- 女性システムエンジニア(SE)は右肩上がりに増えている
- 女性エンジニアの割合
- 女性システムエンジニア(SE)の年収
- 女性がシステムエンジニア(SE)として働く4つのメリット
- 女性システムエンジニア(SE)がしんどいと感じる4つのデメリット
- 女性システムエンジニア(SE)に関するよくある質問
- まとめ
女性システムエンジニア(SE)は右肩上がりに増えている
女性システムエンジニアの数は、近年急速に増加しています。厚生労働省が毎年実施している賃金構造基本統計調査の結果によると、2020年には90,660人だった女性エンジニアの数が、2023年には151,760人にまで増加しました。この3年間で約1.7倍に増えたことになります。
さらに、経済産業省が発表したIT人材需給に関する調査では、2015年から2030年までIT人材の需給ギャップが広がると考えられています。そのため、今後も女性システムエンジニアの需要は高まっていくといえるでしょう。
女性エンジニアの割合
IT業界における女性の活躍が注目される中、ITエンジニアの男女比に関してはまだまだ男性が多数を占めています。一般社団法人情報サービス産業協会(JISA)が実施した2023年版情報サービス産業 基本統計調査によると、調査対象の企業で働くITエンジニアのうち、女性エンジニアの割合は22.6%です。一方で、男性エンジニアは77.4%を占めており、約3.4倍の開きがあることが分かります。つまり、ITエンジニアとして働く人の中で、およそ4~5人に1人が女性という計算になります。
さらに注目すべきは管理職の割合です。同調査によると、管理職の91.9%が男性であり、女性はわずか8.1%と大きく偏っています。
ただし、これらの数字は業界全体の平均であり、個々の企業によって状況は異なります。ITエンジニアへの転職を検討する際には、求人内容や企業情報から、女性社員の割合や採用状況を確認するのがおすすめです。
女性システムエンジニア(SE)の年収
女性システムエンジニアの年収は、IT業界全体の成長とともに注目を集めています。ここでは、女性システムエンジニアの年収に関して、以下の2つのポイントを説明します。
それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
SE女性の平均年収
厚生労働省の令和5年賃金構造基本統計調査の結果をもとに算出した女性システムエンジニアの平均年収は約458万円となっています。性別ごとのシステムエンジニアの平均年収と全職種合わせた女性の平均年収、平均年齢を以下の表に示します。
分類 | 平均年齢 | 平均年収 |
---|---|---|
女性エンジニア | 約34.0歳 | 約458万円 |
男性エンジニア | 約39.8歳 | 約585万円 |
全職種の女性 | 約43.0歳 | 約470万円 |
出典:「賃金構造基本統計調査 / 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」における「ソフトウェア作成者」をもとに算出
男性システムエンジニアの平均年収は約585万円で、両者のあいだには約127万円の差があります。さらに、全職種の女性の平均年収と比較すると、全職種の女性の平均年収は約470万円で、女性システムエンジニアの年収は全職種の平均よりも低いという結果になっています。
この要因の1つに、女性システムエンジニアの平均年齢の低さがあるでしょう。全職種の女性の平均年齢が43歳であるのに対し、女性システムエンジニアの平均年齢は34歳と下回っています。この年齢差が、経験年数や役職の違いを生み、結果として年収の差につながっていると考えられます。
女性エンジニアが年収を上げる方法
女性エンジニアが年収を上げるためには、長期的なキャリアプランを立てることが重要です。
一般的に、年収はキャリアに応じて上がっていきます。しかし、システムエンジニアの業務の責任の重さや長時間労働の多さなどが、妊娠・出産などの女性特有のライフステージの変化と折り合いがつかなくなることがあります。そのため結婚や出産、今後のキャリアパスなども考慮した上で、働きやすい環境の企業を選ぶことが重要です。
企業選びの際には、募集要項や公式サイトの企業情報などから、以下の項目を確認するのがおすすめです。
-
・フレックスタイム制や短時間勤務の制度の有無
・リモートワークの可否
・育児休暇の取得率
・育児休暇後の復職率
・福利厚生(社内託児所やマザーズルームなど)
・ハラスメント相談窓口の有無
これらの情報を確認することで、長期的なキャリア形成が可能な環境かどうかを判断しやすくなります。なお、これらの情報の確認が難しい場合は、転職エージェントを頼るのも1つの手段です。レバテックキャリアでは、あなたのキャリアプランに合った企業を紹介します。お気軽にご相談ください。
