そもそもSESとは
SES(System Engineering Service)とは、ITエンジニアがクライアント企業に技術力を提供する働き方のことです。成果物を納品するのではなく、案件単位でITエンジニアのスキルを提供する形態となっています。
この働き方によって、企業側は必要な期間だけ技術者を確保できる一方、ITエンジニアはさまざまな現場で経験を積めます。IT業界未経験者や経験が浅い人でも業界に参入しやすく、案件ごとに新しい技術に触れられるというメリットがあるのです。
そして、エンジニアの働き方が多様化するに伴い、SES業界も進化を遂げています。会社が主導してキャリアパスを構築する従来の形式に加え、エンジニアの自律性や働きやすさを重視した「新SES」と呼ばれる企業形態が広がりを見せています。
次章では、この新SESの特徴について詳しく見ていきましょう。
新SESの特徴は?メリットを紹介
新SESは働きやすさを重視した新しい形態のSESで、その特徴から「高還元SES」「案件選択型SES」「エンジニアファーストSES」「モダンSES」などとも呼ばれています。ここでは、新SESの主な特徴とメリットを詳しく紹介します。

それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
案件選択の自由度が高い
新SESの特徴は、案件選択における自由度の高さです。エンジニア自身が希望や条件に合わせて案件を選べるケースが多く、自分のキャリアをコントロールしやすくなっています。
たとえば、使用したい技術スタックを指定したり、上流工程か下流工程かを選べたりする場合が多いでしょう。
このように、案件選択の自由度が高まることで、エンジニアは自分のキャリアプランに沿った経験を積みやすくなります。自分の興味や強みを活かした案件に取り組めることは、技術的な成長だけでなく、モチベーション維持にもつながるのです。
還元率が高く収入増加に直結しやすい
新SESの重要な特徴として、エンジニアへの還元率の高さが挙げられます。SES事業では、クライアント企業からの報酬をSES企業が受け取り、そこから管理費や教育コストなどを差し引いた額がエンジニアの給与として還元されます。
新SESでは、案件単価のより多くの割合をエンジニアに還元できるモデルを実現していることが多いです。中間コストを抑える仕組みとして、案件への自己エントリー制や契約・請求処理の自動化を導入することで、70~80%以上の還元率を実現している企業もあります。
このような高還元モデルにより、エンジニアのスキルと案件単価が直接収入に反映されるようになり、頑張った分だけ収入アップにつながりやすい環境が整備されているのです。
キャリア支援やスキルアップ支援が整っている
新SESでは、キャリア形成やスキルアップを支援する制度が整っていることが多いです。エンジニアの市場価値向上がそのまま企業の競争力向上につながるため、積極的な投資が行われる傾向にあります。
たとえば、次の案件が決まるまでの待機期間を、「次のステップへの準備期間」と捉える動きが広がっています。この期間に、最新技術の習得やリスキリングのための研修に充てるなど、時間を最大限に活用する企業が増えているのです。
実際に、厚生労働省の「人材開発支援助成金」の活用により、研修費用や研修中の賃金の助成を受け、待期期間のエンジニアの育成に力を入れる企業が存在します。具体的には、AI駆動開発協会(AIDD)によるSES企業の待機期間に特化したAI研修プログラムなど、実践的なスキルアップの機会を提供する取り組みが利用されています。
このように、キャリア形成やスキルアップを支援する制度が充実していることが、新SESの特徴の1つと言えるでしょう。
関連記事:SESのキャリアプランの描き方!理想のキャリアを実現する方法とは?
