システムエンジニア(SE)の残業は多い?少ない?
ここでは、システムエンジニアの残業時間の量について解説します。解説するトピックとしては、以下の2つです。
それぞれ詳しく解説しますので、参考にしてください。
IT業界は全体的に残業時間が長い傾向にある
IT業界全体として、ほかの業界と比較して残業時間が長い傾向にあります。
厚生労働省が発表した、2024年10月の毎月勤労統計調査によると、IT業界を含む「情報通信業」の月当たりの所定外労働時間は16.9時間です。これは、本調査において最も所定外労働時間が長い「運輸業、郵便業」の21.8時間に次ぐ長さであり、「電気 ・ ガス業」と並ぶ2位となっています。
この結果から、IT業界全体の傾向として、残業時間は比較的長いといえます。
システムエンジニア(SE)の平均残業時間は21時間
2024年12月時点でレバテックキャリアに掲載している求人をもとに、主なエンジニア職種の毎月の平均残業時間を計算したところ、下記のような結果になりました。
職種 | 平均残業時間 |
---|---|
システムエンジニア | 21時間 |
フロントエンドエンジニア | 20.5時間 |
サーバーサイドエンジニア | 19.3時間 |
インフラエンジニア | 18.4時間 |
社内SE | 17.8時間 |
算出した結果、システムエンジニアの平均残業時間は21時間でした。ほかのエンジニア職と比べると、大きく差はないものの、システムエンジニアが1番長いという結果になりました。
ただし、これらの数字はあくまでも平均値であり、個々の企業や案件によって実際の残業時間は異なります。たとえば、大規模なシステム開発プロジェクトに携わっている場合は残業が多くなる傾向がありますが、保守・運用業務が主な場合は比較的残業が少ない傾向にあります。
システムエンジニアとして働く際は、求人情報をよく確認し、実際の勤務条件や残業の実態について確認することがおすすめです。
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システムエンジニア(SE)の業務で残業が発生する5つの原因
システムエンジニアの業務において、残業が発生する原因はさまざまです。原因を理解することで、残業を減らすためのヒントになるでしょう。主な原因としては以下の5つが挙げられます。
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
急な仕様変更や機能追加
システム開発では、急な仕様変更や機能追加により追加作業が発生することがあります。納期に変更がない場合は、スケジュールに間に合わせるよう残業で対応するのが一般的です。
仕様変更や機能追加が発生する主な原因として、以下の4つが挙げられます。
-
・開発手法としてアジャイル開発を採用している場合
・クライアントからの急な要望があった場合
・開発途中で国や業界の方針/ルールが変更された場合
・スケジュールが押している場合
また、システムエンジニアは自身の作業だけでなく、プロジェクト全体を適切に管理・フォローすることも業務のうちです。そのため、開発工程での仕様変更が発生した場合、自分の担当作業が終わっていたとしても、プロジェクトメンバーのカバーのために一緒に残業となることもあるでしょう。
タイトなスケジュール
スケジュールがタイトに組まれていると、作業を間に合わせるために残業が発生することがあります。
納期や人員の兼ね合いから、初めから残業前提のスケジュールが組まれている場合があります。また、前工程の遅延により後ろの工程の期間が短く再調整されることも珍しくありません。余裕のないスケジュールでは柔軟な調整が難しく、欠員や追加作業が発生すると、長時間労働が常態化することもあります。
このように、無理なスケジュールの設定が残業の原因の1つとなっています。
トラブル対応
プロジェクトの途中でトラブルが発生した場合、解決のために残業で対応することがあります。これは、SEの業務の性質上やむを得ません。
特に、業務停止を伴う障害やセキュリティインシデントが発生した場合、早急な解決が必要なため、対応が定時後にまでおよぶことがあります。このような緊急事態では、システムの安定稼働やセキュリティの確保が最優先となるため、残業は避けられないでしょう。