女性がシステムエンジニア(SE)として働く4つのメリット
ここでは、女性がSEとして働く際の4つの主なメリットについて説明します。
それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
育児休暇取得後に復職しやすい
女性SEの大きなメリットの1つは、育児休暇取得後の復職のしやすさです。厚生労働省の令和5年度雇用均等基本調査の結果によると、システムエンジニアを含む情報通信業は、育児休暇を取得したあとの女性の復職者の割合が96.4%と、全16産業のうち5番目に高い数字を示しています。
育児休暇後にスムーズに職場復帰できると、キャリアの空白期間が短くなります。そのため、職場での価値やスキルを維持しやすくなり、昇進や将来的なキャリアの発展にもつながるでしょう。
スキルがあれば性別を問わず活躍できる
システムエンジニアの仕事は力仕事が少ないため、スキルと知識があれば性別に関わらず活躍できるのが大きな特徴です。
システムエンジニアは、主にITスキルを活用して、システム設計やプログラミングなどの業務に取り組みます。ITスキルは、性別に左右されるものではなく、教育や経験、自己学習によって磨かれるものです。そのため、スキルがあれば性別を問わず活躍の場があります。
働き方の選択肢が幅広い
システムエンジニアの仕事は、多様な働き方を選択できることが大きな魅力です。自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせて、最適な働き方を選べます。
たとえば、以下のような働き方が挙げられます。
働き方 | メリット |
---|---|
リモートワーク | ・通勤時間が削減でき、家事育児との両立がしやすい ・妊娠期間中の自家用車や公共交通機関での通勤に 不安がある女性にとって良い選択肢となる |
社内SE | ・残業や出張が比較的に少なく、 保育園などへの子どもの送迎に影響しづらい |
プロジェクトベースの仕事 | ・複数人のプロジェクトのメンバーとして働く場合、 急な体調不良や家庭の事情で休んでも ほかのメンバーにフォローしてもらいやすい |
このように、システムエンジニアの仕事は、個人のニーズや状況に合わせて働き方を調整しやすい職種といえるでしょう。
リモートワークができるシステムエンジニアの求人・転職情報>
社内SEの求人・転職情報>
屋内での座り仕事が多いため肉体的な負担が少ない
肉体的な負担が比較的少ないのも、女性がシステムエンジニアとして働くメリットのうちの1つです。
システムエンジニアの仕事は、ほとんどの作業がデスクワークのため、長時間の立ち仕事や重いものを持ち運ぶような肉体労働を避けられます。また、天候に左右されず、空調の効いた快適な環境で仕事ができます。屋外作業がほとんどないため、暑さや寒さ、雨などの身体的な負担を感じにくいです。
一般的に、男性よりも女性のほうが体力が少ないですが、システムエンジニアは肉体的な負担が少ないため、女性にとって力を発揮しやすい職種といえます。
関連記事:システムエンジニア(SE)のやりがい10選!大変なことも解説
女性システムエンジニア(SE)がしんどいと感じる4つのデメリット
ここでは、女性システムエンジニアがしんどいと感じるデメリットとして、以下の4つについて説明します。
それぞれ詳しく解説するので、参考にしてください。
職場に女性が少ないため悩みを共有しづらい
女性システムエンジニアがしんどさを感じる原因の1つは、職場に女性が少ないため悩みを共有しづらいことです。IT業界では、依然として男性が多数を占めています。この環境自体が、女性システムエンジニアにとってさまざまな悩みの原因となり得ます。
具体例としては、以下のとおりです。
-
・疎外感や孤独感を感じやすい
・女性特有の体調不良を相談しにくい
女性が少ない環境では、自然と疎外感や孤独感を感じやすくなります。職場の雰囲気や男性中心の話題についていけないといった状況が生まれやすいためです。
また、生理痛やホルモンバランスの変化による体調不良など、女性特有の健康問題について相談しづらい環境になりがちです。これらの問題は仕事のパフォーマンスに直接影響する可能性があるにも関わらず、理解を得られにくい場合があります。
そのため、職場で悩みを共有しづらいことが女性がシステムエンジニアとして働くデメリットの1つといえます。
ロールモデルが少なくキャリアプランを想像しづらい
女性システムエンジニアは、職場にロールモデルが少なくキャリアプランを想像しづらいという特徴があります。
