女性のエンジニアがつらいと感じる理由とは
女性エンジニアがつらいと感じる理由は主に以下の4つです。
ここからは、それぞれの理由について解説していきます。
女性エンジニアが少なく悩みを共有できない
女性エンジニアにとって、同じ立場の同僚が少ないことは悩みを解消できない要因となり得ます。一般社団法人情報サービス産業協会の「2023年版 情報サービス産業 基本統計調査(p. 31)」によると、ITエンジニアの割合は男性が77.4%なのに対し、女性はわずか22.6%となっています。この数字から、職場における女性エンジニアの少なさは明らかです。
男性が多数を占める職場環境では、女性特有の悩みや課題を共有できる相手が限られます。たとえば、ワークライフバランスの取り方や、男性中心の職場文化への適応など、女性ならではの経験や課題について話し合える同性の同僚が少ないのです。
残業が多く心身ともに負担を感じやすい
ITエンジニアの仕事は、納期が迫っていたり急遽トラブル対応が必要になったりすると残業が発生しがちです。家庭や育児の事情で定時で帰宅したいと思っても、職場の理解が得られるか不安で声を上げられずに仕事を優先し、後悔するといったケースもあるでしょう。
また、残業が重なるとプライベートの時間を確保するのが難しくなり、ワークライフバランスを崩す原因になります。たとえば、趣味を楽しむ時間や心身を休める時間が少なくなるため、結果として体調を崩したり仕事への意欲が低下したりすることがあります。これまで残業の少ない仕事を経験してきた方にとっては、特に負担に感じる可能性があるでしょう。
キャリア形成の見本となる女性上司が少ない
女性エンジニアにとって、キャリア形成の道筋を示してくれる女性上司の存在は重要といえます。しかし、職場にエンジニアを経験してきた女性の上司がいるケースは少なく、IT業界全体としても少ないのが現状です。
結婚・出産・育児などのライフイベントと仕事を両立してキャリアアップした女性が職場に少ないため、女性エンジニアはどのようにキャリアを築いていけば良いか悩みがちです。
また、男性の割合が多いからこそ、その中で女性がキャリアを築いていけるのか不安を感じる人もいるでしょう。男性中心の職場文化の中で、女性がリーダーシップを発揮したり、管理職に昇進したりする道筋が見えにくいことが、不安の一因となっています。
結婚・出産・育児と仕事の両立が難しい
仕事と家庭・育児を両立させている女性エンジニアは、仕事よりも家庭を優先しなければならない場合もあるでしょう。そういったときに「職場に迷惑をかけているのではないか」と自責の念に駆られることはつらいと感じる理由の1つです。
「私生活を充実させようとすると逆にキャリアアップの機会を失うのでは」と不安に感じる方もいるでしょう。技術の進歩が速いIT業界では、キャリアを中断することで最新の技術トレンドについていけなくなる懸念があるのです。
出産・育児休暇を取得しづらいと感じる人もいます。男性中心の職場では、長期休暇に対する理解が不足している場合があり、出産・育児休暇復帰後のポジションや仕事内容などに関して希望にそぐわない変更が生じる不安があるからです。
さらに、家庭を持つと勉強したくても時間が限られ自己研磨できない問題も挙げられます。エンジニアとしてのスキルアップは常に必要ですが、育児と両立しながら学習時間を確保するのは容易ではありません。
エンジニアに向いている女性の特徴5つ
エンジニアに向いている女性の特徴として、以下の5つが挙げられます。
「女性はエンジニアに向いていない」という意見は、現代のIT業界では通用しません。個人の資質や能力がエンジニアとしての適性を決定するからです。
物事を論理的に考えるのが得意な人
論理的思考力は、エンジニアにとって不可欠なスキルです。システム設計やプログラミングでは、複雑な問題を小さな部分に分解し、順序立てて解決していく能力が必要です。
女性で物事を論理的に考えるのが得意な人は、エンジニアとして高いポテンシャルを持っています。たとえば、プログラムのアルゴリズムを設計する際、効率的かつ最適な解決方法を見出すことができます。また、デバッグの過程では、エラーの原因を論理的に追跡し、効果的に問題を解決できるでしょう。
論理的思考力は、継続的な取り組みで身につけられる能力です。パズルや論理ゲームをしたり、日常生活の中で「なぜ」という疑問を持ったりして、原因と結果の関係を考える習慣をつけるのがおすすめです。
細かい作業が好きな人
コードの記述ミスがシステム全体に影響を与える場合があるため、細かい作業と向き合えることはエンジニアとしての重要な資質です。