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リモートワークなど働き方の柔軟性が高い
新SESでは、働き方の柔軟性が高いことも大きな特徴です。案件選択の自由度の高さと相まって、フルリモート案件や週数日の出社案件など、自分のライフスタイルに合わせた働き方を選択しやすくなっています。
たとえば、育児や介護と両立したいエンジニアは時間や場所に制約のない働き方を選びやすいです。また、副業を認める企業もあり、本業の経験を活かして収入を増やしたり、新たなスキルを獲得したりする機会も広がっています。
このような柔軟な働き方を選べることで、ワークライフバランスを保ちながらキャリアを継続できる環境が整っているのです。
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案件単価や評価制度の透明性が高い
新SESでは、案件単価や評価制度が公開されているなど、透明性が高い企業が多いことも特徴です。エンジニアの納得感を重視するため、従来はブラックボックスになりがちだった情報開示に積極的な姿勢が見られます。
たとえば、単価連動型の給与体系により、エンジニアは自身の市場価値を把握しやすくなります。単価連動型とは、クライアントが支払う案件の「月額単価」に応じてエンジニアの給与や報酬が直接変動する仕組みのことです。また、評価基準とキャリアパスを公開することで、エンジニアが自身の立ち位置や成長目標を容易に把握できる支援が整っている企業も多いです。
情報が明確に共有されることで、エンジニアは自分のキャリアを主体的に考え、計画的に市場価値を高められるようになるのです。
新SESの注意点やデメリット
ここまでは新SESの良い面を解説しましたが、いくつか注意すべき点も見ていきましょう。人によってはデメリットと感じられる要素も存在するため、事前に理解しておくことが重要です。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
収入が案件単価に左右されやすい
新SESでは還元率ベースの給与体系が多いため、案件単価の変動が直接収入に影響します。単価が上がれば収入も上がりますが、逆に単価が下がると収入も減少する仕組みなのです。
高単価案件に参画しているあいだは収入が増える一方、案件変更や契約終了によって単価の低い案件に移った場合、同じスキルでも収入が減るケースがあります。たとえば、月単価80万円の案件から60万円の案件に移ると、還元率が同じでも月収が下がる可能性があるでしょう。
このように、「案件単価が直接収入に反映される」仕組みが、裏を返せば収入の不安定さにつながるというデメリットになりうるのです。
自己管理や主体性が求められる
新SESでは案件選択やキャリア設計の自由度が高い分、自分で判断し行動する場面が多くなります。これはメリットである反面、自己管理能力や主体性が問われる側面もあります。
たとえば、どの案件を選ぶか、どのスキルを伸ばすか、いつ案件を変えるかなど、キャリアに関わる重要な決断を自分で下す必要があるでしょう。また、リモートワークなど柔軟な働き方が可能な環境では、自分でタスク管理や時間管理をする能力も求められます。
自分の強みや市場価値を客観的に分析し、計画的にキャリアを構築できる人には恩恵が大きい環境です。一方で、明確な指示を好む方や、キャリア選択に不安を感じる方には負担に感じられる可能性があります。自走できるかどうかが重要な前提となるため、自分の働き方の傾向と合うかどうか検討することが大切でしょう。
営業や会社のサポートに差が出やすい
新SESではサポートの手厚さや関わり方が企業ごとに異なる傾向があります。エンジニアへの高い還元率を達成するため、中間コストを抑えた構造を採用している場合があるからです。
たとえば、定期的にキャリア面談を実施して成長をサポートする企業もあれば、還元率を高めるためにサポートコストを最小限に抑えているというケースもあるでしょう。また、スキルアップ支援として提供される研修制度や費用補助についても、充実度には企業間で違いがあります。
このように、新SESは一言で括れない多様性があるため、高還元率だけでなく、自分に必要なサポート体制があるかどうかを確認することが重要です。特に、経験の浅いエンジニアの場合、技術面でのフォローやキャリア相談ができる環境かどうかは長期的な成長に影響するでしょう。
「新SES」という言葉に明確な定義がない
「新SES」という言葉には明確な定義がなく、企業ごとに内容が異なる点にも注意が必要です。新しい形態ということもあり、業界として統一された基準や認識はまだ確立されていません。
ある企業では高還元や単価公開を「新SES」の核と考える一方、別の企業では案件選択の自由度や働き方の柔軟性を指すなど、同じ新SESでも中身が異なる場合があります。企業が独自の特徴をアピールするために使用している側面もあるのです。