特に、管理職として働く女性の割合が低いことは、長期的なキャリア形成において重要な問題です。管理職としてキャリアアップしている女性のロールモデルが少ないと、自分の将来のキャリアを具体的にイメージすることが難しくなります。これが原因で、キャリア形成に対して消極的になってしまうケースもあるようです。
そのため、ロールモデルの少なさも女性システムエンジニアのデメリットの1つといえます。
急なトラブル対応や長時間残業の負担が大きい
急なトラブル対応や長時間残業の負担が大きいことも、女性がシステムエンジニアとして働く上でのしんどさの原因の1つです。急なトラブル対応や長時間の残業は、男女問わず負担となりますが、特に女性ならではの負担もあります。発生しうる問題の具体例は、以下のとおりです。
観点 | 発生しうる問題 |
---|---|
身体的負担 | 長時間残業や不規則な勤務は、ホルモンバランスの乱れや、 体調を崩す要因になりえる。 また、妊娠中の女性にとっては母体や胎児への影響が懸念される。 |
育児・家事との両立 | 子育て中の場合、保育園などへの送迎時間に間に合わないなどの 問題が生じる可能性がある。 |
安全面の懸念 | 残業が深夜まで長引き帰宅が困難になった場合は、 安全面でのリスクが高まる。 |
このように、急なトラブル対応や長時間の残業は、女性にとって大きな負担となる場合があります。
システムエンジニアの業務の性質上、急なトラブル対応や長時間残業は避けづらいこともあるので、システムエンジニアとして働く女性にとってはデメリットと感じられるでしょう。
担当業務によっては、体調や身だしなみを整えづらい
システムエンジニアの業務は多岐にわたり、担当する業務によっては体調や身だしなみを整えることが難しい場合があります。
たとえば、サーバールーム内での作業など、寒さや乾燥を感じやすい環境下での業務は体調を崩しやすいです。特に、更年期障害などによりホルモンバランスや自律神経が乱れていると、体温調整が困難な場合があり、業務で本来の力が発揮しづらくなります。
また、客先のサーバールームなどセキュリティの厳しい環境では、自由にお手洗いに行けないことも少なくありません。そのため、身だしなみが整えられないまま異性と仕事をしなくてはいけない状況が、心理的なストレスにつながる可能性があります。
このように、担当業務によっては女性が働きづらさを感じやすいことが女性システムエンジニアのデメリットの1つです。
関連記事:システムエンジニアはやめとけ?その理由と解決策について解説!
女性システムエンジニア(SE)に関するよくある質問
ここでは、女性システムエンジニアに関するよくある質問とその回答を詳しく紹介します。女性がシステムエンジニアを目指す上で、適性や実務経験について気になる方が多いようです。また、女性システムエンジニアの量についても、よくある質問として挙げられます。
以下で、これらについて確認していきましょう。
Q1. システムエンジニアに向いている女性の特徴はなんですか?
職業情報提供サイトjobtagによると、システムエンジニアに必要なスキルやアビリティとして「読解力」「傾聴力」「プログラミングスキル」が高いレベルで必要とされています。また、仕事の性質として「他者との関わり」も多いとされているため、コミュニケーション能力が高い人も向いているといえます。
Q2. 未経験でも女性システムエンジニアになれますか?
未経験でも女性システムエンジニアへの転職が可能です。独立行政法人情報処理推進機構のDX動向2024によると、国内のIT人材の不足は今後も拡大していくと予測されています。そのため、いわゆるポテンシャル採用の募集が増加傾向にあります。求人の中から、研修が充実している未経験OKの条件で探すと良いです。
Q3. 女性SEが少ないのはなぜですか?
女性SEが少ない理由としては、ロールモデルの少なさや、急なトラブル対応や長時間残業の負担の大きさなどが挙げられます。ただし、女性システムエンジニアの数は増加傾向にあります。IT人材の需要も高まっているため、今後女性システムエンジニアの活躍の場は広がっていくでしょう。
まとめ
この記事では、女性システムエンジニアを取り巻く現状、メリットとデメリットなどについて包括的に紹介しました。IT業界は急速に発展し続けており、システムエンジニアとしての女性の活躍の場は確実に広がっています。しかし同時に、ワークライフバランスの問題やロールモデルの不足など、克服すべき課題も存在します。企業選びの際には、 結婚や出産、今後のキャリアパスなども考慮した上で、働きやすい環境の企業を選ぶことが重要です。
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※本記事は2024年12月時点の情報を基に執筆しております
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