細かい作業を強みとする方は、複雑なコードを書く際に構文エラーを見逃しにくく、効率的にデバッグを行えます。また、ユーザーインターフェースのデザインにおいても、細かな調整を行い、使いやすさを向上させることが可能です。
さらに、細かい作業が得意だと、プログラミングだけでなく、テスト工程やドキュメンテーションなどエンジニアの仕事の多くの側面で活かせます。
勉強し続ける意欲がある人
IT業界は技術の進歩が速く、常に新しい知識やスキルを習得し続ける必要があります。そのため、勉強し続ける意欲があることは、エンジニアにとって不可欠です。
新しい技術やプログラミング言語に興味を持ち、自主的に学習を続けられる女性は、エンジニアとして成長し続けられる可能性が高いです。仕事以外の時間を使って新しいフレームワークを学んだり、最新のセキュリティ技術を習得したりするなど、勉強を継続すると自身のスキルをアップデートすることに繋がります。
問題解決力がある人
システム開発やプログラミングの過程では、さまざまな技術的課題や予期せぬ問題に直面するため、エンジニアには問題解決力が求められます。
問題解決力のある女性は、複雑なバグが発生した際に冷静に状況を分析し、効率的にデバッグを行えます。また、クライアントの要求を技術的に実現可能な解決策に落とし込むためにも、問題解決力が必要です。このように、さまざまな角度から物事を捉えて分析し、試行錯誤しながら問題を解決に導ける女性はエンジニアに向いています。
コミュニケーションスキルがある人
エンジニアの仕事には、コミュニケーションスキルが欠かせません。エンジニアが携わるプロジェクトでは、チームメンバーとの協力やクライアントとの折衝、技術的な内容の説明など、さまざまな場面でコミュニケーションスキルが必要です。
たとえば、クライアントとの関係を構築していく際やプロジェクトを円滑に進行していく際には、複雑な技術的概念を誰にでも分かりやすく説明しなければならない場面があります。
また、チーム内では、メンバーの意見を聞いたり自分のアイデアを提案したりしてコミュニケーションを積極的にとることでチームの生産性や結束力が高まります。
エンジニアに必要なスキルについて詳しく知りたい方は、「SEに必要な7つのスキル!関連職種からスキルアップの方法まで紹介」や「プログラマーに必要なスキル・知識とは?資格や学習方法も紹介」の記事をご覧ください。
女性がエンジニアになることで得られるメリット
女性がエンジニアとしてキャリアを築くことには、以下のメリットが挙げられます。
それぞれのメリットについて詳しく説明していきます。
一般職の男性平均より高い年収を得られる
女性がエンジニアになると、一般職と比較してより高い年収を得られる可能性が高くなります。
2023年を調査対象とした厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、エンジニアが含まれる「ソフトウェア作成者」の女性の平均年収は453.6万円(※)です。一方で、一般労働者の賃金は男性で350.9万円、女性で262.6万円です。このことから、女性エンジニアは一般職の男性の約1.3倍、一般職の女性の約1.7倍の年収を得られることが分かります。
女性がエンジニアのキャリアを選ぶことで、一般職として働くよりも経済的な面で有利なため、高い年収を得たい人にとっては魅力といえます。
※企業規模10人以上を対象とし、「きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与」にて算出
エンジニアの年収についてより詳しく知りたい方は、システムエンジニア(SE)の平均年収は?1000万円を目指す方法も紹介やITエンジニアの平均年収とは?年収を上げるためのポイントも解説の記事をご覧ください。
転職先候補が豊富にある
エンジニアは人材不足なため、転職の選択肢が豊富です。経済産業省の「-IT 人材需給に関する調査- 調査報告書(p. 24)」によると、2030年までにIT人材は最大79万人不足すると予測されています。そのため、IT人材の需要は引き続き高い状況が続くと考えられます。
IT人材の需要の高さは、女性がエンジニアに挑戦する転機ともいえます。また、金融や製造、医療、農業、物流などあらゆる分野でITの活用が進んでいるため、将来的に自身の興味や適性に合わせて、幅広い業界から転職先を選ぶことも可能です。多様性の1つとして、女性エンジニアを雇用したい企業も存在することから、女性エンジニアの希望が叶いやすい環境が整ってきているといえるでしょう。
エンジニアの転職先について興味がある方は、SE(システムエンジニア)におすすめの転職先を業界・職種別に解説の記事も参考にしてみてください。
