなサブタスクに分解し、順番に解決する順序を考えます。また、フローチャート図や擬似コードを用いて視覚的に整理するのも、論理的思考力を育むのに効果的です。
フローチャート図を簡単に作成できるVisioやMiro、Lucidchartといったソフトウェアは数多くあります。こうしたソフトウェアを使うことで、考え方を論理的に整理できるでしょう。
さらに、アルゴリズムの理解を深めることも論理的思考力を向上させます。たとえば、線形探索が適切な場合と二分探索が適切な場合を論理的に判断する際に、アルゴリズムの理解は非常に重要です。普段からプログラミング問題を解き、解答までのプロセスを振り返ることで、論理を組み立てる習慣をつけるとよいでしょう。
「プログラミング 論理思考」で検索すると、数多くのサイトや書籍が表示されます。書籍のレビューをチェックしたり実際に読んだりして、自分に合ったものを選択してみてください。
書籍やスクール・AIで勉強する
書籍やスクール・AIを活用することで、基礎から応用まで効率的に学び、自分に不足しているスキルを補えます。
それぞれのメリット、デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
書籍 | ・特定のプログラミング言語やアルゴリズム、データ構造などについて体系的な知識を深められる ・基本的な概念を深く理解したい場合や、自分のペースで学びたい場合に適している |
・わからないことは自分で調べなければならない ・質問できる人がいない場合、挫折しやすい |
スクール | ・体系的なカリキュラムと講師のサポートが得られるため、効率よくスキルを身につけられる ・独学でつまずきやすい部分を指導してもらえる ・模擬試験や実践的な課題を通じてコーディングテストへの対策を確実に進められる |
・自分のペースで進められない ・オンラインスクールでない場合、通学が必要である ・費用がかかる |
AIツール | ・疑問点を即座に解消したり、コードの最適化についてアドバイスを受けたりすることができる ・コードのレビューや学習の補助に役立てることで、実践的なスキルを効率的に学べる |
・操作方法を理解する必要がある ・環境設定をしなければならない ・アドバイスの内容によっては自分で調べる必要がある |
なお、AIツールにはGithub Copilot、Gemini Code Assist、Amaznon Q Developer(Amazon CodeWhisperer)などがあります。そのほかにも数多くのAIツールがありますので、使いやすいものを探してみましょう。
これらを組み合わせて学ぶことで、理論と実践をバランスよく身につけ、コーディングテストに対する準備を万全にできます。
過去問を解く
過去問を解くことで、テスト形式や頻出パターン、制約条件を実際に体験でき、実践的なスキルを習得できます。また、限られた時間の中でコーディングする方法を身につけられる点もメリットです。
過去問が提供されているサイトには、以下のものがあります。
これらのサイトを活用して過去問を解き、自分の弱点を把握しつつ効率的にスキルを向上させるとよいでしょう。
良質なサンプルコードに数多く触れる
優れたコードに触れることで、効率的な書き方や読みやすさを意識した設計、ロジックの簡潔さ、再利用性の高いコードを学べます。また、自分が書いたコードと比較することで改善点が明瞭になり、コーディングスキルを向上させることが可能です。
良質なサンプルコードの特徴としては、以下の点が挙げられます。
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・変数名や関数名がわかりやすく、役割や意図が直観的にわかる
・冗長な処理がなく、簡潔で効率的なロジックである
・コードの意図を伝えるため、複雑な部分には適切なコメントがある
・関数やクラスがモジュール化されている
良質なサンプルコードに触れるには、以下のものを使用するとよいでしょう。
-
・GitHubにアップロードされているプログラム
・過去問の解答例
・各プログラミング言語の公式サイト
これらを通じて良質なコードのスタイルやパターンを理解すれば、コーディングスキルを向上させることができるでしょう。
コーディングテストに関するよくある質問
コーディングテストに関するよくある質問をいくつか紹介します。
Q1. コーディングテストの難易度を教えてください
企業が課すコーディングテストの難易度は採用基準によって異なりますが、一般的には二分探索や線形探索、ソートアルゴリズムを使用した難易度の高い成果物を求められます。コーディングテストに合格するには、本記事で紹介した点を踏まえて多くの問題を解いたり、良質なサンプルコードに触れたりして十分に対策することが重要です。
Q2. コーディングテストで足切りを実施する企業を教えてください
企業の採用プロセスによって異なるため、どの企業がコーディングテストを採用するかは一概にいえません。
一般的には、スタートアップ企業やWeb系システム開発企業がコーディングテストをひとつの採用基準として実施する傾向があります。ただし、企業側の採用方針によってテストの有無は変わるため、転職を希望する企業がコーディングテストを実施しているかは募集要項などで事前に確認する必要があります。
関連記事:SIer系とWeb系企業の比較!6つの違いと転職時の注意点を解説
Q3. コーディングテストのスコアはどうなっているのでしょうか?
コーディングテストのスコアは、企業によって異なります。どのテストでも共通しているのは、要件を満たしていない成果物にはスコアがつかないということです。スコアの要素は企業によって異なりますが、正答率のほか、プログラムのパフォーマンス、ソースコードの可読性などをスコアとするケースもあります。
まとめ
コーディングテストの足切り基準は、以下のとおりです。
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・要件が満たされているか
・わかりやすいコードか
・期限内に提出しているか
・問題・課題を理解しているか
・修正点が出た場合に柔軟に対応できるか
こうした足切り対策として、日頃から読解力、理解力、論理的思考力を養う必要があります。問題集を解いたり、良質なコードに触れたりすることで、こうしたスキルを養うことが可能です。
上記の点を意識しつつ、十分なスキルを得た上でレバテックキャリアの転職サポートを利用すると、コーディングテストも含めた転職を成功させられる可能性がさらに高まります。転職の際には、ぜひレバテックキャリアをご利用ください。
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