このような急なトラブルへの対応が、残業が発生する原因の1つとなっています。
マネジメント業務の多さ
マネジメント業務の多さも残業の原因の1つです。特に、プロジェクトリーダーや中堅以上のシステムエンジニアは、自分の担当する実作業のほかに、マネジメント業務も兼任することがあります。
クライアントや開発チームとの進捗会議や報告会は日中に集中します。また、マネジメント業務には、問題解決やリソース調整といった突発的な対応も含まれるため、予定外の時間が取られることも珍しくありません。そのため、自分の担当作業は残業して進めなければ間に合わないという場合もあります。
このように、マネジメント業務の負担が大きいことも残業の原因の1つといえます。
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業務の属人化
業務の属人化も残業の原因になることがあります。
たとえば「この作業は○○さんだけができる」「この業務のやり方は○○さんしか知らない」という状況になると、特定の人物に作業が集中してしまいます。さらにそこから「その人がいないと業務が滞る」「知識やスキルの共有が進まず、全体の生産性が低い」などの問題も起こりうるでしょう。
このような状況に陥ると、結果として残業につながる場合があります。
システムエンジニア(SE)の残業時間を減らすための6つの方法
システムエンジニアの残業時間を減らすことは、ワークライフバランスの改善や生産性の向上につながります。ここでは、SEの残業時間を減らすための6つの効果的な方法について詳しく解説します。
それぞれの方法について、具体的に見ていきましょう。
業務を効率化する
業務効率を上げることは、残業時間を減らすための最も直接的な方法の1つです。効率化により、同じ時間でより多くの仕事をこなせ、結果として残業が減少します。
たとえば、以下のような方法で効率化を図ると良いです。
方法 | 説明 |
---|---|
業務の自動化 | 繰り返し行う作業や定型業務を スクリプトやツールで自動化する |
効率化ツールの導入 | プロジェクト管理ツール、コミュニケーションツール、 バージョン管理システムなどの効率化ツールを導入する |
不要なミーティングの廃止 | 目的が不明確なミーティングや参加者が多すぎる ミーティングを見直し、必要最小限のミーティングのみ実施する |
これらの方法を組み合わせることで、より効果的に業務を効率化し、残業時間の削減につなげられます。ただし、効率化の取り組みには時間がかかる場合もあるため、長期的な視点で取り組むことが重要です。
障害対応マニュアルを作成する
長時間のトラブル対応が残業につながる場合もあるため、トラブル発生時のマニュアルをあらかじめまとめておくことも有効です。マニュアルを作成することで、問題発生時の対応時間を短縮し、残業時間の削減につながります。
たとえば、障害対応マニュアルには以下のような情報をまとめておくのがおすすめです。。
まとめると良い項目 | 説明 |
---|---|
頻出するトラブルの対応手順 | よくあるトラブルとその解決方法を 詳細に記載する |
保守情報の収集方法 | 各製品の保守情報の取得方法やコマンド、 システムログの確認方法などを記載する |
関連分野ごとの緊急連絡先 | トラブルの種類に応じて連絡すべき 担当者や部署のリストを作成する |
ハードウェアやソフトウェアの サポートデスクの連絡先 |
契約内容を確認し、サポート窓口の 連絡先や利用可能時間を明記する |
このようなマニュアルを作成し、定期的に更新することで、トラブル対応の効率が向上するでしょう。また、新人教育にも役立ち、チーム全体の対応力向上にもつながります。
チーム内でノウハウを共有する
チーム内でノウハウを共有し、作業の分散化を目指すのも残業時間の削減に効果的です。業務の属人性をなくすことは、作業の偏りを減らし、スムーズなプロジェクト進行にもつながります。
具体的には、以下のような方法があります。
方法 | 説明 |
---|---|
チームで定例会を実施する | 月に1回プロジェクト振り返り会を実施し、 持ち回りで活用したスキルを共有するなど、 定期的な情報交換の機会を設ける |
ノウハウをまとめた ドキュメントの共有 |
ノウハウを文章化し、共有フォルダや 社内のツールなどに公開する |