実力を評価してもらいやすい
エンジニアの世界では、個人の技術力や実績といったプロジェクトにおける貢献度が重視されるため、女性も男性同様に実力が評価されます。
特に、IT業界に多いベンチャーやスタートアップ企業では、実力主義の傾向が強いです。また、革新的なアイデアや高度な技術力が求められるため、性別や年齢よりも個人の能力が評価の基準となります。
女性エンジニアにとっては、自身のスキルと努力次第でキャリアアップの機会を得られるため、仕事のやりがいに繋がりやすいです。
在宅で勤務できるケースがある
エンジニアの仕事は、在宅勤務やリモートワークと相性が良いのも大きなメリットです。女性はライフイベントによって生活に変化が生じやすいため、無理なく家庭と仕事を両立していきたい方にとって職場の理解は欠かせません。柔軟な働き方を導入している企業では、週に数回在宅で仕事ができたり時短勤務ができたりなど働き方を調整できるため、女性エンジニアが家庭や育児と仕事を両立できる可能性が高いです。
レバテックキャリアに掲載されているエンジニアの求人情報を、こだわり条件「リモートワーク」で検索した場合、2024年12月時点で8,253件がヒットしました。この求人数から、リモートワークが可能なエンジニアの仕事は豊富にあるのが分かります。
在宅勤務ができるか否かは、実際に転職する際の面接で確認してみると良いでしょう。在宅勤務ができる企業に転職すると、通勤時間の削減や柔軟な時間管理によってプライベートと仕事のバランスを取りやすくなるため、女性エンジニアがより働きやすさを実感できるようになります。
リモートワーク可能なエンジニアの求人・転職情報>
レバテックキャリアでは、実際に転職を経験したエンジニアの体験談を紹介しています。女性エンジニアの体験談も掲載しているので、興味がある方は転職者インタビューをご覧ください。
女性エンジニアへの転職理由は年収アップが最多!
レバテックが実施した転職意識調査によると、女性エンジニアの転職の理由は「年収アップ」が最多となっています。「女性エンジニアはつらい」という声がある中でも、高い年収を得られる可能性が女性エンジニアにとっての大きな魅力であることが分かります。
以下に、女性エンジニアの転職の決め手となった理由と回答者の割合をまとめました。
女性エンジニアの 内定承諾の決め手 |
割合 |
---|---|
年収がアップするから | 43.8% |
長く働き続けられるような 環境が整っているから |
36.6% |
スキルアップできる環境があるから | 28.8% |
リモートワークができるから | 22.9% |
自分のスキルや経験をしっかり 評価してくれたから |
17.0% |
上司・同僚の人柄が魅力的だから | 8.5% |
面談やオフィス見学によって 入社後のイメージが湧いたから |
8.5% |
育児・子育てに理解があるから | 5.9% |
その他 | 21.0% |
出典:女性エンジニア比率が過去10年増加傾向、「家庭と仕事を両立したい」と考える女性は7割超え
年収のほかに転職で重視している点としては、「長く働けられそうな環境」「スキルアップできる環境」「リモートワークができる」などが挙げられます。高い年収を得つつ積極的にキャリアアップしていきたい志向の女性エンジニアが多いようです。また、「企業が育児への理解があること」は、仕事と育児を両立していきたい女性エンジニアが活躍するための大きな後押しとなっているでしょう。
女性がIT業界で働くメリットについて興味がある方は女性プログラマーの転職理由や増加している理由・働くメリットを解説の記事をご覧ください。
まとめ
女性エンジニアは、男性が多い職場での孤独感やキャリアの指標となるモデルがいない、出産・育児と仕事の両立の難しさなどでつらいと感じやすいです。つらいことで悩むことがある一方、女性エンジニアになるメリットもあります。一般職に転職するよりエンジニアに転職したほうが高い年収を得られる可能性が高いことや実力を評価してもらいやすいことなどは、大きな魅力でしょう。
年収アップを理由として転職する女性エンジニアが多いですが、仕事でつらいと感じないためには、まずは無理なく、自分にとって働きやすい環境に身を置くことをおすすめします。エンジニアの仕事は女性でも実力を評価してもらえるため、徐々にスキルアップしていくことでキャリアを築いていけます。
※本記事は2024年12月時点の情報を基に執筆しております
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