そのため、「新SES」という名称だけで判断せず、具体的な制度や中身を個別にしっかり確認することが重要です。表面的なキーワードではなく、実際の働き方や還元率、サポート内容などを詳細に比較検討することで、自分に合った環境を見つけられるでしょう。
新SESを選ぶ際に確認しておきたいポイント
新SESへの転職や就職を検討する際は、いくつかの重要なポイントを確認することが大切です。これらのポイントを事前にチェックし、自分との相性を検討したり、納得いくかどうかを考えたりしておくことで、後悔のない選択が可能になります。
それぞれ詳しく解説するので参考にしてください。
還元率や給与の内訳を確認する
還元率や給与の内訳を確認することも重要です。高還元率を謳っていても、交通費や社会保険料、各種手当が含まれるかどうかで実際の手取りが変わってくるからです。
たとえば、「還元率80%」と謳っていても、その計算の基礎となる金額が案件単価から諸経費を差し引いたあとの金額だった場合、実質的な還元率は低くなります。また、基本給と変動給(案件単価連動部分)の割合も確認すべきポイントです。基本給の割合が低いと、案件がない期間の収入が大幅に減少する場合があるからです。
このように、表面的な数字だけでなく、具体的な計算方法や給与体系を確認しておくことで、安定性と収入アップのバランスを見極められます。面接時に質問し、給与明細のサンプルを見せてもらうなど、具体的な確認を行うことをおすすめします。
関連記事:SESの待機期間が長ければクビになる?給与の扱いや待機を避ける方法を解説
待機期間中の給与やルールを確認する
待機期間中の給与やルールを確認することも重要です。案件がない待機期間の扱いは企業によって大きく異なるため、事前に把握しておく必要があります。
減額か満額支給か、満額支給を謳っていても「基本給のみが満額」の場合もあり、手取りとしては通常時の6割程度になる可能性もあるでしょう。たとえば、月収50万円のエンジニアが待機になった場合、基本給が30万円で残りが案件連動給だと、待機中は30万円しか支給されないことになります。
また、待機期間中の過ごし方や、待機期間が長引いた場合の対処にも注目すべきです。以下のような内容を確認しておくことが重要です。
・研修やスキルアップの機会が提供されるのか
・待機期間中に有休消化を強制されないか
・待機が長引いた場合、減額や賞与査定へのマイナス評価があるかなど
事前にこれらの詳細を把握することで、安心してキャリアを継続できる環境かを見極められるでしょう。
サポート体制を確認する
長期的なキャリア構築のためには、サポート体制と自分の働き方のスタイルの相性を確認しておくことが重要です。高い還元率は、会社側の中間コストが少ないという両面性を持っています。コスト削減の結果、サポート体制が控えめになっている可能性も考慮に入れる必要があります。
たとえば、キャリア相談の頻度や内容、技術的なサポート体制、困ったときの相談窓口など、具体的なサポート内容を確認しておくと良いでしょう。また、スキルアップ支援として、研修制度や資格取得支援の有無も重要なチェックポイントです。サポート体制や会社との関わりが控えめであることは必ずしも悪いわけではなく、自立して動ける人や外部に相談先を持つ人にはかえって適している場合もあります。
そのため、サポート体制の手厚さと自分の働き方のスタイルを事前に照らし合わせておくことが重要です。
しかしながら、新SESは歴史が浅く、企業による使われ方が広範なため、「新SES」というキーワード検索だけで自分に合った求人を効率的に見つけるのは困難です。効率良く新SESの求人を探すには、転職エージェントの活用がおすすめです。
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まとめ
この記事では、新SESとは何か、そのメリットやデメリット、選ぶ際のポイントについて解説しました。
SESは、エンジニアのスキルをクライアントに提供し、多様なプロジェクト経験を積める仕組みです。このSES業界において、企業による安定したアサインが強みの従来型に加え、個人のキャリア志向や希望を軸にマッチングを行う「新SES」が登場しています。その結果、個々の理想に合わせた働き方が選べるようになってきています。
「新SES」のメリットは以下のとおりです。
・案件選択の自由度の高さ
・高い還元率
・充実したキャリア支援
・柔軟な働き方
・透明性の高さ
一方で、新SESには、人によっては懸念点やデメリットとなり得る側面も存在します。
・収入の変動性が比較的高い
・自己管理能力が求められる
・サポート内容に差が出やすい
・新しい形態のため明確な定義がない
新SESへの転職を考える際は、このような特徴をしっかり理解した上で検討することが重要です。
この記事の内容を、自分のキャリア目標や働き方の希望に合った新SES企業を選ぶための参考にしてください。