チームの中で日頃からお互いにノウハウを共有し、高めあっていくことが大切です。これにより、特定の個人に業務が集中することを防ぎ、チーム全体の生産性向上と残業時間の削減につながります。
プロジェクト計画を見直す
自分がプロジェクトリーダーのような、プロジェクトを計画・管理する立場の場合、プロジェクトの当初の計画と現在の状況を定期的に見直すことが重要です。
慢性的な長時間の残業は体調不良の原因となり、欠員が出てしまえばプロジェクトの遂行が難しくなる場合も考えられます。無理な労働が発生している場合は、原因分析をした上で適切な対策を行う必要があります。
例として、以下のような原因と対策が考えられるでしょう。
原因 | 考えられる対策 |
---|---|
人員不足、スキルのミスマッチ | スキル要件を満たす人員を確保する |
クライアントからの要望による 仕様変更や機能追加 |
クライアントと納期などを調整する |
ただし、人員が確保できたとしても、スキルが不足していれば教育や引継ぎなどで工数を要し、逆に現場の負担を増やしてしまう可能性もあります。そのため、状況に即した対応が必要です。
関連記事:プロジェクトリーダーとは?役割や役立つ資格、年収相場を紹介
上長や社内の関連部署に相談する
残業時間や自身の負担について、上長や社内の関連部署に相談することも大切です。自分一人で問題を抱え込まず、組織的な対応を求めることをおすすめします。そうすることで、より効果的な解決策を見出せる可能性があります。
残業により心身に支障が出ている場合は、残業が少ないプロジェクトに異動できないか打診してみるのも良いでしょう。上長は全体の状況を把握しているため、適切な解決策を提案してくれる場合があります。
また、介護や子育てを理由に残業ができない場合は「所定外労働の制限(残業免除)」が活用できる可能性もあります。社内に申請用のフォーマットがある場合もあるので、人事や労務などに相談してみると良いでしょう。
転職する
どうしても残業がきつい、残業を少なくするための対策が取れない場合は、残業時間が少ないほかの企業や職種に転職するのも1つの手段です。ただし、転職は慎重に検討すべき選択肢です。
転職を考える際のポイントの例として、以下の3点が挙げられます。
ポイント | 説明 |
---|---|
現在の状況を客観的に分析する | 残業の原因が自社特有のものか、 業界全体の傾向かを見極める |
自身のキャリアプランを明確にする | 長期的な目標に沿った転職先を探す |
転職先の労働環境をしっかり確認する | 求人の内容や企業の公式サイト、 口コミなどを確認する |
しかし、これらのポイントを押さえて転職活動を進めるのは、自分だけの力では難しいと感じる方もいるでしょう。レバテックキャリアでは、専門のキャリアアドバイザーがあなたの希望の勤務時間や働き方をヒアリングし、ぴったりの求人を紹介しています。
転職は大きな決断ですが、適切な情報と準備があれば、より良い労働環境と自己実現の機会を得られます。自分のキャリアと生活の質を向上させるための選択肢の1つとして、まずはお気軽にご相談ください。
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まとめ
この記事では、システムエンジニアの残業時間に関する現状と、残業を減らすための具体的な方法について詳しく解説しました。
残業時間の削減は、個人の努力だけでなく、チーム全体や組織としての取り組みが重要です。業務の効率化やノウハウの共有、適切なプロジェクト管理など、さまざまな角度からアプローチすることで、より効果的に残業時間を減らせます。
また、どうしても現在の環境で改善が見込めない場合は、転職という選択肢も存在します。ただし、転職は慎重に検討すべき決断であり、自身のキャリアプランや希望する働き方をしっかりと見極めた上で判断することが重要です。ITエンジニアの転職の専門家に相談して転職活動を進めたい場合は、ぜひレバテックキャリアをご利用ください。
システムエンジニアとしてのキャリアを充実させながら、より健康的でバランスの取れた働き方の実現を目指して、一歩ずつ改善に取り組んでいきましょう。
※本記事は2024年12月時点の情報を基に執筆しております
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